勇者が死んでしまった後の世界で   作:のりしー

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幼年期の終わり

決意の日から5年が経過した。

 

語るべきこともあればそんな大したことの無いこともある。

当然の話だけど。

 

 

ここでは語るべきことだけ語るとしよう。

 

13歳のとき、ロマリア兵主導のパワーレベリングがあった。

目的はレベル3から5程度まで子供を成長させること。

 

街の中にモンスターが入らないようにするのは当然だが、もし万が一モンスターの侵入を許したとしても、街の住民のレベルが多少でも上がっていれば一撃死は避けられる可能性は高い。

 

その間に助けを呼ぶ。避難する。逃げるや防御を固めて兵士が駆けつけるまでの時間を稼ぐなどが目的で、モンスターを倒すというより生存率を上げる為の政策とのこと。

 

街の噴水の前に集まった自分含む子供達の前で兵士がそう説明する。

いやめちゃくちゃいい政策だなこれ!

 

他の街でもやってるか知らんけど、このモンスター蔓延る危険な世界ならではの政策だわ。

 

これから俺達は順番に一人ずつ街の外に兵士と向かう。

そこで他の兵士達が捕らえて弱らせたモンスターにトドメを刺すとのこと。

それをこれから何日か繰り返しレベルを強制で上げるのだ。

 

「パワーレベリング万歳だなあ」

「パワーレベリング? はは! 上手いこというなあマトリフ」

 

捕らえたモンスターを兵士に借りたせいなるナイフでトドメを刺しながらつぶやくと、兵士が反応した。

 

「しかし度胸すわってるなオマエ。少しは躊躇するもんかと思ったが」

 

ためらいなくモンスターにトドメを刺した自分は珍しいタイプなのかもしれない。そんな顔を向けられる。

「どうせやらなければならないことなら、早くやったほうが得ですから」

「そんなもんか?」

たらららタッタッター

「お」

ゲームで聞き慣れた音楽が宙に響くわけがない。

しかし、身体に何か明確な変化が起こっていた。

わかる。

これがレベルアップだ。

転生特典の経験値3倍が効いてるなあ。

一匹モンスター倒しただけでもうレベルが上がった。

「どうした?」

「いえ、何でもありません」

怪訝な顔を向ける兵士。

何食わぬ顔で返答する。

 

成長スピードが他の子供より早いとバレるのは良くないだろう。後で他の子供にさりげなくヒアリングし、レベルアップのペースを合わせるフリをしよう。

転生特典なんてバレて良いこと無さそうだし。

どうもレベルアップは自分以外にはわからないらしく自己申告制のようだ。

 

 

これは好都合!!!

 

そうこうしてるうちに何日か後には自分も周りの子供と同じく自己申告レベル5になりました。

 

すみません実際はレベル8です……。

 

兵士を騙してズルしたような罪悪感は多少あるのだが、現代社会リーマンとして周囲の環境に甘えられる状況では馬鹿になって全面的に甘えるのが吉という絶対大正解感覚が囁いてるから仕方ないのだ。

仕方ないのだうん仕方ない。

「ありがとうございます」

「おう」

 

自分のレベリングを手伝ってくれた兵士にお礼を言う。

せめてちゃんとお礼は言わないとね。

 

幼年期で語るべきことはこれくらいかな?

あとは子供らしく他の子供と遊んだり、育ててくれている爺さんに呪文を教わったりした5年だった。

 

やはり平和なロマリアらしく何事もなく月日は過ぎたのだった。

 

 

 

 

 

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