CSI:クラナガン   作:アイバユウ

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新暦76年4月1日午後00:10

 

午後00:10 中央パトロール本部庁舎 8階捜査部首席捜査官執務室

 

シエルはバーから戻ってくると預かった資料を基に捜査をするために動くことにしていた

沖合で麻薬や銃火器の密輸を阻止するために徹底的に動く

港湾本部長であるリヴィナ・トラヴィックとシエルは電話会議をしていた

 

「リヴィナ。港湾パトロールは偵察のために航空機を派遣してくれているのかしら?」

 

『今はグローバルホークと対潜哨戒機であるP-8を派遣しているところよ。それと人工衛星からの監視も強化』

 

「抜け道は作っていないということね」

 

『そういうことよ。それにしても数十億ミッドの麻薬と銃火器の密輸なんて大きな賭けに出たわね』

 

「私も同じ意見よ。もしかしたら陽動作戦も展開しているかもしれないから気を付けて」

 

そう。もしかしたらさらに大きな密輸計画を立てているかもしれないことをシエルは懸念していた

バックアップのプランを犯罪組織は考えていたらそちらに力を入れている可能性もある

常に警戒することが求められるこの仕事では重要なことである

 

『海上警備は任せて。艦船と航空機で海上は監視しているし人工衛星での監視も強化している』

 

簡単に逃れることはできないわとリヴィナは言うとシエルは通話を終えた

シエルは情報端末を操作して海上のレーダー情報を確認した

沖合には数多くの船舶が存在していた。クラナガン市には大規模石油コンビナートが複数存在する

そのため大型貨物船は数多く港を利用する。次元空間航行貨物船も多く利用する主要ハブ港に指定されている

 

「本当に面倒なことね」

 

『ピーピーピー』

 

「シエル・ミズノ首席捜査官よ」

 

『1階受付です。面会希望者が来ているのですがいかがしましょうか?』

 

今日は外来の面会予定は入っていない。一体誰の訪問であろうか

 

「誰なの?」

 

『アンドレア・ゲーリー大佐です。どうしますか?』

 

「こっちまでエスコートをお願いできるかしら。首席捜査官執務室で待っているから」

 

『了解です』

 

アンドレア・ゲーリー大佐は潜水艦から中距離弾道ミサイルを発射できる潜水艦の艦長をしている

潜水艦の艦長は男性が多いが、女性でありながらその指揮能力は極めて有能な人材として知られている

シエルとは何度か訓練を一緒にした親しい関係である

 

「何かトラブルでも起きたのか、それとも別件で用事なのか気になるわね」

 

とりあえずデスク机上を片付けると出迎える準備をした

捜査部受つで待っているとエレベーターで案内人と一緒に上がってきた

 

「久しぶりね。アンドレア」

 

「シエル首席捜査官。元気そうね。実は個人的に頼みたいことがあるの」

 

「そう。なら私のオフィスで話をしましょう」

 

シエルは後はこちらで対応するわというと案内人を1階に帰した

シエルとアンドレアは首席捜査官執務室で話を始めた

 

「何があったの?」

 

「私の家族を探してほしいの。できるだけ大至急」

 

私の父と母の写真よと言ってシエルに差し出した。

シエルは疑問に思った。この手の管轄は港湾犯罪捜査部の管轄になるのになぜ中央パトロールにと

 

「港湾犯罪捜査部に話を持っていったの?縄張り争いでもめるのは嫌よ」

 

「今回ばかりは彼らに頼れないの。あなたの力を借りたいの。内密に捜査をしてもらえない?」

 

よほどの事情があるようだ。

今は話せない様子なら、事後で詳しく話してくれるかどうかの確認をとった

 

「もちろん話せる段階になれば詳細を話すけど今は話せないわ」

 

「かなり込み入った事情があることは理解したわ。こちらのほうで内密に2人を探してみるわ」

 

ただしあまり期待しないでねとシエルは忠告した。これは個人的な依頼だ

対応できる範囲はかなり限定されてくる

組織として動けばもっと情報も集まりやすいのだが本人はそれを望んでいない

となるとかなり苦労する案件になることは間違いない

 

「できるだけ努力はするけど、もし必要なら港湾犯罪捜査部に掛け合うことになるわよ。それは忘れないで」

 

「わかっているわ。今は内密に対応できる範囲で処理したいの」

 

「とにかく2人を探してみるわ。街灯観測システムの監視カメラ映像で貌認証システムで照合をかけてみる」

 

表向きは一般人の失踪者の調査という名目でねと言うとそれでお願いというと彼女は執務室を退室していた

シエルは大きなため息をついた。問題が大きすぎることに

港湾犯罪捜査部には秘密にして捜査をしなければならない

必ず難しいことであることはわかっている。それでも何とかするしかないのだが

 

「他の捜査官に任せるわけにはいかないわね」

 

シエルはそう言うと自らが捜査を担当するためにまずは顔認証システムでの照合にかけた

まずは市内にいるのかいないのかについて調べることから始めたほうが良い

彼女の両親は東区南部に住んでいる。

2日前までは連絡が取れていたが昨日から連絡が取れていないとのことだ

何かの犯罪に巻き込まれたのかもしれない。その可能性は否定できない

今は足取りを追いかけるだけだ。

市内の様々なところにある街灯観測システムの監視カメラ映像から照合していくだけである

 

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南区北部ビューロー地区1番街3丁目 クラナガン市政府第3合同庁舎  市長執務室

 

「ワンワールドグループが破綻して自己破産申請はかなりの数になります」

 

市長首席補佐官のクロウ・フォードの報告に市長のサンディ・マウントは大きなため息をついた

 

「自己破産申請者の平均の負債額はどれくらいなの?」

 

「小さな金額だけでも1億ミッドを超えています」

 

サンディ・マウントはまたため息をついた。

金額が大きすぎる。今後もさらに増加することがほぼ確実視されるのだから迷惑な話だ

クラナガン市政府は正式にはクラナガン州政府と名乗っても良いのだが、

首都が州と名乗るのは問題があるとしてクラナガン市政府と名乗っている

 

「現在の自己破産申請者の負債額の合計はどれくらいになっているの?」

 

「正確な数字はまだですが1000兆ミッド前後です。さらに増加することが見込まれています」

 

「酷い話ね。時空管理局の規模縮小と特別監査で数多くの悪事が発覚して、おまけに高額な負債が発生なんて」

 

誰も想像なんてしなかったことでしょうとサンディは言った

確かに誰も想像なんてしていなかった。

金融機関では疑心暗鬼になって無担保コール市場のやり取りで問題が出ているほどだ

多くの金融機関が多額の負債を抱えているのではないかと不審に感じて貸し渋りを起こしている

その影響は大きいためミッドチルダ連邦準備銀行が仲介役に出ている

最後の資金の出し手としてフル稼働している状況である

中央銀行として国内の金融機関の動揺を少しでも減らすことが使命なのだから当然である

 

「クラナガン市準備銀行はどう動くつもりなの?」

 

「連邦準備銀行と連携して市内の主要金融機関に資金供給を行って市内の金融機関の安定化を図っています」

 

クラナガン市政府にはクラナガン市準備銀行という特別な金融機関がある

この金融機関は本来の連邦準備銀行と異なっている点がいくつか存在する

州・郡・市等の行政機関が銀行を運営することは通常認められていない。

ただしクラナガン市準備銀行は歴史あり、その運営能力の高さから特別に認められている。

業務は金融機関・企業への緊急融資となっている。

市内に拠点を持つ規模の大きな金融機関が破綻した場合に一時的に救済を担当する

その後、連邦準備銀行が救済することになればクラナガン市準備銀行は手を引くことになる

 

「市内の金融機関の安定を最優先に。ただしワンワールドグループに関連する企業の救済はなしで対応を」

 

ワンワールドグループの関連企業への救済をするとクラナガン市政府の資金の無駄遣いになるからだ

それだけは避けなければならない。クラナガン市準備銀行の資金は市民の税金で構成されている

無駄遣いはしてはならない。厳しい監査を行いながらも必要なところに資本注入を行う

そうすることで市内の金融状況の安定化を図るのだ

 

「影響が拡大しないことを祈りたいけど難しいわね」

 

現状ではクラナガン市内には数多くの退役時空管理局員が住居を構えていた

ワンワールドグループ企業が発行する金融商品を購入して運用していた

しかし、それらが金融市場で価値を失って価格は暴落。多くの投資家は借金をしてでも購入していた

高金利であったことから多くの投資家が手を出していたことから痛い目を見た人物は多い

 

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ベルカ州中央地方ベルカ市 郊外 港湾パトロールベルカ基地 基地管制センター

 

ステラは無事に戻ってきた。マイアはステラが回収した資料を見ていた

そこには聖王教会の闇の部分が数多く記載されていた。今後の監査に大きく貢献することは間違いない

問題があるとするならその資料をどのように活用するかだ

 

「聖王教会をいじめていかないといけないわね」

 

「主ステラ。楽しんでいませんか?」

 

「こんな仕事は楽しまないとやっていられないわ。これは戦争なのよ。私たちは勝たないといけないの」

 

戦争。確かにその通りである。情報戦という名の戦争であることには間違いない

そのためには豊富な情報があることが求められる。情報が多いほど情報戦では勝利の道を歩みやすい

だが逆に嘘の情報をつかませたら大問題である。戦略が違う方向に向かってしまって攻略できない

何よりも鮮度の良い正確な情報が求められる

 

「どうします?」

 

「港湾パトロール安全保障局と連携するしかないわね」

 

ステラは港湾パトロール安全保障局と情報を共有することで聖王教会の他の情報にアクセスすることができる

 

「この情報を港湾パトロール安全保障局に渡すしかないですしね」

 

マイアも同じ意見だった。今は連携することが重要である

ベルカ州内には多くの魔力精製炉発電所が存在している。

州内の主要な発電施設は魔力精製炉発電がメイン電源である

 

「州内でテロが起きなければ良いけどね」

 

「主ステラ。州内で魔力精製炉発電所を狙ったテロがあると?」

 

「さっき受け取った報告書によると聖王教会の陰がそういうことをしようとしているとの情報があるらしいわ」

 

警報を出しますかとマイアがステラに確認するとまだよと伝えた

 

「今警報を出して逃げられたりされたら困るわ。それは港湾パトロール安全保障局も同じ意見のはずよ」

 

「ではどうします?」

 

「とにかく情報を共有してから判断しましょう。シエル首席にも確認する必要があるし」

 

情報共有をしなければどの程度の正しい情報があるのかはわからない

諜報活動で得た情報は偽物の情報がつかまされていることもあるのでしっかりと判断することが求められる

正確に判断するには数多くの情報を照らし合わせて照合するしかないというのは正しい判断である

ステラは基地管制センターから暗号通信回線を使ってシエル首席に連絡を取った

 

「シエル首席。こちらで得た情報を共有して意見をお聞きしたいのですが」

 

『あなたたちが得た情報をこちらに転送してくれたらいつでも相談に乗ってもいいわよ』

 

では暗号回線でデータを送信しますというと基地管制センターの情報端末から暗号通信回線でデータを送った

シエルは一通り内容を確認すると興味深いわねと答えた

今後のことを考えると管轄権などを考慮して単独で動くのは危険ねとシエルはステラに伝えた

 

『港湾パトロール安全保障局と連携して対応してもらえるかしら』

 

シエルが港湾パトロール安全保障局に連絡するとステラに伝えた

そのほうが面倒が少なくて済む

 

『ピーピーピー』

 

マイアの携帯電話が着信を告げていた

発信者はベルカ保健福祉庁の政府関係者からの連絡だった

ステラの邪魔にならないように少し距離をとると電話に出た

 

「マイア・ドミンゴです」

 

『ベルカ市内で天然痘とよく似た症状を出している患者が発生したとの情報が入りました』

 

「どうして私に連絡をしてきたのですか?私は『感染者から近親者としてあなたを指名しています』誰ですか?」

 

マイアの電話番号を知っている人物は限られる。

それもベルカ州内の人物で携帯電話番号を知っている者は特にだ

 

『名前はフラニース・ドンゴット。24歳の女性です。住所はベルカ市ですが以前はクラナガン市南区に住んでいたと』

 

「彼女のことならよく知っています。症状はどんな感じですか?」

 

『かなりひどい状況です。担当医師からは最悪のシナリオも想定するようにと』

 

親族はいないけど身元保証人として申請をしているので来てほしいとのことだった

彼女のことはマイアはよく知っていた。ある事件でマイアが犯罪被害者救済担当課に引き継ぎをした

その後も個人的に連絡を取っていたがベルカ州に移住してからは仕事が忙しくてあまり連絡が取れていなかった

だが緊急入院で身元保証人が必要になった。そのためマイアの名前が出てきたのだ

 

「わかりました。これから向かいます。どこの病院ですか?」

 

『ベルカ市中央区にあるセントラルベルカ医療センターです。できるだけ早くお願いします』

 

通話を終えたマイアはステラに事情を説明してセントラルベルカ医療センターにヘリで向かうことにした

今は一刻も早く急ぐ必要がある。それに天然痘は空気感染をする

イーストフローレンス基地には大量の天然痘のワクチンが保管されている

もし被害が広がるようであれば大至急、大量のワクチンを用意する必要がある

それらの判断についても補佐的な立場で意見できるかもしれない

 

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セントラルクラナガン港 沖合15Km地点 7000t級駆逐艦(艦船形式:あきづき型護衛艦)キート

 

「はやて。フレイス・ハントーズに関する情報をすべて話してくれ。わかっている情報はすべて把握したい」

 

「わかったわ。フレイス・ハントーズはかなり危険な人物とされていた」

 

時空管理局内でも権力で好き勝手にやっていたとのことだ

おまけに時空管理局の予算をこっそりとくすねていた容疑などもあったが確実なものはなかった

当時の捜査はかなり難航していた。1つのトラブルが発生するとすぐに誰かが火消しをして騒動を収める

だからこそ問題が大きく拡大することがなく、隠ぺいすることは日常的なことだったらしい

 

「酷い話だな。だがそんな人物だから捜査対象になるのは当然だな」

 

組織内に好き勝手にしていても誰も止めることができないほどの権力を持っていたら、

捜査のメスが入っても打ち切りさせていたのだろう

今は大量リストラで退役したが、時空管理局犯罪捜査局が捜査をしているのだ

時空管理局犯罪捜査局の友人の話によると今は拘置所に収監されていない。

しかし確実に立件できる段階にまで踏み込めたらいつでも逮捕する準備ができている

 

「1人の退役時空管理局員と1人の現役時空管理局員が絡んでいるわけか」

 

フレイス・ハントーズとドベレス・ハウニンクスの2人が絡んでいる

ラジェットはすでにフレイス・ハントーズの捜査指令を出している。

しかし彼が所有しているプレジャーボートはサウスクラナガン港には戻っていない。

港湾パトロールから送られてきた情報によるとサウスクラナガン港の沖合30Km地点の海域で無人で発見された

逃亡するために自らのクルーザーは捨てて別の船に乗り換えたのかもしれない

クラナガン市を出入りする貨物船は次元空間を航行することができる次元空間航行貨物船が存在する

コンテナ船が主に運行されている。

 

「もう市内から逃げているかもしれないな。ヘリでプレジャーボートまで移動するか」

 

今は別の艦船が調べている。その情報を聞くだけでもいいのだが自ら確認する必要がある

計画というものはバックアップのプランを常に立てておかないととん挫するものだ

鑑識も同じで他人の判断ばかりを聞いているだけでは信頼性に欠けるときもある

自ら判断することが求められる。自らの目で現場を見て確認を行って判断する

そういった積み重ねが極めて重要になってくるものである。犯罪捜査というものは

 

「ヘリを用意してもらえないか。プレジャーボートに向かいたい」

 

ラジェットはキートの副長にヘリの用意を依頼した

 

「その件でしたら問題ありません。我が艦をサウスクラナガン港に向かわせます」

 

プレジャーボートもサウスクラナガン港にけん引させているところですとのことだ

タグボートで引っ張っている真っ最中であるらしい

 

「それならそうしてくれると助かる。面倒をかけて悪いな」

 

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南区北部ハーディー地区5番街1丁目と5丁目の間の通り

 

サイノスとティアナは相変わらず張り込んでいた

麻薬の売人の摘発は忍耐が求められる。こればかりは仕方がない

 

「本当に摘発できるんですか?」

 

「こういうのは時間との戦いだよ。どちらが根負けをするかの勝負だけだからね」

 

相手もこちらの監視はわかっているはず。

簡単に密売行為をするようなことはしない。したら検挙されるだけなのだから

だからと言って自分の縄張りを奪われるわけにはいかないので、場所を離れるわけにはいかない

あちらもかなり苦しい戦いである

 

「先にあきらめたら負けなんだから」

 

「諦めますか?」

 

「あっちにも生活が懸かっているから動きを見せるよ。今は待機するだけ」

 

そんなことを話しながら2人は売人の動きを監視していた

些細な動きを見せるだけでいいのだ。客が麻薬を買いに来た瞬間がねらい目である

サイノスは退屈しのぎにラジオニュースを聞き始めた

 

『クラナガン市政府は近隣州と共に株式保有しているキャピタルパワーエネルギー社の新規火力発電の増設を発表』

 

『現在の2施設から4施設まで倍増させるとのことです』

 

キャピタルパワーエネルギー社はクラナガン市と3つの州政府が発電所の運営を行っている

以前はクラナガン市政府と近隣州政府の下部組織だった

現在でも株式の60%をクラナガン市と近隣州がそれぞれ15%ずつを保有している公営企業

この会社は首都圏の電力安定供給を滞ることなく実行できるように設立された

メインの発電所は魔力精製炉発電所で10施設を保有している。最大出力は6億kwにもなる

一方で火力発電所は2施設で発電出力は1億kwに過ぎない。

これではAMF装置が作動した時の安定供給に影響が出る

だからこそ火力発電所などの他の電源の増設を急いでいる

これはあらゆる電力会社が同じ動きをしている。今までは魔力精製炉発電に頼り切っていた

それがAMF技術によって安定性がなくなった。

だからこそほかの火力や水力などの他の発電所の増設が急がれる

多くの次元世界国で発電所建設と石油や石炭などのエネルギー資源開発も進められている

 

「どこも景気が良くて困っているところだろうね」

 

一方で電気代の値上がりが少しずつ上昇傾向にあることは間違いない

原油価格が商品取引所で先物取引されているがヘッジファンドなどがかなりの資金をつぎ込んで取引をしている

そのため原油や天然ガスや石炭などのエネルギー資源は高値で売買されている

 

「どこも金持ちになろうと必死だよ」

 

サイノスはニュースを聞きながらそんなことを呟くと売人に動きがあったことに気が付いた

売人のすぐそばにバイクが接近してきた。ヘルメットをかぶったバイカーは売人に白い粉のようなものを手渡した

カメラでバイクに写真を撮ると行動を開始した。このチャンスを待っていたのだから。

サイノスはすぐにサイレンとワーニングライトを鳴らして接近するとバイクの人間は慌てて逃走した

バイクに乗っていた人間はすぐに逃げ出したが今はどうでもいい

売人の摘発に集中したい。売人は慌てて走り出そうとしたがドジのようでこけた

サイノスはすぐそばに車を付けると降車して身柄を拘束した

 

「麻薬所持の容疑で逮捕する」

 

密売の現場は見ていないのでだめだが、先ほど受け取った白い粉を調べればすぐにわかる

 

「離せ!」

 

「さっき何を受け取ったか、違法なものではないことがわかったら解放してやる」

 

サイノスは先ほどまでと違って命令口調で売人と対峙していた

弱腰を見せるわけにはいかないからだ。犯罪者と話をする時は特に

初めが肝心なのだから。サイノスはとりあえず売人をSUVの後部座席に乗せる

そして先ほどバイクに乗っていた人物から受け取った白い粉を売人が持っていたカバンから見つける

それを麻薬簡易鑑定のキッドで確認するとコカインであることを示す反応があった

 

「麻薬所持の現行犯で逮捕だ。それもかなりの量だな。長い刑務所生活を満喫することだな」

 

サイノスは中央本部に戻ることにした。

中央本部の麻薬捜査課に引き渡すためである

 

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西区北東部 クラナガンハイウェイ7号線(南西線)北東行き

 

エルガとヴィータは緊急走行で南区サウスウエストハーディー地区1番街2丁目5番地に向かっていた

アズレエル・バーシンの自宅に向かっていたのだ

すでに自殺したことはわかっているが何を抱えて自殺してしまったのかを調べる必要がある

真実を明らかにすることが求められている

 

「それにしても真実を知る人間は減るばかりだな」

 

時空管理局の闇を知る者は次々と自殺したり逃亡生活をしている

身柄が拘束されている者はかなり少数派である

関係者の情報をすべて集約して時空管理局の闇を暴いていく

そして闇の根っこであるHRという組織の解明もしなければならないが

それが次々と難しくなっている。本当に嫌な話ではあるが

 

「真実が知りたいのか?」

 

ヴィータの言葉にエルガは当然だろと答えた

 

「それが仕事で給与をもらっているからな。だが死を選ぶ人間が多すぎる。死人に口なし」

 

よっぽどやばいんだろうなと愚痴るかように言った

確かに彼の意見は当たっているかもしれない

危険でなければ自殺などするはずがない。危険であるからこそ死の道を選ぶのだから

 

「早く現場に到着したいがこの街は広すぎる」

 

クラナガン市は本土側の面積だけでも南北300Km。東西200Kmの広さがある

沖合の島々も含めると南北300Km、東西1400Kmがクラナガン市の領域になる

海の管轄は港湾パトロールの管轄だが、沖合にある島については中央パトロールの管轄である

時には沖合の島々に出張に行くこともある。そのため捜査部専用のプライベートジェットを持っている

 

「広すぎる街は大変だな」

 

「ヴィータ。捜査部の人材は限られている。それでカバーしなければならないから苦労している」

 

捜査部の人材はかなり限られていることは間違いない

それを考えると市内全域の事件を担当するには無茶がある

ある程度の線引きをしなければならない。おまけに夜勤になるともっと限られている

その調整をするのは捜査部捜査官はかなり大変なのである

 

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