大怪我はできず、ホシノに罪悪感抱かせる作戦②は失敗したが、まさかの同棲に漕ぎ着けたあの日から数日。
ホシノは頑張っている。彼女の汚れた制服曰く、今日もいくつかのヘルメット団を壊滅させてきたらしい。
ホシノは何時も帰って来ると私の様子を見に来る。逃げ出してないかの確認か、弱っちい私がコロッと死んでないかの確認かは知らないが。
「ホシノちゃんおかえり!」
「……」
無視……気が立っているのだろう。仕方ない、最近は蹂躙に明け暮れているようで、多分ろくに寝てもいない。
ここ数日は取り敢えず放置して様子をみていたがかなりストレスが溜まっている様子。つまりつけ入る隙があるはずだ。
「ホシノちゃん、ご飯食べてる?顔色悪いよ」
「しっかり食べてます。あなたと一緒ですよ」
つまり、ゼリー飲料……。不満がないと言えば嘘になるが、別に私はそれでもいい。ここでゴロゴロしてるだけだから。けど、ホシノは違う。毎日元気に動き回っているのだ。
「それはしっかりって言わないよ。ホシノちゃんは毎日頑張ってるんだからしっかり食べないと。体壊しちゃったら一人しかいないアビドスはどうするの?」
「それは……」
まぁ、キヴォトス人,それも『暁のホルス』が栄養偏ったくらいで体を壊すかは知らないが。
「ね、レトルトでもいいからもうちょっとちゃんとしたの食べようよ。買ってきてくれれば後は私がやるから」
「……分かりました」
「ありがとうホシノちゃん」
ホシノは思っていたよりは大人で、恐らく嫌っているであろう私相手でもある程度理性的に話を聞いてくれるし、融通も利く。
……キヴォトス基準で。
「何か困ったことはない?」
「……治安が悪くなりました。今まで大人しかったヘルメット団が急に活発的になったみたいです」
『私=悪いやつ』とは思っているようだが、いや、だからこそ『私=無能』とは思われていないようで仕事については促せばちゃんと聞いてくれる。
監禁されててなんもできないから使えるとこだけ使おうとでも思っているのだろうが甘い。私なら口八丁でアビドスを破滅させる自信がある。もちろんさせないが。
まだ悪い大人に騙された経験が少ないのだろう。
これからに期待である。
「今までは完全に放置してたから安心してたんじゃないかな。そこに急に同業が襲われた!ってなったらぼーっとしてるわけにはいかないと思うよ」
「じゃあどうすればよかったんですか?」
「これでいいんじゃないかな。次から次へと湧いてくるって何も悪いことばっかじゃないでしょ」
賞金首が次から次へと手に入るのだ。ホシノにはピッタリな仕事だろう。
「それもそうですね」
まあ被害に遭うアビドスに残っていただいてる方々には申し訳ないんですけどね。