え!?そこに転生すんの!? 作:マイナー神
ドラート
「え!?そこに転生すんの!?」
やぁどうも。ドラートです。
そう、そのドラートです。魔力の中でも随一の強度を持つ糸使いの魔族、ドラートくんです。
なんで?いや、強いよ。強いんだけどさ。なんでドラートくんなの?断頭台のアウラが配下、首切り役人の1人ドラート。うーん。
「どうした?ドラート。」
「なんでもありません。リュグナー様。」
いきなり前世を知覚し「え!?そこに転生すんの!?」と言い出した俺を怪訝に思ったリュグナー様が俺に問い掛けるが、俺はなんでもないと返す。
「そうか。これからグラナト卿の街へ行く。お前ともう1人首切り役人を連れて行きたいが、誰がいいと思う。」
「……リーニエはどうでしょう。」
どうせこれからフリーレンに殺されるんだ。しかも気付いたのがグラナト伯爵の領に行く前日とは。神が居たら恨んでやる。
……いや、でも待てよ。原作ドラートくんは若いからフリーレンとの実力差を見抜けず、先走って牢屋に始末しに行ったから死んだわけで……それを知っている俺は牢屋に行かなければ良いのでは?原作でもフリーレンは「この街が落ちるのは時間の問題」的な事言ってたし、俺のポカが無ければグラナト伯爵が俺達への疑惑を確信することも無い、ハズ。
「なら私とリーニエ、ドラートでグラナト卿の街へ行くとしよう。」
フリーレンに会った。
強い……でも確かに、人間の域を出ない。と感じてしまうほど洗練された魔力制御技術だ。前世の知識で俺はフリーレンの事を知っているが、この世の俺はフリーレンの事を見た事は無い。名前ぐらいなら知っているが……見ただけで分かるはずもない。本当ならリュグナー様に警戒するよう伝えたいが、信じて貰えないだろう。信じて貰ったとしても、なんでわかった?と言われたら言葉に詰まる。
「グラナト伯爵、遅いですね。」
「人類の外交戦術の1つだろう。それより気になるのは、あの魔法使いだ。あの顔どこかで……言葉の通じない猛獣か。実に的確な表現だ。この街で彼女だけが我々魔族の本質を理解している。」
リュグナー様、独り言多いんだよなぁ。
暫くして、グラナト伯爵に連れられ息子の部屋に連れてこられる。そこで断頭台のアウラに息子を殺された事と、外交なんてクソ喰らえという事を伝えられた。
リュグナー様が「貴方達に殺された父上の部屋もそのままにしています」と嘘を吐いている。うろ覚えだが、「リュグナー」はドイツ語で「嘘つき」という意味らしい。とんだお笑い種だ。
さて、ここが俺の分水嶺。原作ドラートはこの後フリーレンの元に行き、イキリ散らかした結果無様に殺された。当たり前だが俺はそんな事しない。勝てない事など分かっている。いや、俺の魔力の糸が随一な事や、応用技なんかもあるし、魔法に対する自信もある。あのフリーレンだけを見たら戦いに行ってしまうのは……いや分からんわ。普通に外交崩壊もんだろ。なにやってんだドラート。
「どうしたドラート。昨日から様子がおかしいぞ。」
「そうですか?」
「本当。なにかあったの?」
「なんでもないよリーニエ。」
ワイングラスにワインを注ぎ、それをリュグナー様が飲む。リーニエは好物のリンゴをむしゃむしゃ頬張っている。可愛い。
俺も好物のバナナを剥いて食べようと思って、バナナを手に取る。
暫くすると、またグラナト伯爵が現れる。
「待たせてすまないな。」
「構いません。」
一言二言リュグナー様とグラナト伯爵が会話するのをリーニエと共に見ている。こういう場面では口の上手いリュグナー様にお任せするのが最善な事は俺もリーニエも分かっている。
「今日の所は、御三方とも泊まっていってくれ。決定は明日にする。」
「そうですか。助かります。」
1日伸びたが、まぁいいだろう。
その日の夕方、リュグナー様に魔力伝達で呼び出された。
余談だが、俺達魔族は「魔力伝達」という独自の技術を持っている。と言っても、本当に伝達するだけで、会話が出来たりする訳じゃない。伝達する魔力の質や量で事前に意味合いを決めているだけだ。
「如何しましたか、リュグナー様。」
「ドラート。お前は若いから知らないと思うが、昼にあった魔法使いを覚えているか?」
「あのエルフですか。」
「そうだ。あの魔法使いはどうやらフリーレンというらしい。」
「フリーレン……勇者一行の魔法使いと同じ名です。」
「恐らくな。そして昼間の小僧と小娘がフリーレンをどうにか牢から出そうと画作しているようだ。」
「何故そんなことを知っているのですか?」
「リーニエが魔力探知で昼間の小僧と小娘がグラナト卿の屋敷に来ているのを見て、聞き耳を立てていた。フリーレンがあのフリーレンなのかは確信がないが……もし本物なら、面倒な事になる。」
「……どうするんですか?」
「グラナト卿がフリーレンの名を聞いて狼狽えていた。このままでは懐柔するより前にフリーレンを解放され、倒されかねん。アウラ様ならフリーレンにも勝てるだろうが、我々では難しい。腐ってもあの魔王様を倒した勇者一行の魔法使いだ。」
「はい。」
「先にグラナト卿を捕らえ、拷問して結界を解除する術を聞き出す。」
「そうですか。」
結局こうなるか。まぁ原作のリュグナー様も「暴力で解決するしか無くなったこのクソッタレな現状が、どうしようもなく楽しく思える」と仰ってたしな。
「ドラート。お前は暗殺に長けているからな。屋敷の中にいる衛兵を静かに間引いて行け。俺とリーニエはグラナト卿を捕らえる。」
「わかりました。リュグナー様。」
その後、リュグナー様に言われた通り出来るだけ静かに衛兵を間引いて行く。死体はそのまま。牢番の衛兵も殺したが、中には入らない。爆弾しかない。
リュグナー様の言う通り、俺の魔法は暗殺に長けている。サクッと殺せるし、音も出ない。纏めて切る事も出来るから、纏まっていれば一気に殺せる。
夜になって、リュグナー様に屋敷の中の衛兵を全員殺した事を魔力伝達で伝える。帰ってきたのは「来い」という意味の魔力。魔力探知でリュグナー様の場所を探り、その場に向かう。
「リュグナー様。」
「よくやったドラート。今からまたグラナト卿の部屋に向かうつもりだ。どうやらネズミが入り込んだらしい。」
グラナト伯爵の部屋に着くと、椅子を壊そうとするシュタルクが見えた。
「リュグナー様、ネズミ。」
「グラナト卿、知り合いで?」
「……いいや、昼間にあった冒険者のガキだ。仲間の魔法使いを出してもらおうと直訴しに来たんだろう。馬鹿なガキだ。」
「そうですか。帰っていいぞ小僧。見逃して……」
リュグナー様とお話中だが、俺は不意打ちでシュタルクの首を糸で切断しようとする。殺気を感じたシュタルクは飛び退いて回避するが、喉を切られた。そのまま糸を伸ばし、電飾に引っ掛けてシュタルクの全身を縛って宙吊りにする。
「なにをしているドラート。」
「リュグナー様、この男は危険です。」
「なぜそう思う。」
簀巻きにされたシュタルクの首に糸をまきつけ、切断しようとする。
「あのフリーレンの仲間ですよ。見逃す義理も無いでしょう。」
「それもそうだ。」
切断……とまでいきそうになったら、外から魔力反応。俺の方向に
両手で糸を伸ばしていたので、防御もはれない。意識外からの
しかしなんでドラートなんだ。しかも死の前日。
次転生するなら、もっと有名なキャラか、強い力を持ったオリキャラになりたい。