バラモス城に到達した日から5日が過ぎた。
実は俺達はまだ、バラモス城に攻め込んではいない。
即日侵攻も一つの手だが、多少タイムラグを作るのはそれはそれでメリットがある。
魔王軍は、確実に俺達がルーラで攻め込んで来るのを警戒するだろう。当然城の入り口辺りで待ち伏せをするはずだ。
…だが、まだ来ない…
…今日は来るのか?来ない…
モンスターはモンスターで疑心暗鬼になり、当然集中力も落ちるだろう。
そして5日も経てばかなり心身の負担も大きいはずだ。
攻めないことは攻めないで、それはそれで攻撃になる。
いつ来るのかわからない、という心理的な攻撃である。
ほか、前回MVPの戦士のメンタルケアの問題もあった。
「俺は盾…俺は鎧…俺は兜…何も感じない…何も感じない…」
「熱いよう冷たいよう熱いよう熱いよう熱いよう…あ、冷たいだった…お母さん…天国のお母さん…」
ほんとすまん。前回の勝利は2人のおかげです…
ベッドの上で布団を被ってメンタルブレイクしている2人をあれやこれやで皆でなだめたり励ましたりする。
「「もうにおうだち終わり…?」」
2日目の夜くらいにようやく少し落ち着いたのか?
布団の中からのもぞもぞ顔を出した2人がふるふる震え泣きそうな顔でこちらに問いかける。
「ごめん、次も多分におうだちです…」
2人の顔が絶望にひぃぃぃ…っと引きつる。
ほんとにごめんね…
「お母さん…天国のお母さん…私が男勝りなの心配してくれたお母さん…そのままじゃ嫁の貰い手なくなるわよっていつも心配してくれたお母さん…」
戦士の女の子が天に祈る様に呟く
「私は反省しました…この戦いが終わったらお淑やかになります…嫁入り修行にも文句言いません…家事苦手だけど頑張ります…次…次だけ頑張ります…最後の戦いですから当然頑張ります…そしたらもう婚活して家庭に入って子供産んでいい母になります…もう…もうにおうだちは嫌なのー!!!!」
天国のお母さんに祈り叫び、次だけ頑張ると誓う。
…でもごめんねと内心謝る。天国のお母さんも含む。
…カバを倒した後は大魔王戦なんです…
におうだちは続くよどこまでも…
でも心配しないで下さい。娘さんの婚活はちゃんと責任もって応援しますので…
ロマリアの地方貴族の息子でいいやつがいるんですよ。
アッサラームにハマり過ぎてるのがちょっとキズですけど
「ご苦労様ですマトリフ…明日は決戦の日。さぞ心身共に緊張していることでしょう。よろしければ心身の緊張をほぐすイシス王家直伝のイシススペシャルオイルマッサージを私の手で直々に『ビシィッ!』って痛ぁ!」
「ああ大変失礼いたしました女王陛下。お美しいそのご尊顔にこんなおーきなスカラベがついていたので払わせて頂きました」
「ばあやぁ!!!!」
仲良いなこの主従。
そして魅力的な提案です。
でも女王、そういうのはせめてカバ倒してからにしましょうね…
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
そして、6日目の昼前、キリの悪い微妙な時間。
バラモス城の入り口にキメラの翼で戦士達が降り立つ。
「ようボケナスども待たせたな」
ガメゴンロードが奇跡的にいないタイミング。
トイレ休憩とかあるんかね?知らんけど。
「イオナズン!イオナズン!」
ならばイオナズンだ。
轟音とともに開戦の狼煙をあげる。
その場のモンスター達を一気に殲滅した。
さあ!バラモス城攻略の始まりだ!!!