「ひぃぃぃん」
そもそも違法な金なんて持ってなかった――書面上は合法だ――し、ホシノの要求に答えることは何の問題もなかったのだ。しかし昭和のポリ公も真っ青な取り調べにより虚偽の自白を強要された私は弁護士(いない)が来るまでひぃんひぃんと泣くことしかできなかった。
その翌日、ホシノは学校に来なかった。
私は焦った、それはもう今世最大に焦った。あの可愛げのないホシノは心をブリリアンカットにすれば輝くキヴォトス最大のダイヤの原石――神秘――なのだ。
失うわけにはいかない。
あっさりとホシノは見つかった。私が設置した監視カメラに彼女が最後に映ったところの足跡をドローンに追わせて家にいるのを特定したのだ。まぁないとは思うが失踪してなくてよかった。
ピンポーン……。
「…………」
ピンポーン……ピンポンピンポーン……。
「………………」
ピンポーン……。
「ホシノちゃーーん!」
「……」
あぁ、面倒くさい。いっそ扉を蹴破ろうか、現アビドスでは私が法みたいなもんだし合法だ。違法でもキヴォトスなら大した罪にはならない。
……いや、好感度を稼がなければならないのだ。ホシノからのヘイトを買うような行いはすべきではないだろう。
しばらく考えたが、名案は浮かぶことなく盤石な座り込みをすることにした。
座り心地のよくない地面でスマホをポチポチしながら待つこと数時間。
ホシノがあらわれた。
「いい加減にしてください!いつまでいるつもりなんですか!」
威勢のいい口とは裏腹に目線はチラチラと軽く包帯に巻かれた私の右腕を撫でる、不快だ。
「ごめんねホシノちゃん、昨日は嫌なもの見せちゃったから謝りたくて……」
「はぁ?そんなことの為に来たんですか?それならもういいので帰ってください」
「それだけじゃないの!もうホシノちゃんが学校に来ないんじゃないかと不安で……」
「不安?私みたいなのがいなくなれば清々するんじゃないですか?それとも私を利用して何かしたかったんですか?」
……図星。
「私ね、2年生の時はずっと1人だけで寂しかったの、だから来年はホシノちゃんと一緒にいられると思ってすっごく楽しみにしてたの。みんなアビドスを諦めちゃったのに、まだなんとかしようと頑張ってくれる子がいるって知って、とっても嬉しかったから」
「……そうですか」
それからホシノは学校に来るようになった。基本自分の部屋――生徒会長室――にいる私にはなかなか会ってくれないが、時たま絡みにいくと挨拶くらいは返してくれる。
あと、緊急時の為とか建前を並べた結果、プライベートのアカウントにトリニティの女狐に次ぐ2つ目のアイコンが追加された。
最近喋れるようになった女狐はいうて出てこないので期待しないでください。