少し気合いの入った朝食を作りながら、明るい鼻歌を歌う。弁当も作ろうかと思ったが私の手料理よりも外で食べたほうがホシノも気分良く食べられるだろう。
いつもなら呑気に皿を洗っている隙間時間は、今日のデートの不安に押し潰される時間に変わってしまった。
ホシノは私に依存している。好きだとか、正な気持ちはではなく己への不信という形で。
自らの選択を信じられないから私にその選択を委ねている。しかしあのエゴさは依然としていて、いちいち私に対して不満だったり、嫌悪だったりを雰囲気に醸している。
つまり仕方なくお前の言うことを聞いてやっているアピールがとてつもなくうざい。
その彼女がなんのイヤミもかますことなく水族館行きを了承した。そんなことはないと分かっていてもついに殺されるのではないかとヒヤヒヤしてしまう。アビドスの外なら全部無罪とか考えていないだろうか?
流石にそんなに頭ゲヘナではないと信じたい。いや、ゲヘナに失礼か、彼女は頭ホシノなのだ。断固として退学・監禁されたがる女、何を仕出かすか予想がつかない。
体がホシノ、頭がホシノ、名前がホシノでスリーアウトだ。勘弁してくれ。
「おはようホシノちゃん!」
悶々としているとホシノが姿を現した。ちらりとこちらを見た顔には朝からうるせぇと書いてあり、そのまま無言でこちらまでやってきてフライパンやまな板を見て去っていった。
――後どれくらいで朝飯できる?まだあんま進んでねえじゃねーか。んじゃ風呂入ってくるわ。
彼女の無言は私の耳にはそう聞こえた。
もはや何本目か分からない堪忍袋の緒が切れた音をごまかすように肉を切り刻む。
かつては暴力的とかそんなのは想定していたが、こんな思春期の娘を持った母親みたいなストレスを抱える気はなかった。
「ッ……」
食べ物に当たったバチか、考え事の所為か抑えていた右手を少し深く切ってしまった……、不覚。
「……っぷ」
暫く抑えて止血していると下着姿のホシノがやってきた。相変わらずホルスの行水といったスピード感だ。
「って先輩何やってるんですか!?」
「止血」
言われてみれば手から血が滴る光景はそういうふうに見えなくもない。
左手で右手を抑えているから出血箇所も曖昧に見えるだろうから。
また暴走されても困るため経緯を細かく説明するよりも落ち着いてもらうために、この状況を望んでいないことを伝える二文字を咄嗟に吐き出した。
「ちょっと切っちゃっただけだから、絆創膏持ってきてほしいな」
ホシノの少し緩んだ顔は少し早歩きで絆創膏を取りに行き、戻ってきた時には呆れ顔に変わっていた。
お久しぶりです。3月末に最後の手術をして晴れて自由の身になります。ちゃんとした更新再開はそれからになるかと思います。纏った時間が取れてないだけで、個チャとか感想は普通に返せるんで、遠慮なく送ってください(感想は返したくなったときしか返してませんが読んではいます)。
あと話変わりますが、読んでもらってたらわかると思うんですが、この小説は私が書きたくて書いていて、ここに投稿しているのはかなり何となくです。つまり、あまり多くの人様に読んでもらうつもりはなかったわけです。それで自分の中では人に見せられるクオリティで作っていたつもりはなく、それをこんなに読んでもらっているのが申し訳なくなってきました。
なので、いったん完結まで投稿し終わったら人様に読んでもらえるクオリティのものにリメイクしようかなと思ってます。