「っ〜〜〜〜!!」
牛3匹くらいの時。うつぶせになり、枕に顔を押し付け足をバタバタさせながら音が漏れないように叫ぶ。声なき叫びというやつだ。
このまま枕を壁に投げつけて蹴り飛ばしたい。
溜まりに溜まった行き場のないストレスに力を加え、枕に向かって動直線運動させる。
しかし、こんなことをしていても私から放出されるのは微々たるストレスエネルギーのみだ。今の私は魔女になれば世界を滅ぼしかねない魔法少女級のエネルギーを抱えているのだ。
隣の部屋では闇落ちしたら世界––キヴォトス––を滅ぼしそうな特級呪物が眠っていると考えると、この家はとんでもない火薬庫だ。
ここで暴れてホシノに見つかるわけにもいかないので、少し外にでよう。
そう考え、コソコソと玄関へ向かう。
後ろを見ながら、どうしても少し音をたててしまうドアノブを恐る恐る押していく。
そして、ホシノが寝てる部屋から一切の物音がないことに安心し、歩を進めた。
「随分と早起きなんですね、ユメ先輩」
……!?!?!?咄嗟に叫び声をあげそうになった口を左手で塞いだ。
「あはは……いつもはまだまだ寝てるんだけどね」
バクバクと暴れる心臓を落ち着かせながら軽口を叩き、ゆっくりと声のした方に向き直ると冷たい目をしたホシノが立っていた。
「先輩って案外分かりやすいですよね。嘘をつかなければ何でもいいと思ってるんですか?」
「……」
「まるで本当に早起きみたいな言い方して、どう考えても寝てないでしょう。鏡でも見てきたらどうですか?日中は誤魔化してたのかもしれないですけど、ひどい隈ですよ」
何故こんなにも煽り性能を全開にしているのだろうか。ミーアキャットがワンワン吠えているような違和感的なものを感じる。
「ホシノちゃんこそこんな時間にどうしたの?」
どんな答えを期待しているのかわからない。いや、答えを期待しているわけでもないような煽りは相手にする意味がない。バッサリとスルーして質問を返す。
「ただの早起きですよ」
……殴りたい。その1秒後には亡骸になってしまうだろうが。
「そうなんだ。私は二度寝でもしようかな。ホシノちゃんもしっかり寝たほうがいいと思うよ」
ホシノに用はない、なんなら少し離れる為に外に出ようとしたのにホシノと話を続けるのではなにをやっているのか分からない。
会話をぶった切り、踵を返して部屋に戻る。別にやましいことがあるわけでもない、ホシノが私を呼び止めることもなかった。
結局ホシノが何をしたかったのか、目的なんてなく私の気配で起きただけなのか……それともただの早起きか。まあ、どうでもいいか。
部屋に入る為に捻るドアノブは少し重たくて、両手で回した。
なんか土曜日一つ飛ばしてたみたいですね。さっき気が付きました。すみません