CSI:クラナガン   作:アイバユウ

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新暦76年4月1日午前10:45

 

午前10:45 クラナガン自然保護区 中央部 クラナガン自然保護区分署 

 

エルガはそこにヘリで到着していた。

保護区内で女性の遺体が発見されたとの連絡を受けてである

基本的に自然保護区の出入りするには厳しいチェックが行われる

簡単には入れるところではないのだ。

車で入る時は積み荷確認も行われるぐらいである

死体を簡単に持ち込めるところではない

すでに現場鑑識を終えていた遺体搬送が行われていた

遺体は自然保護区分署の検死ラボに移送されていた

いつまでも自然保護区内の森の中で死体を置くわけにはいかない

動物が寄ってくる。そうなれば現場の関係者にけが人が出る

自然保護区内の事案は素早く対応することが求められるのだ

 

「相変わらず空気がきれいだな」

 

自然保護区内の空気は綺麗だ

まさに自然のど真ん中にある分署なので当然であるが

 

「早速検死に立ち会うか」

 

検死ラボに入るとすでに検死が行われいた

 

「エルガ。とんでもないお荷物を背負わされることになったと有名になっているぞ」

 

検死官の言葉にエルガは仕方がない事だと回答した

エルガはヴィータ・八神の教導官を務めることになっている

これからいろいろと苦労することは百も承知である

 

「機動六課組の教導官をやらされる。これも任務だからな。それに教導官手当てがつく」

 

それで我慢すると。

シエルは機動六課組の教導官役を任される捜査部捜査官に特別手当を用意していた

甘い汁を用意しないと乗ってくるはずがないからだ

嫌な仕事を引き受けることなどありえない

 

「それでこの遺体の身元は?」

 

「指紋でわかった。名前はレナース・ヴェロック。犯罪歴はかなりある。魔法至上主義組織に加盟していた」

 

魔法至上主義組織。AMFが登場するまでは魔法こそが真の力であるとする集団である

JS事件まではいくつもの組織が存在したがAMF装置の登場でほとんどすべてがつぶれた

今は1つに集約されている。この組織は主に退役時空管理局員によって構成されている

次元世界連合はテロ組織として認定している

多くの組織幹部は身柄が拘束されて捜査を受けている真っ最中である

魔法至上主義組織は魔導師育成のために非合法のことをしてまで確保してきた暗い歴史がある

時空管理局犯罪捜査局も捜査を行っている

 

「テロ組織を相手にしないといけないのか。苦労するだろうな」

 

テロ組織を相手にするには強力なバックアップが必要になる

捜査部単独での捜査では限界がある。港湾パトロールや連邦機関との連携も必要だ

難しい案件になることは間違いない

 

「とんでもない事件を担当することになったな。死因は?」

 

「血中からかなりのアルコールが検出された。0.4%。それと腹部に銃弾を受けている」

 

弾の口径は9mmのホローポイント弾。それも被弾したのは1発だけでなく4発も食らっている

確実に殺すつもりがあったのだろう。問題は何が理由で殺されたかだ

それと血中アルコール濃度が0.4%という事はほぼ昏睡状況である

意識はなかった。自殺などができるわけがない。つまり第三者が引き金を引いたことになる

 

「すごい大酒飲みだな。意識がないから誰かに殺されたことは間違いない」

 

『ピーピーピー』

 

エルガの携帯電話に着信が入ってきた。発信者はシエルからだ

彼はため息をついた。何を言いたいのかは察しがすぐについたからである

 

『エルガ。これからあなたが担当する生徒をヘリで送るわ』

 

エルガはヴィータの教導官を担当することになっているが、

まさか直接こちらに送り込んでくるとは予想していなかった

 

「本気か?」

 

『私はいつも真面目よ。とにかくあとは厳しく教導官役をよろしく』

 

シエルは言いたいことを言うと通話を切った

エルガはシエル首席捜査官の無茶ぶりに頭を抱えそうになった

トラブルが待っているのは予想できていたがそれをヘリで空輸してくれるとは

迷惑すぎる話であることは間違いない。

 

「問題ができたのか?」

 

「最悪なプレゼントが俺のところに届く。世の中厄介なものばかりだな」

 

他に何か方向はあるかと聞くと腕に多数の注射痕があるとのことだ

おそらく麻薬を常用していたのだろう。問題はこの自然保護区に何をしに来たかだ

 

「血中からメタンフェタミンも検出された。血中濃度は通常の使用量とそれほど変わらない」

 

「わかった。あとで報告書を俺の端末に送ってくれ」

 

了解と検死官が返答したの確認すると検死ラボを退室

分署地域情報センターに向かった。その間も最新の報道番組をチェックしていた

 

『クラナガン原油先物価格が高値で動いていることから備蓄原油の放出の用意があると』

 

『一部関係者からは原油価格の高騰は国内経済のインフレにつながるとして価格安定化を目指すと』

 

『時空管理局の暗部であるHRの幹部は逃走を続けています』

 

HR。時空管理局の暗闇の部分の組織である

時空管理局に都合が良いように活動していたが今は数多くの汚職疑惑で幹部は逃走

多くの法執行機関が追跡をしている。しかし状況はかなり悲惨である

幹部が死体になって発見されている。理由は犯罪組織からヒットマンが送り込まれているからである

犯罪組織は時空管理局と手を組むことで麻薬などの違法物資の『安定供給』に関係づくりができていた

しかしJS事件後は状況は大きく変わった。関係者が逮捕されたら情報が洩れる

それはそれでかなり危険なことになる。だからこそ犯罪組織は徹底的に追いかけまわしている

法執行機関と同じように。法執行機関と異なるのは見つけたら殺されるという事である

 

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東区東部 港湾パトロール本部基地 北部区域 港湾パトロール飛行場

 

ステラとマイアは基地飛行場に到着するとすぐにベルカ州に向かうC-5に便乗させてもらった

記録を残さないで向かうためには貨物として向かうことが最も最適である

ただし輸送機が墜落した時は名簿に記録が残っていないのだから行方不明で対応されることに

冷たい反応と思われるかもしれないが諜報活動というのはこういう事である

 

「久しぶりにC-5に乗り込むわね。貨物としてだけど」

 

C-5は港湾パトロール飛行隊が保有する輸送機の中で最も積載量が多い輸送機である

今回の積み荷は主にMk.82無誘導爆弾である。

念のため、ベルカ州で空爆された後の補充用に使用される爆弾を輸送するのだ

無誘導爆弾と言ってもJDAM装置を取り付けるとGPSや慣性誘導で精密空爆が可能になる

 

「それにしても爆弾と一緒っていうのがスリルがあるわね」

 

ステラの発言にマイアは私たちの任務は常に危険な事ばかりですからと

確かに捜査部捜査官は危険な任務を任されることが多い

時には長期間にわたる潜入捜査を行うこともある

命を懸けて罪のない人々が平和に暮らせるように任務遂行をしている

苦労は多いが

 

「それもそうね。あとはどうやって聖王教会に潜入するか」

 

こちらの正体はわかっているから簡単に潜入することは難しい

すでに港湾パトロール安全保障局に依頼をして偽造IDを作成させている。

問題は顔のことを知られていないかである。

魔法で姿を変えていたらたちまち魔導師だとばれてしまう

それは極めてリスクが高いので魔法は使うことはできない

 

「信者の服装で入るしかないわね。偽造IDを見破られることがなければいいけど」

 

ステラは最もそれを恐れていた。

偽造IDを使って聖王教会に潜入していたことが露見したら大問題になる

クラナガン捜査局の立場もかなり厳しくなる。行動は慎重にすることが求められる

 

「本当に嫌な仕事だけど何とかするしかないわね」

 

C-5輸送機は駐機スポットから滑走路に移動を開始した

滑走路に入り次第すみやかに港湾パトロール飛行場を離陸していった

ベルカ州中央地方ベルカ市郊外に設置されているベルカ基地に向かって

 

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東区東部 ミーミルクラナガン貨物ターミナル パトロール事務所

 

アルシオーネはジャスティから引き継いだ作業を行っていた

何か怪しい貨物がないかなどの検索作業である。

30番線に入線していた貨物列車から怪しいものは確認されなかった

50個の貨物コンテナをすべて非破壊検査で確認したが異常なものはない

これで少しは安心できる。だが、まだほかにもこれから次々と入線してくるのだ

予定ではあと10本の貨物列車が入線する。その中でベルカ州に向かう貨物列車は2本

どちらも貨車を50両編成している。積み荷は主に機械部品となっている

 

「怪しい貨物コンテナがあるか調べるのはまた一苦労しそうね」

 

ちなみにこの貨物ターミナルで降ろす予定はない。逆でさらに積み込む予定となっている。

ベルカ州に危険物が持ち込ませるわけにはいかないので、入念なチェックが必要になる

 

「積み込む積み荷のチェック作業は終わっているのか確認しないと」

 

彼女はデータで不審な貨物重量などがないか確認したが異常はなかった

とりあえずは一安心できる。しかしまだまだ本番はこれからだ

今は何が起きるかわからないのだから警戒心は常に持つことが求められる

 

「港湾本部に連絡してベルカ州行きの貨物列車について、路線の安全確認ができているか確認させないと」

 

今はそれが最優先にそれをしなければいけない

もしも大きなトラブルが発生するとベルカ州とクラナガン市を結ぶ鉄道路線が止まってしまう

ベルカ州から生鮮野菜などが送られてこなくなれば市内の人々の生活に影響がある

冷蔵コンテナで貨物列車を使ってベルカ州から近隣州の人々の食生活の命綱である

 

『港湾本部から各員へ。デフコンレベルを3にする。ベルカ州域内においてはいつ内戦が起きるか不明』

 

要警戒をとの命令だった。大きな問題になることは間違いない

貨物列車の運行についても当然影響がでてくる。線路の安全確認作業が必要になる

現在でも鉄道ダイヤが乱れているのにさらに混乱を招くことになってくる

これ以上の遅延は許されない。影響を最小限にすることが求められる

 

『中央本部からSA33。貨物ターミナルでの貨物チェックは引き続き継続せよ』

 

「具体的にはどこまでを行えばいいのかわかっているの?」

 

『鉄道を利用したテロが予測される。危機管理はしっかりと行え』

 

「了解」

 

危機管理と簡単に言ってくれるがこちらへの影響は大きな問題になる

貨物列車はまだまだ数多くあるのだ影響を最小限にしたいと言っても難しいことはわかっているはず

貨物列車に爆弾を設置したテロ行為が行われることが予測しているのだろう

特に石油製油所で分離された石油製品などのタンク貨車に爆弾を設置することで大爆発の被害を生み出す

そんなシナリオはかなり高い可能性であることは彼女にもわかっていた

 

「ひどい話になるわね。できることならこれ以上の影響は避けたいけど」

 

問題があるとするならクラナガン市からベルカ州に向かってガソリン燃料が送られることである

ベルカ州でも今までの資源開発禁止によって豊富に原油や石炭などの鉱物資源が眠っている

資源開発はかなり進んでいる。しかしある問題を抱えている。

それは州内には十分なほどの供給ラインが少ないことだ

州内の石油製油施設は少ない。その関係から近隣州から自動車燃料の輸送が多い

 

「自動車燃料の安定供給が停止することも許されない。問題だらけね」

 

今はこの運行スケジュールを変えることなく運用することが求められている

柔軟性のある対応が求められている。そんなことはアルシオーネもよく理解している

 

「SA33から中央本部。ベルカ州行きの残り2本の貨物列車の罪に確認終了後は私も中央本部に戻るわ」

 

『それは許可できない。継続した警戒を続行せよ』

 

「本当に人使いが荒いわね。了解。引き続き警戒態勢を維持する」

 

中央本部からの命令となると逆らうわけにはいかない

よほどの理由でもない限りは

 

『次元世界連合安全保障理事会は聖王教会に対する査察を実行するか議論』

 

『聖王教会は現在内部調査中であるとして一時停止を求めました』

 

『安保理事会で議論した結果。全理事国が査察実行の承認を出しました』

 

速やかに内部査察を編成する部隊編成をすると公表した

 

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中央パトロール本部庁舎 10階捜査長官執務室

 

「本気で査察をするとなると大変だね」

 

聖王教会の内部状況に関する査察はすでに何度か行われた

しかしそれは聖王教会総会での議決によるものだ。安保理での議決は正式なものでは初めてとなる

教会は隠ぺい工作を仕掛けてくるだろう。それらの行動をさせる前に見つけ出すしかないのだ

 

「長官。次元世界連合総会でも同様の内容が決議されました」

 

エテルナ・ジンガー首席補佐官の報告にますます状況が危険な方向に向かっていることを彼は理解した

聖王教会が黙って査察に協力するとは思えない。

もしかしたら体裁をとり作るために時間稼ぎをする事もある

そうなる前に査察を行って聖王教会内部の腐敗を撤去しなければならないのだ

 

「捜査部からステラ・ドミンゴ捜査官が向かっているのは確認されているんだよね?」

 

「はい。シエル首席捜査官から報告を受けています。内密に潜入捜査をする旨を」

 

「では彼女達からの報告をこちらに回すようにシエルに伝えておいてもらえるかな」

 

それと潜入するときは最大限の警戒をするようにと

 

「わかりました。港湾パトロール安全保障局がIDを新規で作成しています。簡単には発覚しないでしょう」

 

ですが警戒を呼び掛けておきますというとエテルナは捜査長官執務室を退室した

それにしても聖王教会がどんな行動をしてくるかは全く予測できない状況である

被害を最小限にするには迅速に対応することが求められるが、

行動1つで事態がどのように動くを予測することは難しい

 

「聖王教会の派閥構造に関する報告書を見ると頭痛がするよ」

 

今の聖王教会の教皇を務めているのはカリム・グラシアである

それもただの時間稼ぎのつもりだろう。

暗い過去が少ない彼女を担ぎ上げることで問題に対処する時間稼ぎ

聖王教会内部にはかなり暗い過去があるのだ。だからこそスカリエッティが誕生したともいえる

JS事件は時空管理局と聖王教会の闇で構成されていると言っても過言ではない

時空管理局の改革はかなり進んでいる。しかし聖王教会は別である

とりあえずは体裁は対応しているとしながらも実際はあまり進んでいない

それだけに次元世界連合からは厳しい視線を浴びている

時空管理局と同じで聖王教会も規模も財務状況も大きく縮小している

聖王教会が創設した企業の多くは民営化されて株式は金融市場に売却

それらの企業にも腐敗があったことから業務改善のために厳しく審査を受けている

 

『聖王教会に対する強制査察が次元世界連合で可決されたことを受けて査察団一行の編成に入ると』

 

『不正を見逃すことなく、徹底的に真実を白日にさらす覚悟で挑むと多くの次元世界連合加盟国大使は発言』

 

「マスコミは好き勝手に報道してくれるけどその中に真実がどれくらいなのかわかっている人は少ないね」

 

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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部2係オフィススペース

 

ダイナ・コースター捜査官はある報告書を作成していた

昨年までラクロス州の州警察で教導官をしていた時の生徒からの依頼を受けて動いていたのだ

ある証拠の分析を依頼されていた。報告書を正式なものとして提出するための物である

捜査担当者が最後に報告書をまとめることが決まりとなっている

 

「DNA鑑定の結果で無罪が確定か。時空管理局による冤罪がまた1つ増えたわけだ」

 

彼が作成していた報告書はラクロス州で無罪を訴える刑務所の収監者のDNA鑑定に関する報告書だ

時空管理局は犯罪捜査をしたときにDNA鑑定で間違いを犯していたことが複数確認されている

それもかなりの件数になっているので今は多くの法執行機関が再捜査をしている

もちろん実行犯なのに冤罪だと偽証している収監者も存在している

それだけに捜査は慎重に証拠分析を再度行うことが求められる

 

「ひどい話だな。時空管理局が生み出した冤罪と思われる事案件数はかなり多い。対応するのは苦労する」

 

今はまだまだ警察組織が発足してからそれほど時間が経過していない

それだけに過去の事件の再捜査をするのはかなり苦労する。

再捜査には担当した時空管理局員の調査。さらに時空管理局犯罪捜査局との連携も必要になる

かなりの時間と人員が必要になるので対応はかなり難しい

 

「報告書の作成は本当に面倒だが依頼を受けたなら、確かな情報を記載しないと」

 

1人の人間の人生に大きな変化を迎えさせるだけの報告書なのだ

ミスをすることは許されない。しっかりとした報告書の作成をしなければならない

もちろん、こんなことは慣れてはいる。

しかし管轄を超えての分析となると証人としてラクロス州の裁判所に立ち会うことになる

これも仕事なのだから仕方がない。

 

「それにしてもだ。冤罪事案と思われるケースが多すぎてどこも対応に追われて苦労している」

 

それは中央パトロールも同じである。

再捜査申請がかなりの件数になっているので専門部署が作られている

事件再検討課という部署が設置されている。そこでは過去の事件捜査を専門に扱っている

必要であれば捜査部とも連携をとっている

 

『クラナガン市上下院議会は聖王教会の活動に関して一時的な制限を設けることを議論しています』

 

同じようなことは国内全土の州政府にも及んでいる

今の聖王教会は身動きが取りにくい状況である

 

「クラナガン市議会も無茶なことを始めるつもりかもしれないな」

 

その無茶な行動の影響を受けるのはクラナガン捜査局である

市内にある聖王教会関係施設の警戒態勢の引き上げを要請してくるかもしれない

それはそれで面倒な事である。事は穏やかに進めることの方が安全である

だが現在の状況では、そんなにのんびりできる猶予はない

 

『ピーピーピー』

 

発信者は中央本部事件再検討課のオフィスからであった

 

「中央本部捜査部2係のダイナ・コースターだ」

 

『事件再検討課のワーグ・レストです。ある事件について協力要請をお願いできませんか?』

 

何か危険な事案を抱えているからこそ支援を出してきたのだろう

トラブルが発生することを避けるために

 

「こっちはもう少しで用事が片付く。それからでもいいか?」

 

お願いしますと言うと通話を終えた

ダイナは報告書の作成をできるだけ早く終わらせることにした

しかしミスは許されないのでしっかりと確認をしたうえで、

報告書をラクロス州警察の友人にメールで送信した。もちろんしっかりとセキュリティをかけたうえで

さらにプリントアウトもして紙媒体でも送ることにした

そのことを直属上司であるミカに報告する。

そして中央本部東館の8階にある事件再検討課のオフィスに向かった

捜査部からはすぐに向かうことができる。

ビル間を結んでいる連絡橋を歩いていくと事件再検討課のオフィスにすぐに到着した

 

「ワーグ。遅れて悪いな」

 

「こちらから無理に要請をしたので気にしないでください」

 

彼は1冊の事件報告書をダイナに手渡した

そこには再捜査中の事件内容が詳細に記載されていた

事件は8年前で内容はシンプル。閉店間際のバーを襲ったことによる強盗である

逮捕されて現在収監されているのはホライトン・ディス。年齢34歳

銃を使っての武装強盗である。盗まれた金額は20万ミッド。

裁判で自分は犯行をしていないと無実を主張したが、バーにいた時空管理局員が目撃証言をした

おかげで銃の所持と強盗罪で懲役15年の判決を受けた。最高裁まで争ったが判決は変わらなかった

現在は市内の刑務所に収監されている。あと7年間は刑務所に収監されるはずだった

しかし裁判で証言した時空管理局員が数多くの偽証をしていたことで立件された

この時空管理局員は20件以上の偽証に関与したとして、

現在は時空管理局犯罪捜査局がすべての真実を白日の物にするとして捜査が進んでいる

その過程でホライトン・ディスの事件が冤罪ではないかという疑いが出たのだ

 

「かなり冤罪である可能性があると言えるかもしれないな」

 

「我々も同じ意見で捜査を進めていますが、8年前の事件は物証はほとんどないのが問題で」

 

証拠の銃は現在は中央パトロールが管理している証拠保管施設に保管されている

その他に証拠になりそうなものは証言だけであった。物的証拠はほとんどない

ダイナは最後のチャンスとして銃を調べることにした。押収された銃は[ グロック17 ]である

バーで発砲をしていないことから弾はまだ残っているはずだ

事件当時に装てんされていた。もしかしたら指紋がまだ残っているかもしれない

弾をマガジンに装てんした時には必ず銃弾に指紋が付着する。手袋などを使用していなければ

 

「証拠を再鑑定させてみるか。俺の方から電話をしておく」

 

当時の証拠は中央本部の近くにある証拠保管庁舎に保管されている

時空管理局から市内の全捜査権限が移管されたときに証拠もすべてこちらに移管されている

ちなみに市内にある各分署の近くにも証拠保管庁舎があり、

分署が単独捜査で担当した事件の証拠はそちらで保管される

中央本部庁舎の近くにある保管庁舎には移管前の事件事故のすべての証拠が保管されている

本部の近くには数多くの100階建ての保管庁舎ビルがある。

立ち入りには厳しいチェックを受けなければならない。持ち出しにも同じようにであるが

 

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南区北部ハーディー地区6番街2丁目1番地 ハーディーバンク本店 貸し金庫室

 

フィリーは盗まれた貸金庫のスペースの周辺の鑑識作業を行っていた

監視カメラの映像はだめだったので指紋などが付着していないかを調べていた

仮に指紋があったとしても犯人に結び付くかどうかは難しい判断になる

消去法で割り出すしかないのが現状である

 

「地道な作業だから大変になるわね」

 

現場鑑識チームは他の場所を調べているので貸し金庫室の鑑識は彼女単独で行っている

それに銀行としても部外者を入れるのは避けたいことはわかっている

だからこそフィリーが単独で行うことにした

 

「指紋が検出できたらいいんだけど」

 

持ち出した人物の中に不審な前歴がある人物がヒットすれば大きく前進するのだが

現実はそれほど簡単に事が進むことではないことをよく理解している

指紋だけでは犯人がだれかを突き止めることはできない。

今は手掛かりが1つでもあればいいのだ

とっかかりを見つけることができれば捜査は進むのだから

 

「メモリカードに何が記録されていたのか知りたいわね」

 

『ピーピーピー』

 

フィリーの携帯電話に着信が入ってきた

発信者はラジェットからである。何かいい話でもあるのか

 

「フィリーよ。ラジェット。トラブルを持ち込んでこないでくれないかしら」

 

『悪いが今トラブルを配達しているところだ』

 

その言葉を聞いて私は耳を疑った。まさかという結論を出したからだ

 

「まさか高町をこちらに回したつもりじゃないでしょうね」

 

『相変わらず良い感をしているな。こちらはパトカーで向かわせた。一緒に楽しんでくれ』

 

そういうとラジェットは通話を切った。フィリーは思わず携帯電話を握りつぶしそうになった

迷惑なものを配達するなんてとんでもない話だからだ

こちらは気分的には乗り気ではないのにさらに気分が良くない

 

「無茶な話をするときは一方的なのね。まぁこれも任務だと思ってやらないと」

 

フィリーはなのは・高町の教導官役を担当することになっている

本当の予定では中央本部に戻ってから顔合わせという話だったのだが

ラジェットはその予定をひっくり返してくれたようだ。現場に面倒をかけるのはやめてほしい

そう思っても文句を言っても何も変わらないのだから飲み込むしかない

 

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