俺の作るジュースが美味しい   作:とうもろこしヘッド

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 聖母マーリアの思し召しだな。
 サンボマースターって良いよな。


G.I編になったからタイトルを変えてみよう。

 草原を進み続けるとアントキバと言う町に着いた。ビスケが来るかもしれないので直ぐにこの街を去ろうと思いそのまま通り過ぎようとしたところ男に声をかけられチームの勧誘をされた。

 

 長くなりそうと考え勧誘の件は断り街を抜けようとした時、1人の男が泣いているので気になりはしたがそのまま歩き始めると

 

 「そこの君!大人が泣いているのに声を掛けないとは白状じゃないか!」

 

 後ろから腕を掴み泣きつかれた。面倒くささ満載だがこのままずっと縋り付かれると終わらないと思い何故泣いているのか理由を聞いた。

 

 理由を聞くと男は直ぐに泣き止み急な説明口調で話し始めた。

 

 どうやらこの男は小説家らしく自分の執筆している小説に筆が載らず困っていたとのこと。

 

 「じゃあこんなのはどう?ジュースを念で作って売る少年の話。」

 

 「そんなつまらなそうな小説誰が読むんだ!」

 

 ケッ、手伝って上げようと思ったが自分のセンスを馬鹿にされたので腕を払い除け歩き始めた。後ろから何か言われたが聞こえなかったフリをして進み続けた。

 

 「小説家・タニィス・アンバーソン」G.Iの内では割りかし有名な男。アントキバの街にたまに姿を見せて、良い設定の話を話すとお礼に指定ポケット23.

「アドリブブック」をくれるレアキャラ。

 

 初期の街で手に入るカードであるがタティスの現れる確率がランダムな事と小説の設定を話してもタティスが気に入らなければカードを貰えないと言う事から入手難易度は地味に高い。

 

 そしてジョセフはこのカードのイベントの事を知らず次の街へ向かった。

 

ーーー

 

 危ねェ!

 

 次の街へ向けて走っていると、物陰から武器を持った男が顔目掛けて攻撃してきたので咄嗟に避けた。

 

 いきなりの一撃。だが回避は間に合った。頬を掠める風圧。切られたのは髪の毛が数本。無傷に近い状態で敵を観察した。

 

ーーー

sideビノールト

 

 チッこのガキ一発で片方の目を持っていきたかったが軽く避けやがった。…まぁ良い髪は切れた。

 

 「切ってやったぜ、お前の髪!…俺はな切った髪の毛を…食うことで!髪の毛の持ち主でさえ知り得ない肉体の情報を知る事が出来る。肉質、病気の有無、遺伝的強さ、、、ンッ?」

 

 な、なんだコイツ!?いつも通り、いつも通りだ。年齢、性別、骨格、筋肉量、内臓の状態、修練の痕跡、全てがいつも通り読める。

 

 数値は出ている、情報も揃っている、だが!おかしい!妙にズレる…普通ならもうこの段階で結論が出ているはずだ。…情報の流れに継ぎ目が見える。まるで異なる二つの人物が無理矢理縫い合わせたような感覚。

 

 二重人格か…いや違う。今まで戦ってきた多重人格の奴も頭は狂ってたがこんな風には見えていない。

 

 それにコイツ!

 

 「何なんだ!お前は!」

 

 俺の答えにガキは何も答えない。ただ俺を観察しオーラを研ぎ澄ましていく。

 

 人間の経験は一本の線として見える。しかしコイツは2本に枝分かれしていて二つになっている。まるで異なる性質が同時に成立している。

 

 …あり得るのか?

 

 ビノールトの脳裏に一瞬、仮説が浮かんだ。

 

「まさかお前…念の系統が、……

 

 喉まで出かかった言葉を止めた。

 

 馬鹿げている。そんな例存在しない。だが、否定し切れない…

 

 …考えるのは辞めよう。念の他にも子供にしては類い稀なる才能のオーラそして肉体の素質。見続けると、この場にはいない2本目の男の情報が脳内を侵す。

 

 おもむろに手に持っているハサミと腰に付けていたシザーケースを地面に置き戦闘の構えをとった。

 

「武闘家として手合わせ願いたい。」

 

 「来い。」

 

 俺の発言に肯定すると相手も構えて出方を伺っていた…ありがたい。

 

 ビノールトは地面を蹴った。無駄のない踏み込み、相手の視線、重心、呼吸、全てを考慮した上での最短距離。

 

 取った!

 

 確信…顎に向けての掌底

 

 「なぁ!?」

 

 防がれた!自分の手を見ると相手に掴まれ攻撃が止まっている。手は直ぐに離されお互い攻撃が当たる間合い、何で来る!

 

 ビノールトの前に拳が迫る。

 

 オーラが薄い!これはブラフ!狙いはこの後の脚!

 

 ビノールトの長年の経験からオーラの攻防移動を考慮し迫り来る拳はフェイントだと判断した。例えこの拳が身体に当たってもオーラの量から大したダメージを負わない、そう考えた。

 

 だがビノールトはジョセフの「流」の恐るべき速さを知らない。ジョセフの拳がビノールトに当たる数瞬、拳にオーラを急速に集め振り抜いた。

 

 コイツ!オーラの流れが恐ろしく速ィ

 

 「ッ!!!」

 

 衝撃。視界が白く弾けた。オーラの上から芯を撃ち抜かれた感覚。

 

 膝から崩れ落ち、視線が地面に近づく。

 

 クソがぁ

 

 理解が追いつかないまま、意識が飛んだ。

 

 数秒後。ビノールトは仰向けのまま、空を見ていた。足音がコチラに向かってくる。

 

 「…参った、降参だ。」

 

「なんで俺を狙ったの。」

 

 「狙った訳…そんな理由、ない。」

 

 クソッ、クソ、クソッ…俺だってこんなこと始めっからやりたかった訳じゃない!

 

 「俺はこのゲームから降りる、嫌気が差した。」

 

「何にも分かって無いんだよね、色々教えてよ。」

 

 ハァ、さっきまで殺そうとしてた奴に教えを乞うか。乾いた笑いが止まらなくなり、自然と殺人犯から何を知りたいんだと強めに聞き返してしまった。

 

「アンタが快楽殺人犯って言うのは今知ったけど、さっきの顔はとても楽しんで人を殺す人の顔じゃなかったよ。」

 

 目尻に熱が溜まった。何故か子供の頃の自分を思い出した。貧民街で食うに困った毎日を暮らしていた。念に目覚め生きる為に人を殺した。最初は戸惑ったが次第に薄れていく殺しへの感情。更にその行為に気持ち良さを覚え始めた。

 

 だが理由なんて後付けだ。

 

 顔を手で覆い、数秒黙る。そして、ゆっくりと手を下ろした。

 

 「ブック…今から話せるだけ話す。」

 

 今まで自分が経験したG.Iの事を全て話した。カードの事を中心に実践で役立つ情報も覚えているだけ教えた。カードも自分の必要最低限のモノ以外は全て渡した。

 

 「…これで貸し借りは無しだ。」

 

 話は終わり子供から背を向けて歩き始めたところ後ろから声を掛けられた。

 

「こんなに良くして貰っていいの?」

 

 「あぁ、お前への迷惑料だ…じゃあな」

 

 迷惑料と、昔のどこかに置いてきたあの感情を思い出させてくれた感謝料だ。後半は口に出さない。

 

 殺人犯として、いや1人のハンターとして自分の念能力を疑った時点でもう駄目だな。自分の念が狂ったみたいだ。最後にもう一回だけ試したらこのゲームを辞めよう。もちろん殺しは無しだ。

 

 そう決意しビノールトは歩き始めた。

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