(仮題)託された想い、透き通る空の下 作:Laplaaaaaaaaaaaace
体調悪い中で書いちゃったので、文章めちゃくちゃになってるかも…。ゆるして。
なんかワードサラダっていうんですかね、そんな感じになってそう。
マリア様、私はコマドリ。ゆるゆると、私卵になるのかしら?
ねえ、マリア様?マリア様?ねぇ、ねぇ…
ブラボのコマドリちゃん可愛いですよね。
敵前哨基地襲撃作戦を終え、学校に戻ってきたクライヴ一行は対策委員会の部室に集合していた。
一人部室に残り指示役をしてくれていたアヤネから、労いの言葉が届く。
「おかえりなさい!皆さん、お疲れさまでした!」
「ただいま~」
「アヤネちゃんも、オペレーターお疲れ」
「火急の事案だったカタカタヘルメット団の件が片付きましたね。これで一息つけそうです」
手紙に書くほどの案件だった訳だ。それこそ問題が片付いたのは嬉しいことだが、初めてここにアビドスへ来たとき、アヤネは『まだたくさんの問題を抱えている』とも話していた。
その時はヘルメット団の襲撃もあり彼女に聞きそびれたが、その問題について助力が出来るのなら、手助けをしてやりたいものだが……
「そうだね。これでやっと、重要な問題に集中できる」
「うん!先生のおかげだね、これで心置きなく全力で借金返済に取り掛かれるわ!」
……思っていたより相当大きな問題の様だ。
ヘルメット団による学校占領の件も火急の用だが、それ以前にその借金の方が問題ではないのだろうか。
「借金返済……?この学校はどこかに借金をしているのか」
「へ?あ、わわっ!」
この反応、大方口を滑らせてしまったのだろう。最後まで隠し通しておきたかった秘密……といった所か。
誰の助けも借りず、自分たちで解決したい。この問題は、他人を巻き込むほどじゃない……と。
「そ、それは……えっと、その……」
「待って!!アヤネちゃん、それ以上は!」
「良いんじゃない、セリカちゃん。隠すようなことじゃあるまいし」
「か、かといって、態々話すようなことでもないでしょ!」
言い合いを始めてしまった。
さて……この場はどう収めたものか……。別にこのアビドス高等学校の関係者でもないクライヴが無闇に首を突っ込む様な内容でないことも分かっている。
下手に口を出せば、彼女達から何を言われるか……分かったものじゃない。
「別に私たちが罪を犯した、とかじゃないでしょ~?それに先生は私たちを助けてくれた大人だし、話しても良いんじゃないかなぁ~」
「ホシノ先輩の言う通りだよ、セリカ。先生は信頼していいと思う」
「そ、そりゃそうだけど、先生だって結局は部外者だし……!」
「確かに、先生がパパっと解決してくれるような問題じゃないかもしれないけどさ」
「でも、この問題に耳を傾けてくれる大人は、先生くらいしかいないじゃ~ん?」
「悩みを打ち明けてみたら、意外と良い解決策が見つかるかもよ?それとも何か他に良い方法があるのかな~、セリカちゃん?」
「……ホシノ、もう良い。いい加減その辺りで――」
仲裁に入ろうとした時、机がバン!と叩かれる。
音の出どころは……セリカの席だ。
「でっ、でも……さっき来たばかりの大人でしょ!今まで大人たちが、この学校がどうなるかなんて気に留めたことなんてあった!?」
「この学校の問題は、ずっと私たちでどうにかしてきたじゃん!なのに今更、大人が首を突っ込んでくるなんて……」
「私は……!私は、認めないっ!!」
そう言い残すとセリカは勢いよく席を立ち、部屋を出て行ってしまった。
今更この学校の問題に首を突っ込むな……か。それは、確かに正しいことだ。今まで自分たちで解決してきた問題に、いきなり部外者たるクライヴが入り込んでくれば、子供としては、努力を踏み躙られたも同然。今までアビドスの仲間達で築いてきた頑張りを、大人が搔っ攫うなど、以ての外だ。
「セリカちゃん!?」
「私、様子を見てきます!」
セリカに次いで、ノノミが彼女を追いかけるべく部屋を出て行った。
残された四人は、シン…とした部屋で、俯く事しかできない。解決策を明示しようにも、そんなもの、考え付いたわけでもないし、喋り始める空気でもない。さて、どうしたものか……。
「えーと、簡単に説明すると……この学校、借金があるんだ~。まぁ、ありふれた話だけどさ」
静寂を切り裂いたのは、ホシノだった。
この学校における最高責任者であり、最高学年である以上、この学校の問題には詳しいのだろう。
特に此方から質問を振ることも無く、彼女の話を静かに聞く。
「でも問題はその、金額の方でさ……」
「9億円くらいあるんだよね~」
…………。
今、一瞬だが眩暈がした。聞き間違いでなければ、9億と聞こえた気がする。
この世界の貨幣価値について、今の所全てを把握しているわけではないけれども、とてもじゃないが、一国を担う者でしか扱えない金額だ。その金額を、彼女達は、いや、アビドスは背負わされているというのか……?
「ホシノ、その……9億円というのは事実だろうか。報告の間違いや、決算処理でのミスが原因というわけでは……」
「ううん、間違いじゃないよ~。えっと、正確にはいくらだっけ……」
「9億と6235万円、です……」
「約10億……といった所か。確かに、これは……簡単に解決できる問題じゃないな」
「そう、先生の言う通り、通り簡単に解決できる問題ではありません」
「そして、それはアビドス……いえ、私たち『対策委員会』が返済しなくてはならない金額です」
「君達が……!?とてもじゃないが、学生が返済できる金額じゃない。普通では考えられない額だぞ……!」
「これが返済できないと、学校は銀行の手に渡り、廃校手続きを取らざるを得なくなります」
「ですが、実際に完済できる可能性は0%に近く、殆どの生徒は諦めて、この学校と街を捨てて……去ってしまいました」
「そして私たちだけが残った」
「学校が廃校の危機に追いやられたのも、生徒が居なくなったのも、街がゴーストタウンになりつつあるのも……」
「実はすべてこの学校の借金のせいです」
「……アヤネ、シロコ、ホシノ。差し支えなければ、この学校が借金を背負うことになった理由を説明してくれないか。解決の糸口がどこかに見つかるかもしれない」
可能であれば、説明してほしい と促すと、アヤネはその口を開き、アビドスの過去を話し始めた。
「約数十年前、この学区の郊外にある砂漠で、大規模な砂嵐が起きたのです」
「この地域では以前から頻繁に砂嵐が起きていたのですが、その時の砂嵐は想像を絶する規模のものでした」
「学区の至る所が砂に埋もれ、砂嵐が去ってからも砂が溜まり続けてしまい、その自然災害を克服するために、我が校は多額の資金を投入せざるを得ませんでした」
「しかし、この様な片田舎の学校に、巨額の融資をしてくれる銀行は中々見つからず……」
「結果的に……、腐った連中に金を借りる他なかった。という訳か……」
「そう。悪徳金融業者」
「……はい。最初のうちは、すぐに返済できる算段だったと思います。しかし、砂嵐はその後も、毎年更に巨大な規模で発生し……学校の努力も虚しく、学区の状況は手が付けられない程、悪化の一途を辿りました」
「そして、アビドスの半分以上が砂に吞まれて広大な砂漠と化し、借金はみるみる膨れ上がっていったのです……」
金を借りる、という行為に難癖をつける訳ではない。しかし、この責任は彼女達が負うべき問題なのだろうか。
彼女達よりも前の世代のアビドス高等学校の関係者たちが作った『負の遺産』とも呼べるこの莫大な借金を、彼女達が全て背負う必要があったのか……。それこそ、子供なのだから大人を頼るべきではないのか。
「私達だけの力では、毎月の利息を返済するのが精一杯で……。弾薬も補給品も底をついてしまっています」
「セリカがあそこまで神経質になってるのは、これまで誰もこの問題にまともに向き合わなかったから。話を聞いてくれたのは、先生、あなたが初めて」
「……まあ、そういうつまらない話だよ」
「……つまらない話なんてものじゃない!10億なんて巨額の金を……一学生である君達に押し付けるなんて、考えられないだろう!それに、この問題に君達以外誰も真剣に向き合ってくれないなんて、あってたまるか!」
「君達は、未来を望まれている存在だ。そんな尊ぶべき存在を、誰も助けないなど……!」
つい、感情的になってしまい大声をあげてしまった。
他の三人が、驚いたような顔でクライヴを見つめている。
「いや……、すまない。つい……」
「ううん、先生が謝る事じゃないよ。これは私達対策委員会の問題だし」
「もしこの委員会の顧問になってくれるとしても、借金の事は気にしなくていいからね~。話を聞いてくれただけでもありがたいし」
「そうだね。先生は十分力になってくれた。もう、これ以上迷惑を掛けられない」
と、ホシノとシロコは言うが……クライヴはそんなことを気にしてなどいない。迷惑。彼女達の問題。そんなことは関係ない。
目の前に困っている人々がいるなら、手を差し伸べるのだと。ヴァリスゼアにも、何百と問題を抱えている人はいた。その全てに手を差し伸べられていた訳ではないが、今目の前で困っている人がいるのなら、選び取る選択肢は、一つだ。
「悪いが、ホシノ。君の言うことに賛同は出来ない。一人の大人として、人間として。目の前で困っている誰かが居れば、手を差し伸べる」
「それが、俺の信条だ。そして今、俺の目の前には大きな壁にぶつかり苦しんでいる君達がいる」
「俺も、君達対策委員会の一員として、共に問題を解決させてくれ。君達さえ良ければ、だが」
クライヴの一言は、対策委員会の面々に大きな衝撃を与えた。
今まで誰もこの問題を直視してくれなかった。自分たちだけで解決しようと、躍起になっていた。
しかし、ここで、シャーレという希望が見出される。彼女達の問題に真摯に向き合ってくれる大人であるクライヴが現れたのだ。
『困っている人がいれば、手を差し伸べる』その言葉だけでも、大きな救いになるはずだ。
小鳥遊ホシノは、目の前の大人の事を、完全に信頼しきれていなかった。
今まで、何度も何度も『大人』という存在に騙されてきた。かつていた『先輩』も、よく大人に騙されていた。
子供というものは、大人に騙されながら、搾取されながら生きていくものなのだ、と心の片隅でいつも思っていた。それ故か、突然現れたシャーレの先生という存在を、信じられなかった。
初めて、彼の指揮の下で戦った時、いつもより戦闘がしやすかった。独断先行ではなく、戦術指揮の下での戦闘。これだけでも、様変わりするほどに戦いやすいのだと、この大人は信用していいのかもしれないと、揺れ動いていた。
彼がリーダーを単身倒すといって駆け出した時、『無事でいられる保証なんてない。助けられないかもしれない』とも思った。しかし、初対面の相手にそこまで考える必要なんて無かった。今までもそうだった。
初めて会った人なのに、なんでこんなにも心を揺れ動かされるのか。全く分からなかった。
彼は、恐らく自分が何か隠しているんじゃないかって、分かっている筈だ。自分もそこまで軟な頭をしていない。彼の隠し事にも、多少なり気づいている。私と同じで、何かを隠しているということくらいは。
ヘルメット団を撃退した時、砂漠に転がっていた変形した銃。まるで熱を加えて銃身を折り曲げたかのような、奇形の銃も、そうだ。何をどうすれば、こんなことができるのか。特別な何かを隠しているに違いない。
その帰り道、シロコちゃんが「なんで先生は無事だったの?」なんて聞いていた。だけども彼は、「運が良かっただけだ」と、はぐらかしてしまった。
また少し、彼の事を知りたくなった。謎の力に、経歴不明の過去。隠し事をしているのは明白だが、私と同じで自分から話そうとしない。
対策委員会の部室に戻ってきて、借金の話をし始めて……、セリカちゃんやノノミちゃんが出て行った後に、アヤネちゃんが事細かに説明してくれた。カイザーに関しては伏せていたけど、この問題に首を突っ込んだ以上、後々知ることになるだろう。
だけども、問題はそこじゃなかった。私が彼を、先生のことを気に掛ける理由が、先生の性格だった。
『あまりにも、お人好しすぎる』んだ。前哨基地に行くとき、そしてその帰り道。
よくもこんなに自分たちの事を気にして、助けてくれるな。なんて考えていたのだ。確かに、手紙を出したのはアヤネちゃんだ。自分じゃない。
でも先生は、前哨基地襲撃作戦に同意してくれた。ヘルメット団の襲撃が問題だったはずなのに、根本的な原因から潰そうなんて、そんな突飛なことを有無を言わさず承諾してくれた。
そして、先生が一緒に問題の解決をさせて欲しいと言った時、彼はどこかで聞いたことのある言葉を口走った。
『目の前で困っている誰かが居れば、手を差し伸べる。それが、俺の信条だ』
覚えている、その言葉を。まだ一年生だったころ、『先輩』が掛けてくれた言葉だ。
『――だからね、ホシノちゃん。困っている人が居たら、手を差し伸べるの。お腹を空かせてたり、寒さに凍えてる人が居たら助けてあげるの。うまく伝えられてる自身は無いけど……』
『ホシノちゃんなら、私が何を言いたいのか、分かってくれるよね?』
と、まるで太陽のように明るい笑顔で語りかける『先輩』を、覚えている。
先生は、こう言ってくれたけど、もし裏切られたら。私たちがこの大人に着いていって、逆にみんなが危険な目に遭ったら。
今度こそ、私は……。
「……ぱい!ホシノ先輩!」
「うへっ!?な、何……?アヤネちゃん?」
ホシノがアヤネの呼びかけで、どこかに向けていた意識を呼び戻した。
何を考えていたのか、ある程度の時間呆けていたが……、この問題に関わる何かを、案じていたのだろうか。
「先生が、私たちの問題について助力させてほしいと……」
「……へぇ~。先生も変わり者だね。こんな面倒なことに自分から首を突っ込もうなんて」
「で、でも!これで、私たちも希望を持って良いんですよね……?あの、シャーレが力になってくれるんですから……!」
「そうだね。希望が見えてくるかもしれない」
シロコが静かに頷く。
希望があるのならば、その光に向かって歩き続けることは出来る。
暗闇の中でも希望という灯火があれば、彼女達は迷わず前へ進むことができる筈だ。
「では……改めて、先生。よろしくお願いします!」
アヤネの挨拶で一旦この場は締めとなった。
さて、ここから少し忙しくなりそうだ。何せ、これまで扱ったことのない問題だ。隠れ家に居たころも、この様な問題は扱ってこなかった。
どう彼女達の抱える事情に、切り込んでいくべきか。色々と悩ましいところはあるが、まずその前にセリカから、だな。彼女に納得してもらわなければ、この課題の最初の一歩に立ったとは言えない。
「……ちぇっ」
部屋の外、会話の内容を聞いて、静かに不貞腐れるセリカに誰も気づかないまま、話は進んでいく。
舌打ちを一つ挟むと、彼女はすたすたと学校から出て行ってしまった。
そんな校外では、ノノミが一人、出て行ったセリカを探し回っていた。
色んなところを探したが、見つからない。そんなに遠くには行っていない筈なのに。早く見つけないと、日が暮れてしまう。
「セリカちゃん……、どこにいるのかしら……」
いつまでも見つからないセリカの姿に、小さくため息を漏らすノノミだった。
星海からこんにちは、私です。マリアス教の壁画をヤスリで擦ったら召喚獣の絵がメタメタに削れました。アルテマだけ残しておきますね。
本文中に度々アビドス3章のお話が出てきます。ユメ先輩、待ってますよ、私は。
ハッピーエンドに欠員は許されないんだ。
次回は平和だといいなあ。