全く覚えてないんだけど、俺多分原作主人公の兄貴殺してるわ… 作:生牡蠣
「あらまぁゼロ様、今日も来てくださってありがとうござます!」
「いえいえ~俺が好きで来ているだけですのでお気になさらず~それに元はといえば原因俺なわけですし……あっ、後これ皆さんでどうぞ!この星の名物お菓子らしいですよ~」
「まぁ!いつもありがとうございます~」
俺は手持ちの紙袋をメイド服の女性に渡す。
…今メイドって聞いただけで若くて可愛い子連想しただろ?残念、普通に50代くらいのおばちゃんメイドさんだよ。
まぁ普通にベテランのメイドさんなんて珍しくないんだけど…なんかメイド=若くて可愛い娘ってイメージあるよねぇ?なんでだろう?
「はははっ、そこまで喜ばれるのは買ってきた側も嬉しいですね。………それで、彼女の容態は?」
「はい…やはりあれから一度も……」
「……そう、ですか」
メイドさんが目を伏せる様子を見た後、俺は視線をメイドさんの後ろへと動かす。
そこには、真っ白なベッドで眠りについている青髪ツインテドリル幼女―――アクアの姿があった。
そうか…まだ眠り続けているのか。身体の方に異常はないらしいけど、少し心配だな。
「…あっ、失礼。そういえばドアを閉め忘れてました」
彼女から視線を外すと、この部屋に入った時に扉を閉め忘れていた事に気が付く。
ヤバいヤバい、いくら彼女の事が気がかりとはいえ、ここまで気が回らないようでは駄目だよなぁ…
俺は扉に近づき、ドアノブに手を伸ばす。その時、扉の先の廊下を歩いていた白い制服の女性…看護師と目が合い、軽く会釈した。
看護師という単語でもう察したかもしれないが、ここは病院。アクアは現在、この病院に入院している患者というわけだ。
あのボンバーバトルの後から早3日、アクアは今も眠り続けていた…
俺のボンバーバトル初試合が散々な結果に終わったすぐ後のことだ。
色々と思う所もあるのだが、まずは気を失っているアクアをなんとかしなくてはならないと考えた俺は、彼女をお姫様抱っこしたままイベント用に設置されていた救護テントへと向かった。
いくら切羽詰まってたとはいえ、幼女に頭突きをしてそのままトンズラというのも気が引けたし、正直この後廃棄される可能性も考えられるため考える時間稼ぎという意味でも少しでもメカードと離れたかったのだ。
救護班として大会に呼ばれていた地元の医者曰く、傷自体は軽いものでバイタルも安定しているとの事だが、それよりも身体の状態からかなりの疲労が見られるため休ませるという意味でも入院して経過を見たいとの事でそのまま病院へ運ばれたのである。
その時、アクアと同じチームとして参加していた人達とも顔合わせをした。
後で聞いた話なのだが、アクアは結構良い所のお嬢様で、彼らは彼女の家に仕える使用人たちなのだとか。
軽傷だったとはいえ、良い所のお嬢様に頭突きかましたとかメカードに廃棄される前になんか謎の勢力とか裏社会に生きる人たちに消される可能性が浮上し焦る俺。しかし、使用人さん達から発せられた言葉は、意外にも感謝であった。
彼ら曰く、最近アクア大切な人に不幸があったらしく、ひどく落ち込んでいたそうだ。
その胸に渦巻く様々な感情を晴らすべくアクアはボンバーバトルに以前よりも打ち込んでいったらしいのだが…どうやら打ち込み方が尋常ではなかったようなのだ。
連日のボンバーバトルは日常茶飯事、その上休息を挟むこともなく、試合が終われば次の戦いを求めて宇宙中を移動し、色々な大会や野良試合を重ねていったそうだ。酷い時には1日に何十回も試合をし、移動時間の数時間しか睡眠をとらなかった日もあったようだ。
彼女は普通の人間とは違う吸血鬼の一族らしく、その身体能力も比べ物にならない位高いものだが、それでもこれらの行動は異常なものでいつ倒れてもおかしくない程にハードなものであった。
もちろん使用人たちも彼女の身体を案じたのだが、アクアはそれでも止まらずに病的なまでにボンバーバトルに呑まれていったそうだ。
彼女の行動はまさに命を削っていた。だからこそ、
あ~…うん、なんか色々大変な状況だったのね……結構酷い事したと思うんだけど、とりあえず闇討ちとか法的処置の話にならなそうで良かったわ。
こうしてアクアの入院が決まったのだが、そんな大変な日々を繰り返した反動なのかここ3日間彼女は目を覚ましてはいない。医者曰く、身体が休息を求めているだけで体力が戻れば自然と目を覚ますらしい。
俺自身も彼女の事が心配だし、直接謝罪を入れるのが筋だと考えているのでこうして毎日お見舞いに来ているというわけだ。ちなみに見舞いに来るたびに使用人さん達と世間話をしたり、アクアがどれだけすごい人物なのかを聞かせて貰ったりしているのでいい感じの関係を築く事に成功していたりする。(これで万が一の為に弁護してくれる人が増えたぜ!)
そう言うわけで、今日も俺は病室でメイドさんと談笑をしていた。
「えっ!アクアさんってファストフード店でバイトしてるんですか!?意外っすね~」
「やっぱりそう思われますよね~。実は、アルバイトを始めたのも、アクアお嬢様の大切なお方の影響なんです。お嬢様は昔から何でも出来てしまう万能なお方でしたが、万能ゆえに何かに挑戦したり苦戦したりすることがなくて人生そのものに退屈しておりました。そんな時に、あのお方が『アクアって実家裕福だからバイトとか経験ないでしょ?せっかくだから今まで経験のない事をやってみようよ。僕も付き合うからさ』とお嬢様を誘ったんです。初めの頃は『このアクアブルー家の次期当主である私があの男の口車に乗せられてファストフード店なんて屈辱ですわ!』と毎日愚痴を言っていたのですが、案外やってみたら楽しかったみたいで日に日にアルバイトへの足取りも軽いものになっていったんですよ~。…まぁ、一番楽しみだったのはあの方と一緒にいる時間だったみたいですけどね~」
「ははっ、年頃の子にはよくある事ですよ。俺にも覚えがあります」
「あらゼロさん、アンドロイドなのに年頃とかあるんですか?」
「あっ、えっと…あ、アンドロイドジョークです!」
「まぁ!ふふふふふっ!」
「あはははは~…」
思わぬところでボロが出そうになり、乾いた笑いを漏らす。あっぶね、そういや俺、今はアンドロイドだったわ…
流石に『前世で人間だったので経験談です!』なんて言えないよなぁ…完全に頭おかしい奴だもん……
にしてもアクアをバイトに誘った奴すげーなおい。俺、アクアと知り合ってからまだ日は浅い…というかまともに話してもないんだけど、彼女がプライドの高い女の子という事はなんとなく分かっていた。
そんなアクアがファストフード店でアルバイトをするとは、誘った奴は彼女から強く信頼されている人物なのだろう。
アクア程の実力を持った人物から気に入られているとは只者ではない。いったい何者なんだ…?
「……っと、もうこんな時間か。すみません、Drの元へ戻らなくては」
「あら本当、時間が経つのは早いですねぇ…」
俺は備え付けのパイプ椅子を片付けながらアクアを見る。
アクアはまだ起きる気配はなく、規則正しい呼吸を続けていた。結局、今日も謝れなかったなぁ…
「今日も来ていただいたのに、すみませんねゼロさん。でも、きっと明日はお嬢様も目を覚ますはずですよ!」
俺の視線に気が付いたのか、メイドさんが俺を励ますように声を掛けた。
明日、かぁ…
「ですからゼロさん、もしよろしければ明日も来ていただければと…」
「すみません」
俺はメイドさんの言葉を遮り、少し頭を下げた。
「……今夜、旅立つことになりました」
「…そう、ですか」
俺の言葉に、メイドさんは残念そうに笑った。
『まったく、今回のボンバーバトルは酷いものでしたよっ!……しかし、私が作ったアンドロイドのスペックが優秀であるという事の宣伝にはなったようですし、今回は特別に許して差し上げます。私の寛大な心意気に感謝するんですね!』
ボンバーバトルが終わった後、俺はメカードに小っ酷く怒られたのだがなんやかんやで廃棄処分を逃れた。いや、元はといえばあんたがボムの生成方法を…なんでもない、とりあえず許して貰えたようで何よりだ。
廃棄処分がなくなったという事は、ボンバーバトルで良い成績を残し、メカードの会社を宣伝するという俺の役目も当然継続するわけだ。つまり、ボンバーバトルが終わったこの星に滞在する理由もない。次の目的地を目指して旅立たなければならないのだ。
本当は試合終了後すぐに飛び立つ予定であったが、せめてアクアに一言詫びを入れたいと俺がメカードに頼み込み、滞在費用と燃料代をバイトで稼ぐことを条件に3日間の猶予が貰えたのだった。
う~ん、こればかりは仕方ないよなぁ…今朝駄目元でメカードに相談したら『これ以上こんな辺鄙な星に居たくありませんっ!予定通り今夜出発しますっ!』とめっちゃ怒鳴られたし、俺も打つ手ないわ…
「本当にすみません。本当は俺自身の口から謝罪の言葉を入れるべきなのですが……」
「いえいえ、ゼロさんにも都合があるのでしょう?仕方のない事です。……ただ、残念ですねぇ…」
「…残念?」
俺はメイドさんの言葉に首をかしげる。
「えぇ…ここ数日間、貴方と接してみて分かったのですが……なんとなく。貴方はお嬢様が気に入るタイプの人物と思いましたので」
「ははっ…だと、良いんですがね……」
「なんだ、ただの社交辞令か」と俺はメイドさんの話を流す。
機械の頭で頭突きを食らわせた相手の事とか…気にいる要素なくね?むしろ目覚めた瞬間にボムを投げられた可能性の方があったと思うんだが……
「…っと、ではこの後最後の日雇いバイトがありますのでこの辺で…アクアさんによろしく言っておいてください」
「はい、それではまたお会いできることを」
メイドさんはスカートを持ち上げて、深々とお辞儀をする。
俺もメイドさんに頭を下げながらアクアの安らかな寝顔を一瞥し、そのまま病室を後にした。
「不思議ですねぇ…。彼と接していると、まるで昔からの知り合いかの様な安心感を覚えますわ。そう、まるであのお方を…マイティさんを彷彿とさせます。本当、お嬢様と会わせられないのが残念です」
メイドさんが最後に何か言ったような気がしたが、扉が閉まる音にかき消されて内容までは聞こえなかった。
「はぁ~…」
病院を出て、俺は深くため息をついた。
結局、最後までアクアと話すことが出来なかったなぁ…この3日間のバイト生活が無駄になってしまった。
…まぁ、仕方のない事か。いつまでもここに居ても仕方がないし、切り替えていくしかないだろう。
それに、メイドさんの話では彼女も少し休んだらいずれはボンバーバトルに復帰するだろうと言っていた。俺がボンバーバトルを続けていたら、いつかは彼女と再び相まみえる日が来るかもしれない。謝罪の言葉はそれまでお預けだな。
「キャッ!」
そんな事を考えながら立ち止まっていると、正面から走って来た何者かにぶつかってしまった。
おっと、いけない。ここは病院の入り口だ。ただただ突っ立っていたら進行の邪魔になってしまうか。
「すみません、邪魔をしてしまいましたね」
「い、いえ、モモぴゅn……私も焦っていてよく見てなかったので…」
俺とぶつかってしまった少女は息を荒げながらそう言った。
先程まで走っていたのだろうか、顔には汗の玉が見えていた。
病院に向かって走って来るとは…親しい友人でも入院したのだろうか?
偶然ぶつかって互いに軽く言葉を交わす。本来ならばそれだけで終わって互いに目的地への道を急ぐのだろう。
「…………」
しかし、少女は俺から視線を外すことなく、マジマジと俺を見ながら首をかしげていた。
……えっ、何、俺の顔のパーツでも取れた?あっ、元々顔半分ないわ……
「あ、あの…どこかでお会いしませんでしたか?」
少女が次に口に出したセリフは、そんなナンパ等で使い古されていそうなものであった。
…う~ん?考えてみたけど、目の前の少女に会った記憶なんてないな。少なくともこの星に来てからはないはずだ。というか俺、作製されてから日が浅いから知り合いがいないんだけど…
じゃあ、この少女は俺と誰かを見間違えている?こんな悪人ロボ顔の奴が世の中に2人いるなんて考えたくないけど…というか居たとしたらそいつマックス確定じゃん。居ちゃいけない奴じゃん。
「??? ……いえ、ないと思いますが」
「……そう、ですよね。すみません。では………そうよね、あいつなワケがないのに…」
少女はそう言いながら病院へと入っていった。
……なんか最後に小声で言っていたようだけど、何だったんだ?
………まぁ、ただの人違いだろうし、そんなに気にする程でもないか。
にしてもさっきの子、髪の毛めっちゃピンク色だったなぁ…地毛なのかな、あれ。
創作物のキャラクターの髪の色はカラフルなものが多いけど、前世では黒髪になじみがある俺からするとやっぱり見慣れないなぁ…流石は異世界といった所か。……髪の色で感じる事でもないけど…
「…あっ、バイト行かなきゃ!」
俺は“ハッ!”として走り出した。
最終日に遅刻とかかっこつかないし、バイトとは言え跡を濁さずに完遂させたいもんな。
しばらく走った後、立ち止まって病院の方へ振り返る。
………最後まで言葉を交わすことは出来なかった。ここから言葉が届くわけがないのだが、せめてこの先の彼女の幸福でも祈ってもバチは当たるまい。
「それじゃあ、元気でね―――」
―――
………あれ?俺、今名前間違えなかったか?
……………気のせいだな!
今度こそ俺は病院を背に、バイト先へと走り出した。
〇ゼロ
オフの時は礼儀正しくなるアンドロイド君。
今回スクラップを回避したがこれからちゃんと結果残さないと流石にメカードに見放される模様。
3日間連続工事現場で肉体労働しても疲れない事実に「アンドロイドすげー!」と興奮していた。
〇アクア様
現在昏睡状態で入院中。
すやすやのアクア様の寝顔を見つめていたい人生だった…
〇モモぴゅn……謎のピンク髪少女
なんか行方不明の知り合いに会ったような気がしたけどそんなことはなかった少女。
ただすれ違っただけだしストーリーとは絡まないんやろなぁ~(適当)
ボンバーガールのキャラ、みんな魅力的過ぎて誰を出そうか迷う…とりあえずブロッカーの娘しか出せてないから次はアタッカーかシューターの娘出したいかなぁ…
ボンバーマンジェッターズ面白いからみんな見てくれよな!(ダイマ)
えっ、配信サイト?……直樹です(逃げ)
Dアニメにリクエスト送るかぁ…
ここまでご拝読ありがとうございました