CSI:クラナガン   作:アイバユウ

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新暦76年4月1日午後01:05

 

午後01:05 中央パトロール本部庁舎 8階捜査部オペレーションルーム

 

「マイア。状況はどうなっているの?天然痘の封じ込めには成功しているかしら?」

 

シエルはマイアと通信をしていた

マイアは今のところ順調に作業は進んでいると報告してきた

 

『現在の状況では市内の医療機関すべてに天然痘のワクチンを供給しています』

 

「接触者には抗ウィルス薬の投与もできているのね?」

 

『もちろんです。今のところ他の医療機関に天然痘の症状を出ている患者は確認されていません』

 

「ステラにもベルカ市警察本部の対策センターで関係行政組織と連携して対応するに伝えておいて」

 

『わかりました』

 

そこでマイアとの通信を終えた。そこに2係のヴォルツとフェイトが入ってきた

 

「シエル首席。状況はどんな感じですか?」

 

「ベルカ市の天然痘については収束しつつあるみたいね。問題はフェイトが狙われている事よ」

 

「ここなら隔離されているから問題はないはずだが」

 

中央本部庁舎内なら狙われても問題が大きくなることはない

特にオペレーションルームは入室には生体認証が必要になっている

捜査部所属の人物以外の立ち入りは基本的には禁止されている

フェイトも本来はまだ入室許可は出されていないがここが最も安全な場所であることから

ここに隔離することにした。今は安全確保が最も重要である

 

「ベルカ州での天然痘事案は今のところは順調のようだな」

 

「そうよ。マイアが必死になって対応してくれているわ。さすがは優秀な捜査官補佐ね」

 

「港湾パトロールとの連携は慣れているようなものだからな。俺たち捜査部捜査官は」

 

「いつどんな緊急事態に対応できるように訓練を受けてきたのだから当然ね」

 

『ピーピーピー』

 

ヴォルツの携帯電話に着信が入ってきた。よく使っている情報提供者からだ

 

「ヴォルツだ。・・・・・ああ、わかった。感謝する」

 

「何か情報があったの?」

 

「フェイトを狙っている連中が分かった。HRの中でもかなり危険人物に指名手配されているペルスカ・ロゼルス」

 

「有名人から狙われているなんて苦労するわね」

 

ペルスカ・ロゼルスは45歳で時空管理局の暗部であるHRの大幹部だ

かなりの資金が時空管理局からHRの彼の手元に流れている

わかっているだけでも数千億ミッドにもなる

 

「連中は本気でフェイトを殺しに来るわね」

 

「俺も同意見だ。奴なら刑務所に収監されても外にいる友人を使ってでも殺しに来るかもしれない」

 

「となると手段は1つね。ペルスカ・ロゼルスの資産をすべて押収。金がなくなれば誰も協力してくれないわ」

 

暗殺をするためや何かを依頼するにはお金が必要になる

それらをすべて押収すれば身動きなどとれるはずがない

あとは刑務所に入れてしまえばとりあえずはフェイトの安全確保はできる

 

「奴を見つけ出すしかないわねだ。ギブリ。顔認証システムで照合作業に入ってくれ」

 

まだ市内にいるはずだというとギブリはすぐに時空管理局所属時の顔写真情報をもとに照合作業に入った

市内にある街灯観測システムを使えば簡単にできる。あとは時間だけだ

 

「とにかくフェイトは捜査部のオフィスで待機だ。科学捜査に関する教本を読んで待機しておいてくれ」

 

俺はシエル首席と内密な話があるからなというとフェイトをオペレーションルームから退室させた

 

「彼女抜きの話は何かしら?」

 

フェイトを部屋から追い出したことにすぐに内緒話があるということをシエルは理解していた

 

「実際のところはどこまで危険なんだ?」

 

「フェイトが狙われていることに関しては今は情報待ちの段階だけどかなり危険ね。普段から防弾チョッキも着用」

 

「つまり俺も狙われることも想定して動けということか」

 

シエルはそうなるわねとヴォルツに回答した

フェイトが狙われるということは相棒役をしているヴォルツにも狙われることは十分に予測できる

捜査部捜査官にとって1度パートナーになったのなら仮に短期間でも全力で守ることが求められる

それが少し前まで対立する組織のメンバーであったとしてもである

 

「組織になると面倒なことに」

 

「それもHRとなるとさらに面倒なことになるわね。念のため港湾パトロール安全保障局に通信傍受をさせているわ」

 

「何かヒットしたら連絡してくれ」

 

ヴォルツはそう言うとオペレーションルームを退室していった

 

「シエル首席。大丈夫なのか?」

 

「ギブリ。捜査部オフィスなら安全がある程度は担保されているでしょ。外にいるよりリスクは少ないわ」

 

「それもそうだな。とりあえず通信傍受の内容で不審なものがないか確認作業を続ける」

 

『ピーピーピー』

 

サレイバーグ・ゴレイスの自宅に到着したことを知らせるダイナからの連絡だった

 

「ダイナ。そっちの状況はどうなっているの?」

 

『有力な証人になりそうだったサレイバーグ・ゴレイスは死亡が確認された』

 

「その話はもう聞いているわ。現場からみてどんな感じなの?」

 

『リボルバー銃で頭を打ちぬいている。銃はS&W M640タイプを使用している』

 

「自殺で間違いないの?」

 

『ドアは内側からロックされていたし残留魔法粒子は確認されなかった。魔導師が魔法を行使した痕跡はない』

 

魔導師が魔法を行使すると魔法粒子が残ってしまう。

それらの粒子は指紋と同じでそれぞれに特徴があるので識別することが可能である

そのため魔導師の魔法粒子に関するデータベースが存在している

 

「最悪の結末になる前に証人を押さえるしかないわね」

 

『同感だ。問題なのは弾だ。本来なら頭部を貫通するはずの弾丸なのにそれをしていない』

 

「頭蓋内に残っているの?おかしいわね。25口径の銃ならわかるけどリボルバーで使用される銃弾なら普通は貫通するはず」

 

S&W M640タイプで使用されている銃弾なら頭部を貫通する威力を持っている

それがないということは何かおかしな点があるということを意味している

 

『もしかしたら弾が古いのかもしれないな。それか適切に保管されていなかったのか。分析してみたらわかる』

 

それまでは不明な疑問点として対応するとダイナは伝えると通話を切った

確かに疑問な点ではある。今の闇市場では簡単に銃弾を購入することができる

わざわざ不良品を使う意味が分からない。

もしくはつてがなくて管理が行き届いていない弾を使ったのかもしれない

詳しくは詳細に分析してみなければわからない

 

「何事も分析が大事ってことね」

 

『ビービービー』

 

オペレーションルーム内に警報音が鳴り響いた。

それは何かの緊急事態を知らせる

 

「今度は何?」

 

「サウスクラナガン魔力精製炉発電所が発電機能を喪失したアラートだ」

 

高出力AMFの影響でサウスクラナガン魔力精製炉発電所の発電能力が失った

この発電所の総発電出力は最大6000万KWにもなる。大きな損失で徐々に出力が下がっている

今はミーミルエネルギー社が他の発電所からの送電を開始して不足分を補っている

停電の可能性は今のところはないが、今回のAMFについてはテロの可能性がある

 

「発電所の警備部隊に連絡を入れて周辺警戒レベルを最高レベルまで引き上げて」

 

「良いのかそんなことをして?」

 

「発電所が機能停止になるまでの時間稼ぎをすればいいのよ。それとAMF装置の捜索を指示して」

 

AMFを展開するにはAMF装置が必要になる。

それも発電所を機能停止にするにはある程度の大きな規模のものが必要だ

簡単に設置することなどできるはずがない

それに魔力精製炉発電所は港湾パトロールの管轄内では港湾パトロール海兵隊が警備している

厳しい警戒網を突破できたとは思えない。つまり何か策略があったのかもしれない

憶測で物事を言っていられる状況ではない。今はとにかくAMF装置の発見を最優先にしなければならない

 

「早く復旧すればいいけど」

 

他の発電所からの発送電が行われているので今のところは停電などは起きていない

もし大規模停電にもなれば、停電地区に混乱が生じることになる

犯罪発生率が大きく跳ね上がる事にもなるのでそれだけは避けたいところである

今はAMF装置の発見を最優先にして動く。犯人はその次である

 

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東区東部サウスクラナガン港 沖合100Km地点 空母ワルキューレ [ 形式:ジェラルド・R・フォード級航空母艦]

 

貨物船の部屋に立てこもっていた2人の男は無事に確保されて空母まで移送されていた

今は空母内にある留置室に放り込まれている。目が覚めたらさっそく事情聴取を行う

それまではラジェットたちは待機である。待機と言っても彼ら2人の所持品を調べていた

 

「こんなものを持ち込んでいるとは驚きだ」

 

ラジェットが驚いたのは時空管理局の暗部であるHRの構成員である関係者の金融情報を持っていた

銀行口座のデータなどがかなり存在した。メモリディスクには1000人以上の金融情報が詳細に保存されていた

保存されている人物の大部分は多くの法執行機関に指名手配を食らっている

つまりすぐにこの口座の凍結が求められるということである

 

「銀行口座はすぐに凍結するしかないな」

 

ラジェットはそう言うとすぐに携帯情報端末を取り出してシエルに連絡した

 

「シエル。トラブル発生だ」

 

『何を見つけたの?』

 

「HRの関係者と思われる人物の銀行口座が1000件分以上」

 

預金口座の金額をすべて合計すると数十京ミッドにもなる

それらを差し押さえることで銀行口座の持ち主は大慌てになるだろう

パニックを引き起こすことになることは容易に予測できる

 

『それはかなり貴重な情報ね。暗号回線でそのデータをこちらに送って。差し押さえに踏み切るわ』

 

「早く差し押さえたほうが良い。銀行口座から金を引き出されたら追跡はできない」

 

わかっているわというとシエルとの通信は終了した

ラジェットはすぐに暗号回線でメモリディスクに保存されているのデータ情報を捜査部に送信した

これですべての預金口座を差し押さえできれば大きな成果につながるかもしれない

それはやってみなければわからないことだが資金を差し押さえれば逃亡生活が難しくなるし追跡も行いやすい

今は一刻も早くそれをするべきタイミングなのだから

 

「あとは取り調べだけか。催眠ガスの効果が切れるまで待つしかないな」

 

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東区東部ノースクラナガン貨物ターミナル 駐車場

 

ウルは爆発した車の破片を回収していた。爆弾の部品を探していたのだ

爆弾の製造にはそれぞれ個性があるためある程度は識別ができるからである

誰が製造したのかがわかればそいつも爆弾製造と殺人未遂などで逮捕することができる

ただし今回の場合は車に爆弾が設置されていた。ガソリンに引火しているので部品を探す方が大変である

ほとんどが粉々になっている。

 

「頑張るしかないね」

 

ウルは少し苦労する現場になったことにため息をつきながら鑑識作業を進めえていた

犯罪捜査に近道は存在しないのだが、できることならたまには近道をしてみたいものである

 

『ピーピーピー』

 

ウルの携帯電話に着信が入ってきた

発信者はシエルからだ。

 

「こちらは爆発で服は汚れたが体には傷はついていない」

 

『それは安心したわ。あなたは大切な家族なのだから心配しているのは当然でしょ』

 

「こちらは問題ないよ。ただし貴重な証拠はすべて吹き飛んでくれたけど」

 

一部の証拠は離れた場所に運び出すことができた。

それでもごく一部の証拠だ。大部分は焼失したに違いない

 

「とにかく残っている物の回収作業を進めるか」

 

 

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東区西部 一般道

 

カリーは無線交信の内容を聞きながら犯人の逃走経路を予測しながら追跡作業を続けていた

市内の道を知り尽くしているからこそできることである。

犯人の考えと提供されてくる情報をもとに最善の道を選択していく

プロフェッショナルの証である

 

「本当にこの犯人はかなりしぶといわね」

 

カリーの言葉にシグナムは意味を理解していなかった

 

「そうなのか?」

 

「普通の犯人ならここまで追跡されたらあきらめるはず。それでも逃げ続けるということは何かの信念がある」

 

よほどの事情があるのだろう。つかまってはまずい理由が

そうでなければとっくに捕まっているはずだ

 

『EH03からSA31。こちらは上空からそちらの追跡対象車を監視中』

 

「状況を報告して。どんな感じになっているの?」

 

『今のところは速度を落として逃走している。振り切ったと思っている様子である』

 

それは良いニュースである。

民間車両を巻き込むことを避けることができるならいろいろと打つ手がある

 

「引き続き警戒監視を行って」

 

『了解した』

 

ヘリからの追跡によって犯人は今頃追っ手を振り切ったと思っているだろう

その隙こそが狙い目なのだ。犯人は今頃逃走することに成功したと思っているだろう

そうなればアジトまでご案内をしてくれるかもしれない。

もし拠点を見つけることができればさらに良い話になる

このチャンスを逃すことはない。今が好機だ

一網打尽にできるかもしれないこのタイミングを上手く利用すれば大きな獲物を捕獲できるかもしれない

獲物次第ではいろいろと喋ってくれるかもしれない。証言の内容によっては大きな成果が出るかも

爆弾を使われる前に押さえることが求められている。

犯人はおそらく次元世界連合本部か時空管理局本部付近で爆弾を設置するつもりかもしれない

犯人であるガレス・ファーミルは大量リストラされた退役時空管理局員である

リストラを強行した次元世界連合と時空管理局を恨んでいるはずだ

 

「リストラされたから攻撃するなんて逆恨みね。完全に」

 

シグナムも気を付けることねとカリーは言った

機動六課組は時空管理局の規模縮小の大元だと考えている人物たちは多い

だからこそ銃火器で武装できる捜査部捜査官が教導官になったのだ

 

「何か気になる気配を感じたらすぐに報告しなさい」

 

「了解した」

 

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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部1号レイアウトルーム

 

エルガ、ヴィータ、リドカイ・ヘランスは今後の捜査方針について協議をしていた

 

「問題はこれ以上の事態悪化した場合の管轄権だ」

 

エルガの言う通りだ。

捜査部はクラナガン市を超えた捜査権を持っているが、それは市内の事件に関してだ

今回の場合はそれに適合するのかどうかと聞かれると微妙なところである

証拠だけが動いている状態なのだから。

管轄権で言うとFBIと時空管理局犯罪捜査局になるほうが安全である

 

「報告書を回してくれるならこちらは手を引いたほうが良いかもしれないな」

 

「エルガ、それはないだろ。捜査部の協力なしにこの事件の捜査はできない」

 

時空管理局犯罪捜査局単独では捜査をすることは難しいことはリドカイもわかっている

だがお互いに管轄権でもめる事態になることは避けたいと考えるのは当然である

そのための協定も存在している

 

「だがFBIが協力してくれる。問題はないはずだと思うが」

 

「彼らが簡単に時空管理局犯罪捜査局に情報提供してくれると思うか?それはあり得ない」

 

「だからと言ってこちらが深入りすれば、こっちも墓穴を掘ることになるのだぞ」

 

捜査部が積極的に関与することはあまり好ましい事とは言えないことはエルガもわかっている

もともと押収武器の流出の原因は時空管理局なのだから

国内で州を超えた事件ならFBIの担当なのだから、それを考えれば捜査部が関与するには危険すぎる

 

「今頼りになるのは捜査部だけだ。FBIと時空管理局犯罪捜査局の関係が良くないことは知っているだろ」

 

貸しのあるFBI捜査官に協力を打診しろということかと聞くとよくわかっているじゃないか

中央本部捜査部とFBIなどの様々な法執行機関との連携捜査は何度もしたことがある

貸しのある人物は数多く存在する。それらを有効活用したいというのがリドカイの考えなのだ

嫌な仕事を押し付けたいだけという話なのだが

 

「俺に面倒を押し付けるつもりか。勘弁しろよな」

 

その話をヴィータは聞きながらいろいろと大変な部署に配属されたなと感じていた

それはエルガも同じだ。教導官を任された身としては面倒を押し付けられたのは当然である

 

「ヴィータ。今は時空管理局の元同僚は仲間と思うな。これは捜査だ。必要なら身内も捜査対象になる」

 

それくらいわかっているとヴィータはエルガに返答した

エルガも仲間を疑ったことは何度も存在する。そして実際に逮捕された元捜査官は存在する

汚職というものはどこにでも存在するのだから

仲間を疑うことはできればしたくないがそれが仕事なのだから仕方がない

任務遂行のためにはどんなことでも疑っていくものである

 

「わかった。情報は流そう。だがメインの捜査はそちらに移管する。FBIの友人にもそう話をしておく」

 

「助かる。だが捜査部でも捜査には参加してほしい」

 

「少し手助けをする程度でよければ協力をしても良いが、表立っての捜査は控える」

 

エルガはそれで問題ないなと聞くとリドカイは問題ないと回答した

お互い妥協の線で落ち着いたということである

結局のところ捜査部が捜査を引き続き行うことには変わりはないということである

 

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