イシスに戻ると割れんばかりの大声援に迎えられた。
絶望からの希望。
その落差が人々を興奮に駆り立てているんだろう。
どこで知ったのか?『大魔道士マトリフ!』と手を上げ感謝を伝えて来る様々な声に軽く手を上げ答え、さらに大きくなった歓声を受けながら、3人娘を連れて王城に向かう。
まるで魔王を倒した後の、勇者の凱旋だ。
「やあ、よくやってくれたねマトリフ」
王城の入り口で迎えてくれたのは陛下だった。
陛下はなんでもないことのようにさらっと。
「ゆっくり休めるように部屋諸々の準備を整えておいてもらった。まずはゆっくり身体を休めるといい。今後の話はまた明日でいいだろう」
今日は休め。
まだ何も、終わったわけではないのだから。
そう目で語りかけてくる。
頷きで答える。
ああ、わかっているさ。
勇者の凱旋?とんでもない。
始まったばかりなんだ。
まだ何かが終わったわけじゃない。
「心からの感謝を、大魔道士マトリフ」
流石にこの国の女王の礼は受けねばならない。
次に声をかけてきた女王に
「はっ!お褒めに与り光栄でございます」
自分史上最大ににこやかな笑顔でそう答えた。
礼儀正しく一礼。
後は流石に疲れた。
用意してもらった部屋に着くと、軽く汗を流させてもらい軽食だけ口にしすぐベッドに飛び込んだ。
…流石に、疲れた。
そこで意識が落ちた。爆睡である。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
(チャンス…そう、これはチャンスなのです…美しき行き遅れという不名誉な異名を捨てる、神が授けた最後のチャンス…)
(女王様!女王様!ステイ!ステイですって流石に良くないですよ今夜はってああクソ意外に力が強いなこの若作りっっっ!)
(ばあや貴様ぁっ!!!!)
うっすら覚醒した意識。暗がりにそんなヒソヒソ声とバタバタした物音を聞いた気がした。
きっと気の所為だろう。
すぐにまた眠りに落ちる。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
目が覚めると早めのお昼って感じの時間だった。
ベッド横の机にベルがある。
起きたらこれを鳴らせということだろう。
ちりんちりーん
鳴らすと近くで待機していたのか侍女がすぐ駆けつけてきた。やはり正解だったようだ。
顔を洗う用意や着替え、朝食など一式用意をしてくれた。
そしてロマリア王からの伝言を伝えてもらう。
「何時でもいい、起きて準備が出来たら会議を行いたい。都合のいい時間を指定するように」
各国の王も昨日はイシスに泊まったようだ。
最重要の会議だもんな当然か。
ネクロゴンドの洞窟の攻略についてであろう。
聡明なロマリア王、そして優秀な軍のトップ。
彼らがこの機を逃すはずはないのだから。
実のところを言ってしまえば、バラモス自体はそんなに問題というほどでもないのだ。
どちらかと言うとガメゴンロードの団体様の方が俺には恐ろしいくらいだ。
致命的に体力が低いからソロ攻略は無理だろうが、バラモスのもとにパーティー組んで辿り着けるならバラモス討伐はそれほど難しくないのである。
問題は、どうやってバラモスのもとに辿り着くかということ。
ラーミアがいない世界。
イシス侵攻で魔王軍が大敗をしたことにより、時間制限付きではあるが、まさに千載一遇の機会がやったきたのである。