CSI:クラナガン   作:アイバユウ

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新暦76年4月1日午前11:50

 

午前11:50 東区西部 上空4000m ヘリ

 

ラジェットとはやてとツヴァイはセントラルクラナガン港沖合の15Km地点にいる艦船に向かっていた

 

「水死体はできれば避けたかったんだがな」

 

ラジェットは気が乗らない任務だと愚痴るかのようにつぶやいた

その言葉ははやてたちには聞こえていた

 

「どうしてや?」

 

「水死体は膨らんでいるしかなりの悪臭を出す。おまけに証拠は水で消えている。捜査はかなり苦労するんだ」

 

コールドケースになるパターンはかなりの件数になるとはやてたちに話した

確かに水死体はかなり厄介な事案の1つである。検死をしても簡単に識別することができないからだ

誰もがプロとして最大の力量を発揮しなければ事件解決は難しい

 

「ところでだが。はやてたちは船酔いになるなよ。捜査官として船酔いになったらかなり印象が良くないからな」

 

どこでもプロとしての力量を求められる仕事なのだから当然である

できることなら船酔いになることは避けなければならない

と言っても大抵の人間は船酔いになることが多い

軍艦はよく揺れるのだから。客船と違って兵器やシステム運用の効率化に重点を置いている

 

「もし自信がないならこれを飲んでおけ」

 

ラジェットははやてに酔い止めの薬を渡した

現場で嘔吐をされたら大変だからだ

 

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西区南西部 エルガがトラックを止めた場所(一般道の路肩)

 

エルガとヴィータはトラックから押収された麻薬などを記録していた

現場にはすでに西分署から現場鑑識チームが来ていた

本来であれば引継ぎを行ってもよいのだが、

これも勉強の1つとしてヴィータに現場写真の撮影の練習をやらせていた

もちろん本当に裁判で使用されるのは現場鑑識チームが記録したものが使われる

ヴィータが記録したものはあくまでも予備扱いのものになる

それでも証拠になることには間違いない。それだけに手が抜けることはないのだ

 

「ヴィータ。あらゆる角度から写真を撮って記録をしておけ。多いほうが現場の再現がやりやすいからな」

 

「わかった」

 

現場写真は多めに撮影するのは基本中の基本である

たとえ再捜査になっても現場写真がたくさんあれば再検証をすることが比較的容易であるからだ

現場の状況を的確にわからなければ再検証はできるはずがない

現場再検証は裁判中に行われることもある。だからこそ現場写真は多い方が良いのだ

西分署の現場鑑識チームのメンバーがエルガに報告した

 

「エルガ。高純度のメタンフェタミンだ。どうする?」

 

つまり覚せい剤であるということだ。それも純度が高いということはまだ闇市場に流通する前のものであると

問題はこいつをどこに運ぶ予定だったかである。犯罪組織との関係性を調べなければならない

 

「トラックの運転手も組織に関係しているはずだ。締め上げてくれ」

 

銃を持っていたぐらいなのだから、犯罪組織と関係があるのは十分あり得る話である

今回、押さえたトラックの持ち主の会社は聖王教会の傘下の企業だったのだ。今は違うが。

それでも今も関係性があることが疑われる。それだけに入念な捜査が必要である

 

「それにしてもだ。まだ聖王教会の暗い闇があるかもしれないな」

 

聖王教会関係の闇をまだ背負い続けているということは、

染まっている関係者が会社に存在していることを意味している

それはそれで大きな問題である。

ようやく公正な組織に生まれ変わったと思ったのにまだ黒い染みがあると危険な事態に発展する

そうなる前に対応しなければならないのだから

 

「ほかに何か物はないのか?」

 

「あるとするならこれくらいだ」

 

その隊員はあるものをトラックの荷台からおろしてきた

それはRPG-7ランチャーが入ったケースだ。かなり派手な武装をしている。

こんなものを持ち込んだとなると市内に危険物をかなりあるかもしれない

 

「こんな物を持ち込むとは戦争でも始めるつもりかもしれないな」

 

「エルガ。どうする?」

 

現場に来ていた西分署の刑事課のヒジック・スゾート刑事は今後の対応方法を相談した

 

「念のため令状を請求してこのコンテナの輸送先の会社について調べてくれ。そこでも大量の武器弾薬が保管されているかもしれない」

 

「了解した。すぐに手続きに入る」

 

「それとこれからは時間との戦いだ。できるだけ早急に動いてくれ。証拠が消される前に確保するんだ」

 

「OKだ」

 

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東区中央部 東分署ラボ棟 1階爆弾ラボ

 

アルシオーネは爆弾を分析しているとDNAラボの分析官が結果を報告してきた

意外なほど早く結果が出た。

 

「血痕はグエンスト・バーリ。41歳。爆弾の製造で2回も刑務所に収監されている」

 

最後に収監されていたのは5年前だ。

爆弾製造の罪はクラナガン市法では懲役5年の刑罰となっている

刑務所から出所したのは3年前の話である。その後は保護観察官によっておとなしく生活していた

にもかかわらず、再犯を起こした可能性が高まっている

爆弾製造の常連組だ。今は2件の罪だけでしか起訴されていないが

実際には手広く爆弾を製造しては販売していた容疑がかけられて、

FBIが類似する事件がないか再捜査するように国内のすべての警察組織に通達を出していた

 

「やばいかもしれないわね。現住所はわかる?」

 

「東区西部サウスフェアファックス地区1番街2丁目7番地302号室です」

 

早速お宅訪問と行きましょうかと言うとアルシオーネは爆弾ラボにおいてある証拠品をすべて証拠保管庫に移した

そして爆弾犯の現住所に向かった

 

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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部首席捜査官執務室

 

シエルはミッドチルダタイムスの記者でありダイナが話を聞くはずだったフィエナ・コーラッドと面会していた

 

「ごめんなさいね。担当捜査官であるダイナは今はヘリでこちらに向かっているから少し先に話を聞いてもいいかしら?」

 

「かまいません。冤罪であることが立証できるなら協力します」

 

「事件当時に時空管理局の捜査担当者から圧力を受けたのは間違いないの?」

 

シエルは早速核心に迫っていった。

証言を捻じ曲げる行為を求められたのかどうかを確認したかった

 

「はい。裁判でこちらの言う通りに証言しなければ殺すと」

 

「それを証明できるものはあるかしら?」

 

もしあれば強力な武器になるのだけどとシエルが聞くと彼女は1つのメモリカードを取り出した

それは録音を専用にするもので1度録音をすると改変が難しいとされるタイプの記録媒体のメモリである

 

「ここに事情聴取の時の音声が記録されています。もしいつか役に立つときがあればと思って」

 

「まさにその時が来たようね。内容を確認してもいいかしら?」

 

「はい」

 

シエルは録音されている内容を確認して驚愕した

明らかに脅迫されている状況が録音されていた。

これが白日のものにさらされたら時空管理局には大きなダメージになる

しかし今は冤罪事案ということもあって簡単に公にすれば証拠能力として機能しなくなる恐れがある

 

「これを預かっても構わないかしら。証拠品として登録したいから」

 

「冤罪であることが立証されるなら何でも協力します。ほかに私にできることはありませんか?」

 

「これはお願いなんだけど、マスコミの報道は控えてほしいの。今報道されたら真犯人が逃げてしまう」

 

その可能性が極めて高いわというとわかりましたといった

 

「その代わり報道が可能になったときは」

 

「あなたにはすぐに連絡するわ。独占スクープとして流すことも認める。それまでは耐えてもらえるわね」

 

わかりましたというとシエルと固い握手をした。

これでマスコミ関係は抑えることに成功した。事件解明が終わるまでは

問題はこの取り調べをしている人物がだれかだ。声紋照合で特定すればさらに芋づる式に引っ張れる

記者は部屋を退室した。

 

「声紋鑑定をしてみたらいろいろとわかるかもしれないわね」

 

声紋は指紋と同じで個人識別ができる。

双子であっても完全に一致することはないので個人特定は可能である

 

「この声の持ち主を追いかけるしかないわね」

 

問題はこの声の持ち主がわかった後の後始末だ

時空管理局犯罪捜査局は当然というほど絡んでくる

おまけに冤罪となれば時空管理局の当時の捜査担当者の罪も問われる

冤罪はあってはならないことなのだから仕方がない

 

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中央区中央部 クラナガンハイウェイ10号線(南北線) 北行き

 

カリーとシグナムは銀行強盗が起きた場所に向かっていた

シグナムが共同溝の監視システムにアクセスして調べたが異常はなかった

となると近隣のビルに穴が開いている可能性が高い

すでにカリーは令状請求を出していた

 

「それにしても銀行強盗をするなんてバカな連中ね。紙片番号を追跡されているのに」

 

今回盗まれたのは廃棄予定の紙幣であることがわかっていた

廃棄予定の紙幣は紙幣番号が連邦財務省と連邦準備銀行に届け出を出す

こうすることでしっかりと廃棄されることを確認するのだ

今回はその手の紙幣であった。金額にして100億ミッド。

すべて盗まれたわけではないということは先遣チームによって報告を受けている

すでに現場鑑識作業が行われようとしていた。状況がわかり次第報告を入れるように要請を出している

 

「ただし廃棄予定の現金を盗むとは利口な人間ね」

 

「どうしてだ」

 

「国内の銀行だったら簡単に見つかるけど、他次元世界国の金融機関に預けたり、何かで使ったら追跡は難しい」

 

犯人である敵はかなり利口な人間であることは間違いない

それに廃棄予定などの日程は機密事項になっている

簡単に調べることはできない。金融機関に協力者でも入れば話は別であるが

それでも調べるのはかなり難しい。廃棄予定についてなどの日程を管理しているのは限られた人間だ

身辺調査を受けた人間でしか取り扱うことができない情報でもある

数多くの苦難を通り超えることでようやく得ることができる情報だ

 

「100億ミッドのお金はすべて持っていけなかったかもしれないけど、それでも多額の金額は盗めた」

 

しばらくの生活は良い物を味わえるでしょうねとカリーは話した

それも金が持つ限りではあるが

 

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南区北部サウスウエストハーディー地区6番街2丁目と3丁目の間の通り

 

サイノスとティアナはSUV車を路肩に止めて車内で少し早めの昼食を食べていた

ちなみに昼食はサイノスはピザを食べていた。ティアナはサンドイッチを食べていた

 

「ここに張り込んでいて良い事があるんですか?」

 

「ハーディー地区と近隣地区は犯罪多発地帯だから見張りをするのも仕事だよ」

 

このあたりではかなりのもめごとが発生している。1日で100件以上の大小数多くのトラブルがある

ほとんどが地区パトロール事務所のパトロール捜査官と分署の刑事が対応している

だが中には殺人なども起きているのでその時はサイノスたち捜査部が対応するのだ

 

「本当に怖いのは何も情報が入っていないということだよ。どんな些細な情報も漏らしてはならない」

 

『南分署から各員へ。ハーディー地区で盗撮犯が逃走中。現在サウスウエストハーディー地区に向かっている』

 

「お仕事の時間だよ」

 

サイノスはそう言うとエンジンをかけると盗撮犯が逃げる方向を予測しながら進路をふさぐように車を走行させた

 

「SA25から南分署。盗撮犯の逃走先の前に車を出す。確保時は注意されたし」

 

『こちら南分署。了解。現在、サウスウエストハーディー地区を逃走中。現在3番街を南下中』

 

ちょうど逃走先を押さえる所に車を止めるとサイノスは車を路肩に止めて降車した

そして見事に走ってきた犯人を確保した

 

「SA25から南分署。現在位置で盗撮犯と思われる人物を確保。至急応援をよこして」

 

彼は男の両手を後ろに回すと手錠をかけた

 

「あんまり暴れると公務執行妨害も追加されるぞ。長い刑務所暮らしが嫌ならおとなしくしろ!」

 

サイノスがそういうと男はおとなしくなった

それと同時に追跡してきた別のパトロール捜査官も駆けつけてきた

 

「プロナード捜査官。感謝します」

 

「あとは任せるよ」

 

サイノスは身柄を引き渡すと車に戻った

盗撮犯なら現行犯逮捕が原則だ。追いかけてきたということは犯行の途中を目撃したからだろう

もしくは被害者に気づかれたから逃げたのかもしれない。

いづれにしても現場で最初に担当した人物がメインで捜査をすることになる

サイノスの出番はない。車に戻ったサイノスは再びパトロールを再開することにした

 

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