ホシノツルツル
「こんなところで何やってるんですかユメ先輩。さっさと帰りますよ」
「ありがとうホシノちゃん!」
散らばりケツから煙を上げる屍と化した汚いオブジェを踏みながら、私に近づき手を差し伸べてくれるホシノ。
手を取り、立ち上がると私にとっては速い歩みのホシノにズルズルと引っ張られ、引き摺られないように『ごめんねぇ』と言いながら仕方なく屍を踏んで必死にホシノについていった。
今回、私は素で誘拐された。
ホシノが荒らしたせいで話の分かるギトギトやらヌルヌルやらが減り、その隙間に侵入してきたカチカチとかいう連中によって。
連中は何がしたかったのか知らないが、越えてはならない一線を理解できず、不敬にも私を誘拐した。
そんな彼らに
「全く、またちょっと目を離した隙にいなくなるなんて」
「ひぃん」
ホシノのくせに一丁前に嫌味とは、偉くなったもんだ。
「どうするんですか?放っておいたらまた攫われますよ」
「その時はまた助けにきてよ。痛い目見たから暫くは静かだと思うし。もう一回やるようなら何とかしてもらおうかな」
「そうですか」
あの何しても噛み付いてくる狂犬ホシノが丸くなったもんだ。ストレス発散にもっとボコボコにしたかったのか知らないが、不満満々の顔ながら歯型をつけにくることはない。
あの屍共はヴァルキューレだと金とかですぐに解放されてしまうので、基本放置だ。賞金首がいれば小遣い稼ぎに突き出すのもいいが、確認するのも手間だ。
繰り返すようならあることないこと言えば矯正局で受け入れてもらうようにしている。
生徒でないならこっちでどうにかするがどっかの生徒なら流石に一線は越えられない。
「今から晩御飯買いに行ったら遅くなっちゃうね。どうしよっか?」
「別に遅くなってもいいでしょう。明日は予定もないですし」
不正解。正解は『じゃあ何処か食べに行きましょうか』だ。まあそれはそれで気持ち悪いが。
「じゃあ柴大将のところに行こうよ。心配してくれてたみたいだし顔も見せときたいからね」
「話聞いてました!?」
聞いてはいた。
「まあまあ、今や殆どの人はアビドス郊外に住んでるんだからさ。顔見せみたいなもんだよ。私たち生徒会はアビドスの最高機関なんだからさ。皆に知ってもらっておかないと」
立法、行政、司法すべて揃った最高機関とか不健全の極みだけどね。そんな権力を持った顔も知らない小娘の法に従えってのも不安だろうから、せめて顔くらいは見せるようにしている。
原作でやってた署名活動とやらもそういう意味ではやらないよりよほどマシだっただろう。
「それなら、まあ……」
「じゃあ行こうか!」
平和だね