まだ疑いの眼差しでこちらを見てくるフローラにさて、なんと言ったものかと考えていると、トラブルの種であるトーマスさんがやって来た。
「ああ、マトリフくん。お待たせしてしまったみたいで申し訳ない」
商人らしく話しかけ易そうな穏やかな白髮白ひげの老紳士だ。年齢不詳。
こういう人が夜に輝く街。それがアッサラーム。
…おっと話が戻ってしまう。危ない危ない。
「フローラお嬢様ご安心下さい。私たちはこれからポルトガに行くんですよ」
「…わかりました。私もはしたなかったですわ。申し訳ありません」
ペコリとお辞儀し軽く謝るフローラ。
こういうとこは育ちのいい性格のいい子なんだよなあほんと。
彼女に別れの挨拶をし、二人で店を出る。
「マトリフ。気をつけて下さいね。トーマスさんも」
フローラは心から心配してくれている。そして無事を祈ってくれるのだ。ケンカ別れした元カレにも優しい。
これでやっぱアッサラーム行くって言ったら絶許案件だろうなあ笑
行かないけどさ。
「さてマトリフくん。準備はいいかい」
「大丈夫です。よろしくお願いします」
そういうとトーマスさんは公式チートアイテムのキメラの翼を取り出す。
真面目にこれが普通に道具屋で売ってるのはおかしいレベルのチートアイテムである。
販売数量の縛りか価格なんとかした方がいいと思うのだけど。
だが、実は話を詳しく聞くとそんなこともなく。
モンスターの溢れるこの世界で食品含む商品の物流など考えるとこれでなんとか文明を維持出来るレベルだそうな。
それはさておき
「じゃあ行くよ!ポルトガ!」
そういうとトーマスさんが空にキメラの翼を投げる。
翼が燃え尽きる瞬間、翼に込められた魔力が俺達を包む。
そして2人で空に飛び上がる!
そして2人でポルトガに到着した。
リメイク版だと時間の経過もなく一瞬での到着となる。
旧作は午前→午後とか時間経過あった気がしたけど、まあ気の所為か?
ポルトガにつくと2人で宿屋に向かう。
宿屋の入り口には一人の人物が立っていた。
彼はトーマスさんの知り合いで、黒こしょうをポルトガに販売している商人だ。
「やあ待たせたかなすまない」
「いや問題ないよ大丈夫だ」
旧知の馴染みの2人は軽く握手し挨拶する。
黒こしょう商人がこちらを見る。
「こっちの彼がバハラタに行きたいって奇特な?」
「そう、奇特な少年マトリフくんだ」
「はじめましてマトリフです。正確にはバハラタでなくダーマなんですが、今回はよろしくお願いします」
そう、自分が考えたのはこういう計画だ。
まずロマリアでダーマかバハラタに行ったことある人を探す。
だがいなかったので次にポルトガに行ったことのある人を探す。
そのポルトガに行ったことある人で、黒こしょうの商人と知り合いがいる人物を探す。
黒こしょう商人は辿れば必ずバハラタに行ったことのある人にぶつかる。今回は黒こしょう商人自体がバハラタで買い付けをしていた。
あとは簡単だ。
「じゃあ早速行こうか。正直助かるよ。ちょうど黒こしょうの買い付けのタイミングでね。キメラの翼の往復代も馬鹿にならないし陸路はつらい」
「行きはこちらの用意したキメラの翼を使って下さい。帰りは俺のルーラでポルトガに戻ります」
「取引成立ですね。私は仲介料としてキメラの翼を2ついただきます」
まあこういうことだ。
モンスター狩りでゴールドに困ってない自分はキメラの翼を元手なく買える。
モンスターを避けたい商人の2人からするとキメラの翼もそこそこの経費となる。
3人全員が得する取引ということだ。
トーマスさんがにぱーと笑う。いい笑顔だ。
黒こしょう商人もにぱーと笑い、俺もにぱーと笑う。
笑顔はビジネスで大事。古事記にも書いてた多分。
世界が平和でありますように。
そしてバハラタに3人で着くと黒こしょうを買い付けルーラで一度ポルトガに、その後ロマリアに。
それぞれで2人と別れバハラタに戻り黒こしょう屋に向かう。
さてここにはダーマ神殿と行き来してる商人がいるはずだ。
何日か時間はかかるかもしれないが、その人に会えれば後は簡単。さっきのと同じ手順でバハラタとダーマを往復すればいい。
そんでなんとかなれーってしてるうちに、俺はダーマに到着したのだった。