(仮題)託された想い、透き通る空の下   作:Laplaaaaaaaaaaaace

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みーんなー!!セイアちゃん引けた??
僕は引けてない!!!!!!カホが来てくれたんですよね、代わりに。これからは君がセイアだ。色味も似てるし良いでしょ?


面倒ごとの臭い

「ちょっと待って!代行、見つけた!待ってたわよ!連邦生徒会長を呼んできて!」

 

面倒事の予感を感じ取ったクライヴは静かにため息をついた。まだ確定は出来ないが、何らかの理由で二度目の生を受けたというのに、開始早々面倒ごとに巻き込まれなければいけないのか…なんて文句は胸中に仕舞い込み、やれやれといった面持ちで騒ぎ立てる少女を見やる。

 

「……うん?隣の大人の方は?」

 

「あぁ、俺は……」

 

と、話し始めようとしたところで さらに二つの影が近づく。

うち一人は、何とも言えない際どい服装をしている。一歩間違えればノースリーチの娼婦と勘違いされそうな…。いや、それ以上かもしれない。服装に際しては個人の自由だからとやかく言うものではないが、目のやり場には困る。

そしてもう一人、眼鏡をかけた少女だ。とても賢そうな印象を受ける。左腕には『風紀』と印字された腕章を着用している。何かしらの治安維持部隊だろうか…。推察する事は山ほどあるが、目の前にいる少女たち三人、そしてリンに共通することがある。

 

頭上に浮かぶ光輪だ。ヴァリスゼアでは広く 天使の頭上には光の輪が浮かんでいるものだと思われてきたが、この世界では割と日常的なもの、なのだろう。となると、彼女たちは天使の類、もしくは神の使者…?…あぁ、ダメだ。目が覚めてから考えることばかりで、頭がいっぱいだ。

 

「首席行政官、お待ちしておりました」

 

「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、今の状況について納得のいく回答を要求されています」

 

また、『連邦生徒会長』か。それほど程までに絶大な支持を集めている存在…。この世界のまとめ役、か。

 

「あぁ……面倒な人たちに捕まってしまいましたね」

 

「こんにちは、各学園から態々ここまで訪問してくださった生徒会、風紀委員会、そしてその他時間を持て余している皆さん」

 

呼び方に棘がある。リンは笑顔だが、その笑顔の奥には光がない。心からの笑顔、というよりは社交辞令の内の…あまり好まない相手にする笑顔だ。

 

「こんな暇そ……大事な方々がここを訪ねてきた理由は、よく分かっています」

 

「今、学園都市に起きている混乱の責任を問うために…でしょう?」

 

「そこまで分かってるなら何とかしなさいよ!連邦生徒会なんでしょ!」

 

…遂には喧嘩を始めてしまった。大人として子供の喧嘩は止めるところだろうが、状況が状況だ。下手に動けば更なる事態の悪化を招きかねない。ここは一度静観して彼女たちに任せるとしよう。

 

「数千もの学園自治区が混乱に陥ってるのよ!?この前なんか、うちの学校の風力発電所がシャットダウンしたんだから!」

 

「連邦矯正局で停学中の生徒たちについて、一部が脱走したという情報もありました」

 

「スケバンのような不良が、登校中のうちの生徒たちを襲う頻度も、最近急激に高くなりました。治安の維持が難しくなっています」

 

「戦車やヘリコプターなど、出所の分からない武器の不法流通も2000%以上増加しました。これでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます」

 

…2000%?聞き間違いだろうか。桁が尋常ではない。ましてやその数値が『武器の不法流通』と来た。戦車やヘリコプターという武器は聞いたことがないが、そもそも武器の不法流通の時点でこの世界の政治は破綻している。マザークリスタルを破壊する過程で、ヴィヴィアンから各国の政治形態は耳にしていたが、ここまで酷いものは聞いたことがない。

 

「こんな状況で連邦生徒会長は何をしているの?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐ会わせて!」

 

確かに、これほどの問題が起きていながら最高権力者が名乗りを上げないのは問題だ。なにかしらの声明を出すべきだろう。

逆に、姿を見せられない理由でもあるのだろうか…?

 

「連邦生徒会長は今、席におられません。正直に言いますと、行方不明になりました」

 

「……え!?」

 

「……!!」

 

「やはりあの噂は……」

 

リンは淡々と言葉を告げた。まとめ役が、行方不明…だと。先ほどの会話の中で何度もその言葉を聞いた『連邦生徒会長』が、行方不明。クライヴのことを『先生』としてこの世界に招き、以降姿を現さないかと思えば…行方不明になっていたのだ。

 

「結論から言うと『サンクトゥムタワー』の最終管理者が居なくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です」

 

…今の連邦生徒会という機関には、行政制御権が無い。こんな事があっていいのだろうか。行政権の存在しない国など、もはや廃国と同様だ。野党や魔物が住み着き、国は荒れ放題。治安など、あったものではない。

 

「認証を迂回できる方法を探してきましたが……先ほどまで、そのような方法は見つかっていませんでした」

 

「それでは、今は方法があるということですか、首席行政官?」

 

 

 

 

 

「はい。この先生こそが、フィクサーになってくれるはずです」

 

 

 

「!?」

 

少女たちの視線が、クライヴに向けられる。皆一様に驚いた顔をしている。

それも当たり前だ、突然出てきた大人が問題の解決者になってくれるかもしれない。なんて言われれば、誰もが驚くだろう。

 

「俺が……。俺なら何とか出来る、と?」

 

「ちょっと待って!そういえばこの先生はいったいどなた?どうしてここにいるの?」

 

「キヴォトスではないところから来た方のようですが……先生だったのですね」

 

三者三葉の反応だが、無理もない。これには反論のしようがない。静かに聞き入れるとしよう。

 

「はい。此方の先生は、これからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です」

 

「行方不明になった連邦生徒会長が指名……?益々こんがらがってきたじゃないの……」

 

「それよりも先生、あなたの名前は……?」

 

…名前。

まさか、名前すら伝えられていなかったのか。先ほどから一度も名前を呼ばれないな とは思っていたが、そういうことか。逆に連邦生徒会長という人物は、リンにどう説明したのだろうか。名前を伝えずに…何を伝えたんだ。

まぁ、そんなことは良い。聞かれているのなら答えるべきだ。自己紹介も少し交えておこう。

 

 

 

「クライヴ。クライヴ・ロズフィールドだ。どうやら先生としてこの世界に呼ばれたようだが、何も知らない事ばかりだ。君たちを頼る事もあるだろうが、そんな時はよろしく頼む」

 

 

 

「こ、こんにちは、先生。私はミレニアムサイエンススクールの……い、いや!挨拶なんて今はどうでもよくて……!」

 

「先生、そのうるさい方は気にしなくていいです。続けますと……」

 

……やはりこの二人、相当仲が悪いと見た。何がここまで関係悪化の理由を作ったのかは知らないが、あまりにも空気が悪すぎる。

 

「誰がうるさいって!?私は早瀬ユウカ!覚えておいてください、先生!」

 

「……あぁ、分かった。不躾で悪いが、ユウカと呼ばせてもらおう。よろしく頼む、ユウカ」

 

「……先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた、ある部活の担当顧問としてこちらに来ることになりました」

 

「連邦捜査部『シャーレ』。単なる部活ではなく、一種の超法規的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを、制限なく加入させることすらも可能で、各学園の自治区で、制約無しに戦闘活動を行うことも可能です」

 

……超法規的機関、か。お互いに助け合って困難に立ち向かうようなものではなく、クライヴ自身の力でこの学園都市を好きにできるという、人一人の身には余る力。まるで、神のような力だ。

法整備の知識など、一欠片もないが…務まるものなのだろうか。

 

「なぜこれだけの権限を持つ機関を、連邦生徒会長が作ったのかは分かりませんが……。とにかく、シャーレの部室はここから約30㎞離れた外郭地区にあります。今はほとんど何もない建物ですが、連邦生徒会長の命令で、そこの地下に『とある物』を持ち込んでいます」

 

「とある物…?正体は分かっていないのか?」

 

「現時点では、私たちは何も。恐らく、連保生徒会長のみが知る物なのでしょう」

 

こうも分からない事づくめだと、この組織に対して幾許かの不安を覚える。このような状態で、今まで続けられたのが奇跡といってもいいくらいだ。きっと、連邦生徒会長と呼ばれる人物が余程の才を持つ者だったのだろう。

 

「今から、先生をそこにお連れしなければなりません」

 

何やら薄い板に地図のようなものが表示されて、赤い印が点滅している。恐らくそこが目的地、シャーレとやらの部室。おおよその検討がついたのか、スッとその板を引っ込め、今度は誰かと話し始めた。《ストラス》を介さない、他者との遠隔での意思疎通か。思ったより文明が発展しているらしい。

 

「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど……」

 

ヘリ…、直行…。言葉から察するに恐らく乗り物の類か。

馬車…なのだろうか。それとも、チョコボなどの生物を使った乗り物か…。しかし30㎞か。チョコボや馬車では相当に厳しい距離だが、問題はないのか?

 

『シャーレの部室?……あぁ、外郭地区の?そこ、今大騒ぎだけど?』

 

「大騒ぎ……?」

 

『矯正局を脱出した退学中の生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ』

 

「……うん?」

 

『連邦生徒会に恨みを抱いて、地域の不良たちを先頭に、周りを焼け野原にしてるみたいなの。巡航戦車までどっかから手に入れてきたみたいだよ?』

 

『それで、どうやら連邦生徒会所有のシャーレの建物を占拠しようとしてるらしいの。まるでそこに大事なものでもあるみたいな動きだけど?』

 

『まぁでも、もうとっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大した事な……あっ、先輩、お昼ごはんのデリバリーが来たから、また連絡するね!』

 

ブツッ――と音を立てて、話が終わる。ストラスを介さないとこうも楽なのか。機工学にはあまり詳しくないが、この世界に慣れるためだ、後でユウカにでも聞いておこう。

なんて感銘を受けていると、リンの顔がとてつもない怒気に満ちていた。確か話し相手はお昼ごはん、と言っていたか。食事は大事だが…なによりも時と場所が大事だ。落ち着かない場所で食事をしても、恐らく味を堪能することなど到底無理だろう。

 

「……リン、気持ちは分かるが抑えてくれ。食事を抜けば後の行動にも支障が出る。今回は向こうに非があったとしても、どうか気持ちを落ち着けて欲しい」

 

「いえ……すみません、私としたことが。先生への説明を差し置いて私情は…」

 

と、そこでリンがハッと何かに気づく。そのすぐ後に不敵な笑みを浮かべて、ユウカたちに視線を送った。

 

「な、何?どうして私たちを見つめてるの?」

 

「ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いです」

 

「……えっ?」

 

「キヴォトスの正常化のために、暇を持て余した皆さんの力が今、切実に必要です。行きましょう」

 

「ちょ、ちょっと待って!ど、どこに行くのよ!」

 

…やはり仲が悪いな。暴動にこそ発展していないものの、二人の間に漂う空気は冷たくなっている。

居心地が悪いというわけではないが、これがずっと続くとなると正直厳しいものがある。いつかこの仲たがいを彼女たち同士で解決できる時が来れば良いが。

と、リンがすたすたと歩を進める。ユウカたちもその後を追うように建物を出ていく。今は彼女に従って移動するのが賢明だ。

 

(どこへ来ても問題は絶えない。いつか、この世界の根底から全てを解決出来るまで…俺は戦おう。たとえ何が相手でも、覚悟は出来ている。その為に、呼ばれたのだろうから)

 

クライヴも彼女たちに続いて建物を出る。この無限に続くような青空を見上げながら、彼…クライヴは一人、胸中にて覚悟の炎を燃やした。




クライヴ君、あまりにも現代兵器に詳しくないのでちんぷんかんぷん。
ヘリコプターとかみたら軍用ウィルムの友達かな?みたいになりそう。
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