(仮題)託された想い、透き通る空の下   作:Laplaaaaaaaaaaaace

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エーテル溜まりからこんにちは、わたしです。

今日は!!!!なんと!!!!!!!禁断の2話連続投稿!!!!!!!!!!!!!
反動で数日更新はなくなっちゃいます。ごめんなさい。

でも!!!!!書きます!!!!!!今滅茶苦茶楽しいので!!!!!!!!!!!!

さて、クライヴ君はどう動くんでしょうか。激動の13話、お楽しみください!


救出

 夜も更け、辺りが闇に包まれたころ。

アビドス廃校対策委員会の部室には、メンバーの姿があった。

アヤネにノノミ、シロコの三人だ。学生という身分にありながら、こんな時間に学校に集まっているのは他でもない。仲間のセリカが攫われたため、身柄を取り返すべく皆が揃うのを待っているのだ。

神妙な面持ちで待機していると、部室の扉が開く。

入ってきたのはホシノと、クライヴだ。

 

「みんな、お待たせ~」

 

「すまない。待たせた」

 

「ホシノ先輩!先生!」

 

「それで、どうだった、先輩?」

 

シロコが早速疑問を投げかける。

ここに来る前、ホシノにしてほしいことがあると頼み、同行してもらっていたのだ。

一刻を争うため、なるべく早急にというのと、委員会の最高責任者である。という立場から呼んだのだが、その理由というのが……

 

「うん、先生の持ってる権限を使って、連邦生徒会の管理するセントラルネットワークにアクセスできた」

 

セントラルネットワーク。

アロナに以前聞いた、このキヴォトスに関する全ての情報が保存されている領域。

いくらシャーレとは言え、この領域に踏み入ることはご法度とされていたが、今はそんなものに構っている場合じゃない。

 

「セントラルネットワークに!?先生……そんな権限までお持ちなのですね……」

 

「もちろんこっそりだけどね~。バレたら始末書だよ~?」

 

「ホシノではなく、俺が書くことになるが……」

「セリカの為だ。君達の仲間を救うなら、始末書ならいくらでも書こう」

 

純粋な気持ちで、セリカを助け出したい。彼女達の大事な仲間なのだから。

前に誰かが立ち塞がるというなら、それを跳ね退けてでも自分の道を進もう。

 

「それで、セリカちゃんが直前まで端末を使ってた場所、ここだったよ」

 

「ここは……砂漠化が進んでいる市街地の端の方ですね?」

 

「住民も居ないし、廃墟になったエリア……。治安が維持できなくて、チンピラばかりが集まってる場所だね」

 

「治安維持が出来ずに荒れ果てた……らしいが、監視カメラという物は生きていた様だ」

「こちらで映像を全て確認したが、その一つにこれが」

 

と、タブレットを彼女達に見せる。

ヘルメットを被った集団と、トラックと呼ばれる乗り物が写った映像だ。

監視カメラの位置を確認せずに、犯行に及んだんだろう。とんだ間抜け……とも言えるが、クライヴたち対策委員会を引き出すための餌として、わざとここで、見せつけるように動いていたのか……。どちらにせよ、奴らを捕まえれば分かることだ。

 

「これは……カタカタヘルメット団……!」

 

「このエリア、以前危険要素の分析をした際に、カタカタヘルメット団の主力が集まっていると確認できた場所です」

「ということは、やはり……カタカタヘルメット団の仕業……!」

 

「なるほどね~。帰宅途中のセリカちゃんを拉致して、自分たちのアジトに連れて行ったってことか~」

 

「学校を襲うくらいじゃ物足りなくて、人質を取って脅迫しようってことかな」

 

「考えていても仕方ありません!急いでセリカちゃんを助けに行きましょう!」

 

「うん、もちろん」

 

「よっしゃ~!そんじゃ行ってみよ~!!」

 

 

 


 

 

 

夜の砂漠を進むこと数時間――。セリカが攫われた現場近くに到着した。

太陽が顔を出し始めたころだった、目的のトラックを見つけたのは。

しかし、トラックは無人。荷台に人が乗っている様子も無く、いるのは周辺警備についていたヘルメット団のみ。

 

「……クソ、トラックに乗っていないとなると……」

 

『皆さん!その先に、多数のコンテナを確認しました!廃線になった駅の跡地です!』

『そこより開けているので、敵の襲撃に警戒してください!』

 

駅の跡地……。アビドスを歩いている時にいくつも見た、アレか。

過去は栄えていた名残なのだろう、無造作に打ち捨てられたソレらは、どこか物悲しい雰囲気を漂わせていた。

更に、転がるように捨てられているコンテナが幾つか。これら全てを虱潰しに探せって言うのか……!

 

「先生、ここ」

 

シロコがちょいちょいと手招きする。それに従って一つのコンテナに近づいた。

すると、中から小さくだがすすり泣く様な声が聞こえてくる。

独りにされ、仲間と引き離され、光も無い場所に幽閉されるのは、年端も行かぬ少女には辛いものがあるだろうな。泣きたくなる気持ちも、分かる。

 

「あぁ……、見つけたな。よくやった、シロコ」

 

「ん、それ程でも……ある」

 

皆を集め、コンテナの周りに集合させる。

さて……、どう扉を開けたものか。下手に爆弾などを打ち込めば、怪我をさせかねない。

シロコの持つドローンも、爆発を伴うミサイルを搭載している。無傷のまま、セリカを助け出すのは……現状のメンバーでは厳しい。

ならば、コンテナの扉を無理やりこじ開ける他ないだろう。

 

「力技なら、私に任せてください~☆」

 

自分が立候補しようとしてところで、ノノミが名乗りを上げる。

女性に無理やり扉を開けさせるなんて、男として不甲斐ない。しかし、ノノミはぶんぶんと腕を振り回し、やる気満々だ。

 

「……なら、ノノミ。ここは君に任せよう」

 

と、彼女に事を託すと嬉しそうな顔で頷いた。

いつも重たそうな銃を、まるで軽いものを扱う様に持ち歩いているのだから、相当自信はあるのだろうが、いざという時はフェニックスの力で――

 

 

 

バギンッ

 

 

 

錠前が、ひしゃげた。

 

 

 

クライヴも含め、皆唖然としている。

ノノミは、それ程筋肉がついているとは言えない。筋肉の量でいえば、男性であるクライヴの方が圧倒的に多いだろう。しかし、彼女の細い腕から金属すら破壊する力が生み出されている。

コンテナの中から『ひっ!?』と、怯えた声が聞こえた。間違いなくセリカのものだろうが、同意せざるを得ない。まさか、素手で錠前を破壊するとは。

 

「開きましたよ~」

 

「おじさん、ノノミちゃんの事怖くなってきちゃったよ~」

 

声に震えが混じっている。シロコも一歩引いているじゃないか。

……まぁ、何はともあれ、セリカが閉じ込められているであろうコンテナの鍵は破壊された。ならば、あとはこの扉を開けるだけだ。

 

「さて……開けるぞ。罠が無いとも限らない。警戒しておくんだ」

 

そう一言告げると、コンテナの扉に手を掛ける。

ギギギ……と重い音を立てながら、コンテナの扉が開かれていく。勢い良く開けてしまえば、罠が仕掛けられていた場合、起動してしまうかもしれない。

徐々に、コンテナの中へ光が差し込んでいく。

手前の方に、セリカはいない。もっと奥の方か……。罠も仕掛けられている様子はない。ならば後は全て開け切ってしまおう。

力を込めて、扉を大きく開く。陽の光が、コンテナの内部を奥まで照らした。

 

「ん!半泣きのセリカ発見!」

 

……半泣きの部分はいるのだろうか。

 

「!?」

 

陽の光が入ったことにより、彼女の表情が明らかになる。確かに半泣きだ。

しかし、シロコにソレを指摘されたからか、顔がみるみる内に真っ赤に染まっていく。

 

「なにぃ~!?うちの可愛いセリカちゃんが泣いてただと!」

「そんなに寂しかったの?ママが悪かったわ、ごめんねぇ~!!」

 

「う、うわああ!?う、うるさいっ!!な、泣いてなんか!」

 

「嘘!この目でしっかり見た!」

 

なぜシロコはここまで元気なんだ。仲間同士のふざけ合い……といったところだろうか。

敵地のド真ん中であることに変わりはないんだが、それだけ余裕があるという事だろう。

 

「泣かないでください、セリカちゃん!私たちが、その涙を拭いて差し上げますから!」

 

 

 

「あーもう!うるさいってば!!違うったら違うのっ!!黙れーっ!!」

 

 

 

助け出されてすぐだというのに、セリカも元気なものだ。

この賑やかさが、対策委員会を象徴するものなのだろうが。

 

「何はともあれ、無事で良かった、セリカ」

「念のためハンカチを用意してあるが、どうする?」

 

「いや、使わないし!!というかなんで先生までいるの!?どうやってここまで……」

 

「攫われた姫君を助けるのは、ナイトの役目だろう?」

 

「バッカじゃないの!?」

 

少し小恥ずかしいセリフを言ってみたが、セリカには不評だったようだ。

聖女と使徒の場面を少し使わせてもらったんだが……。だが生憎、聖女の使徒を演じるには、些か場所を選び損ねたようだ。

 

「だ、誰がお姫様よ!冗談止めて!!ぶん殴られたいの!?」

 

「うへ、元気そうじゃ~ん?ってことで、無事確保完了~」

 

『良かった……セリカちゃん……私、セリカちゃんに何かあったんじゃないかって……』

 

「アヤネちゃん……」

 

物語において、お涙を頂戴する良いシーンではあるが……さっきも言った通りここは敵地の中心。

周辺には敵だらけだ。それに、人質であるセリカを回収したのだ。怒り心頭で向かってくるだろう。

 

「水を差す様で悪いが、戦闘準備だ」

 

「うん、ここは敵地のド真ん中」

 

「だね~。人質を奪われたって知ったら、敵さん怒り狂って攻撃してくるよ~」

 

『ぐす……。こほん。先生の言う通りです、前方にカタカタヘルメット団の兵力を多数確認!』

『更に巨大な重火器も多数確認しました!徐々に包囲網を構築しています!』

 

「……気を付けて。奴ら、改造した重戦車を持ってるわよ」

 

改造した戦車……か。初日に戦ったあの戦車とは違うのだろう。火力も、装甲も。

爆発物はあれど、決定打を与えることになるかはまだ分からないが、周りの兵力を蹴散らす事が先か。

 

「知ってる、Flak41改良型。多分、後方に陣取ってるはず」

「砲撃支援があるかもしれないから、注意しよう」

 

「よ~し……。それじゃ……」

「行ってみようか?」

 

ホシノの声が、戦闘開始の合図となった。

構図は包囲網の突破、包囲網後方には戦車が位置しているようだが……。さて、お手並み拝見と行こう。

 

 

 


 

 

 

そこからは、戦闘と呼ぶには一方的な蹂躙が繰り広げられた。

対策委員会には、得意な距離で戦う様にと先んじて指示を出しておいたが……。ホシノとノノミの制圧射撃に、シロコとセリカの支援射撃が、確実に敵を仕留めていった。それはもう、可哀想になるくらいには。

 

「シロコ、前方の建物の陰だ!顔を出して来たら、確実に仕留めろ!」

 

「ん、了解」

 

と、指示を出した直後だった。タイミングよくヘルメット団の一人が顔を出してくれたのだ。

視界の先には、すでに銃を構えているシロコが映る。一瞬でも攻撃の手を止めてしまえば、それまでだ。

ダァン……と一つの銃声と共に、ヘルメットを被った少女が倒れ伏す。射撃の正確さは流石……だな。

 

『周囲のヘルメット団の殲滅を確認!残っているのは……』

『改造されたクルセイダーと、問題のFlak41改です!』

 

「ノノミ、まずはあの戦車の装甲を確認したい。全力で射撃した後、遮蔽物に隠れてくれ」

「そしてシロコ、同時にFlak41改と呼ばれる兵器に、ドローンでミサイルを撃ち込んでほしい。どちらも威力偵察を兼ねてだが……敵はどう出るか……」

「ホシノは皆を守りつつ戦線を維持、セリカはホシノの近くにいてくれ」

 

「「「「了解」」」」

 

まず第一段階、ノノミの掃射だ。全弾とはいかないが、ある程度の弾幕は戦車に命中している。しかし、目立った損傷はない。初日に戦ったあの戦車より、装甲を大幅に強化しているな。

ノノミに気づいたのか、砲塔がゆっくりとノノミを捉える。慌てて物陰に隠れたため直撃は避けられたが、着弾地点の地面が抉れている。……これを見るに、砲弾も何かしらの細工をしている筈だ。正面からの相手は危険か。

次いで、シロコの攻撃だ。Flak41改、見た所正面に銃撃を防御するための装甲板が取り付けられている。射撃は元より無効化されるだろう。ならば爆発物でどうかと思ったが……。

シロコのドローンから放たれたミサイルは、確かに全弾命中したはずだが、決定打を与えられていない。多少装甲板を削った程度で、兵器自体を破壊できたわけではない。

 

「っ、硬い……!」

 

「シロコちゃんもノノミちゃんも無理は――おわっと……!」

 

戦車がホシノに狙いを定め、砲撃する。

何とか盾を使い弾道を逸らし、直撃を避ける。常人離れした業だ。かなり戦闘慣れしている。

原理は直進してくる弓矢を、盾で受け流す事と変わらないが、戦車の砲弾となれば別だ。

じりじり、と近づけてはいるが……時間をかければかけるほど増援の到着を許してしまう。

 

「クソ……、どうすれば……!」

 

戦車のすぐ後方に、厄介な兵器。位置を考えれば、恐らく戦車があの兵器を守っているのだろうが……。確実に潰すなら、戦車から……か。

……いいや、細々削っていると、それこそ敵が増えるだけだ。増援の到着は避けたい。ならば、同時に叩くのが、正解だ。

 

「アロナ、周辺の敵の状況は……」

 

『えぇと……。1、2、3……沢山です!』

 

言いたいことは分かった。包囲網を構築されてしまっているのなら、もう遅いな。

ゆっくりと距離を詰められ、逆にこちらが殲滅されかねない。覚悟を決めるしかない様だ。

 

 

 


 

 

 

シッテムの箱をコートに仕舞い込み、ゆっくりと建物の陰から身体を出す。

 

「先生!?なにしてるの!?」

 

セリカが驚きの声を上げる。それと同時に、こちらへ注がれる対策委員会の視線。

それもそうだ、丸腰で敵の前に姿を見せているんだ。驚くのは当たり前だろう。

ゆっくりと、だが確実に戦車へ向かって歩を進める。

 

 

 

「アロナ、少しの間で良い。障壁の展開を頼む」

「前と同じように、長くは持たせなくていい。君の機能に支障を来してしまうと困るからな」

 

『……分かりました。障壁、展開します!』

 

ブゥン――と、不可視の障壁がクライヴを包み込む。それと同時に戦車の砲塔から、砲弾が発射される。

ついでだ、と言わんばかりに、Flak41改からの射撃も付いてきた。それらが同時に着弾する。

 

着弾と同時に轟音が周囲を切り裂き、見る者全てに衝撃を与える。

途轍もない熱量と、煙が発生した。しかし、爆心地に居た筈のクライヴは無傷。服すらも汚れていない。

対策委員会の面々は言葉を失っていた。ただの人であるはずの先生が、なぜ無傷であそこに立っていられるのかと。

 

『先生――すいません、威力が……強すぎて、消費するリソースが――』

 

「あぁ、もう大丈夫だ。苦労を掛けた、アロナ」

 

クライヴを覆っていた障壁が、消滅した。

これで完全に丸腰となったクライヴ。しかし、歩みは止めない。確実に距離を詰めていく。

 

「……アビドス廃校対策委員会、この通信は聞こえているな」

 

通信用にと貰っていたインカムから、クライヴの声が聞こえてくる。

皆が皆、彼の言葉に集中し始めた。

 

「今から君達に見せる力は、この世界の力じゃない」

「外の世界の《理》によって生み出された、奇跡の力だ」

 

戦車が砲撃を行う。

クライヴは着弾の直前に、フェニックスの炎弾で砲弾を爆発させる。

煤が付着し、破片がクライヴの肉体を傷つけた。頬から、ツー……と血が垂れた。

 

「奇跡と呼ぶには、余りにも残酷なものだが……」

「俺たちは、この力を使って……戦ってきたんだ」

 

クライヴの周辺に炎が漂い始める。

幻か現実か、クライヴの背後に炎の片翼が出現する。ホシノ達は目を疑った。

何度か目を擦って、見間違いかと自分自身を疑いさえした。しかし、見えるのだ、炎の翼が。

 

「な、なんだよアイツ!やっちまえ!!」

 

ドォン!とFlak41改から高角射撃が行われる。

頭上から降り注ぐ砲弾を、一瞥すると、クライヴは身を屈めた。

そして、その勢いのまま、炎の翼を天高く昇らせたのだ。フェニックスの能力である《ライジングフレイム》

砲弾はクライヴの頭上で爆発し、その役目を終える。爆発した際の破片もフェニックスの炎の熱により、溶けて消えていく。

 

「君達は、絵本の御伽噺でだけ……その存在を知っていることだろう」

「俺たちの世界では、ソレが普通だった」

 

「先生……何を、言って……」

 

「幻想の世界でのみ許された、理外の力」

 

戦車の目前まで歩いたクライヴは《フェニックスシフト》で、その姿を掻き消した。

炎は、気づけば、戦車の上へ立ち昇り……クライヴを出現させる。

戦車の中にいたヘルメット団たちは、突然の目標消失に、慌てふためいている。

 

 

 

「これが、《魔法》だ」

 

 

 

クライヴが右手を横に突き出すと、背中から炎を纏った翼が出現する。

赤く、煌びやかな羽根を持つソレは見る者全てを魅了した。あまりにも、美しすぎるのだ。

熱く、しかし優しい炎は、クライヴの性格そのものと言ってもいい。その翼を羽ばたかせると、クライヴの身体は宙に浮く。

 

「奇麗……」

 

シロコが呟く。彼女の瞳には、赤く燃え盛る翼が映っていた。

 

 

 

(ジョシュア――、お前の力、使わせてもらうぞ)

 

(あぁ、行こう――兄さん。彼女達を、守るんだろう?)

 

 

 

クライヴの中で、不死鳥が目覚めた。

赤く燃え盛る翼に炎を迸らせ、灼熱の翼へと変容させる。

翼で自身を包み込み、一気にその熱を外へ放射する。高温に曝された金属は熱を持ち、溶解を始める。原動力たるエンジンや、砲弾を積載している戦車はまず熱に弱い。

途轍もない熱に、砲弾やエンジンが耐えきれず爆発を起こす。中にいるヘルメット団もただでは済まないだろう。しかし、そこはキヴォトスの住人だ。何故かこの熱に耐え抜き、撤退を始めている。

 

「何なのよ、アレ……!」

 

セリカは夢でも見ているんじゃないか、なんて思っているらしい。

それもそうだ、これほどまでに技術が発展した世界で、魔法なんて力を使えば、頭の処理が追い付かない。何せ、この世界の力ではないのだから、なおさらだ。

 

「まだだ……!全て、焼き尽くす!」

 

再度、翼を羽ばたかせる。

クライヴの周囲を焼き尽くす炎と、地面から立ち昇る炎。その両方を以てしてこの攻撃は、完了となる。

戦車を襲っていた炎は、気づけばFlak41改にまで到達していた。周囲にいたヘルメット団は逃げ出していた様だ。

この光景を見れば、そうともなるだろう。巻き込まれずに済んで良かった、と内心安堵する。

 

業火は兵器群を呑み込み、大爆発を巻き起こす。

耳をつんざくような爆音と、硝煙の香り。まさしく戦場そのもの。

 

これこそ、フェニックスの能力の最終系《転生の炎》

攻撃に使用すれば、周囲を炎で巻き込み甚大な被害をもたらす。不死鳥と言えど、癒しばかりがその全てではない。

 

濃い煙と辺りを埋め尽くす炎で、クライヴの姿が見当たらない。

爆発に巻き込まれないように、建物の陰に隠れていた対策委員会の面々が顔を出す。

 

「あちち……先生は?」

 

「分からない……。それにしても、あの力……」

 

ホシノとシロコが合流し、クライヴを捜索する。

煙のせいで視界が確保できないが、一体どこへ行ってしまったのか。

 

「……やれやれ。爆発物がある所で、使うものじゃないな」

 

と、ノイズ交じりではあるがインカムからクライヴの声がする。

どこにいるのか、と周囲を見渡すが、やはり煙でうまく見えない。すると、次の瞬間少しの熱と共に風が巻き起こった。

クライヴが、フェニックスの羽根で煙を退けていたのだ。まさかこんな使い方も出来るとは、驚きだったが、合流を急ぐためだ。仕方がないと思って許してほしい、と弟に謝罪を告げる。

 

「先生!」

 

シロコが一番先に駆け寄った。クライヴの姿は見るに堪えるほど、痛々しいものだった。

コートは煤けて所々に穴が開き、頭から少量ではあるが出血している。恐らく爆発に巻き込まれたのだろう。

 

「シロコ……、すまない。君達を巻き込んでしまう所だった」

 

「先生はまず自分の心配しなよ~?ほら、血出てるよ?」

 

「いや、大した傷じゃない。命に関わる程でもないさ」

「それよりも、障害になる兵器を排除したんだ。この隙を突いて逃げよう」

「全員を相手取る程、物資が残っていない。それに、学校に残っているアヤネも心配だ」

 

『……今は先生の言う通りです。破壊した兵器群の一点のみ、敵性シグナルが無く、防御が薄くなっています』

『そこから撤退してください!』

 

「ノノミ、ホシノ。セリカの介抱をしながら帰還しよう」

「シロコ、君には帰路での警護を頼みたい。我儘を、聞いてくれるか」

 

「ん、任せて。先生たちは、私が守る」

 

「さて、そうと決まれば撤退だ」

 

「先生、さっきのアレについては説明、もらえるんだよね~?」

 

こちらに来てからというもの、こんなことばかりだ。

 

「……あぁ。一度学校に戻ってから、必ず話すと約束しよう」

 

そういえば、ユウカたちにはまだ話していなかったな……。この問題が片付けば、多少時間の余裕ができるだろう。その時に、彼女達にも話しておかないといけない。俺の事を……。

 

 

 

その後、撤退しながら追ってくるヘルメット団を蹴散らしつつ、学校へ向けて歩き始めた。




ロザリス城からこんばんは、わたしです。
アナベラさんと喧嘩して家出しました。

《召喚獣 フェニックス 開放》

ということで、フェニックスの能力が全面的に使用可能になりました。
ジョシュア、借りるぞ。

出すか出さないか迷った挙句、出しました。ちょっと気持ちが逸っちゃって……へへ……。
ですが、まだまだ楽しみは残されてますからね皆さん!!!!!!楽しみにお待ちくださいね!!!!!!!はっちゃ!!!!!!!!
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