「マコ█先輩」って、知ってますか?   作:有馬Hidden

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※この小説はマコモ湯が流行っていた2024年度末に執筆されたものです。現在判明している情報と矛盾している可能性があります。ご了承ください。



羽沼マコトを探しています-3

羽沼マコトを探しています

 

【特徴】

・身長 160㎝前後

・やや銀色の髪

・4本の角(もしくは枝分かれしている)

・万魔殿の服装

 

些細な情報でも構いません

情報をお待ちしています

 

万魔殿書記 元宮チアキ

 

 

週刊万魔殿██年度第█号裏表紙より引用

 

 

 

 

 

「あちゃ~、これじゃ取材は無理そうですねぇ……」

 

 ミレニアムに到着したチアキは、落胆の言葉をこぼしていた。

 

 ここに来たのは、読者(というよりは給食部)からの要望で、食堂に導入された謎の機械の製造元にインタビューしようと考えたためである。

 

 しかし、ミレニアムが何やら騒がしく、様子を伺ってみればデータセンターで立てこもり事件が発生しているようだった。データセンターといえば、ミレニアムの数々の研究資料や運営に必要な機密情報が詰まっている重要施設である。そんな場所で立てこもり事件となれば一大事だ。

 

「は、離れてくださぁ~い!」

 

 セミナーの制服を着た生徒が避難誘導を行っているし、これ以上近づくのはやめた方が良いだろう。記者として、取材をしたくなる気持ちはあるが、巻き込まれたわけでもないのに首を突っ込むのもどうかと思う。場所が場所だし、下手をすれば外交問題になる可能性だってある。

 

「万魔殿のトキ、飛鳥万魔(まんま)トキ」

 

 そう、万魔殿の制服を着てデータセンターに押し入るなんて……。ちょっと待て。

 

「……えーっと、こんにちは?」

 

 メイド服に身を包んだ謎の生徒がチアキに話しかけてきた。黙っているわけにもいかないので、困惑しつつもとりあえず挨拶を返す。

 

「取材はお断り、それが(ことわり)

 

「……いぇあ?」

 

 何故かラップのような口調で返された。取材ができないことに関しては分かり切っていたから別にいいのだが。

 

「……なるほど、これじゃあM-1の頂点は取れませんね。修行するとしましょうか」

 

 困惑しながら返答してみたものの、目の前の彼女は想定していた反応が得られなかったのか、落ち込み気味だ。しかし、すぐに立ち直ると決意を固めたかのようにキリっと顔を上げて力強く、そう宣言した。

 

「え、えむわ……?」

 

「ミレニアムプライス、通称M-1の頂点はこのインターネットおもしろメカニックメイドお姉さんが奪取する予定でしたが、道は険しいですね」

 

「はぁ……頑張ってください……?」

 

 チアキは、どう反応したら良いか分からないので適当に相槌を打つ。趣味に「友達づくり」を挙げるぐらいにはコミュニケーションには自信のあったチアキだが、苦戦していた。

 

「む、私としたことが、まだ名乗っていませんでしたね」

 

 そう言うと、謎のメイドは両手を上げた謎のポーズを取りながら高らかに名乗る。

 

「どうもメイド部2年、飛鳥馬トキです。週刊万魔殿、シャーレで毎号読ませてもらってます」

 

「あっ、そうだったんですね!ありがとうございます!」

 

 目の前の謎のメイド服の生徒がまさか読者だったとは、チアキは思いもしなかった。シャーレに定期購読でお届けするようにした成果がこんな形で現れるとは。

 

「そして、イロハさんとは領土戦争中です」

 

「あぁ……」

 

 そういえば、イロハがシャーレで休憩用スペースを謎のメイドに侵略されていると愚痴をこぼしていたな、とチアキは思い出していた。侵略者の正体はこの人だったのかと勝手に納得する。確かにイロハが苦戦しそうな相手だ。まぁ、休憩用スペースは共用の場所であるため、どっちもどっちだとは思うが。

 

「と、個人的に取材はWowWowって感じですが……まあ、見ての通りなので明日以降でお願いします」

 

 トキが、データセンターの入り口を申し訳なさそうに指し示す。

 

「ちょ、ちょっとエイミちゃん!絞めすぎですよ!」

 

「アカネ先輩、こいつはマキを人質にしたんです。これぐらい……」

 

 トキと同じようなメイド服を着た二人が、犯人らしき人物を取り押さえながら外に出てきた。いや、あれは取り押さえていると言っていいのだろうか。ただ締め上げているようにしか見えないが。

 

「では、私もあっちに行った方が良さそうなので失礼します」

 

「あっ、はーい!」

 

 そのままトキは、人ごみをかき分けて消えていった。

 

 よく見れば、インタビューする予定だったエンジニア部が重要参考人として囲われている。これでは取材は無理だろう。

 

 仕方がない。今日は予定を変更してトリニティへ行くことにしよう。チアキは、手帳の予定を書き換えてから再び電車に乗るために駅を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……今日は先輩方が不在だというのにこんな調子では……」

 

 メイド部ことC&Cの室笠アカネは、小さくため息をついた。目の前で立てこもり犯に関節技を決めている後輩は、相変わらず考えが読みにくい顔をしているが、おそらく同級生を傷付けられて静かに怒り狂っているのだろう。

 

 彼女は和泉元エイミ。リオ会長がこっそり育成していた後輩であり、C&Cのコールサイン04。思考が合理的すぎてケガを考慮せず突っ込んだり、メイド服をキチンと着用してくれなかったりとなかなか手のかかる後輩である。

 

「過疎化が進んだプロレス、プロless」

 

「うっさい」

 

「泣きました」

 

 エイミとは、出会った経緯が出会った経緯であり、未だに少しだけ壁のようなものを感じてしまうのが、アカネの悩みの種だった。トキのように恐れ知らずな絡み方ができれば、もう少し溝は埋まっていたのだろうか。

 

「合理的すぎて利敵」

 

「うざ」

 

「にゃーん(社会性フィルター)」

 

 来年以降、すなわち今出張中の3年生組が卒業してしまえば、アカネとトキとエイミでC&Cを引っ張っていくことになるのだが、現状では不安なところが多すぎる。その思いはこの立てこもり事件を経てより強くなっていた。

 

「やっぱり、スナイパーあたりがメンバーに欲しいですね……」

 

 今のC&Cには後衛がいない。

 

 今回の立てこもり事件も、スナイパーがいれば建物内部の損傷を最小限に抑えつつ、スマートに解決できたはずだ。

 

 アカネは、来年の新入生にスナイパーの才能がある生徒がいることを、そしてできれば思考が常識人寄りの生徒が加入してくれることを静かに願っていた。

 

==

 

「なるほどなるほどぉ……」

 

「あとは……その西の通りをまっすぐ進んでいくともう一軒カフェがあって……」

 

 トリニティへとやってきたチアキは、駅前で駄弁っていた集団にインタビューを行っていた。読者からの要望でトリニティのおすすめスポットを紹介してほしいというお便りが届いたのだ。

 

 まったく、時代が変わったとはこういうことだろう。一年前は、チアキが万魔殿の服装で来ようものなら石を投げつけられることすらあったというのに、こうして平和にインタビューができているのは、先生やエデン条約に伴うイメージアップ戦略のおかげかもしれない。

 

 エデン条約では、特にこれといった事件がゲヘナにおいては何も起こらなかったのだが、トリニティではティーパーティーの1人が体調不良で倒れ、その隙に条約を無かったことにしようとする反対派がクーデターを起こそうとしていたらしい。裏では先生が頑張っていたというのを聞いたが、やはり本当なのだろう。あそこまでこじれた事件を無事に終わらせられるのは先生しかいない。

 

 とにかく、だ。色んな人が色んな努力をしたおかげで今の平和な時間があるのは、間違いない。だとすれば、自分にできることはこの平和な時間を守る、あるいはより良いものにすることだろう。

 

「あ~あそこのチョコミントケーキおいしいよね~」

 

 チアキは、とりあえず最初の特集の予定として、誰でも興味を持ちやすい食べ物系を選んだのだが、どうやらいきなり大当たりを引いたらしい。この目の前でワイワイ話し合っている5()()は放課後スイーツ部という集団らしく、これ以上ないぐらいうってつけの存在だった。ミレニアムで不運に襲われた分、その振り戻しが来ているのだろうか。

 

「ありがとうございました!週刊万魔殿が完成したらお礼として真っ先にお届けするので……あ、ここにお名前書いてもらっても良いですか?」

 

「うん、いいよ」

 

「ありがとうございます!」

 

 チアキは、手帳の何も書いてないページを開き、5人に手渡す。

 

「あー、そうだ!これはインタビューとは全然関係ないことなんですけど、『羽沼マコト』って人をご存じですか?」

 

「ん?誰それ、タレント?」

 

 一応、聞いてみたが、当然知っているわけがなかった。

 

「あー……えっと、私の『思い出の人』って感じで……ある意味有名人というか……」

 

「アイリは知ってる?」

 

「うーん、分かんないなぁ……ごめんね」

 

「いえいえ!駄目元でお聞きしただけですのでお気になさらず!」

 

 チアキは、明るく受け答えしているが、内心ではやっぱりダメかと軽く落ち込んでいた。

 

「自警団任務で隅々まで見回りしてる『サオっち』だったら交友関係広いし、知ってたりするんじゃない?」

 

「そうだね。それにスイーツ系以外のお店はサオリの方が詳しいから話聞いてみると良いかもしれない」

 

「今日はアズサに勉強教えるって張り切ってたから多分古書館にいると思うよ。……はい、書き終わった」

 

「なるほどぉ……!ありがとうございます!」

 

 チアキは、5人分の名前が書かれた手帳を受け取ると丁寧に礼を言ってスイーツ部と別れた。

 

 教えてもらったスイーツ系の店は、どう考えても今日中に全部回るには時間が足りない。一旦持ち帰ってどこに取材に行くかを検討してから回ろう。

 

「じゃあ今日のところはサオリさんに取材して終わりですかね!」

 

 チアキは、行動の予定を脳内で組み立て、トリニティの古書館へと足を進める。日が傾き始めているので少し急いだ方がいいかもしれない。

 

 

 

「それにしても、スイーツ部の皆さんは良い人たちでしたねぇ……」

 

 チアキは、古書館へ小走りで向かう途中で、先ほどの取材を思い出し、スイーツ部の部員の名前が書かれたページを開いた。

 

栗村アイリ

伊原木ヨシミ

柚鳥ナツ

杏山カズサ

戒野ミサキ

 

 ──とても仲の良い5人組だった。

 


 

キャラクター紹介

 

和泉元エイミ

異常な密度を誇る筋肉とそれに伴う常人の数十倍の代謝に由来する回復力、代償として服をまともに着れないほどに高い体温を持つ生徒。その特異な体質が周囲に受け入れられずに孤立し、自分が消えた方が早いと判断。中学3年で卒業を諦めて生まれ持った腕力と優秀な頭脳を活かしてBMで生活。しかし、エイミの優秀さに目を付けたリオに言い負かされたことでミレニアムに入学を決定。その後はリオ直属のエージェントとして過ごし、特異現象捜査部を一人で担当。ケセドを単独で討伐し、スランピアを更地にした。

ヒマリが部長となってからはヒマリの指揮下で動く。この時点ではC&Cである身分を隠していたが、ヒマリの身の回りの世話が妙に手馴れていて丁寧であることから疑いを持たれていた。

アリスを巡ってヒマリとリオが対立した際、ヒマリとリオを守るためにヒマリを指示で監禁し、アリスを取り戻しに来たC&Cをエリドゥで迎え撃つ。生まれ持った耐久力とフィジカルを活かして時間を稼ぎつつC&Cを圧倒していたが、アスナが戦線離脱したと思わせてヒマリの救出に向かい、解放を許してしまったことでヒマリが指揮を執り始めたC&Cに作戦負け。その後はヒマリに飼われながら、C&C兼特異現象捜査部として活躍している。

最近の悩みは、周囲から避けられまともなコミュニケーションをとらずに生活してきたことで相手の感情が分からず、また自身の感情も表に出にくいため、他人との接し方に難があること。そのため向こうからグイグイ来てくれるヒマリとトキをかなりありがたく思っている。

現在はヒマリと同棲しており、エイミ本人は気が付いていないが終身雇用で契約されている。だが、エイミもリオとヒマリの体内に無断で発信機を埋め込み、居場所を常に把握しているのでお互い様である。

 

飛鳥馬トキ

インターネットおもしろメカニックメイドお姉さん。C&CのSNS公式アカウントを私物化して変なことを呟きまくっている。

"自作した"パワードスーツ『アビ・エシュフ』を使いこなして戦闘する。ことあるごとに改造して謎の新機能を引っ提げてくるため、建物への余計な被害を出しがち。エンジニア部は心の友であり、彼女たちとの合作でロケットパンチをロマン砲として搭載。使うことはないと思っていたが、エイミとの戦いで決定打となった。

最近は無知なエイミにコミュニケーションの練習と称して漫才を教え込み、ミレニアムプライズに挑戦しようと目論んでいる。

留年はしていない。

 

室笠アカネ

エイミがエリドゥ攻略戦において、アカネを半殺しにしてしまったことを未だに気にしており、壁を作られてしまっているのが最近の悩み。可愛い後輩なのだからもう少し距離を縮めたいと考えているが、難航している。SNS公式アカウントが身内に乗っ取られていることはまだ知らない。

 

戒野ミサキ

特別な背景は何もないごくごく普通のトリニティ生徒。放課後スイーツ部所属。バニラエッセンスを常に持ち歩いており、何にでもバニラをかけようとする。

バニ足すバニ足す。すべてが美味しい。

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