CSI:クラナガン   作:アイバユウ

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新暦76年4月1日午後00:40

 

午後00:40 中央パトロール本部庁舎 8階捜査部首席捜査官執務室

 

シエルは経済ニュース報道番組を聞きながら1冊のある報告書を見ていた

それは聖王教会の査察で得られた情報が記載されていた

 

「カリム・グラシア教皇はお飾りに過ぎないことは間違いないわね」

 

枢機卿はカリムをお飾りとして立たせるとして聖王教会のクリーンをアピールする

機動六課組と親交が深い彼女なら聖王教会の正常化に十分な宣伝になる

 

「酷いわね」

 

今は教会がクリーンな組織に生まれ変わったことをアピールしなければ信者が離れてしまう

そうなれば収入源である寄付金も減ってしまう。収入が減れべ財務状況が再び悪化する

苦労することが増えるばかりである

 

「教会も大変ね。どういう選択肢を取るか悩むところだから」

 

『クラナガン原油先物価格が1バレル5000ミッドまで下落。これを受けて石油会社の株価も売りに出されています』

 

『ベルカ原油先物価格も下落。1バレル5500ミッド。今後はこのあたりで価格が上下すると見られます』

 

「原油価格がようやく安定してきたことは良いわね」

 

それよりも聖王教会に関する報告書の最後のページにはあることが記載されていた

聖王教会内部幹部の権力に関する内容が詳細に記載されていた

確かにこの報告書が正確ならカリム・グラシアはお飾りでしかないことは間違いない

しばらくはベルカ州は安定するだろう。だからといって安心ではできない

いつかは聖王教会の過激派のような連中は権力を取り戻そうとするだろう

そうなったときには最悪の状況になってしまうかもしれない

今のベルカ州の安定は近隣州の安全保障にもかかわってくる

リスクのない仕事は存在しないが今回の一連の動きは何かあるかもしれない

 

「とにかく聖王教会の監視を強化するしかないわ」

 

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南区東部 高度1200m UH‐60

 

ウルはノースクラナガン港分署に向かっていた。ヘリで。

分署にはまだ到着までそれなりの時間が必要である

その時間を利用してノースクラナガン港に設置されている監視カメラ映像が数多くあった

ノースクラナガン港の第9埠頭を記録している監視カメラ映像を入念にチェックした

誰があそこまで車を動かしていったかどうかをはっきりしたかったからだ

後部トランクに被害者の遺体は入っていた。つまり運転してきた人物がいるはずだ

その人物を確認することができれば犯人はすぐに突き止めることができる

しかし意外な結果が出た。遺体を隠していた車のすぐそばに黒のSUVに横付けした

遺体が入っていた車を運転してきた人物ははSUVの助手席に乗ってその場を去っていった

 

「顔認証システムで照合できるかな?」

 

助手席に乗り込んだ人物の顔を鮮明化処理して照合した結果、ある人物と一致した

女性で名前はマナサリ・グースル。退役時空管理局員だ。JS事件で大量リストラされた1人でもある

借金をかなり抱えていることが分かった。時空管理局債を50億ミッドも購入していた

しかしJS事件で紙くず同然になって自己破産をしていた。

財産はすべて失って今は南区北部ノースイーストハーディー地区4番街2丁目2番地503号室に住んでいる

ワンルームマンションである。家賃はかなり安い。部屋の広さはかなり狭いことは間違いない

落ちるところまで落ちたと言っても過言ではない。自己破産前には借金が10億ミッドも抱えていた

自己破産で借金はなくなったが豪邸などの財産はすべて差し押さえられてしまった

運転席にいた人物は特定することはできなかったが車の車両ナンバーからある程度は絞り込めた

 

「車の持ち主はエレス・カルガルート。24歳の退役時空管理局員だね」

 

時空管理局の事務部門に勤めていたが次元世界連合による改革で退役した

再就職にはかなり困っている人間の1人でもあった

過去に不正行為があったのではないかとして時空管理局犯罪捜査局の捜査対象になっている

 

「逆恨みでもしてくれたのかもしれないね」

 

時空管理局をリストラされてその原因がこちらにあることを逆恨みした可能性はある

だから誰かを犠牲にすることで攻撃的なアプローチをすることができると考えたのかもしれない

それは最悪の行為である。自らの首を絞めるだけのことだ

自殺行為に近い。第1級殺人罪で仮釈放なしの終身刑か死刑が待っている

 

「とにかく捜査指令を出すしかないね。市外に逃げられる前に捕まえないと」

 

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東区東部 港湾パトロール本部基地 基地飛行場 

 

ラジェットたちは無事に基地飛行場に到着していた

彼らは早速F/A-18Fに乗り込むために対Gスーツを着用するために更衣室に向かうことにした

 

「いつ着用してもきついな」

 

対Gスーツは戦闘機を乗るうえでは最も重要なものである

機内で失神するわけにはいかないのだから当然だ

 

「それにしても港湾パトロールが承諾したな。はやて達の戦闘機に乗せることを」

 

絶対に拒否されると思っていた。

だからこそ戦闘機が本当に用意されているとはかなりの予想外の出来事だった

 

「爆装までしてくれているとは嬉しい限りだな」

 

戦闘機には対空ミサイルや対艦ミサイルが搭載されていた。完全武装の状況あった。

ラジェットが更衣室を出ると女性隊員に対Gスーツの着用を手伝ってもらったのだろう

はやても対Gスーツを身に着けて現れた。ツヴァイは妖精のように小人状態になっている

F/A-18F戦闘機は本来2人しか乗せることができないからだ

 

「なんかきついですね」

 

「そういうものだ。対Gスーツは」

 

ラジェットたちは駐機場でスタンバイしているF/A-18Fに向かった

今回用意された戦闘機は港湾パトロール教育訓練軍 第7訓練飛行隊で使用されている『ノスリ7』

 

「いつも迷惑をかけてすまないな。飛行プランはどうなっている」

 

ラジェットが機体を整備している整備員に確認すると空母までまっすぐ行けるコースをあけているとのことだ

ありがたいが問題が1つ。貨物船が全速力で逃げ始めているとのことだ

空母に乗り込んでいる海軍の部隊が強襲する段階に入っているらしい

状況はかなり危険である。一刻も早く現場に向かわなければならない

ラジェットとはやて達はコックピットに乗り込んだ

 

「はやて。きついことがあったらすぐに報告しろ」

 

「了解や」

 

『管制塔からノスリ7。誘導路を経由して滑走路への移動を許可する』

 

「こちらノスリ7。周辺の安全を確認して問題なければ移動を開始する」

 

ラジェットはすぐに周囲を確認する。

機体の付近に誰もいないことを確認するとエンジン出力を上げて誘導路を経由して滑走路に向かった

 

「はやて。もしかしたら戦闘になるかもしれないから注意しろ」

 

「はい」

 

『管制塔からノスリ7。滑走理に入り次第速やかに離陸を開始せよ』

 

「離陸後の進路上に問題があるセクションはあるか?」

 

『現在のところは確認されていない。離陸後は港湾パトロール管制センターの無線を引き継ぐ』

 

「了解した。これより離陸を開始する」

 

ノスリ7は滑走路に出るとすぐにラジェットはエンジン出力を最大にして離陸を開始した

F/A-18Fは無事に滑走路から離陸するとラーズグリーズ級航空母艦のワルキューレに向かった

すでに海軍が強襲作戦を実行している。状況は極めて危険であることは間違いない

ラジェットはエンジン出力を巡航速度まで上昇するまでに設定すると火器管制システムを立ち上げた

いつでもミサイルを発射できるようにしたのだ。万が一の場合に備えてである

 

「港湾本部へ。ノスリ7は現在火器管制システム立ち上げを完了した」

 

『こちら港湾本部。了解した。危険を感じた際には自衛権の行使を許可する』

 

「嬉しい話だ。状況に変化があれば即座に報告をくれ」

 

『こちら港湾本部。了解した』

 

 

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東区東部 港湾パトロールサウスクラナガン港分署庁舎 3階刑事課オフィススペース

 

カリーとシグナムが到着したころにはすでにゾーイス・タンエルの取り調べはかなり順調に進んでいた

 

「状況はどんな感じ?」

 

カリーの質問に男性刑事は今のところは事情聴取は嘘発見器にかけながら行ったが間違いないとのことだ

問題はなぜ今になって自首してきたかである。

何か危険なことがあると察して身元保護を求めたのかもしれない

司法取引で何か証言を引き出すことができるかもしれないのでそれを待つのみである

 

「こちらも同じ意見です。今はボートの鑑識を行っていますが。船内からセムテックスが発見ました」

 

「量は?」

 

「500グラムほどです。爆薬としてはかなりの威力があります」

 

300グラムのセムテックスがあれば航空機を爆破することができる威力がある

それが500グラムとなればかなり大きなことをできる

セムテックスを作ること自体はそれほど難しいわけではない

材料債あれば自作製造することは不可能ではない。

問題はその作業を行うためにある程度の広さの工房が必要である

それをどこに隠しているかを突き止めることも重要である

 

「作業部屋については?それと顧客情報を知りたいけど?」

 

「そこで取引を持ち出されてしまって、あなたのお待ちをしていました」

 

司法取引の決断については捜査部捜査官なら簡単にできる

サウスクラナガン港分署の刑事はその判断をしてほしかったのだ

 

「良いわ。私が取調室に入っても良いかしら?」

 

「問題ありません」

 

その返答を受けて取調室に入った

シグナムは取調室の外からマジックミラー越しに見ることになった

 

「中央パトロール本部捜査部3係のカリー・ドーラン捜査官よ。あなたのネタによっては取引に応じても良いわ」

 

その言葉を受けてゾーイス・タンエルは少し表情を緩ました

取引すれば刑務所に入る期間が短くなることを理解しているしそれほどの上ネタであるということだ

 

「どんなネタをくれるのかしら?」

 

「俺が爆弾を売った奴は大きなことをすると言っていた」

 

「顧客を売るなんてあなたはその爆弾が爆発したらかなり危険な状況に追い込まれるわけね」

 

「さすがは捜査部捜査官だ。よく理解している」

 

やばい顧客に爆弾を売ったことが知られると共犯とみなされる可能性があると考えたのだろう

つまりそれほど危険な行為をする人物に爆弾を売ったということである

 

「内容次第で取引に応じても良いわ」

 

「5000万ミッドを受け取ってC-4爆薬をメインとする爆弾を作った。携帯電話で起爆するタイプだ」

 

「番号はわかる?」

 

「ああ、04851-5561-0377だ。GPS追跡装置付きだ。万が一の保険をかけてつけておいた」

 

「あなたもやばいことに絡まれることを分かって仕掛けたんでしょ。利口な人間ね」

 

「そういうことだ。どうだ。取引に応じてくれるか?」

 

「誰に爆弾を売ったのか教えてもらえるかしら?そこまで教えてもらわない協力できないわ」

 

「・・・・・・・・・・・・名前はガレス・ファーミル。退役時空管理局員だ」

 

カリーはすぐに携帯情報端末でその名前を入力して確認した

確かにJS事件後に大量リストラされた退役時空管理局員の1人である

さらに借金をかなり抱えていた。総額3億ミッド。自己破産申請を行っていて決まれば借金は0になる

ただし財産も0になるが。

 

「どこを爆破するつもりか言っていたかわかるかしら?」

 

「すべての元凶だとの話だったが詳しくは聞いていない」

 

「わかったわ。検事局には捜査に極めて協力的だったと伝えるわ。検察局にも同じ話をすることね」

 

そうしないと取引をしてもらえないわというと彼女は取調室を退室した

 

「港湾パトロール安全保障局に連絡して爆弾の位置情報がわからないか確認させるわ」

 

携帯電話の位置情報で分かるかもしれないが不用意に電源を入れると起爆するかもしれない

リスクは最小限にして対応しなければならない

 

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中央パトロール本部ラボ棟 1階検死ラボ

 

エルガとヴィータはアズレエル・バーシンの検死に立ち会っていた

今回の検死を担当するにはリエ・ミズノ検死官である

シャマル・八神の教導官を担当しているので彼女もいたが顔色はあまり良くない

検死に立ち会うのはかなり強靭な胃袋が必要になる

初めての立ち合いにはほとんどの場合は嘔吐をすることが当たり前である

 

「リエ先生。シャマルは初めての検死ですか?」

 

「エルガ、残念ながらその通りよ。最初は医務室にするつもりだったんだけど、波にもまれたほうが良いと思って」

 

「厳しき波に乗せられたわけか。いばらの道を歩まされたわけか」

 

そういうことよと言うとリエは検死結果を報告してくれた

死因は頭部に撃ち込まれた380ACP弾が原因ということだ

 

「弾の方はどうですか?」

 

「銃器刃物ラボに回しておいたわ。ライフルマークの照合を最優先にするように指示しておいたわ」

 

「リエ先生の指示となると断ることはできないな。フィアットもすぐに作業を始めているだろう」

 

結果が楽しみだなと回答した。ラボ棟で逆らえない人物は2人いる。

DNAラボのラル・ミズノラボ首席管理官。このラボ棟の最高責任者である

そして検死ラボのリエ・ミズノ検死官である。2人の指示には簡単には逆らうことはできない

ラボ棟の幹部なのだから仕方がない

 

「早速フィアットに話を聞きに行ってきます」

 

検死ラボを出ると3階銃器刃物ラボに向かった

ラボ棟では多くの分析官が忙しそうに様々な証拠の分析作業を行っていた

大きな証拠もあるので通路は広めの幅がとられている

 

「本当に広いな」

 

「このラボだけでも1日に多くの事件事故の証拠分析が行われているからな」

 

当然だろとエルガはヴィータに伝えた。確かにその通りである

各区の分署のラボ棟でも分析が行われているとはいえ、

中央本部のラボ棟には過去の事件の再捜査を依頼された証拠の再分析も行われている

仕事量はかなりのものである

 

「フィアット。調子はどうだ?」

 

「エルガ。相棒は可愛い女の子みたいね」

 

「俺はこいつと変なことをするとでも思っているのか?冗談はやめてくれ」

 

それで銃弾の鑑定結果はどうだったと聞くと興味深いことが分かったわと報告書を渡してきた

そこにはかなり危険な情報が記載されていた

 

「間違いないのか?」

 

「ええ、3年前に時空管理局が大量押収した銃火器の1つよ。当時の記録によると拳銃やアサルトライフルを押収」

 

それも100以上の銃火器が押収されてすでに破棄されたはずだが、

残っているということは流出していることを意味している

最悪の状況になっている

そんなものが大量にブラックマーケットに流通しているとなると再押収しなければならない

どんな手段を使ってもである

 

「当時の証拠保管記録を調べるしかないな」

 

誰がどのように証拠品である銃火器を管理していたかを調べて裏を探るしかなかった

面倒でも100以上の銃火器が流通している可能性を少しでも確証が得られるか確認しなければならない

 

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東区中央部 東分署ラボ棟 1階検死ラボ

 

アルシオーネはグエンスト・バーリに検死に立ち会っていた

死因はわかっている。頭部に撃ち込まれた銃弾である

すでに銃弾は摘出されて東分署の銃器刃物ラボで分析されている

 

「それにしても爆弾を作っていたから、生きていたら取り調べで厳しく進めたかったのだけど」

 

「死人に口なしね」

 

ヴィラ・フォーリンス検死官の言葉通りである

死んでしまえば何も証言を得ることはいない

今後のことを考えると自宅から押収されたもので何か証拠になりそうなものが得ることができればいいが

今のところは期待することはできない。爆弾ラボではなかったのだから

どこかに工房を持っているはずだ。それを探すことも捜査の1つである

 

「真実を話すチャンスも失って死んだ。問題は自殺か他殺かのどちらかということね」

 

ヴィラに確認するがそれをはっきり断定することは難しいと言われた

他殺かもしれないし自殺かもしれない。検死でははっきりと断定することはできない

言えることは頭部に弾丸を撃ち込まれているということである

 

「銃器刃物ラボに行ってくるわ」

 

アルシオーネは東分署ラボ棟の3階にある銃器刃物ラボに向かった

遺体から摘出された弾丸が唯一の手掛かりだ

 

「銃弾から何も証拠が得られなかったら最後ね」

 

手がかりはあの銃弾だけのような状況なのだ

 

「状況はどんな感じ?」

 

「調べましたよ。線条痕ですが、この銃弾の過去はありません。新品です」

 

「つまり新顔だと?」

 

「はい。データベースにかけましたが前歴はなしです」

 

「最悪ね。銃弾だけが手がかりだったのに」

 

分析官はお手上げの状況ですかと聞いてきた。アルシオーネは今まさにその状況に陥っているわと返事をした

問題はこれからの捜査方針だ。

駅で見つかった爆弾で手がかりになるのは付着していた指紋だが、あまり期待できそうにない

新顔なら指紋でヒットするとは思えない。

 

『ピーピーピー』

 

『東分署指紋ラボです。爆弾に付着していた指紋ですがすべてグエンスト・バーリのものと一致しました』

 

どん詰まりということだ。指紋も銃弾も駄目。まさにお手上げの状況である

他に爆弾を設置したことで被害が拡大する前に対応するしかない

 

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南区中央部 クラナガンハイウェイ6号線( 南線 ) 南行き

 

フィリーとなのははエレスコ・フォーゲル君の自宅に向かっていた

父親の麻薬使用の容疑で逮捕するために向かっている

すでに南分署の麻薬捜査課に自宅は張り込ませている

父親は今は仕事はしていない。母親が近くのコンビニで勤務している

母親の収入だけが生活の柱だが、麻薬を購入するために使われたら生活は厳しいものだろう

 

「本当ならこんなことはしたくないのは私も同じよ。でも犯罪は犯罪だから仕方がないわ」

 

どこかで割り切るしかないとなのはに伝えた

身内であっても捜査に全面的に担当する

真実を明らかにして事件事故を解決することが求められる

それが捜査機関の役割である

 

「なのは。この仕事は必要なら親兄弟だけでなく大切な友人で会っても見逃すことができないのよ」

 

覚悟することねと言うとフィリーは無線を聞きながら車の運転を続けた

 

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