(仮題)託された想い、透き通る空の下 作:Laplaaaaaaaaaaaace
今回と次回は、説明回となります。FF16のネタバレに繋がる箇所があるかもしれません。といっても、序盤だけですが!!
お読みになる際はお気を付けて!!
セリカの救出を終え、対策委員会の面々は無事、学校へ戻ってきた。
部室で出迎えてくれたのは、指示役をしてくれていたアヤネだ。
「みなさん、お疲れ様です!」
労いの意も込めてか、笑顔で出迎えてくれる。大変喜ばしいことではあるのだが……それよりも、セリカを何とかしなければないけない。
昨日からコンテナに閉じ込められていたのだ。それに、拉致されるタイミングで敵からの砲撃も喰らっていたのか、身体中至る所がボロボロだ。
「セリカちゃん、怪我は……」
「私は大丈夫。見ての通りピンピンして……」
と言いかけたところで、バタリと倒れてしまった。
強がっていても、体力は相当ギリギリだったのだろう。まずは休ませてやる事が先決だ。奪還の祝いをするなら、セリカが快復してからの方が良い。
「セリカちゃん!」
「私が保健室に連れて行く」
「多分、Flak41改の砲撃を喰らってる。ボロボロだったし、歩ける方がおかしいって。ゆっくり休ませてあげよ~」
フェニックスの力があったとはいえ、あのFlak41改とやらの砲撃は予想を凌駕するものだった。
改造されているとはいえ、あそこまでの威力を出せる兵器が不法流通していると考えると……、この世界の情勢はとてもじゃないが普通とは言い難い。
結局、裏で手を引いている『黒幕』にも辿り着けていない。武装や人員を鑑みても、ただの輩でないことは確かだ。彼女達の為にも、成るべく早急に正体を突き止める必要がある。
「……大変なことになるところでした。先生がいなかったら……」
「うんうん。先生のおかげでセリカちゃんの居場所を逃さず追跡できました。やっぱりすごいです☆」
「確かに、ただのストーカーじゃなかったってことだね」
「……ストーカーという訳ではないんだが。酷い勘違いをされていたらしい」
「というか、先生。傷……大丈夫なの?手当くらいしたら~?」
……そういえば、傷を負ったんだったな。
剣で斬られるなんてことは無かったが、砲弾の破片が皮膚を切り裂いたり、爆炎に呑まれて火傷をしたり。ある意味軽傷の類だが、手当をしないに越したことはないだろう。
先程医務室にシロコとセリカが向かっていたな。念のため、向かっておくか。
「ホシノの言葉に甘えるとしよう。医務室は……」
「私が案内するよ~。言い出しっぺだしね」
「……あぁ、助かる」
「シ~ロ~コ~ちゃん。入っても大丈夫?」
ホシノが医務室の扉を数回叩き、中へ声を掛ける。すると返ってきた返事は「大丈夫」だった。
静かに戸を開けて、医務室の中へ入る。いや、医務室ではなく保健室……だったか。
薬品の臭いと、包帯や飲み薬。ベッドが3つ程と、何冊かの本。全体的な間取りは隠れ家の医務室とそっくりだが、ベッドの周りにはカーテンが垂らされ、内1つはカーテンが閉め切られている。
恐らくセリカが眠っているのだろう。
「セリカが寝てるから、静かにね」
「は~い」
改めて色々と確認しているが、どれも見たことの無い薬ばかりだ。
ポーションの様な即効性の回復薬品等があれば、戦闘を優位に進められるのだが……ここにはないみたいだ。
そもそも、世界が違うのだから、存在するはずはない。作り方は……タルヤに聞いておくべきだったな。なにか代用できる材料がこちらの世界にあれば、ポーションとは言わずとも、それに近い薬品は作れたことだろう。
「先生、キョロキョロしてないで、そこ座って~」
「あぁ、すまない。見たことない物ばかりで、興味が湧いてきてしまった」
「この部屋にある薬も見た事ないって……。先生、一体なんなの……?」
シロコとホシノに不審がられながら、小さな椅子に腰かける。
初めて見る物に興味を惹かれるのは人間の性……だろう。それとも、彼女達と価値観が違うのだろうか。
「ほら、先生。髪上げて」
「こうか?」
ホシノに言われる通り、前髪を上げる。
傷がどのようになっているか知りはしないが、ホシノが痛々しそうな表情をしている。それ程大きな怪我になってはいないと思う。……憶測ではあるが、細かな火傷と多少の切り傷だけだと思っている。
「うへ、ちょっと切っちゃってるね。え~っと、洗浄消毒~」
「でも、あの爆発に巻き込まれて、目立つ怪我はこれだけで済んでる」
「先生、あの時の翼のおかげ?」
血を拭い、ホシノが傷口の処置に入る。多少痛みを感じるが、そこまで痛がるものじゃない。
その途中にシロコが、フェニックスの翼について質問を投げかけてきた。心なしか、ホシノの顔も少し怪訝そうだ。仕方ない、治療の間は暇になる訳だし……少し話そう。
「あれはフェニックスの翼、と呼ばれるものだ。君達はフェニックスという言葉に聞き覚えは?」
「フェニックス……。不死鳥、だっけ。本の中の話で出てくる、伝説の鳥」
「……正解だ。俺の世界には、そのフェニックスの力を身に宿す者がいた」
「顕現……いや、君達に伝わるように言えば、変身……と言った方が良いか。フェニックスに
「俺はその人から力を受け継ぎ、フェニックスの能力を一部だけ使えるようになったんだ」
かいつまんで説明してしまっているからか、シロコは首を傾げている。
そうなるのも無理はない。ヴァリスゼアで起きた出来事を、全て事細かに説明すると壮大な物語になってしまう。
それこそ、語り終えるのに1日は費やしてしまうんじゃないか、というスケールだ。それ程の話だ、易々と話せるものじゃない。
「……《魔法》って言ってたのは?」
「それは……」
まずいな、魔法の説明まで求められると、些か難しい。なにせ、ヴァリスゼアでは常用していたのだ。
今になって魔法の基礎を説明するとなると……、さて、どうしたものか。子供のころ、基礎教養は積んだ筈なんだが……。
ジョシュアが生まれ、フェニックスのドミナントに選出されてからは、余り見向きもされなかったからな。仕方のないことではあるが……
「こらこら、シロコちゃん。先生困ってるでしょ~。その話はみんな揃ってから」
「気になるのは分かるけど、一旦セリカちゃんが起きるの待とうよ~」
「……ん、分かった。先生、ごめん。無遠慮だった」
「いや、気にしなくていい。セリカが起きて君たちみんなが集まれば、話そうとしていたんだ」
「俺と、俺のいた、世界の事を」
その後、治療を終え、シロコに別れを告げて対策委員会の部室へ戻っていく。
別れ際に、「先生の話、楽しみにしてる」と一言付けたしたシロコに視線をやると、静かに微笑む顔を見た。
「先生、おかえりなさい。戦闘中のデータと、先生が破壊した戦車の部品を確認していたんですが……」
「キヴォトスでは使用が禁止されている違法機種と判明しました」
部室に戻るなりそうそう、アヤネから伝えられた言葉は衝撃的なものだった。
ヘルメット団が、違法流通している部品を使っているとのことである。ただの1不良集団が、それ程まで武装を潤沢に持っている筈がない。
「もう少し詳細に調べる必要はありますが……ヘルメット団は、自分たちでは入手できない武器まで保有しているようです」
「どうやらそのようだな。あのヘルメット団はこの地域の1不良集団なんだろう?」
「武器の供与を受けている可能性が大いにあり得る……ということか」
「はい。恐らく、先生の考えている通りだと思います」
「では、この部品の流通ルートを調べることが出来れば、ヘルメット団の『裏』にいる存在を探し出せますね!」
「……ただのチンピラであるヘルメット団が、なぜ私たちの学校を執拗に狙っているのか、これで明らかになるのかもしれません」
「うん、わかった~。じっくり調べてみよっか~」
「俺も出来る限り協力しよう」
セリカは療養に、俺たちは敵の使用していた兵器群の残骸の調査を始めた。
正直に言って、どこがどこの部品だか全く分からない。が、彼女達が率先して説明と解析を進めてくれていることで、徐々にだが機械というものに理解を深めていけるような気がしている。
――一方その頃……
重苦しい雰囲気の漂うオフィスビル。その一角で、一人の男が窓の外を眺めながら佇んでいた。
「……格下のチンピラ如きでは、所詮あの程度か。主力戦車まで送り出したというのに、このザマとは」
「そうともなれば……ふむ。目には目を、生徒には生徒を……か。専門家に依頼するとしよう」
男は電話を取ると、どこかへ発信し始めた。静寂な室内に、呼び出し音が鳴り響く。
ガチャ――という音と共に、電話が繋がった。通話相手は……
『はい、どんなことでも解決します。便利屋68です』
「仕事を頼みたい。便利屋――」
月明かりが、オフィスを照らす。光の中に現れたのは、人とも動物とも取れない異形の存在。
機械兵といったところだろうか。大柄な体躯の、巨大なロボットの様な姿が浮かび上がる。
一通りの説明を終え、受話器を置くと、男は静かに椅子に腰かけた。
デスクの上にはパソコンが置かれ、煌々とディスプレイが点灯している。
「しかし……、これはどうにも説明がつかない問題だな」
「この《炎の渦》をどう解釈したものか。アビドスの連中め、砂漠に眠る遺物でも掘り当てたか……」
「もしくは……この男、か」
バサ、と乱雑に放り投げられた書類には、『シャーレ顧問』という題目と共に、びっしりと文字が書き詰められていた。
「クライヴ・ロズフィールド……」
男は椅子に深く腰掛け、パソコンのディスプレイを見つめる。
そこには、いつ撮影されたものか分からない、一人の男性の写真。クライヴの写真が大きく表示されていた。
更に場面は移り変わり――、アビドスに近い辺鄙な土地。
夜も更け、キヴォトス全体が眠りにつこうという時、便利屋は動き出す。
闇夜に紛れ、ヘルメット団を制圧していく。弾幕で、爆弾で、恐怖で動けなくなったところを確実に仕留める。
「な、何なんだ、オマエら……!」
「私たちは、便利屋68」
「金さえもらえば、何だってする……」
「何でも屋よ」
ヘルメット団リーダーの最後の記憶はそこで途切れている。
四人の便利屋の影、突き付けられるスナイパーライフルの銃口。それが火を吹いた時、リーダーの意識は闇の底へ落ちていた。
アビドス高等学校にて、機械部品の調査を行っていたクライヴたちは、夜も更けてきたということで、一度休憩しようという話の元、各々自由な時間を過ごしていた。
いつの間にか戻って来ていたシロコにも調査を頼んだが、何やら真剣にパソコンとにらめっこをしている。皆のためを思って真面目に仕事に当たってくれているのだ。なにかしら、褒賞になるものをあげないとな。
と、自由時間の合間を縫って、クライヴは保健室に来ていた。戻ってきたシロコとは対照的に中々戻ってこないセリカが心配になり様子を見に来たのだ。
ガラッ――と保健室の扉を開けると、足に包帯を巻いたセリカがベッドに腰かけていた。
「あ、れ……?先生!?ど、どうしたの?」
「中々戻ってこないものだから心配になって、見に来たんだ」
「それと、君の気持ちを考えずに動いた……謝罪を」
「私なら大丈夫。いつまでもこうしちゃいられないし。それより……謝罪って?」
「対策委員会の意思を汲み取らずに、君達の抱える問題に形振り構わず首を突っ込んでしまったことへの謝罪だ」
「セリカの気持ちも考えずに、軽率な行動をとったこと……ここに詫びさせてくれ。申し訳なかった、セリカ」
「君からの罰は何でも受け入れよう。子供に正しい見本を見せられなかった教職者の、せめてもの償いだ」
彼女は、対策委員会だけでこの問題を乗り切ろうとした。
そのために、各々が方々で努力をし、借金の返済を行っている。今まで、そうだったのだ。
そこに、クライヴという大人が紛れ込んだことによる、イレギュラーが発生した。クライヴの助けたがりの性格も相まって、尚の事だ。
「……それは!その……私も悪かったと思ってる」
「協力してくれるって言うのに、頑なに先生の事を認められなかった。でも……」
「攫われた私の為に、文句一つ言わず助けてくれた。そんな先生の事を信頼してなかった私の方こそ……」
「ごめんなさい!」
セリカもバッと勢い良く頭を下げる。
予想外の反応が返ってきたことに驚くクライヴだったが、目を少し見開くと同時に、小さく微笑んで見せた。
まさか、彼女の方から謝られるとは……。
「で、でも!!この程度でアビドスの役に立ったとは思わないでよね!」
「この借りは、いつか返してやるんだから!」
……まったく、頑固な性格のお姫様だ。ここまで気難しい子供は、ヴァリスゼアにもそうそういたものじゃない。
これからの対応にも、少し考えないといけない部分が出てくるだろうが……。少しだけでも良い、彼女から信頼されていけば。いつかは対等に話し合ってくれることだろう。
「え……えっと、じゃあ。また明日ね!……先生!」
少し目を逸らしながら、頬をポリポリと搔きながら、別れの挨拶を告げられた。
そそくさと走り去ってしまった彼女だったが、最後は笑顔を見せてくれた気がする。
素直になれない生徒を抱える教職者が、どれほど大変か身をもって知った。そんな一日を過ごしたクライヴだった。
アビドス高等学校で発生した、黒見セリカ誘拐事件を解決し数日。
快復し、いつも通り元気に学校へ登校してきたセリカにみんなで安心し、おかえり会なるものを開催した日の午後……砂漠の暑さを相殺するように空調の効いた部屋で、対策委員会とクライヴを含めた六人は神妙な面持ちでテーブルを囲んでいた。
「おかえり会の後ですが……、アビドス対策委員会定例会議を始めたいと思います」
「ですが……その前に、先生から時間を欲しいとお願いされているので、ここからは先生に引き継ぎたいと……」
「あぁ。ありがとう、アヤネ。……俺が時間を貰いたいと願い出たのは、セリカ救出の時に見せた アレについてだ」
「えっと……確か、魔法……だっけ」
そう、彼女達にいつか話すと約束していた魔法の事。
セリカが完全に回復し、皆で集まれる状態になったら話そうと決めていたことだ。彼女達の前で力を使う制約を外すためにも、自分の事を語る必要があった。
あの楽しい会の後に話すものでもないと思ったのだが、何時如何なる状況で、何が起きるか分からない。そんな宙吊りの環境にある今、話すタイミングはここしかない。
「そうだ。俺が魔法と呼んで行使したあの力。そして、俺自身の事を話そうと思う」
「ここからは、辛く……血生臭い話が続く。耐えてくれるか……?」
「何も知らない先生の事を知れる機会ですからね~☆ちゃんと聞きます!」
「確かに。私達、先生のこと何も知らないし。少しくらいは話してもらわないと!」
彼女達の想像を絶する話だろうが、こう言ってくれているのならば、覚悟を決めるしかない。
では、話し始めるとしよう。クライヴの居た世界、ヴァリスゼアの、そしてクライヴ・ロズフィールドと呼ばれる男の話を。
まず初めに――、そうだな。
俺がここに来る前に居た、君達の言う外の世界……《ヴァリスゼア》と呼ばれる大地の話をしよう。
ヴァリスゼアという大地は大きく、二つの大陸に二分される。風の大陸と……灰の大陸。そして主要な国家には《マザークリスタル》という巨大なクリスタルが鎮座している。国の象徴とも言えるべき存在だ。
風の大陸にはその住みやすさから、様々な国家が形成されていた。小さな国をいくつも束ね国家として成立し、他国と比べると小さいながらに力を持った、俺の出身地でもあるロザリア公国。
マザークリスタル・ドレイクファングを有し、独自の宗教観や言葉を持つ、他国との国交を結ばない孤高の島国、鉄王国。
マザークリスタル・ドレイクヘッドを擁する政教一体……つまり、政治と宗教が一体化していて、国の上層部は宗教関係者が独占している、ザンブレク皇国。
マザークリスタル・ドレイクファングを擁するは、5つの州を取り纏め、共和国制を敷いている、ダルメキア共和国。
――先生のいた所には、その……マザークリスタル?っていうのは無かったの?
ロザリアにもマザークリスタルは存在する。だが、鉄王国の連中とその所有権を長きに渡り争っていたんだ。ドレイク・ブレスというクリスタルだったが……、その土地やクリスタル諸共鉄王国に実効支配されていた。
話を戻そう。あぁ……、各々質問があればいつ聞いてくれても構わない。出来る限りは答えよう。
そして……次に灰の大陸。ここは険しい山々が大陸周辺を覆っていて、人がまともに住める土地じゃない。だが、この大陸では希少な鉱石が採掘できる炭鉱があったんだが……黒の一帯の浸食により閉鎖されてしまった。
――その黒の一帯って?
黒の一帯は、簡単に言うと、『生命と呼ばれる全てが死滅した土地』だ。土も水も風も……何もかもが死に絶え、生物が生きていけない土地さ。《エーテル》と呼ばれる、星の核から摘出されるエネルギーすらも枯れ果て、魔法が使えない『死の大地』とされている。
そんな黒の一帯に囲まれているのが、灰の大陸。そしてその大陸に一つだけ……国家が存在する。
それが、マザークリスタル・ドレイクスパインを擁する唯一国家、ウォールード王国だ。軍事力は随一と言っても良いほど、国王の命令は絶対という……冷たい国家だ。
そして最後が……風の大陸と灰の大陸の中心に位置する自治領、ヴァリスゼア最大のマザークリスタル、ドレイクテイルを擁するクリスタル自治領だ。各国と不可侵条約を結んでいる特殊な国家でもある。
以上が、ヴァリスゼアに存在する国家と、それらが擁するマザークリスタルの説明だ。
ここまでは地理的な話だったが……、次から少し重くなる。覚悟して聞いてくれ。
ヴァリスゼア全土ではマザークリスタルから採掘される《クリスタル》を媒介に《魔法》と呼ばれる力を使っていた。魔法を使う際に《エーテル》を消費するんだが……。簡潔に言えば、魔法を使う時に消費される大地のエネルギーだ。ヴァリスゼアの住人には、魔法は日常的なものだった。例えば、洗濯物を乾かしたり、道を照らすための灯として使われたり、井戸の水として使われたり。いわば生活必需品の様なものだ。
だが、ヴァリスゼアに住む人々全ての人間が魔法を使える訳じゃなかった。難民や犯罪者は、携行型のクリスタルを支給されずに魔法を使えない不便な生活を送っていた。
それに、クリスタルは、それぞれに強度がある。魔法を使えば使うほど、クリスタルは劣化し、最後には寿命を迎え砕け散る。砕けた後は、国から再支給されるまで、魔法を使えない。君達でいう所の、家電が壊れた……という感じだな。洗濯機や冷暖房、扇風機が壊れれば、次のものを買い替えるまでそれらを使用できないだろう?それと同じ感覚だ。
しかし、そんな中……クリスタルも無しに魔法を扱う事の出来る者がいた。それが、《ベアラー》と呼ばれる者達だ。過去には「幸いを運ぶ者」として崇められていたそうだ。
――そりゃそうだよねぇ~。クリスタルを使わずに、魔法を使えるなんて最高じゃ~ん。
そう、ホシノ。君の言う通りだ。クリスタルという有限性の物を媒介として魔法を使うより、クリスタルを使わずになんの後腐れも無く魔法を使えるベアラーのほうがよっぽどマシだろう。
――無限に魔法を使えるのなら、まるで夢みたいです!
しかし、過去の為政者達は、クリスタルを持たずに魔法を使うベアラーが大きな力を持つことを恐れ、彼らを弾圧した。ベアラーであるというだけで『人』の身分を剝奪したんだ。つまるところ、『奴隷』だ。
生活必需品である魔法を、無制限に使用できるベアラーは人ではなく、道具同然の扱いをされた。洗濯物を乾かすための道具、火を起こすための道具、魚を冷やすための道具。例え、子供や大人であっても、扱いは変わらない。
ただの、道具に過ぎなかった。産まれてすぐに検査され、ベアラーと分かれば隔離され、国によって《ベアラーの刻印》を頬に刻まれ、人とベアラーで明確に区分される。
――じゃあ、その先生の頬の傷って……
これは、俺の仲間に頼んで無理やり消してもらったんだ。ヴァリスゼアで行動するために、何かと動きやすくするためにな。この刻印を無闇に除去しようとすれば、全身に毒が回り、死に至る。だが、その仲間は独自でその刻印を取り除く技法を完成させ、外での活動を志願するベアラーの刻印除去を行ってくれた。
数日間激痛に襲われたが、これから先の事を考えれば、なんてこともなかったさ。些細な痛みだった。
それに、俺の場合はベアラーではなく……特殊なものなんだ。あの時君達に見せた、炎の翼。もとい、フェニックスの力。あれは、俺の弟から受けた祝福でもあり……受け継いだ力でもある。
俺は、召喚獣と呼ばれる、神の力の一端をその身に降ろす事の出来る特殊な人間……ドミナントと呼ばれる人間だ。ドミナントもベアラーと同じで魔法をクリスタル無しに使えるが、一番の違いは召喚獣の力を使えることだ。
――召喚獣……?あぁ……!話がややこしくなってきた!!
落ち着いてくれ、セリカ。召喚獣の話はまた後でしよう。今は、ベアラーの話だ。
ベアラーは奴隷のように、道具のように扱われると言ったが、それは覚えているな?その道具とされてきたベアラーも、際限なく魔法が使える訳じゃない。クリスタルと同じで、最期がある。
ベアラーはクリスタルを使わずに魔法を使える反面、身体にかかる負荷が非常に大きいんだ。魔法を使い続ければ、ベアラーの身体は、『呪い』に蝕まれる。その呪いが『石化』だ。
魔法を使えば使うほど、身体の端から硬質化が始まり石のようになってしまう。石化の進行と同時に、身体に激痛が走るんだ。治療法はなく、痛み止めを服用してただ激痛に耐えるしかなかった。
石化が完全に進行し、身体全体が石になると、死んだも同然。後は砕け散り、砂になるだけだ。それは、さっきも言った通り、大人も子供も例外ではない。ベアラーは皆同じくして、人としての結末を迎えられない。
つまり、人として……死ねないんだ。葬儀が執り行われるわけでもない、泣いてくれる人がいる訳でもない。ただ、道具が壊れた……その程度の認識だ。
「これが、ベアラーと呼ばれる存在だ」
「あの世界では、生物として扱われていただけ、マシだったろう」
対策委員会の皆は、絶句している。
そもそも、この世界からすれば、非人道的な行為が横行していたのだ。彼女達の生きる世界とは、何もかも違いすぎる。
「……次からは、俺と、俺の旅の話。物語としていうなれば、序章……だろうな」
「血生臭い話になるかもしれないが、聞いてくれ」
クリスタル自治領からこんばんは、私です。
足を滑らせて海に落ちたと思ったら、灰の大陸に流れ着いていました。
うーん、難しいな…FF16。
今回は地理的なお話をしましたが、次回はストーリーについて触れていきます!これからFF16をやるって人!!悪いことは言わない、ノルヴァーン砦まで攻略しておくんだ。