「おはようホシノちゃん!」
「……おはようございます」
今日も返事は良好。地に落ちていた私への好感度はかなりマシになってきたのではないだろうか。
「毎日お勉強頑張ってるね」
「……まぁ」
しかし、ここで停滞するわけにはいかない。焦りは禁物だがまだまだ好感度を稼がなければならないのだから。
「学校として最低限のものは揃ってるはずだから言ってくれれば持ってくるね。画面ばっか見てお勉強っていうのもあれだから」
「わかりました」
そのための策は用意した。さり気なく私の善行を認知させるのだ。悪人だと思われている今、良い子ちゃんになったところで媚ってるようにしか見えないだろう。
過去は変えられない。しかし、美化できる。昔からいい子だったと理解してもらおう作戦。
具体的には、数年前の学校の資料を読ませる。当時の学校の様子を理解すれば、今どれだけ改善されたか分かってくれるだろう。
持ってきたのは難しそうな本、お魚図鑑、アビドス史、を詰めた本棚である。なかなかいいチョイスではなかろうか。
読めといっても読んでくれないと思うので自発的に読んでもらえるよう頑張って選んだのだ。
「とりあえず今日は本を持ってきたよ!って言ってももう学術本とかアビドスの資料しか残ってないんだけどね」
「そうですか、ありがとうございます」
相変わらず淡白な返事だが目はお魚図鑑に吸い込まれている。釣り餌にはパクリと喰い付いたようだ。
「それじゃあお勉強頑張ってね!」
私がいると未だ残る反抗心から私が持ってきた本は読んでもらえなさそうなのでそそくさと退散した。
ホシノの様子を定点カメラで見るため私の城――生徒会長室――に戻ると顔面に罅の入った不審者がいた、キモすぎる。
……ヴァルキューレに通報……してもアビドスには来ない。よし殺そう。
「ホシノちゃん助けてー!」
…………。
大声で叫ぶも何も起こらない……分かってはいたさ。
「クックックッ、安心してください。この部屋は一時的に防音のようなものになっていますので」
密室で2人きり……九千万で示談かなぁ。
「それで?何の用なのさ?」
「いえ、落ち込んでいらしてたようなので様子を見に来ただけですよ」
キモい。
「悪い大人に観察されてるなんて気持ち悪いなんてもんじゃない」
「それはそれはすみません。同じ悪い大人としてお節介を焼いてしまいました」
何故かこいつは昔から私を友人扱いしてくる。確かに話は会うがそれだけだ。
「だから非力なJKだって言ってるじゃん」
「クックックッ、この箱庭には貴方ほど非力な生徒などいないのですよ……」
うぜぇ。
「そういえばホシノに声かけるなって言ってたの、撤回する。好きにすればいいさ」
「おや、それはそれは。後日何かお礼の品をお送りいたします」
後日届いたのは水族館のペアチケットだった……キモい。
思ったより速く書けるので六日一にします。