午後01:00 ベルカ州中央地方ベルカ市郊外 港湾パトロールベルカ基地 基地管制センター
「相変わらず素早い動きだな」
ベルカ基地には続々とフローレンス州にあるイーストフローレンス基地から送られてきた輸送機が到着していた
輸送機には数多くの医療スタッフと天然痘のワクチンが積み込まれていた
早く市内の医療機関に届けて関係者にワクチン摂取させなければならない
すでにベルカ市内ではマスコミを通じて報道が流されていてワクチン接種希望者が集まりつつあった
ベルカ市保健局はワクチンさえ到着すればいつでもワクチン接種ができる状況づくりをしていた
「早く市内各所の医療機関や保健局にワクチンを届けろ。最優先で行うえ」
ベルカ基地統合軍司令官であるレパーズ・サットンは次々と指示を出していた
問題を改善するためには少しでも問題になりそうなことを確認されればすぐに対応していた
「ワクチンを市民は求めているからな。基地にも医療機関から問い合わせが来ている」
医療機関はいつになったらワクチンが届くのかどうかについての問い合わせがあるのだ
誰もが欲しがっている物なのだから仕方がない
「ベルカ市内だけでなく近隣都市からも天然痘ワクチンの支援要請を求めていますがどうしますか?」
管制官からの報告にレパーズは問題を抱えたと感じた
いくら次々と輸送機でワクチンが運ばれているからといって数には限度がある
情報が拡散すればするほど問題が拡大していく。デマなどが広がる前に事態収拾を付けなければならない
「本当に何とかするしかないな」
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ベルカ州中央地方ベルカ市中央区 セントラルベルカ医療センター 伝染病治療隔離室
マイアはワクチンや天然痘の抗ウィルス薬の到着を待っていた
患者は今のところ平穏な様子であるが、いつ何かどうなるかわからないのが恐ろしいところである
「早くワクチンが来てくれると嬉しいのですが」
マイアはワクチン到着を待っていた。すでにベルカ基地に到着したことはわかっている
そこからヘリで各医療機関に輸送されることになっていることも理解している
あとは素早い対応に期待するだけだ。
「マイア・ドミンゴ捜査官補佐!お待たせしました」
声をかけてきたのはベルカ基地から派遣されてきた港湾パトロール海兵隊員である
ようやくワクチンと抗ウィルス薬が到着したことを知らせる報告をしてくれた
「すぐに患者に抗ウィルス薬とワクチン接種の作業に入ってください」
「ワクチンの方はすでに引き渡しました。あとは隔離室にいる患者さんに抗ウィルス薬を投与するだけです」
「お願いします」
海兵隊員の男性は医師に抗ウィルス薬が入ったアンプルを渡すと医師はすぐに防護服を着用して隔離室に入った
そして室内にいる全員に天然痘の抗ウィルス薬を投与した
これで彼らの症状がさらにひどくなるということは避けられるだろう
「これで感染爆発は抑えることができるはずですが」
問題はこれからだ。ほかにも天然痘に感染している者がいれば、
できるだけ早くワクチンや抗ウィルス薬の投与が必要である
影響を最小限にするにはマスコミとの連携も極めて重要である
さらに医療機関や州内の様々な保健衛生局との連携も重要になる
まだまだやることはたくさんある
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ベルカ州中央地方ベルカ市中央区 ベルカ市警察本部対策センター
「ステラ、状況はかなり悪い方向に進んでいる」
市警察捜査部の捜査官であるボースック・レイスド捜査官がステラに状況を報告していた
彼の言う通り少しずつではあるが状況は悪くなっている。
問題は市民が持っている疑心暗鬼という感情である。
市民の中にはもう感染しているのではないかと疑っている者もいる
だからこそ早くワクチン接種を受けたくて病院や市政府などの保健当局に連絡するものが多い
「ワクチンや抗ウィルス薬は順調にこちらに届いているけど、市民に周知することは難しいわね」
「マスコミ発表をして情報公開を行う。問題はないはずだ」
今のところはだがとボースック・レイスドは話す。確かに今のところは順調だ
問題はこれからだ。ワクチン接種をできるだけ早く進めることが極めて重要な課題である
「今は少しでも早くベルカ市民の安全確保が最優先ね」
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東区東部サウスクラナガン港 沖合95Km地点 空母ワルキューレ [ 形式:ジェラルド・R・フォード級航空母艦]
ラジェットたちは空母のブリッジに上がっていた。
空母ワルキューレの艦長であるギリース・トライス大佐と話をしていた
貨物船は速力を大幅に落としてかなり低速で航行していた
今も犯人の2人は貨物船の船内で立てこもっている。早く捕まえたいところだが簡単にはいかない
「ラジェット、貨物船の速力は落としたが、問題は船内の部屋に犯人が立てこもっているということだ」
「この際、ガスを入れるしかないだろう。睡眠ガスだけでも入れて眠らせるしかない」
「わかった。準備に入る」
はやてが大丈夫なんですかと質問してきた
確かにリスクがあることはわかっている。それでもこのまま何もしないよりもましである
貨物船としても面倒なお荷物は早くおろしたいはず
ここは進んで協力してくれるだろう。こちらに抵抗したらどうなるかはよくわかっている
「広域AMF装置の作動はできるか?」
「すでにいつでも起動できる状態だ。始めるか?」
この空母には機関として魔力精製炉発電装置が搭載されている
それらが暴走した際に対応するためにAMF装置も搭載されている
AMF装置を作動させればすぐに魔力精製炉に入っている魔石燃料の発熱反応は抑えられる
安全に魔力精製炉を機能停止にすることができるというわけだ
その間には高性能バッテリーで電力供給して空母の稼働を維持する
バッテリーシステムだけでもこの空母がフル稼働しても蓄電量は7日間も対応できる蓄電能力がある
空母から戦闘機を発艦させる時には電力を使う電磁カタパルト採用しているので戦闘機の運用にも支障はない
ただ魔法が使えないというだけだ。魔導師たちが
「ガスを入れる直前に広域AMF装置を稼働させてくれ」
空母に搭載されているAMF装置は半径1Kmから5Km圏内の魔法運用ができなくなる
もちろんAMFはある程度の出力調整ができる。影響範囲の調整も可能。
「艦内の電力源をバッテリーに変更した。AMF装置を起動させる」
広域AMFが展開されると同時に貨物船に立てこもっている犯人がいる部屋に、
催眠ガスを流し込むように指示が出された
「これでおさまればいいが」
ラジェットの言葉にギリース・トライス大佐もそう願っていると話をした
これでもしも駄目なら強行突入しかない。そうなれば血を見ることになることはほぼ間違いない
「催眠ガスを注入する」
「いよいよだな」
ここからがまさに勝負時である。
上手くいけばいいがしくじったら最悪の結末を迎えることになる
運を天に任せるような賭けである
「成功することを祈るだけだ」
しばらくしてから無線連絡が入ってきた。
貨物船の部屋に立てこもっていた男2人を無事に確保したと
最高に良い話題である。これでひとまず問題は解決した
あとは取り調べである。問題はそこからだ
簡単にしゃべるわけではないはず。取り調べはかなり苦労することは間違いない
「あとは事情聴取をするだけだな。海上で違反した者を収容する留置室があったよな。そこを借りたい」
「わかった。確保した人物はそれぞれ留置室の個室に放り込んでおく」
取り調べについても艦内で行うことを伝えるとラジェットは後は任せてブリッジから降りていった
もちろんはやてとツヴァイも同じである
「どうしてこちらもヘリで向かわないんですか?」
「はやて、お互いにはちゃんとしたラインが存在している。今は港湾パトロールのラインの内側にいる」
上手くラインを超えるには今は待機しておく方がことがうまく進むとラジェットは話した
確かに管轄権でもめることを考えると、今は港湾パトロールに任せておいたほうが良い
事情聴取をするのもこの空母の艦内にある取調室なのだから。
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南区北部 中央パトロール本部庁舎 8階捜査部オペレーションルーム
『港湾パトロールがクラナガン市本土沖合で停泊している貨物船の工業港への入港を速やかに行うようにと指示』
『この指示は沖合に停泊している貨物船を少しでも減らすことで海上渋滞を抑止することを狙っています』
『沖合で入港待ちをしている貨物船は現在把握されている数だけでも100隻近くになります』
シエルは空間モニタでマスコミの報道を見ながら、
オペレーションルームの正面スクリーンにはレーダー情報が映し出されていた
沖合には確かに数多くのコンテナ船やタンカーなど、さまざまの種類の貨物船がいた
「港湾パトロールは大変ね。こっちも忙しいけど」
貨物船が一斉に入港するとコンテナ船からは数多く積載されているコンテナが荷下ろしがされる
それらは貨物列車によってさまざまな地域に運ばれていくことになる
つまりコンテナを利用した密輸や密行者が増加することを意味している
それを阻止するために存在するのがクラナガン捜査局である
「港湾施設の警備体制を強化するしかないわね」
シエルは港湾犯罪捜査部に連絡を入れた。
クラナガン市内のすべての港の警備体制を強化するようにと
さらにクラナガン市の近隣州の港の警備体制の強化も呼び掛けた
「何も起きなければ良いけど」
今はクラナガン捜査局の管轄区域でテロ騒動が起きてしまうと国家安全保障に大きな影響が出る
それを阻止するために存在しているのがクラナガン捜査局なのだから、
何としても任務遂行を行わなければならない。国を守るとは重責なのだから当然ではあるが
「それにしても貨物船の数が多すぎるわね」
レーダー情報で確認していると確かにかなりの数の貨物船が沖合で待機している
これから港湾区域で仕事をしている人たちはかなり忙しくなってくることは間違いない
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東区東部ノースクラナガン貨物ターミナル 駐車場
駐車場に残されていた車に付着している指紋から容疑者の名前はわかっている
マナサリ・グースルとエレス・カルガルートである。
マナサリは貨物列車に便乗して逃走している可能性が極めて高いが、
もう1人の足取りはわからないままである
今は2人の金融情報にアクセスするために判事に情報開示令状を請求していた
それで少しは逃走ルートを絞り込めるはず。手がかりになればいいのだが
『ピッ』
ウルの携帯情報端末に2人の金融情報が送られてきた
令状が無事に通ったのだ。その結果はある情報が引っかかった
「かなりの大金を銀行から引き出しているね」
5000万ミッドもの資金を2人とも金融機関から引き出していた
その後金融機関は預金を凍結していた。時空管理局捜査局の要請を受けてだ
銀行口座の残高は2人とも数億ミッドもあった。おそらく不正な資金であることは間違いない
そうでもなければ時空管理局犯罪捜査局が資産凍結をするはずがない
詳しいことを確認する必要がある。それに一連の流れについても詳細な情報を持っているかもしれない
それらを考えた場合は連係プレーで捜査を進めるのがいつもの手順である
「本当に面倒なことになりそうだね」
ウルはボンネットの中を確認するととんでもない物が入っていた
小さな目覚まし時計が入っていた。それもダイナマイトが設置されていた
「全員逃げろ!爆弾だ!」
ウルは大声で叫ぶと急いで避難することにした
車から離れて数秒後に爆弾が爆発した。ウルは爆風で軽いやけどをしたがかすり傷で済んだ
しかし貴重な証拠が吹き飛ぶ結果になってしまった。残念なことながら
「貴重な証拠はすべて失ったわけだね。でもこれで殺しで引っ張れる。死刑か仮釈放なしの終身刑はいけそうだね」
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東区中央部 一般道
カリーとシグナムは車両ナンバー『クラナガンサウスSWA-1033』の車を追跡していた
今のところ犯人は追跡されていないと思っているようだ
速度を落として一般車両のふりをしている。それはそれで安心できる。
問題はこちらが追いつけるかどうかである。すでにハイウェイでは覆面パトカーが着実に包囲網を敷いている
「早く追いつくことができれば良いけど」
カリーは無線を聞きながら犯人の逃走経路の一歩先に出ようと緊急走行で車を運転していた
今のところは包囲網に気づいている様子はないとのことだがいつまでもつか
できることなら安全なら即座に止めてやりたい
「包囲網が完成したら確保するのか?」
「シグナム。事は簡単には進まないわ。慎重に進める必要があるのよ。相手が銃や爆弾を持っていたらどうなるか」
カリーの最大の恐れはそこにある
仲間にけが人を出すわけにはいかないのだから、安全な方法を選ぶべきである
もちろん市民にもけが人を出すわけにはいかない。
「この手の案件は長く時間が必要になるのよ。まずは様子見よ」
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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部1号レイアウトルーム
エルガ、ヴィータ、リドカイ・ヘランスは横流しされたとされる事案についてすべて照合していた
「全部で100件以上もヒットするとなると嫌な仕事だな。そうだろリドカイ」
「同意見だな。ここまで悪質となると捜査する方は嫌なものを見ることになりそう」
リドカイの言う通りである。ここまで悪質となるとかなり面倒になる事は間違いない
最悪の事態の方向に進んでいる。このままいけば状況はかなりひどいことになる
「できれば流出元を突き止めてその漏れのもとをふさぎたいところだな」
リドカイの言葉にエルガは当然だなと言った
誰だって漏れているところは極めて危険な場所だ。ふさがなければこれからも漏れ続ける
それこそが最悪の事態を防ぐ作業が求められる
『ピーピーピー』
「エルガだ」
エルガの携帯電話に着信が入ってきた
『移民税関執行局です。あるものが発見されました』
マリネット州から他次元世界国に輸出されるはずだったコンテナから大量の銃火器が発見された
銃火器だけでも数千丁も入っていた。
しかもそれらの銃火器はすべて時空管理局が押収したものと線条痕が一致しているとのことだ
今まで報告をしてこなかったのは照合作業を進めていたからだ
クラナガン市から持ち出すのはかなり難しいことから北隣のマリネット州の港から送り出そうとしたようだ
横流しされた大量の銃火器の一部が国外に持ち出されようとされていた
これはまで小規模のものである可能性が高い。
他次元世界国の時空管理局証拠保管施設でも横流しが確認されている
それらの国々でも横流しされた銃火器の再回収に必死になっている。
横流しされた量は国によって異なるが、ミッドチルダ連邦は最も多い
次元世界連合全加盟国にも時空管理局証拠保管施設は存在している
「先はかなり長い話になりそうだな」
『線条痕の照合作業は現在も続けています。量がかなり多いので時間が必要です』
「最終的な結果が出たら報告書としてこちらに回してくれ」
『わかった』
電話を終えたエルガは大きなため息をついた
すでに大量の銃火器の横流しの影響はクラナガン市だけでは片付かないことになっていることに
「北隣のマリネット州で横流しされた銃火器が発見された」
エルガの話にリドカイはこれは最悪な話題だと語った
これ以上被害が出ることは避けたい
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南区東部 クラナガンハイウェイ14号線( 大外環状線 ) 時計回り路線
アルシオーネはギリス・フォラスが確保されて移送された先の南分署に向かっていた
サイレンやワーニングライトを使わないで普通に走行していた。できることなら安全に解決したい。
まだ爆弾が設置されているならその場所に関する情報を聞き出す必要がある
「爆弾魔の取り調べは面倒なのよね。彼らは自分たちのことを芸術家と思っているから」
今回の場合は爆弾を購入して設置していることが犯人である
爆弾を使った犯人も爆弾製造犯と同じでアーティストだと思っている
自分は社会を支配している者であると
「できれば素直に自供してくれると助かるんだけど」
そうは簡単に問屋はおろすことはないと
今は急いで南分署に向かうしかない
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