(仮題)託された想い、透き通る空の下 作:Laplaaaaaaaaaaaace
一応設定まとめ等は後々書こうかなと思っているので、今は特に気にせず、頭を空っぽにしてみてください。
決戦
次元の狭間、とも呼ぶべき場所だろうか。周囲の景色は瞬間瞬間で様相を変える。
火、風、雷、土、氷そして闇へと。その奇怪な場所で、二人は相対する。逞しい体付きの壮年の男性。対するは色彩を持たぬ、人とは掛け離れた存在。翼を持ち、まるで私は神である。と主張するような装飾を体に纏う者。
『――神への叛逆を、永久に続く辛苦のなかで悔いるがいい!』
翼を持つ者は言った、神への叛逆と。
正に今、たった一人の人間がこの世界の《理》、正しく神に対抗するため剣を取る。
「自惚れ、他者を害して、それでも愛を希う」
「俺たちはとても愚かで、弱い」
「だからこそ、想いで繋がっていくんだ!」
両者の激突が始まった。相手は神、一筋縄でいかない相手である。しかし、彼にも負けられない理由があった。仲間達に託された想い、そして、自分の願いのために必ず倒さねばならない。
――剣を振る。例え相手が何であろうと、倒すだけだ。
魔法を放つ。この世界でのみ存在するであろう神秘の力。代償はあるが出し惜しみなどしていられない。
ここで負ければ、奴は。《アルテマ》は世界の創世を為し、人類は神の眷属となり、滅んでしまう。
それだけは避けなければならない。
(一度戦っているとはいえ、矢張り厳しいな!)
アルテマは猛攻を仕掛ける。この世界に存在しうるすべての事象、事柄はアルテマに由来する。ゆえに神という高等存在には、『何でもアリ』なのだ。クライヴの身にはアルテマの力の一端である『召喚獣』の力が眠っている。
不死鳥、フェニックス。嵐神、ガルーダ。雷神、ラムウ。巨神、タイタン。黒騎士、オーディン。そして、炎神イフリート。その力すべてをアルテマも使ってくる。なればこちらもそれに対抗するまでだ。
『《ギガメス!》』
アルテマは風を纏い、二対の巨大な尖爪を出現させる。クライヴには見慣れた、大きな爪だ。散々苦しめられた、嵐神ガルーダの技。
「ガルーダ!」
それに対抗し、こちらも同じ二対の尖爪を出現させる。お互いに掴み合いの戦いだ。至近距離で睨み合いながら、そのままアルテマの尖爪を破壊し突き抜ける。ふわり、と宙に浮く感覚。これにも最早慣れたものだ。アルテマを下に見て構えなおす。次いで奴は雷を纏う。神核から取り出したるは、裁きの杖。雷神ラムウの獲物だ。
『《スパルク!》』
奴はその杖を、クライヴに向かって投げつける。ドレイクヘッドでの意趣返しか、そんなことを一瞬考えたが今はどうでもいい。友から受け継いだこの力を良い様に使わせて堪るか。
「ラムウ!」
負けじとこちらも杖を出現させ、投げつけた。二本の杖は空中で激突し、クライヴの投げた杖がアルテマの杖を打ち破る。杖はアルテマに激突、裁きの雷が降り注ぐ。バチバチ...と閃光が迸り、アルテマの体を焼く。
『ぐっ、おぉ・・・のれ・・・!』
息つく間もなく地面に着地。アルテマに向けて地面を蹴った。しかし奴も出し惜しみをするなど、当に捨てたのだろう。向かってくるクライヴに対し、新たな力を行使する。
『《ハイパ!》』
アルテマの両腕に出現した、大きな岩石できた巨腕。嫌でも見覚えがある、自分の仇ともいえる敵の力。
(四の五の言っていられるか!)
「タイタン!」
お互いに岩石の巨腕をぶつけ合う。どちらかが隙を見せればその瞬間、重い一撃が叩き込まれるだろう。腕から岩石が飛び散る。数秒のラッシュの内にクライヴは隙を見つけた。
ほんのコンマ数秒、タイタンの腕を盾代わりにアルテマの攻撃を弾いた。アルテマは体勢を崩し大きな隙が生まれる。その瞬間を見逃さない。ブーストを乗せた腕でアルテマを殴り飛ばした。数メートル後退し再びこちらを睨む。
『打ち消したというのか・・・!?』
『おのれ・・・おのれぇ・・・!』
アルテマに、神にとっては初めての感情だろう。悔しさなど。反抗する気を見せない人間が、神にこうして楯突き、剰え自身の能力を搔き消すなど。あってはならないことだ。
諦めることなく、クライヴは剣を振るう。己が生きるため、新しい世界を作るため。アルテマもそれに対し、全力をぶつける。氷の魔法に光の魔法。持ち得るすべての魔法を放つ。さらには偏った属性の存在しない魔法まで。
『光の力よ!』
アルテマの後ろに竜の翼が出現する。バハムートの翼だ。繰り出す魔法は、『エクサフレア』
バハムートの持つ力の中でも強大な力を持つ魔法だ。着弾した箇所で大爆発が起きる。何とか回避して見せたが、『ボレアルラプソディ』の魔法で頭上から氷塊が落下してくる。シヴァの能力だ。愛する人の力まで、あの神は使いこなす。
(...ジル。俺は、必ず帰る。皆とそう約束したんだ。)
『闇の力を・・・!』
猛攻は止まらない。空間に突如出現する一閃。オーディンの力をアルテマは出し惜しみすることなく振るった。
『セヴァランス』数多の斬撃が空間という空間を切り刻む。避ける術は見つからない。身体中に切り傷を負いながらも、クライヴは立ち上がる。
『人の分際で、この我に・・・っ!』
「人かどうかなんて、関係ない!俺は託された想いに応えるだけだ!」
『ここまで強固な自我を持つか・・・。ならば――』
先ほどと同様、アルテマの背後に出現するバハムートの翼。身体の前面で両腕を突き出し、光を収束させる。アルテマのみに許される、古代魔法。それに対しクライヴも、召喚獣の力を行使する。
代々ロズフィールド家に伝わる名剣の一つ、インヴィクタスを地面に突き刺し力を溜める。光の力をできる限り、全力で。
「…!」
バサァッ!と背後に出づるは竜の翼。アルテマと同じ構えを取れば、掌の先に光を収束させる。
『《バハムル!》』
「バハムート!」
光と光がぶつかり合う。お互いの力は拮抗・・・しかし、クライヴには友に託された多くの想いがある。力を最大限に発揮し、アルテマの光束を押し返す。クライヴの攻撃に飲み込まれ、アルテマは爆発。爆炎で様子は確認できないが、そう簡単に倒れる敵ではない。
警戒を解かずに剣を再び握り直すと、煙の中から声が聞こえてくる。
『《アイスン!》』
パチン。と指を鳴らす音と同時に、氷塊がクライヴ目掛けて接近してくる。反応がやや遅れたが、彼女の力があれば何とか回避は間に合うだろう。
「シヴァ!」
背後に氷の羽衣を展開し、地面を滑るように、華麗な動きで氷塊を回避していく。脳裏で彼女の声が木霊する。クライヴ!と、自身の名を呼んでいる。それに応えねば、と反撃の構えを取る。
剣を構え、アルテマに向けて振るう。敵目掛けて氷柱が生成され、アルテマを空高く押し上げる。ある程度押し上げたところで氷柱を破壊、ダメージを与える。
『ぬおぉっ…!』
アルテマは苦悶の声を上げ、地面に落下…膝をついた。と、同時に床に付けていた右手から新たな魔法を行使する。
『《カタスト!》』
アルテマが右手を地面から引き抜くように持ち上げると、そこには一本の剣が握られていた。あれは黒騎士オーディンの獲物『斬鉄剣』だ。斬れない物は存在しない、究極の剣。
人生で片時も剣を離さなかったクライヴからすれば、得意分野に持ち込んでくれたものだ。と感謝の一言も吐きたいところだった。しかし、言葉を交わす余裕は、無い。
「オーディン…!」
インヴィクタスに闇の力を纏わせ、こちらも負けじと斬鉄剣を顕現させる。それと同時にアルテマに向かい駆ける。お互いに斬鉄剣をぶつけ鍔迫り合いに持ち込む。刀身から火花が散っている。一度斬鉄剣を折り、斬鉄剣返しをしてはいるが、あれはイフリートの力あってこそ。今回はそうはいかない。
キィン!という音とともに、お互いが斬り抜ける。果たして勝ったのは……クライヴだ。アルテマの斬鉄剣は儚くも消え去り、魔法の塵と化した。
『我が…この我が…。我が…!』
まるで壊れたラジオのように同じ言葉を連続する。我が、我が…と。人という種の神に対する叛逆。考えてもいなかった事態だ。よもや、人が、神を超えようというのだ。信じられるわけがない。
『――我は絶対であらねばならぬのだ!』
怒号とともに青白い炎を身に纏う。クライヴは直感した、おそらく限界を超えたのだ…と。そうともなれば、この戦いも最終局面…。クライヴも覚悟を決めねばならない。
「まだ分からないのか…」
「貴様と俺たちは 何も違わないということが!」
何も違わない。そう、これもまた重要な事柄だ。アルテマは叛逆を恐れ人の自我を否定している。しかし、自我というものは想いを託されれば託されるほど強固になる。アルテマは古代より神として、人々に信仰されてきた。祈りも想いも数えきれないほどその身に受けてきたのだろう。そうする過程でアルテマの中には、強い自我が形成されていった。それはまたクライヴも同じ、出会った人々、仲間たち、愛する人たちからの想いを一身に受けているのだ。
『我が 人と同じだと!?』
『我は貴様らとは違う!唯一の存在だ!』
「まだそんな馬鹿げたことを…!」
永久に神であり、人という種を見下してきたアルテマにとって、愚弄に値する言葉をクライヴは吐き続ける。しかし、何も間違ったことは言っていない。アルテマの中には自我があり、とても強固になっている。もはや、神としてあるには人に近づきすぎたのだ。
最大限の力を振り絞り、クライヴも限界を超える。炎神イフリートの力の一端をその身に降ろし、炎を纏った剣でアルテマに猛攻を仕掛ける。斬り、殴り、斬り、殴り…。
攻撃を続ける中、アルテマが空中に移動する。
『貴様ごとき…!貴様ごときに負けられるか!!』
腕を天に掲げるアルテマの頭上に青白い火炎の球体が出現する。イフリートが使う地獄の火炎と似た攻撃だ。人の身で避け切れるか…。賭けてみるしかない。
「こいつを…避けろっていうのか…!?」
フェニックスシフトで後方に距離を取り、火炎球の凡その着弾地点を把握、そこからは運だ。身のこなしには自信があるが、果たしてどうなるか。
ゆっくりと火炎球が落下してくる。タイミングを見て、着弾と同時に回避。周辺に広がる爆発も何とか避け切れた。ならば、ここから最後の攻勢に出るとしよう。
――瞬間、アルテマが消えた。周囲を探っていると、突如背後に現れる気配。くるりと身体を回転させ、アルテマの方を向く。背中には見知った羽根が生えていた。
『《タイクン!》』
――フェニックスの羽根だ。羽根の羽ばたきを推進剤代わりにクライヴに突進してくる。どうやら向こうも最後の足掻き、ということらしい。炎を纏いながら突進してくるアルテマを剣で受け止める。
ぐぐ…、と後ろに押される。やはり、このままでは受けきれない。
「力を借りるぞ、ジョシュア…!フェニックス!!」
柔らかく、温かい炎が体を覆う。イフリートの炎とは違う、人を癒す炎だ。そして、最愛の弟の力でもある。
再度剣に力を籠め、押し返す。フェニックスの羽根が、ジョシュアの想いが背中を押してくれる。クライヴ!と弟の声がする。
(この声に応えてやれなくて…、兄が務まるか!)
フェニックスの助力もあり、何とかアルテマを押し返す。するとアルテマは羽根を叩き上げ炎を発生させる。それにクライヴはたじろぐが、反攻に出る。フェニックスの羽根を大きく広げ、炎の渦を形成する。これこそフェニックスの能力の真骨頂、『転生の炎』だ。
アルテマにダメージを与えつつも、自身の傷を癒す…。フェニックスのみに許された力。
転生の炎を喰らい、今度こそ片膝を地に着いたアルテマ。そこに、クライヴは語り掛ける。
「貴様は自分を 唯一の存在だと信じ疑ってこなかった。だから――選べなかったんだ」
「自分以外の誰かと 共に生きる道を。想いで 強く紡がれていく自分を…!」
『知ったような口の戯言を、やめろ…!』
「俺は 想いを託された。そして…みんなの想いに応えたい」
「"人が人として生きられる場所"を作るために。守るために…。俺たちがこの世界で 自分の意志で生きていく為に!」
剣を構え直す。終わりは近い…。お互いに死力を尽くしてぶつかり合う。
『人が…人ごときが…!』
『まだだ…まだ終わらせはせぬ…!』
『人ごときがっ!』
回転の力を乗せ、思い切り剣を振り下ろす。対してアルテマも攻撃に応じようと火球で対抗する。お互いの剣と魔法がぶつかり合い、大きく距離が開く。
『この世界を"最後の幻想"にしてくれる!』
アルテマは全ての力を込めた炎弾をクライヴに向けて放つ。この世を最後の幻想にするために。
「なら 俺は創世という"究極の幻想"を打ち破る!」
クライヴは刀身に赤い炎を纏わせ、アルテマに向け剣を投げつける。お互いの攻撃はぶつかり合い………
アルテマの炎弾を、クライブの剣が突き抜けた。直後、アルテマの身体には大きな虚のような穴が開いていた。
その光景に呆然としているアルテマに近づくクライヴ。足音が聞こえてきたときにはもう遅い。
「アルテマァ!!」
ハッと顔を上げるが、彼はもう目の前にいた。片腕に、炎を纏いながら。
「くたばれぇぇぇ!」
クライヴの右拳がアルテマの顔面を直撃する。アルテマの顔は歪み、クライヴはそのままアルテマを殴り抜いた。
――決着だ。
5274文字…?書きすぎじゃない????どっかで削れなかったの????????
ごめんなさい、むりです。地の文難しすぎる。たすけて~