白き鬼 ※未定   作:clown

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あれ?
可笑しいなもっと書こうと思ったのに。


01

 御姉様私は何処に向かえばいいのでしょうか。

 燃える屋敷にただ一人生き残った私はどうすることもできずただ泣くことしかできない。

 泣き叫ぼうがどうすることもできない。私に力がないから。私に力がーーー

 

 視界が真っ赤に染まる。体が燃えるように熱く私の中に何かが入ってくる。黒い感情が渦巻き私の中を改変していった。

 

 殺せ

 殺せ

 殺せ

 

 『ーーーを殺せ』

 

 

 ▽

 

 

 酷く痛い頭を起こした私は、辺りの悲惨さに唖然とした。ある者は裸に、ある者は吐瀉物を撒き散らし、ある者は泣きながら酒を飲み。

 悲惨。

 正しくそれであった。昨日の宴会による事態なのは確かだがあまりにも酷すぎる。しかしここで叩き起こすのは酷と言うものだ。静かに微笑み私はもう一眠りをしようと目を閉じた。

 

 

 ▽

 

 

 明治中期ー

 関東に新な勢力が日の本の国に居を構えた。

 名を関東魔法協会と名乗り我が物顔で聖域である神木・蟠桃を取り込んだ。

 最初期より国を守り外敵を排除してきた呪術使い達は魔法協会を排除するために戦争を仕掛けようと独自に行動を開始していた。

 呪術使い達からしてみれば当然であろう。行きなり現れたと思ったら聖域に居を構えたのだ。

 そして動くに動けずいた呪術使い達にとって引き金と言える事件が起こった。近衛の名を持つ者が魔法を納めた事である。

 名を近衛近右衛門と言った。

 近衛としての正当後継者の資格を持ち、呪術使い達のトップに君臨することを君主より許されたまごうことなき呪術使いの王であった。才気に優れカリスマ性もあったがある時を境に近右衛門は呪術の行使を止め魔法に飲めりこんだ。

 近右衛門の妻であるものの『ーーーー』の死である。呪術による死霊術は存在するが、正しく傀儡同然のそれは近右衛門の求めたそれではなく魔法と言う新な力にすがったのである。

 しかし、結果とし近右衛門は全てを失った。力も信頼も居場所も何もかも。"魔法"とは正しく魔の法である。魔に準ずるものは等しく人としての生を謳歌することは叶わない。だからこそ新な法が必要である。魔法使いが生活できるような理に叶った法が。

 同時期である、魔法協会は新な問題に直面していた。蟠桃に拒まれたのである。蟠桃は本来日の本の国を見守るために存在していた。ならば外的である者を拒むのは道理である。魔法協会が求めたのは"蟠桃の利用"。近右衛門が求めたのは"新な居場所"

 互いが互いに求めた形が利用し利用される関係として成り立った。

 結果とし近右衛門は追われる身とし魔法協会に席をおいた。

 

 

 ▽

 

 

 京都の山奥。人目につかないその場所に縁側に座り月見酒をするものが一人。彼女は一人徳利から酒を注ぎ懐かしむように月を見ていた。

 「なぁ近右衛門。あのときもこんな月だったよな。」

 空を切る言葉は誰も返さず、辺りに鳴くスズムシの鳴き声が響く。一人微笑む彼女は月にお猪口を向け"乾杯"そう言い中に入っていた酒を飲み干した。

 

 

 ▽

 

 

 関東魔法協会は表向きには学園を経営している。蟠桃を起点とし展開されている認識阻害の結界は学園をまるごと包み内包する魔力は充満し中に生活する者は皆等しく人としての枠を外れていた。内包する力は身体的だけではなく内面的にも影響を与え学園を生活する者は学園外と差を感じ外に出るものを拒ませるほどであった。

 当然それは魔法使い達によるものであり、故意ではなかったが結果的に起こった。

 

 学園のもっとも深い所にある女子中等部に一人の男が月を眺めていた。男は椅子に座り右手に湯飲みを持っていた。

 「・・学園は随分と賑やかになったよ"ーーーー"」

 男は微笑み近くの引き出しを開け書類を取り仕事を再開した。

 「・・まだ終わらせない、まだ」

 

 

 ▽

 

 

 辺りが煩く頭痛のする頭を押さえながら起き上がり文句をいってやろうと思うと一人の少女に釘付けになった。

 少女は何処までも白かった。

 纏う雰囲気は暖かいのにどこか冷たく、私達とは根本的に住む世界が違うのだと感じさせた。

 少女の近くにいた鬼が意を決したように話しかけた。

 「・・む、娘?お前は何でここにいる?」

 吃りながらそう聞く鬼は仕方ないのだろう。たぶん私もそうなる。それほど少女は私達の目を集めさせる雰囲気だった。

 本能が叫ぶ。娘を喰えと。

 辺りの鬼は生唾を飲んでいるのが分かるほど辺りから音が聞こえてくる。

 これが少女の内包している力なのだろう。私達の本能を呼び覚ますほど、久しく忘れてた食に対する本能。

 

 少女は考えるようなそぶりを見せると微笑みながらこう言ってきた。

 「わかりません。ただ御姉様がここの鬼を使えば彼に会えると言っていました」

 つまり利用しようと言うのだ、天下の鬼を。地上に最悪をもたらす鬼を。そして同時に理解した、この少女に着いていけば戦いに事欠かないと。

 恐らく今の私は凶悪な笑みを浮かべているのだろ。

 肩が震える。ダメだ耐えられない。

 

 『ガハハハハ!!』

 

 辺りの鬼もそうだったのだろう。耐えきれず壮大に笑った。これほど愉快な日は久しくなかった。さっきまで感じていた頭痛など今では気ならない。新しい玩具いや・・

 「認めよ少女。お前が今日から我ら"鬼"の主だ!」

 「はい!ありがとうございます」

 いい日だ、今日ほどいい日はないだろう。これから先もきっとうまい酒が飲める。

 しかし解せないことがひとつあった。先程まで感じていた匂いが感じない。本能を沸き立てるあの甘美な匂いが・・

 「主よつかぬことを聞くぞ、先程まで感じていた匂いはなんだ?」

 「匂い?あ、あれですか。あれは御姉様がこれをつければ鬼が気に入るって言ってました。」

 気に入る?なるほど間違いない。確かに気に入るだろう。しかしこれもまた笑えるものよ食欲を刺激されて喰われなかったから良かったものを喰われたらどうするつもりだったのか。

 「あ、あとこんなことも言ってました。この程度で本性を現すのは三下だと。」

 ますます気に入った。この少女もそうだが御姉様と言う娘も気に入った。

 この主はいったい私に何を見せてくれる?

 血と戦は死ぬほど見たぞ?

 金銀財宝なんぞとるに足らんぞ?

 何を与えてくれる?楽しみだこれから先を考えるだけで酒が飲める。

 浮かれていたのだろう。私は契約に大切な肝心なことを忘れていた。

 「そう言えば主よ、名をなんと言う?」

 「私の名前は

 

 

 相坂さよです。」

 「さよ、か。よい名だ。私の名はスクナ、リョウメンスクナだ。」

 私の乗り掛かった船は、泥船か宝船かどちらであろうか。しかしどちらであろうと面白いのは変わらない。この少女に着いていけばきっと・・・

 

 

 ▽

 

 

 神と呼ばれ崇め、畏れられていたのはいったい何時の話だっただろうか? 時は流れ現世では畏れがなくなり妖の住む場所はなくなった。憑代は封印され下界することも儘ならなくなった私は、酒に煽る日々が続いた。しかし飲めども飲めども酔いが回ることはなく貯まる苛立ちに鬼どもに当たり散らす。鬼神として恐れられた私が甲斐性もなく手下に当たり散らすのは情けなく感じたがただの呪術師には私を下界させることは不可能だ。それだけの力を持っていると自負している。

 その日も私は苛立ちを感じながら酒を煽っていた。ただいつもと違ったのは余所者の気配があったこと、それぐらいだった。最深部にある私の居城は余所者が到達することは無いだろうと思っていたが何処かで期待していた。ここまで到達しうる者を。どれだけの時間がたったかは覚えていない。ふと気がつくとその者は障子一枚隔てた所にいた。私の所に到達できたのは過去に一人のみ。その者は満身創痍の状態だったのに対し、この者の気配はどうだ?魔力の乱れも焦りも見られない。これ程の強の者はそういない。私は静かに"入れ"そう言うとゆっくりと障子が開かれた。

 「ほぉ?貴様みたいな生娘がよくここまでこれたな?」

 そこに立っていたのは齡十二の娘だった。緋色の着物を身に纏い、後ろ髪を蓮華の簪でまとめた娘は間違いなく強の気配を感じさせた。

 娘は一礼すると懐から五寸ほどの脇差を出だし一閃。甲高い音を響かせ私の首の皮膚を傷付ける。血の一滴。何時以来だっただろうか私のを傷つけたのは。何時だっただろうか、私が血を流したのは。何時だっただろうか・・・

 

 こんなにこう興奮したのは。

 

 「娘、誉めてやろう。私を傷つけたのだ、誇っていいぞ?」

 だが貴様は私に殺される。私に殺され凌辱の限りを尽くされ糧にされる。さぁ始めよう戦争を。全身全霊全力を尽くし全魔力全気力を持って掛かってこい。でないとすぐ・・

 「・・死ぬぞ?」

 




次は頑張ります

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