(仮題)託された想い、透き通る空の下   作:Laplaaaaaaaaaaaace

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ファンタジー世界からキヴォトスに来るとカルチャーショックで脳爆発しそう


戦場

リンに続いて皆で建物を出て、数時間ほど。30㎞という道のりは思った程遠く、陸路での移動はある程度の困難を極めた。道中、このキヴォトスという世界の文化に触れ、クライヴの居たヴァリスゼアとは違い、文明がとても進んでいることが分かった。

キヴォトス基本の建築様式は自治区によって異なるが、今いる地区は基本『ビル』と呼ばれる高層建造物が連なる場所らしい。『コンクリート』と『鉄筋』による建築方法で、煉瓦や石積みの建築物より耐久力は強固になるようだ。『エレベーター』や『エスカレーター』、リンが先ほど使っていた端末『タブレット』やユウカたちの持つ『スマートフォン』という物も教えてもらった。

中でも『車』というものは、とても便利だと説明された。ヴァリスゼアではチョコボや荷馬車、移動用の中型ウィルム、それこそ乗れはしないがトルガルなどの四足獣…。移動方法は多岐に渡れど、速度は出なかった。しかし車と呼ばれる乗り物は、高速での走行が可能だという。これには心底驚いた。

常識が無いのか…?なんて顔をされたが、彼のいた世界にはほとんど存在しない物だったため仕方がない。

 

他にも色々と教えてもらったが、こういう時にハルポクラテスがいると、彼はとても喜ぶだろうな。自分の知らない文化、歴史、人物を知識として蒐集するのが好きなのだから、ぜひとも教えてやりたかった。

 

「先生、漸く到着しました。ここが――」

 

リンが言葉を続けようとしたその時、ヒュォォォ――…と空を切り裂く音が聞こえてきた。この音は…何かの落下物か…!?

次の瞬間、大きな爆発音が周囲に響く。砂埃と煙、火の粉が舞う。着弾地点には大きくはないが穴が開いている。そこそこの威力を持つ爆弾…といったところか。

 

「な、なに、これ!?」

 

爆発音の次は、タタタタッという乾いた音だ。これは先ほどユウカたちから説明のあった『銃』と呼ばれるものだろう。構造は複雑だが、原理は至って簡単。火薬を用いて弾丸と呼ばれる物体を打ち出す携行武器らしい。小型の大砲と解釈したが…、利便性は高そうだ。銃による遠距離戦が基本となっているキヴォトスに於いては、所持していない者の方が少ないほど、重要な武器らしい。まだ試してはいないが、魔法が使えるようであればクライヴにはそれで事足りる。銃の所持は今のところ視野にない。

 

「なんで私たちが不良と戦わなきゃいけないの!!」

 

「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すためには、あの部室の奪還が必要ですから……」

 

「それは聞いたけど……!私これでも、うちの学校では生徒会に所属してて、それなりの扱いなんだけど!なんで私が……!」

 

ユウカの話を聞くに、彼女は相当高い身分を持つ立場の人間なのだろう。普通に考えれば、その組織のトップに近い役職の人間が戦闘に出ることなど信じられない。それこそ、戦場で戦に出れば最悪 指導者を一人失うことになるのだ。頭の切れない人間でもそれは分かるだろう。

しかし、ここは戦場だ。ましてや相手は小型の大砲ともいえる武器を持っている。この戦場で大きな声を出すなど、攻撃してください。と言っているようなものだ。

 

一般の兵士ならば、大砲など撃ち込まれればひとたまりもない。形が残ればまだ良い方だろう。

彼女たちの持つ銃は、弾丸を途轍もない速度で発射する。弾丸の形状は先端が尖っているらしいが、そんなものが高速で突っ込んでくると待ち受ける結末は一つ。身体に穴が開くに決まっている。

ヴァリスゼアに生息していた魔物、ホーネット種。奴らの持つ針に高速で突かれ、命を散らした者達も少なくはない。

 

「ユウカ、戦場では大声を出すな。静かにしていれば敵の的になる事は――」

 

と、次の瞬間パパパパッ――と乾いた銃声と共に、弾丸がユウカに命中する。相当の数を撃ち込まれた。防壁を張る瞬間すら与えず、子供の命が目の前で散った。

これから先の未来を生きる彼女たちが、こんなところで命を落とすなど、あってはならない。目を見開いて、射撃した不良とやらに視線を飛ばす。こうなれば、自分が盾になってでも……!

 

「いっ、痛っ!!痛いってば!!あいつら、違法JHP弾を使ってるじゃない!?」

 

大地を蹴ろうとした瞬間、横に立つユウカから声が聞こえた。…いったい何が起きた?

 

「伏せてください、ユウカ。それに、ホローポイント弾は違法指定されていません」

 

「うちの学校ではこれから違法になるの!傷跡が残るでしょ!」

 

…理解が追い付かない。なぜ、ユウカは生きている?撃たれたものは命を落とすほどの威力を持つ銃。しかしユウカは着弾個所を擦りながら不良を睨む。

 

「…先生、すみません。説明不足でしたね。私たちキヴォトスに住む生徒は、銃で撃たれたくらいで命を落とすほど軟弱ではありません。あくまで、痛みを感じる程度です。…至近距離で何発も撃ち込まれたりしなければ、さほど問題はありませんよ」

 

長身の女性…羽川ハスミが補足で説明する。移動中に見かけはしたが、頭上の光輪『ヘイロー』を持つ者は生徒だけだという。つまりヘイローを持つ彼女たちは、ある程度の頑丈さを持っているということなのだろう。

心配するな、というのは無理な話だが…。

 

「今は先生が一緒なので、その点には気を付けましょう」

 

「先生を守ることが最優先。あの建物の奪還はその次です」

 

「ハスミさんの言う通りです。先生はキヴォトスではないところから来た方ですので……、私たちとは違って、弾丸一つでも生命の危機にさらされる可能性があります。その点ご注意を!」

 

「分かってるわ。先生、先生は戦場に出ないでください! 私たちが戦っている間は、この安全な場所にいてくださいね!」

 

…戦場に出るな、か。今まで生きるために戦場で剣を振ってきたクライヴには無理な相談だ。だが…先生という者は教え導くもの。それに、ある程度の頑丈さが保証されているとはいえ、彼女たちは子供だ。

大人が守らずして…何だというんだ。

 

「安心しろ。俺も君達ほどではないが、ある程度の体力は持ち合わせているつもりだ。君達に着いていこう。いざというときは自分の身くらい、自分で守れる」

 

戦場での場慣れは、恐らくクライヴの方が格段に上。三十数年間の間、戦うために剣を振るってきた。敵兵の位置や数の把握、攻撃のタイミングや相手の太刀筋など…戦眼は伊達ではないだろう。

ヴァリスゼアにいたときは、ジルもジョシュアも各々で戦ってくれていた。唯一指示を出していたとするならば、トルガルだろう。あの経験がここで活きるか…不安は残るが…!

 

「俺が戦いながら指示を出そう。戦う力は残っている筈だ」

 

「え、えぇっ!?戦術指揮を…戦いながら!?先生とはいえ、そんな…」

 

 

 

「これでも…戦いには慣れている。いつも戦場に身を置いてきたんだ」

 

 

 

ゆっくりと、右手を顔の前へ持ってくる。グッ…と強く拳を握ると、身体に赤い炎が走っていく。

胸の奥にある熱い炎とは違う、温かい炎。召喚獣 フェニックスの力だ。最愛の弟から受け継いだ不死鳥の力。この戦いにおいては非常に役に立つだろう。

 

「先生…あなたは……いえ、詮索は後にしましょう」

 

「俺のことは、後でゆっくり話す。今は戦いに集中しろ」

 

「分かりました。これより先生の指揮に従います」

 

「生徒が先生の言葉に従うのは自然なこと、ですね。よろしくお願いします」

 

聞き分けがよくて助かる。恐らくこの戦いが終わったら質問攻めに遭うことになるだろうが、承知の上だ。

先生として、子供を守り、教え、導こう。例え先生としての在り方が違っていようと、自分の信じた道を突き進む。それが、彼の生き方だ。

 

「よーし、じゃあ行ってみましょうか!」

 

 

 

ユウカの一言と共に、全員が戦闘態勢に入る。

この世界での初戦闘…。硝煙と火薬の臭いが立ち込める中、火蓋は切って落とされた。




この作品、主人公が主人公なのでゴリゴリ前に出ます。

前に出ます!前に出ます!助かりました!粘り勝ちですね!

ただ、メアリー・スーを作るわけではないので、ある程度の制限とか設けるね。ごめんねクライヴ君。RPGの主人公とはいえ、ブルアカは生徒たちの物語。君にはキヴォトスをより良き世界にするよう頑張ってもらうよ。

作者が一番アルテマしてるな。ミュトス…
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