CSI:クラナガン   作:アイバユウ

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新暦76年4月1日午前11:25

 

午前11:25 中央パトロール本部庁舎 8階捜査部オペレーションルーム

 

「ステラは聖王教会本部内への潜入を開始」

 

管制官のギブリの言葉を受けてシエルは常にバックアップできる状態で待機するとも返答した

 

「ギブリ、常に状況監視。必要ならいつでも応援を出せるように配置につかせて」

 

すでに次元世界連合の聖王教会査察団が教会の査察に入っている

先行部隊ではあるが。ステラはそれに紛れて潜入している。あとはいかに情報を引き出すかにかかっている。

簡単にできる仕事ではないことはわかっている。諜報活動というのはそういうものである

 

「それにしても今日のマスコミは気合が入っているでしょうね。些細なネタも取りこぼすことはしないはず」

 

おかげで情報収集が行いやすいともいえる

できる限りマスコミの報道内容にも注目する必要がある

彼らから得られる情報も極めて重要であることもまた事実なのだから

 

「ギブリ。聖王教会本部の監視を強化。外部通信の傍受は特にね。必要なら港湾パトロール安全保障局に依頼して」

 

港湾パトロール安全保障局は通信傍受のための施設を数多く保有している

そのため港湾パトロール管轄エリア内の通信はすべて通信を傍受することができる

通信データ量が多いので分析には少し時間がかかってしまうが

 

『次元世界連合による強制査察が開始されました』

 

『この査察を受けてベルカ州証券取引所の平均株価はかなり大きな値動きをしています』

 

『ミーミルバンクはセントラルベルカバンクが抱えている大量の不良債権を何としても回収すると表明』

 

不良債権化したものについてはあらゆる手段で債務者の財産を押収して回収すると表明していた

どんなことにも見逃さないことが求められる。不良債権の回収には特にだ

不良債権処理は簡単に事を進めることはできないことはわかっているがあきらめるわけにはいかない

どんな手段を使っても焦げ付いた債権の回収が求められる

セントラルベルカバンクが抱えている不良債権は最低でも3000兆ミッドにもなる

最大の場合は数京ミッドになるという試算もある。すべてを回収することは難しいのはわかっている

それでも回収できるものはあらゆる財産を差し押さえる必要がある

 

「セントラルベルカバンクから融資を受けていた人間は大変ね。徹底的に回収されるから」

 

今は融資をしても問題ない。一部問題あり。不良債権になりうる。不良債権の4種類に分類される

セントラルベルカバンクの場合は不良債権が半分以上を占めている。破綻しているのだから当然ではあるが

そのほかにも聖王教会系のノンバンクであるベルカローンという金融会社も破綻した

ここはさらにひどくて不良債権が1京ミッド以上あるとされている

ここの債権回収は簡単なことではないので今のところ業務引受先を探しているところである

だがこんな泥船に手を貸すような企業が簡単に現れるとは思えない

金額が金額だからだ。融資の審査もずさんであったことも不良債権の金額を大きくした最大の理由である

債務者は何百万人にもなる。少額融資から高額融資まで幅広く融資を行っていた

聖王教会関係者だけでなく時空管理局関係者も利用していた

そのため、金額がかなり多いのだ

回収することは難しいとしながらも、連邦準備銀行が債権回収専門会社を立ち上げて債権回収する予定だ

ただし簡単に事が進むわけではないことはわかっている

そんなことはだれでもだ。それでも誰かがやるしかないのだ

それが仕事なのだから

 

『イーストセントラル駅での爆弾予告ですが一部関係者の話から駅構内が停電しているとの情報が』

 

『予告そのものに信ぴょう性が出ていることは間違いないかとという評価が出ています』

 

「マスコミは好き勝手に報道してくれるわね。こっちは対応に追われることがわかっているくせに」

 

もし東区のほかの場所にも爆弾が設置されているとなると急いで探さなければならない

だが東区といってもかなりの広さがある。何か絞り込む材料があればいいのだが

東区には石油化学コンビナートが数多く存在する。工場も数多くあることからブルーカラーの人間が多い

東区は今は大きな変化を迎えている。時空管理局に物資を納品していた工場が破綻

新たに新規進出してきた工場が建設してきている。これからどうなるかは全く予測することができない

 

「何が起きるかだな?」

 

今は爆発は起きていない。だがクラナガン証券取引所の平均株価は下降気味になっている

今後も状況次第でさらに下落することは間違いない。

そんな事態になる前に止めることが今の最優先事項である

聖王教会の査察も重要だがミッドチルダ連邦の首都であるクラナガン市でのテロも阻止しなければならない

これは重要な任務なのだ

 

「アルシオーネに現場指揮権をゆだねることを通達して。私の命令という形をとって」

 

「シエル首席の命令となると逆らえるのはかなりの上の人間だけだな」

 

ギブリは少し怖いボスはとんでもないことでも実行するといいながら中央パトロール管制センター。

東分署の分署地域情報センターにも通達した

 

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南区中央部 サウスセントラル駅 駅構内

 

ラジェットたちが到着したころにはすでに現場は制圧されていた

さらに駅の一部は閉鎖されていた。鑑識作業をするのに必要だからだ

ラジェットは現場は安全が確保されていたことからはやてとツヴァイもつれてきていた

彼は現場鑑識を行うためにラテックスの手袋を着用。そして現場を仕切っていた男性刑事に話を聞いた

 

「状況は?」

 

「男がナイフで3人の女に背中から刺したようです。幸運なことに死者はなし。命に別状はないそうです」

 

刑事からの報告に運の良い話だなと言いながらも3人に対する殺人未遂

実際に捜査をして裁判にかけてみないと最終的な結論は出せないが終身刑になる可能性が高い

仮に終身刑は免れても長期間の刑務所暮らしが待っている

 

「3人の女性の証言はしっかりと聞き取っておいてくれ。俺は鑑識をする。はやてとツヴァイはその辺で見ていろ」

 

見て学ぶことも勉強だとラジェットは言うと捜査キッドからカメラとマーカーを取り出し記録していった

まずは現場の様々な場所の写真を撮り、残留物も同じように1つ1つ写真で記録していった

さらにスケッチをかいたり証拠品の位置を計測することで、現場をいつでも再現できるようにしておく

常にバックアップをしておかなければ計画は失敗するかもしれない

安全対策のためにも必要であるのだ

 

「正確に記録するんですね」

 

「はやて。当然だろ。俺たちの捜査方針1つで刑罰が決まることになるのだからな。しっかり正確な情報が必要だ」

 

犯罪捜査において、手を抜くことは許されない

徹底的な証拠採取は当然である

 

「ラジェット!元気そうだな」

 

ラジェットに声をかけてきたのはクラナガン捜査部時代に捜査官をしていたクロス・ワイン刑事だ

中央パトロールが組織編成されると刑事課に異動願を出した

ただし今でも捜査部捜査官資格を持っていることから緊急時には召集がかけられることがある

今はそんなことになるようなことはないだろうが。

緊急時には対応することが求められることから資格更新だけはしっかりと行っている

 

「クロス。元気そうだな。捜査部から刑事課に移って生活は楽か?」

 

「休暇はある程度自由に取れるからな。今の仕事は満足している。捜査部はとんでもないお荷物を背負っているな」

 

「俺たち現場の苦労は上は知らないふりってことだ」

 

これもいつものことだろとラジェットはあきらめるかのように言った

捜査部はいつも貧乏くじを引かされる運命になっている

もちろんそれに似合いだけのおまけをもらっているが

 

「港湾パトロール安全保障局との関係が難しくなっているがな」

 

「機動六課に機密事項を見られるわけにはいかないからな。だからこそ審査が今も行われている」

 

「クロスの言うとおりだ。審査はかなり時間が必要になるだろうな」

 

クラナガン市内だけでなく、

多くの次元世界国では大量リストラされた退役時空管理局員による犯罪初声利率が高まっている

一方でほかの犯罪は減っているにもかかわらずだ。時空管理局関係者による犯罪発生率だけは急上昇

おかげで多くの次元世界国の警察国と軍隊が対応に追われている

退役時空管理局員の中には海賊船などを組織する連中もいる

だからこそ海上警備は重要項目の1つになっている

港湾パトロールも海上警備にかなりの重点置いている

人工衛星や戦闘機や航空母艦などの軍艦をフル活用するだけでなく、

巡視船なども動員してクラナガン市本土沖合と近隣州の海上安全を守っている

 

「そういえばラジェット。少佐への昇格を辞退したって噂は本当か」

 

実はラジェットには中尉や大尉を超えて少佐に昇格する話があった

昇格すれば出世コースに乗れるはずなのだが

 

「ああ。俺は今の少尉の階級が好きだからな。少佐になれば責任も多くなるし仕事も増える」

 

今はそんなことに振り回されるのはお断りだからなとラジェットは言った

確かに少尉と少佐では扱える情報は大きく異なる

だが少佐になれば仕事も増加することはわかっている。今はそんな余裕はない

だから断ったのだから

 

「確かに責任は大きくなることは間違いない。階級は上がれば上がるほど責任を押し付けられるからな」

 

「そういうことだ。それに俺は現場が好きだ。予備役とはいえ少佐になれば現場で仕事はできない」

 

「そうだな。それじゃ仕事の話をしよう。男はジャンキーだ。腕に複数の注射痕」

 

クロスの報告にラジェットはため息をついた。

薬物中毒者の犯行となるとしらみつぶしになる。おまけに本人からまともな供述が取れるとは思えない

 

「金がなくなって暴れてたって線が濃厚かもしれないな。奴は財布を持っていたのか?」

 

「財布はあったが残金は2000ミッドしかなかった。禁断症状が出た可能性が高い」

 

薬物中毒者がドラッグを切らしてしまうと錯乱状態になることは珍しいことではない

ジャンキーになれば落ちるところまで落ちてしまう。元に戻ることは極めて難しい

1度でも薬物中毒になれば元には戻れない。つらい人生が待っているだけだ

 

「錯乱状態で3人の女性を襲うとは。それでその人物の名前は?」

 

「退役時空管理局員のブレアドス・マーティン。54歳。大量リストラされた1人だ」

 

「またしても退役管理局員の事件か。俺たちを逆恨みでもしているのか?仕事を増やすばかりで」

 

「そうだな。刑事課の俺も同意見だ。退役管理局員が起こす事件件数は右肩上がり」

 

つまり増加傾向にあるということだ。いつになったらこの連鎖が終わってくれるのか

それにしても生活に困窮して自暴自棄に走る過程で麻薬に手を出して落ちることはよくある話だ

バカなことをしているようなものだが生活に必要なお金がなければあとはどうにでもなれと犯罪に走る

そんなことで民間人に危害を与えられることは許されることではない

だからこそ何ながんでも犯罪を解決するために全力で対応する

 

「被害者の気持ちを理解することが極めて重要だ。特に殺人の場合はな。遺族のために犯人を見つけ出す」

 

もうこれ以上無理だからという言い訳は通用しない

仮に何年かかったとしても犯人逮捕のために捜査を行い続けることが極めて重要だ

そのために事件再検討課(通称:コールドケース課)が存在している

彼らはどんなに古い事件でも新たな証拠が見つかればすぐに事件を再捜査を行う

捜査部捜査官とともに連携を取る事も日常的に存在している

 

「はやてもしっかりと気合を入れて仕事に当たれよ。すべては市民のためなのだからな」

 

罪なき市民を守るためにクラナガン捜査局員は活動している

安全と平和を提供するために。そのための法律が最近は次々と成立されている

以前は時空管理局が立法権や司法権を握っていたので法律が甘く抜け道だらけだったが

今は厳しくなっている。抜け道をほとんど存在しない

ラジェットはそんなことを考えながらラジオで経済ニュースを聞いていた

 

『ミッドチルダ連邦準備銀行は準備預金比率を現在の4%から6%に引き上げることを決定しました』

 

準備預金比率とは銀行が保有している預金額の一定額をミッドチルダ連邦準備銀行に預ける額の比率である

これで国内に流れているお金の総量をある程度コントロールすることができるのだ

 

『バブル景気になることを抑制するための金融引き締め政策のためにあらゆる金融政策を実行すると』

 

すでに政策金利は12%まで引き上げられている。

それでも今のミッドチルダ連邦国内の好景気のバブル化を止めることは難しい

かなり苦労することは間違いないのだから

 

『連邦準備銀行は金融引き締め政策に必死になっていますが極めて難しい状況にあることは間違いないでしょう』

 

「これからの退役時空管理局員は最悪の人生に巡り合うかもしれないな」

 

「それは俺も同意見だ。再就職も難しい。特にホワイトカラーの仕事に就くのは難しいな」

 

ホワイトカラーというのは事務職などの事務などの内勤業務。ブルーカラーは肉体労働の部類に入る。

退役時空管理局員を採用した結果、過去に犯罪行為に関与していたとわかると企業イメージが悪くなる

そんなリスクは背負いたくないのは当然である

だからこそ退役時空管理局員の再就職はかなり難航している

簡単に事が進むことはないのだ

 

「受け取れるはずだった多額の退役年金は大幅に減少。生活のために多くの財産をすべて売り払ったからな」

 

投資に失敗した退役時空管理局員はかなり多い。退役時空管理局員の多くが投資をしていた。

退役するまでに積み立てていた資金を利用して自ら投資をする者、

もしくは投資ファンドなどに頼んでいた者も多くいた。

それらの資金の多くを失って生活資金をなくした者は多額の借金を抱えて困窮しているのだ

投資のために多額のお金をワンワールドバンクや関連企業から融資を受けて運用をしていたケースが極めて多い

そういった彼らはすべてを失ってしまったのだから仕方がない

 

「金を失って麻薬に手を出して落ちるところまで落ちたものだな」

 

「ラジェット。ほかに黒い過去があるかもしれない」

 

「その捜査はクロスに任せていいか?俺は鑑識作業と分析に専念したい」

 

「かまわないが。良いのか?」

 

「俺は今日から教導官役だからな。はやて・八神に捜査手法を教えることにしばらくは専念したい。特に現場鑑識で」

 

「了解した」

 

「それしても金を失って犯罪に走る退役管理局員が多すぎる。面倒は嫌なんだが」

 

退役時空管理局員の多くはワンワールドバンクやその関連企業から融資を受けていた

だからこそ今は返済するために様々な財産を差し押さえられてすべてを失った

何度も言うがそうなれば人間は自暴自棄になってしまう。

自分が楽になるならどんなことでもしてしまうのが人間というものである

それが犯罪であってもだ

 

「はやて。現場にあるものはどんなものでも証拠だと思って慎重に丁寧に扱うことがまず重要なことだ」

 

「どんなものでもですか?」

 

「そうだ。お菓子の袋だろうとごみだろうとすべて証拠になるからな」

 

ラジェットの言うとおりだ。現場にあるものはすべて証拠になるものである

だからこそ、ごみ箱の中のものも証拠として回収するのだ

 

「今回の場合はこのナイフ」

 

ナイフはサバイバルナイフの種類の1つ。

刃渡り10cmほどのものである。ナイフの刃には赤い血痕がべっとりと付着していた

現場の位置関係などを正確に記録すると証拠品としてナイフ用証拠箱に収めた

 

「その刃物はどんな風に分析するんですか?」

 

リィンの質問にラジェットはまずはどの部分に誰の血痕が付着しているのかや、

持ち手部分の指紋の付着状況を調べると回答した

確かにそのとおりである。誰の血であるのかは極めて重要である

さらに今回の3人以外の血痕が付着している可能性もある

そうなれば更なる捜査も必要になってくることは間違いない

 

「はやて。鑑識作業にミスは許されないことを今のうちによく理解しておくことだ」

 

ラジェットはそう言いながらはやてたちに現場鑑識作業について教えながら作業を続けた

 

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中央パトロール本部 駐車棟8階捜査部専用エリア

 

フィリーは無事に帰還することに安堵をしたがSUVの損傷具合を見て大きなため息をついた

かなりひどい損傷だ。しばらくはこの車は使えない。予備の別の同じタイプのSUVを使うことになるだろう

問題なのはこの損傷についての報告書を書かなければならないことだ

かなり複雑な報告書になることは間違いない

 

「フィリーさん。これからどうするんですか?」

 

「なのは。ちょうどいい機会だわ。鑑識のお仕事を練習させてあげる」

 

なのはにカメラを渡すとフィリーが運転していた車の様々な場所を写真で記録するようにと伝えた

現場鑑識の勉強としては最も最適である。これなら多少のミスはフォローできる

なのはは車の損傷具合を様々な角度から写真撮影して記録していった

フィリーは証拠品の位置などのデータを記録をすると採取した

 

「修理が完了するにはかなりの時間が必要になるわね」

 

回収した銃弾のほとんどがアサルトライフルで使用される『5.56x45mm弾』であった

 

「防弾仕様の車で本当によかったわ。修理代は高くつくけど」

 

そこに捜査部受付担当のヘラルド・アクレイムが声をかけてきた

 

「フィリー。愛車が散々な目にあっているな」

 

「まったくよ。しばらくこの車は使えないわ。予備の車を使うしかないから申請書のほうを用意してもらえる?」

 

「ああ。かまわないぞ。そっちは教導があるんだろ。修理の申請書類はこっちで用意しておく」

 

ヘラルドはそういうと捜査部フロアに戻っていった

 

「鑑識はかなり苦労するんですね」

 

こんなに大量の写真を細かく撮らなければならないといけないのですからとなのはも苦労さを感じていた

 

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クラナガン自然保護区 西部 山小屋 

 

エルガは山小屋内の鑑識作業を始めていた

すでに自然保護区分署からも現場鑑識チームが到着している。

ヴィータは小屋の中で鑑識作業の様子を見守っていた

 

「それにしても頭部に一発か。プロの仕事だな」

 

22口径であることも考えるとなおさらである

一緒に『危険なビジネス』をしていたグレイ・ドースンを見つけることができれば何かわかるかもしれない

簡単なことではない。このクラナガン自然保護区に来ていることはわかっている

問題はどうやって入ることができたかだ

自然保護区の出入り口は車の場合は1か所の検問所だけだ

そこでは厳しい検査を受けなければならない。密猟対策のために自然保護区分署が行っている

 

「本当に大変だな。ヴィータ。お前はそこで鑑識がどういうものかよく見ておけよ」

 

よく見て学べというとエルガも現場鑑識チームと一緒に作業を続けた

 

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東区中央部イーストセントラル地区 イーストセントラル駅 駅パトロール事務所

 

アルシオーネは爆弾が設置されたとされるイーストセントラル駅に到着するとすでに現場は騒然としていた

 

「酷い状況ね」

 

駅の出入りは完全に管理されていた。さらに駅構内の照明は完全にダウンしていた

ただ、幸いなことに今日は晴天なため駅舎内の一部を除いてそれほど明るさに問題はない

問題なのは地下などの照明がないと困るエリアだ

 

「爆弾はまだ見つかっていないのね?」

 

イーストセントラル駅パトロール事務所に到着するとすぐに状況確認をした

この駅は東区の旅客鉄道の要所駅である。数多くの鉄道路線が乗り入れていることから駅構内はかなり広い

地上鉄道路線の駅だけでなく地下鉄路線の駅もあることから探すのは楽なことではない

それも爆弾を探すとなるとかなりの危険な任務になる

慎重に安全を確保したうえで対応しなければならないのだから

 

「現在も捜索中です。問題はどこにあるのかがわからないことです」

 

「いつ爆発するかどうかわからないとなるとなおさら危険ね」

 

アルシオーネは周辺の封鎖を命令した。民間人を爆発に巻き込むわけにはいかない

最悪の場合は駅が破壊されることも覚悟して全員撤退も仕方がない

犠牲者を出さないためには手段を選んでいる余裕などありはしないのだから

 

「魔法で探索はやめて。魔力波長で起爆されるシステムだと危険だから」

 

探索魔法で調べればすぐにわかるかもしれないが、

起爆装置がその手の魔法を探知することが条件としていたら危険である

なら地道に探すしかない。

 

「わかっていると思うけど、一発勝負で決めるのはなしよ。安全を最優先にすること」

 

『これら中央本部。SA33。状況を報告せよ』

 

「現在はこちらでも完全に状況把握はできていない。安全確保ができるにはかなりの時間が必要と思われる」

 

『了解した。安全確保ができるまでは立ち入り規制の継続を容認する』

 

「爆弾について何か詳細な情報が入っていないの?」

 

『爆弾予告をしてきたとされる通信では詳細な情報何もない。駅に爆弾を仕掛けたというだけだ』

 

それはそれでかなり面倒になる。

どんな爆弾が仕掛けられたのか分からないとなると極めて捜索は困難を極めることに

手がかりでもあればいいんだが、それもないとなると苦労することに

 

『爆弾犯からと思われる人物から追加の予告を確認。爆弾はC-4爆薬を使ったものだと』

 

ただしこの情報が信用できるかどうかについては今のところは判断できないとのことだ

嫌がらせか囮の可能性がある。信用しすぎるのは危険すぎることである

今は人海戦術で駅構内を調べているがリスクはどこであってもあるのは当然である

そんなことは探している彼らもよく理解している。もしかしたら爆弾で死ぬかもしれないということを

 

「見つかると良いけど」

 

C-4爆薬をどれくらい使ったかによっては威力は自由に調整できる

爆弾の製造に慣れている爆弾魔なら当然であり、こっちの手の内を読んでくるだろう

 

『EP2364からSA33へ。イーストセントラル駅4番出口付近にあるごみ箱に爆弾らしき不審物を発見』

 

EPとは東分署に配属されているパトロール捜査官の無線識別コードである

パトロール捜査官1人1人にそれぞれ番号が割り振られている。

捜査部捜査官だけでなく、各分署の刑事にも無線識別コードが割り振られている

 

「SA33からEP2364。至急現場から退避して爆弾処理チームに後を任せるように」

 

『了解。直ちに退避する』

 

彼女はこれが本物なら大ごとになることを想定していた。予告が本物なら本番もあるということだ。

爆弾魔がさらに大きな爆弾を市内の重要施設に設置したことは十分に予測できる

 

「爆弾が本物なら最悪の展開になるわね」

 

『中央本部からSA33。爆弾処理チームがこれから処理に入る。念のためさらに安全確保を行いながら捜索を行え』

 

「本部は無茶を言うわね。まぁこれ1つで終わるとは思えないこともまた事実だし」

 

1つ爆弾が見つかったということはさらにどこかに隠していることは十分あり得る

安全が確認されるまでには駅の封鎖を解くわけにはいかない

爆弾犯は一体いくつ設置しているのか

 

「今回の爆弾魔も面倒を起こす連中を殺しのリストにしてやりたいわね」

 

アルシオーネはもちろんだが。抹殺したい犯罪者のリストを頭の中で作っている

大きな事件を起こしたときはそのリストの関係者を疑うことにしている

面倒なことを考えると必ずそういった連中が絡んでくることが多い

 

「本気で殺すのか?」

 

「冗談に決まっているでしょ。ただ殺してやりたいと思っているだけよ」

 

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中央区東部 上空2000m ヘリ

 

ダイナはホレイスト・ギーランの両親が勤務しているノースクラナガン魔力精製炉発電所にヘリで向かっていた

彼は情報を収集して整理を携帯情報端末を使って行っていた

どの情報が正しいのか選別作業を特に念入りに行っていた

コールドケース事件を扱う場合は情報が古いので難しいことが多い

人はすぐに忘れてしまう生き物である。だからこそ映像などの物証が重要になってくる

 

「本当に苦労する案件だな」

 

今回のこの事件は情報があまりに少ないことがわかった

当時の時空管理局の捜査担当者は面倒で投げ出したのだろう

だが今はそんなことは許されない。保留扱いにしてでも解決することが求められるのだから

 

「とりあえず両親に話を聞くしかないな」

 

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