この世界に転生する前、僕は極々普通の中学2年生だった。
スポーツとかよりは、アニメやゲーム、マンガやラノベが好きななんの特徴もない本当に普通の中学生だ。
……だから、交通事故で死んだ後、神様に勇者としてドラクエ3の世界に転生させてもらえると聞いてもの凄く嬉しかった!
ここでなら、僕は、ただの中学生じゃない。
もっと特別な何か、勇者になれるんだって。
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ドラクエ3は父さんが最新版を発売日に買ってきて、僕も無事クリアしたゲームだ。
「あ、おい、それだと武道家死んじゃうんじゃ?回復したほうが…あ、ああ…うん…そうか…そうか…」
「…お父さん、この子にもこの子の考えがあるんですよきっと…きっと…」
「うん…うん…」
ゲーム機はリビングに1台しかないので、土曜の早くにプレイしてた僕をみて、父さんと母さんがそんなことを言っていた。
僕はゲームをプレイする前に、ある程度設定や攻略情報を調べてから始める方だ。
最後のエンディングに分岐がないなら、楽ちんプレイがいいに決まってる。
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神様は転生特典を3つ選ばせてくれた。
勇者に転生
ふくろ3つ
そして僕は『楽ちんプレイ』を選んだ。
「うん…そうかあ…何人か転生者送り込んだけど、それを選んだのは君が始めてだなあ…」
神様は少し驚いていた。
別にリスク無しを選べるならその方がいいと思うけど。
「…うーん、ホントはダメなんだけど、ちょっと心配だから少し君には特別サービスをしよう。これくらいなら影響ないし」
すると、神様はこう言った。
最初のパーティーで連れて行く仲間は決まっているのかな?
もし決まっているのなら、そのキャラの性格を自由に選ばせてあげよう。と。
「ホントですか!」
これは嬉しい。
ドラクエ3のユニークなところは、仲間を自由に選べて、そのキャラに性格があることだ。
キャラ同士の会話はないけど、アニメやラノベで鍛えた僕の想像力は、それを想像で補って楽しんでいた。
ラノベを貸し借りしてる友達もドラクエ3をやっていたので、どういう職業のどういう性格がいい組み合わせだとかよく話して楽しんでいたものだ。
だから、僕はその中でお気に入りの組み合わせを神様にお願いした。
武道家 ルックスB おっちょこちょい
僧侶 ルックスB セクシーギャル
魔法使い ルックスB ブルジョワ
「違う違う…そうじゃない…そうじゃないんじゃ…ワシ、向こうの世界で君が円滑に人間関係築けるように、自分が仲良くなれそうな仲間を作って旅が出来るように性格選ばせたつもりなのに…」
「?」
でも、楽ちんプレイであれば何も問題ない。
普通にクリアできる。
「…うん、そうか…でも特典よりも人間最後コミュ力だと思うから、頑張ってね…」
そう言うと、そこで僕の意識は消えた。
次に起きたのは、原作ゲームの始まりのシーンだった。
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アリアハンの王様の話を適当に聞き流す。
話が終わると、僕は走ってルイーダの酒場に向かった。
そこで彼女達が待っているのだから!
武道家ミオ 僧侶アリシア 魔法使いレナ
間近で見た3人は本当に美人揃いだった。
テレビで見るアイドルやグラドルとかと全く遜色ない可愛さや綺麗さだ。
クラスの女の子とも話すのが苦手な僕は思わずドキドキしてしまった。
「君が勇者くん?選んでくれてありがと!これからよろしくね!」
アリシアがそう言って握手を求めてきた。照れくさくて目を合わせるのが大変だったけど、頑張って握手した。
手は、凄く柔らかかった。
そして、ここから僕達の冒険が始まった。
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最初、大魔道士の話を聞いたのは確かロマリアの宿屋だったと思う。
「へーじゃーミオが小さい時に、木のぼりで木から降りれなくなったの助けてくれたそのロマリアの人が、ウワサの大魔道士くんに似てたんだー」
宿屋での食事中の会話。
僕は元々あまり女の子と話した事がなくて、こういう時どうするとかが苦手でいつも笑って話を聞いている事が多い。
こういう時、アリシアがおしゃべりで率先して話してくれるのがありがたい。
「うん、でもあれから何年も経ってるし、何となく似てるかなー?ってくらいだけど」
「でも遠くの街から来た旅人のお兄さんが初恋の相手だなんて、甘酸っぱいですわねー。しかも数年後また運命的に助けてもらうだなんて」
「同じ人かわからないけどね」
…なんだか面白くない。
ミオの初恋の人が僕じゃないなんて。
僕は勇者。この世界の主役なんだ。
仲間の可愛い女の子達は、皆僕の事を好きになるんじゃないのか?ラノベとかだと絶対そうだろう!
次の日、僕達は朝早くにロマリアを出発した。
もっと勇者を頑張ろう。
そうすればきっと、皆僕を好きになるに違いない。
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それからの旅は順調だった。
楽ちんプレイなので当然だ。
ダーマに着いて転職も考えたが、辞めた。
賢者のルックスも可愛い。
でもこの3人のルックスも好きで、悩んだけれどこのまま行くことにした。
どうせ、ゲームなんて簡単にクリア出来るし。
僕はどんな場所でも頑張っていた。
勇者らしく。
助けた人達が僕の事を褒めてくれる。
流石勇者様だと。ありがとうございます勇者様と。
その感謝の気持ちが僕を更に嬉しくしてくれた。
これだ!これでいいんだ!
こうして頑張って行けば、世界中の人が僕を褒めてくれる。
きっと皆、僕を好きになってくれる。
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火山に落ちた時の事はよく覚えていない。
痛くて熱くて、とても辛かったのだと思う。
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気がつくと、僕は何処かの宿屋か何かで寝かせてもらっていた。
起きて空を見るとまだ暗い。
夜に起きてしまったのかな?
とりあえずベホマを自分にかけ、外に出る。
そこで、街に見覚えがある事に気づく。
ここは、ラダトームだ。
本来はバラモスを倒してから行く街だ。
どうして?
よくわからない。
装備を整えるとルーラでネクロゴンド火口に移動した。
あれからどのくらい時間がたったのかわからない。
でも、まだ皆がそこにいるか?もしくはまだ僕を探しているかもしれないと思って。
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ルーラで着いたネクロゴンドの火口には誰もいなかった。
あの戦いから時間が経ってしまったのかな?
近くを探しても誰もいない。
どうしよう…少し遠くを探してみようか?
遠くの方まで目を向けると、何か空を飛んでる黒い塊が目についた。
なんだろう?モンスターの群れかな?
あの方向は…イシス?
モンスターの大群の群れがイシスに行くなんて、ゲームでなかったけど…
少し考えた。
勇者として、僕はどうするべきだろう?
勇者は、こういうときどうするのだろう。
少し悩んで、とりあえずイシスに移動することにした。
モンスターに襲われても、僕は死ぬことはない。
イシスの街で逃げる人達を助けながら戦うのは、勇者らしいと思ったから。
…でも、それは…
『大魔道士マトリフ!!ありがとう!!!』
『マトリフ様ありがとう!』
『本当に助かったよ!!大魔道士マトリフ!』
なんだ
なんだ
なんなんだ、これは
あれは、僕が、勇者が受ける歓声じゃないのか…
歓声を受けているのは1人の男だった。
…そして…
その後ろには、僕の仲間だった、3人の女の子達がいた…
…その後の事は、よく覚えていない。