俺の問題を改めて認識しようと思う。まずは言葉がクソ変換される問題、そして俺のACについてだ。言わずもがな、クソ変換に関してはコミュニケーションの問題が発生する。例えば、「おはよう」と発する。
『おっはぁぁぁぁあああ!!!』
うるさい。だがまだいい、ベイラムのハークラーと会話した時のように「お腹が減った」とか一言語で通じる言葉で喋った場合はまだマシな言葉に変換される。ああそれと、音量については元のクソ言葉と同じニュアンスで強制発音させられるので、比較的マシな言葉でも問題は起こる可能性が高い。
前世で俺もネットスラングのMADとかはある程度知ってる。だからこそ、あ、これを言葉にしたらマズいな…のような感は働くのである程度発言を抑えることはできているはずだ。万が一知らなかったら更に地獄だっただろう、オールマインドにもうだいぶヤラカシをしているが…まだ軽傷だ。普通に依頼をくれと言葉にして言ってみな、どうなると思う?
『お願い事聞いてくれる?…わかる?突っ込め。突っ込めって言ってんの、ね?突っ込めって言ってんだよォ!』
「依頼をくれ」 この一言でこうなる可能性があったのだ。この場合は、≪くれ≫という言葉が何かを欲する言葉に変換されて、≪依頼≫が頼む事柄に変換された結果だと分析できた。本当に嫌だが、一人の自室でいろいろと喋って特性をある程度把握はしておいた。本当にクソみたいな時間だった。それとこれは、あくまで変換の一つであり、別バージョンが様々にある。いらん仕様だ…。
さて…ここからが大問題だ。二つ以上の意味を持たせた言葉を発する時だ、例えばさっきの「おはよう」と「元気ですか?」を同時に繋げて発音するとしよう。
『お前のことが好きだったんだよ!』
なんでそうなる?と思うだろう…俺も完全把握できないが、たぶん挨拶をする相手に元気、つまり体調を聞く行為の言葉を発言したことが突然の告白に繋がった?のだろう…俺はなんでこんな事を真面目に考えているのだろうね…。
まあいい、とにかく俺が発言する時は一言で済ませられる言葉を選んで発音していくしかできない。複雑な意味を持たせた言葉を発するとさっきのようにヤバい発言の可能性が急激に上がるのだ。
…言語問題が一番俺の中で大問題だが、もう一つの問題を話そう。ACの装備についてだ、まず武装が火炎放射しかない点だ。ぶっちゃけ廃材を高温溶融するための道具だけあって、MT相手ならどうにかなる。実際ゲーム上でもMTなら数秒で溶けていたレベルだ、現実でも同様で、高熱による融解速度が尋常じゃない。相手からしたら普通にライフルで撃たれるより恐怖だろうね。
ただ、MTは良くても対AC戦ではやはり威力不足としか言えない。ACの装甲はMTより遥かに頑丈に作られている為、一定時間当て続けないといけないのはリスクでしかない。相手も黙って焼かれるわけがないからね、反撃を食らう確率が増えるのは頂けない。ゲーム上でも片腕火炎放射で毎秒約、70程度のダメージしか与えられない。そもそもスタッガーを蓄積させるために火炎放射ならわかるアセンだが、両腕火炎放射はネタの域を出ないのは仕方ない。つまり、瞬間火力が無いのが今後に響くだろうと感じている。
ベイラムとの共闘でも感じていたが、大型MTに攻撃した時も瞬時に破壊できなかった。現実になってコックピットに攻撃できたらしくて、イケるんじゃと思ったが…やっぱり火炎放射だけだと威力不足、補助武器なのだと突き付けられた。ベイラムのACとMT部隊が俺の後に追撃してくれたから面白いぐらいスタッガーを溜めれて破壊を繰り返せたけど、単体だと俺のACは輝かないと思い知った。でも現状、装備更新はできない。ゲームで集めたパーツがあれば良かったが、残念ながらどこにもなかった。CORMも初期が0だったし…このおっさんどうしてたんだろうね。
それと…ある意味で一番問題かもしれないことだが、俺の頭部等のパーツについてだ。
頭部 IB-C03H: HAL 826
ブースト IB-C03B:NGI 001
わかるだろう?アイビスシリーズの技研パーツだ。ウォルターが乗ってる機体の頭部パーツである。ブーストも技研製だ、ジェネは大豊のDF-GN-06 MING-TANGだからよかった・・・これでコーラルジェネだったら更にヤバかった。え、なんでこの装備にしてるかだって?見た目ですけど何か?遊びでやってた縛りプレイだし、火炎放射しか装備してないんだからENが浮くから適当な好きなパーツを付けてただけだ…こんなことならベイラムとかの量産パーツにしとけばと思うがもう遅い。
技研のパーツの何がマズいかと言えば、ブーストはまだいい。技研のパーツはアイビスの火以降入手困難ではあるが、隠しパーツのようにコンテナなどにまだあるかもしれない。偶然見つけたとして押し通すこともできるだろう…だが頭部パーツは無理だ、あれは実質ウォルター専用装備なんだ。アイビスシリーズ最後の後継機であり、唯一の有人機HALシリーズ…その頭部パーツである。なんで持ってる!と知識がある人物からしたら問い詰められる代物だ…オールマインドはなぜかスルーしてくれてるけどね。あれ?だから俺を密かに抹殺しようとして任務を・・・どっちにしろオールマインドがいないと俺が詰むので逆らいません!
俺の目標はまず生活の安定、これは絶対だ。食料問題の解決は優先事項だ、風呂等は自宅の発電機が動く限り問題ない…故障したら直せないけど、そこも問題だがまだいい。そして、頭部を捨てたい…厄ネタでしかない装備だ。金を溜めたら真っ先に手に入れるパーツは頭部パーツだ、武器も欲しいがまずは頭部だ。というか、ウォルターとか技研について詳しい奴に出会う前に変えないと面倒になるのは確定事項だからだ。ルビコニアンのサム・ドルマヤンとか絶対技研のACを知ってる可能性が高い、カーラはほぼ確定として、情報屋のV.Ⅲオキーフも怪しいレベルだ…とにかく、一刻も早く換装したいのだ。売却できないしね!売ったら履歴残るし、カーラとか絶対逆探するだろ!
「ぬわああん疲れたもおおおおおおん!」
最初はAC世界に来て興奮していたのだろう、先の事をあまり考えず傭兵業していこう!と張り切っていた…だが時間が経つにつれて、不安が増大していく一方だ。ゲームの世界を知り尽くしてる俺は最強だ!みたいな感じにならないのがAC世界である。知れば知るほど絶望しかない、まあフ〇ムのゲーム全般そうだけどさ…。
「独立傭兵、貴殿の働きを期待している。あの惑星外の企業連中と一緒とはいえ惑星封鎖機構の基地を落とした実力、戦士として誉れ高いであろう」
ふぅ…仕事を始めますか。絶対必要な時以外喋らないからな!
その者は沈黙な男だった。髪は金色のオールバック、40代程度であろう年齢、いつでも動けるように辺りを警戒する位置取り、その瞳、その立ち振る舞い、何より覚悟を持った者のみが発する雰囲気、その者は戦士としてそこにいた。
我々ルビコン解放戦線の仲間が日々、戦力集めの為に情報を探っていると奴が現れた。オールマインドの傭兵ランクではランク外とあるが、あの暴れぶりは我々だけじゃない様々な勢力の間で話題となっている。
何より武装が火炎放射しかないという。一瞬偽装ではと疑う情報だったが、同志が手に入れた交戦記録を見ると事実であると驚きがまず一つ、遠くからの撮影のためやや画像が荒かったが、それでもわかる実力者の動き。最近同志となった六文銭が明確に自分より技量が上であると証言するほどだ。そんな実力者がランク外というのはあまりにも歪としか表現できない。実力を隠していたならなぜこんな目立つやり方をするのか、それとも理由があるのか、様々な憶測が憶測を呼んでいた。
そんな中で同志たちが思うことは一つ…我々の新たな同志となりえるかだ。
傭兵だからと信用できない奴らもいるが、六文銭のように切っ掛けさえあれば我々ルビコニアンとして立ち上がるのは容易な事だと言う者達もいる。同じ同志でありながら、意見が割れることが最近増えてきているのが懸念だが…帥父ドルマヤンは答えて頂けない。同志たちの中には師父を邪魔者のように思う輩がいるのには気づいている。遺憾ではある…だが、師父がお答えにならないならば私から荒げるわけにもいかず、憂鬱な気持ちであった。
今回の依頼は断られる可能性が高かった、護衛任務に金をかけれずハッキリ言ってなめられていると捉えられても仕方ない価格だった。反対する者達も多かったが、一部の同志から傭兵共は全て惑星外の連中と一緒と決めつける同志たちとの妥協を探った結果が今回の任務だ…私自身にACの適正はない。どんな訓練を繰り返しても、技量の向上はあれどMT乗りよりはマシと評される程度の実力しか持ってない、だがそれが戦いから退く理由にはならない。例え的になろうとも我々の星、ルビコンもコーラルも、このルビコンの大地に築かれていった同志達の骸を踏みしめてでも前に進まねばならない。それがルビコンの戦士なのだから。
「灰かぶりて我らあり」
ルビコンのベリウス地方は我々ルビコン解放戦線にとって中心拠点と言っても過言ではない。同士たちの拠点が数多く存在し、惑星外企業や惑星封鎖機構との誇りをかけた戦いを日々行っているのだ。故に今回の輸送には危険を伴う、少数精鋭を求められ、移動のヘリと傭兵のACのみだ。私の新たな翼となるACもあるが、遺憾だが…ACの実践経験のない私が乗っても戦力にならないだろう。
我々の協力者でもあるBAWSから私のACが入ったコンテナをヘリに乗せる。その間、あの独立傭兵は護衛らしくACに乗って辺りを見渡していた。動きを止めている時もあり、手を抜いているのではと少し顔を向けたら…位置的に見えない私の顔に向けてACの頭がこちらを向いていた。その頭のパーツはまるでコーラルのように赤く、多くの同志たちの瞳のように穴が開いて広がり溶けているかのような錯覚を覚えたのだ。
それは恐怖ではない、まるで我々ルビコン解放戦線の警句を体現しているかのように歓心してしまったのだ。
『ルビコンよコーラルと共にあれ』
師父の言葉は同志にとって誉れであり、道。それを思い出させる存在との出会い。
「独立傭兵、貴殿の名を改めて聞かせて頂けるか」
それは呟きに等しい音量だっただろう。ヘリが飛び立つ準備に取り掛かり、風圧によって私の声はほとんど聞き取れなかったはずだ。
私は事前情報で独立傭兵の名はノーネームであると知っている。だが、私は彼から直接聞きたかった。少しの間をおいて、聞こえなかったかと思った時…。
『ノーネーム』
ACからスピーカーを通して、威厳ある声で返事を貰った。
「ッああ!私はインデックス・ダナムだ!同志の基地までよろしく頼む!」
そう答えた時には、俺の口元は年甲斐もなく笑っていた。
輸送ルートを移動中、彼は会話を望まなかった。依頼を受けた者、依頼をした者、ただの契約関係と言えばそれまでだが…私はそれで終わるのは駄目だと考えた。私は既にこの時には、彼を、ノーネームを同志となりえる存在だと考えて接していた。
「独立傭兵ノーネーム、護衛をしながらでも会話をしないか」
「…」
「ヘリのパイロットはまだ認めていないようだが、私は貴方を知りたいのだ」
「…」
「…沈黙を貫くならそれでもいい。私たちの事を知ってほしい」
それから私は彼に現在のルビコンの状況を話し始めた。勿論、相手も常識を改めて伝えられても迷惑だと理解はしていた。だが知ってほしかった、我々のルビコンが今もなお侵され、同志達がやられていく切実に尽くしがたい現実を。
一方的な会話を続けている間、襲撃もなく目的地の同志たちが待つ基地まであと僅かな距離となった時だった。ヘリの中にいても聞こえた大きな爆発音は、これから向かう同志の基地から聞こえたものだった。私はコンテナ内のACから通信を通して話しかけていた為、外の様子を瞬時にわからなかった。すぐにヘリパイロットに状況を聞くと慌てた様子で答えた。
『あ、ああックソっ基地が襲撃を受けている!あそこは民間人の住居が密集してる区画だ!』
「なんだと!」
『カメラ映像をッっあれはドーザーのMTか!薄汚い連中がッ』
ッ私のコンテナを開け…その言葉を発するまでもなく、あの男は飛び立った。
『お、おい独立傭兵!』
ヘリパイロットが呼びかけに沈黙の彼が発したのだ
『俺もやったんだからさ』
その通信が聞こえた後、強烈なブースト音が遠ざかっていくように私の心に広がっていった。
お前も飛べるだろう
志が熱く語る。まるで師父のような警句の如く理解した。私はまるで悲願するように声を上げていた、遅れてはならない、ついていきたい、共に前を歩みたいと。
「ハッチを開けてくれ!」
後を追うように私は初の自身のACを動かした。初の操縦は酷いものだった、まるで弱った虫のようにフラフラと今にも墜落しそうになりながらバランスを保ち、シミュレーションと違う感覚になんとかしがみついて前を見た。武器も持っていない、こんな状態でも恰好だけは良くしたかった。彼の後を追うのに弱腰なんて認められる自分はいないのだから。
「は、はは!やはりお前は!」
基地は確かに燃えていた、破壊された後も見て取れた。だがそれ以上に、それを行った者たちに裁きを下すコーラルのように赤く燃える存在の導を見たのだ。
『ぎゃぁぁぁ!や、やめてくれぇぇぇ!あつあアアァぁ!?』
『ひぃぃぃ!?俺たちはただ小遣い稼ぎに!ひヒャァァァァァ!?』
『助けてくれぇぇぇ!アぁああああ熱いあつア゛あ゛ぁぁぁ゛』
裁きを下す神がいるのなら、私は彼のような浄化の炎を運び込む存在を求めるだろう。
『た、助けて!』
私が同志たちが嘆く大地に降り立った時には、彼の炎で邪悪な者たちはもう数える程度だった。そして…最後の悪が私の前に慈悲を口にしながら去ろうとしている。
「アァぁぁぁァ!!!」
『えぎゃgお!?』
私はただ拳で殴った。ただ殴ったのだ…それだけだ、それだけで、悪は潰れた。
口にしたいことは多くあった。罪のない者たちを殺した、遊び半分で、助けを求めたものにお前は助けを!…だがそれは、ただ咆哮として出てくるのみだった。
MTのコックピットを貫通した自らの新たな手足…突き刺さった腕を引き抜こうとするが上手く行かず、己の行動に恥を感じた時だった。彼が降りてきたのだ、そして自らの武器をルビコンの大地に置き、私の腕を取ってくれた。
「ノーネーム…私も飛べたぞ」
また沈黙が返ってくるだろう、そんな思いでせせら笑う自分とは裏腹に彼はまるで自らを喜ぶように一言答えてくれたのだ。
『やったぜ!』
・・・ああ、私はやったんだ!
まるでオーケストラを聞いているような感覚で私は、私たちは同志となっていた。
彼は口にしない、口数も少なく一人を好む、だがその志は我々のように赤く燃えている。
後に多くのルビコニアンが知る事となる、我々には赤き空の向こうに、新たな太陽がいると。
インデックス=人差し指
私のアセンを試せばわかりますが、結構ギリギリのENだったりする。あと頭とコアの生首置いてます感が好き。それだけのアセンです。