CSI:クラナガン   作:アイバユウ

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新暦76年4月1日午後01:10

 

午後01:10 南区中央部 中央パトロール南分署庁舎 6階刑事課オフィススペース

 

アルシオーネはギリス・フォラスの取り調べの報告書を見ていた

彼女が南分署に到着した時には大まかな取り調べは終了していた

今はその報告書を見ながら今後の捜査方針を検討していた

 

「落ちるところまで落ちたものね。爆弾予告をしてきたのはストレス発散のためかもしれないわね」

 

「そんなことで爆弾予告をするのか?」

 

男性刑事がありえないだろうと否定する意見を話したが世の中には変わった考えの持ち主も存在している

ストレス発散のために犯罪に走るものも存在しているのだから当然である

 

「犯罪はストレス発散において最も楽な方法なのよ」

 

「嫌な話だな」

 

「だけどそれが事実なのだから仕方がないわ。ところで他に爆弾を設置したことについてはどうなの?」

 

「それについてはもう設置していないと証言している。もちろんうそ発見器にかけながら取り調べをしてみたが針は動かなかった」

 

つまり機械では嘘はついていないと判断したようだ

問題はそれが事実なのかどうかである。

もし爆弾が他にもあった場合は最悪の大惨事を想定して動かなければならない

 

「今度は私が取り調べを行うわ」

 

そう言うと取調室に入った

 

「中央本部捜査部のアルシオーネ・トラヴィックよ。あなたが爆弾を設置したことがわかっているけど」

 

殺しについては認めるつもりはあるのかしらと問い詰めるが殺しなんて俺の仕事じゃないと証言した

殺しとなると仮釈放なしの終身刑か、最悪の場合は死刑判決になるかもしれない

仮にやっていたとしても認めるはずがない。簡単にはだ。

 

「俺は爆弾を購入して設置しただけだ!殺しに関与していない!」

 

「爆弾を購入したことは認めるのね?」

 

「それは認める。だが殺しには関与していない。やってもない罪まで攻められるなら素直に爆弾の設置を認める」

 

「素直に認めるわけね。それで動機はなに?」

 

「時空管理局をリストラされて金も名誉も失った。ただの憂さ晴らしだ」

 

予測通りの証言である。

ただの憂さ晴らしで爆弾を使って脅迫するとは聞いてあきれる話だ

 

「あなたに爆弾を売った人物、グエンスト・バーリは死亡したわ。彼に恨みを持っていた人物に心当たりは?」

 

「あいつは爆弾という名の芸術品を作っていたが、ギャンブルにのめりこんで高利貸しからかなり金を借りていたらしい」

 

だからこそ少しでも爆弾を高値で売却しようとしていたとのことである

 

「いくらで購入したの?」

 

「50万ミッドで購入した。一応言うがかなり値段交渉はした」

 

「元値はいくらだったの?」

 

「100万ミッドだ」

 

それはかなりの高値で取引しようとしたものだ

よほど金に困っていたことは間違いない。

今回の爆弾製造犯であるグエンスト・バーリの殺された理由は高利貸し関係かもしれない

今はより深く掘り下げる必要がある。実際のどれくらい借り入れをしていたのか

銀行口座などの金融情報を調べればいろいろとわかってくるだろう

 

「証言が確かなら、捜査には協力的だったと検事局に話をしておくわ」

 

そう言うとアルシオーネは一度取調室を退室して先ほど話をしていた男性刑事たちのところに向かった

 

「裁判所に情報開示令状を請求するわ。爆弾製造犯のグエンスト・バーリの情報を徹底的に調べてみるわ」

 

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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部2係主任捜査官執務室

 

ミカは執務室でマスコミの報道をチェックしていた

 

『サウスクラナガン魔力精製炉発電所が機能停止なったことを受けて、一部関係者の中では電力供給に不安定感が出るのではないかという疑念が出ています』

 

『ミーミルパワー社は他の発電所を動かして電力供給を行うので停電になることはないと声明を発表』

 

『一方でクラナガン原油先物価格は一時的に上昇基調になりましたがすぐに安定供給されるとの声明で1バレル5000ミッド台を上下しています』

 

「市内で停電が起きたら大混乱になるわね。停電に備えて対策を練る必要があるわね」

 

もし停電が落ちるとその地区の犯罪発生率が高まることになる

地区パトロール事務所にも大きな負担になる。停電が発生した場合は応援を手配しなければならない

捜査部も応援で配置できるように手配をかけることにした

パトロール中の捜査官たちにパトロールエリアを割り振って警戒させる

何か問題が起きた時でも対応できるようにするためである

 

「それにしてもベルカ州の天然痘発症事案は対応は大変ね。今のところは順調だけど」

 

もしウィルスを持っている者がワクチン接種を受けずに州外に出てしまうと他の州に飛び火してしまう

それだけは避けなければならない。ベルカ州のそれもベルカ市だけで食い止めるしかない

 

『時空管理局と結びつきが強かったワンワールドグループ企業の破産作業には膨大な時間が必要になります』

 

特に問題になっているのはワンワールドバンクだ。

時空管理局とのつながりが強かった金融機関だ。多くの時空管理局員が口座を持っていた

また時空管理局に物資を納入していた企業はこの金融機関に口座を持つことが条件としていることが多かった

悪質な融資業務が行われていたことも多い。

融資を受けるときに担保金額を定めているがそれを超えての融資をかなりの数を行っていた

時には担保限度額の10倍もの融資をしているケースも確認されている

それらの融資は回収不能になって不良債権になった。同様のケースは何億件と存在している。

融資金額は小規模のものからかなりの高額なものまで幅広く存在する

 

『連邦証券取引委員会はすべての監査を行うのには膨大な時間が必要になるとしています』

 

不良債権を大量に抱えている者は自己破産をしている者がかなりの人数になる

自己破産をすれば借金は棒引きになるがすべての財産は差し押さえになる

さらにクレジットカードの申請や銀行口座の開設などに大幅な制限がかかることになる

苦しい生活が待っているのだ

 

「時空管理局と深い関係があった者は地獄を見ているわね」

 

時空管理局の規模と権限の縮小で多くの企業も倒産した

今は多くの次元世界国で破産申請が急増している。それと同時に新しい会社の開設も進んでいる。

新たに組織された各国の軍事組織への装備品の納入を目指して参入した企業である

そういった企業はかなりの数になって増加しているのだ

 

『ピーピーピー』

 

内線電話で中央パトロール管制センターからであった

珍しいことがあるなと思いながらもミカは電話に出た

 

「捜査部2係のミカ・ミズノよ」

 

『タレコミの電話が入りました。南区北部イーストハーディー地区7番街2丁目4番地502号室に死体があると』

 

あのあたりで死体を見つかることは特に珍しいことではない。

麻薬の過剰摂取で死亡して、一緒に麻薬をしていた者が怖気づいてタレコミという形で電話をする

そして姿を消してしまうことは良くある話である

 

「事実かどうか確認したの?」

 

『先ほどパトロール捜査官が男性の死体を発見。現場の隔離作業に入っています』

 

「事件性があるかないかの判断をしてほしいということね?」

 

ただの自殺なら捜査は行わない。

自殺でなくても麻薬の過剰摂取の場合も捜査県は刑事課や麻薬捜査課に移管する

だがそれを決定するのは検死官と捜査部捜査官の判断が必要になる

もし見た目は自殺に見えても

 

『はい。誰か捜査官の派遣を要請します』

 

「わかったわ。検死官の派遣要請は?」

 

『もうかけています。あとは捜査部の判断待ちです』

 

「わかったわ。何とか人員を手配してみるから少し現場保全の方を延長しておいて」

 

必要なら私の命令という形で現場鑑識チームの呼び出しもかけてくれていいからとミカは伝えた

管制センターの管制官は了解ですと返答すると電話を切った

 

「さて、誰か都合の良い人材はいるかしら?」

 

執務机上にある情報端末を使って各捜査官の位置情報を確認すると1係のジャネット・パウワー捜査官が近くにいた

携帯電話ですぐに連絡して現場に向かってもらうことにした。

まずは事件性があるのかないのかの判断をしてもらうことが極めて重要である

 

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南区北部ウエストハーディー地区7番街

 

ジャネットはそこで休憩をとっていた。真昼間からここで大きな犯罪は起きることは少ない

いくらここが治安が悪い場所であっても犯罪組織は表立って動くことはない

この辺りは犯罪発生率が高いことから地区パトロール事務所には多くのパトロール捜査官が派遣されている

だからこそ犯罪発生率は通常に比べると貧困層が多く住んでいる割には少ない

 

「わかりました。すぐに向かいます」

 

『わかっていると思うけど、最優先で対応して。それで事件性の有無の判断を検死官と一緒に行うように』

 

「了解。ミカ主任」

 

ジャネットは通話を終えるとすぐに緊急走行で現場に向かうことにした

ワーニングライトとサイレンのスイッチを入れた

 

「このあたりで殺人なんて特別珍しいわけではないけど、確認作業をしないわけにはいかないわね」

 

彼女はそんなことを呟きながらも、とにかく現場に急いで向かった

 

『南分署からハーディー事務所。パトロールの強化を指示する』

 

『こちらハーディー事務所。了解した。通常より厳しくパトロールを行う。増員の手配を要請する』

 

『すでに増員は送っている。連携して対応されたし』

 

ジャネットはこの地区はいろいろと忙しいわねと言った

ハーディー地区に退屈な時間はそれほどない。いつもどこかに大なり小なりトラブルは存在する

それらに対応するのがこちらの仕事なのである。任務遂行する方も大変である

 

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南区北部イーストハーディー地区7番街2丁目4番地502号室

 

南分署に配置されている検死官のクルーズ・ショイルト検死官が現場に来ていた

すでに簡易検死作業を進めていた。肝臓の温度を測定して死亡推定時刻を割り出した

 

「死亡したのは今日の午前8時から午前10時くらいの間だな」

 

口から泡を吹いている。おまけに腕にはいくつもの注射痕が存在していた

血液検査をすればすべてがはっきりするが、麻薬の過剰摂取の可能性は高い

 

「こんなところで麻薬でハイになっていたのかもしれないな」

 

部屋の中には数多くの注射器が存在する。

さらに白い粉が入った小袋がかなりの数存在した

クルーズは自分の検死道具の中から麻薬識別検査キッドを取り出した

1袋の粉からサンプルを取ると試薬に入れて麻薬かどうか調べた

 

「コカインだな」

 

コカインの試薬に反応した。さらに別の袋の粉を確認するとメタンフェタミンの試薬にも反応した。

コカインとメタンフェタミン。2つを同時に摂取したなら過剰摂取で決まりなのだが

答えを出すのはしっかりと南分署のラボで検死を行ってからになる

 

「とにかくこの部屋にある袋は全部が麻薬の可能性が高いな」

 

すべてラボで分析させる必要がある。問題は純度がどれくらいのものであるかだ

これがかなり純度が高いものとなると麻薬の元締めにつながるかもしれない

もしくは新規参入をして他の売人か組織から煙たがられた可能性もある

どちらにしても詳しく捜査することは間違いない

 

「面倒な捜査になることは確実だな」

 

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東区東部サウスクラナガン港 沖合100Km地点 空母ワルキューレ [ 形式:ジェラルド・R・フォード級航空母艦]

 

貨物船と空母はこの海域で一時停泊していた

港湾パトロール海軍と海兵隊の兵士が貨物船内を調査している

他にも不審物がないかどうかをより入念に確認していたのだ

もし貨物船に危険物がまだあれば大問題になる。

クラナガン市から違法な武器を犯罪組織に輸出するわけにはいかない

それを止めるのがクラナガン捜査局なのだから

 

「苦労しているな」

 

ラジェットたちは空いている艦内の部屋で休憩をとっていた

どちらにしてもこちらは身動きは取れないことには変わりはない

今のこの場の管轄権は港湾パトロールにあるのだから、管轄権でもめないように円滑に動けるようにする

それも仕事である。円滑に事件捜査を行う

 

「いろいろと管轄権でもめるのを避けるんやな」

 

「お互いの領域を超えないように、それでも円滑に対応できるようにすることは当然のことだろ」

 

ラジェットの言う通りである。

管轄権で問題を起こしている間に犯人に逃げられたら意味がない

だからこそ管轄権でもめたときに調整するためのマニュアルも存在している

 

『トントン』

 

部屋の扉がノックされてこの空母の副長が入ってきた

 

「貨物船のチェックが終了しました。運航を再開させます」

 

「了解した。それで立てこもり犯はまだ睡眠中か?」

 

「そのようです」

 

睡眠中に何を自供しても裁判の証拠には採用されない

 

「こっちは収穫あった。今シエルにこちらで得た情報に含まれる銀行口座の差し押さえを行っている」

 

「ラジェット・ハングリー捜査官ぐらいですね。あのシエル・ミズノ首席捜査官をシエルと呼び捨てにできるのは」

 

「場数が違うからな。一緒に組んで捜査をした。お互いの気心は知れた関係だ」

 

ラジェットは捜査部の実質的なナンバー2とも言われている

だからこそ様々な部署や組織にコネがあり、様々な会議にも参加している

法執行機構の国際会議でもシエルの代理で参加することもあった

そのためラジェットの名前はシエルと同じように次元世界連合全加盟国の法執行機関に知られている

名前が売れているといろいろと捜査連携を取る事ができる

 

「それにしてもよくシエル首席捜査官は納得したな。相棒の件について」

 

「その話はしないでくれ。誰もが納得しているわけではないからな。俺は中立的な立ち位置にいるつもりだ」

 

ラジェットは任務遂行のためならどんなものでも担当するまでだと考えている

 

「教導官はひなを育てるために全力を注ぐ。当然だろ」

 

「何としても任務遂行か。さすがと言える」

 

副長はそう言うと退室していった

それと同時にラジェットの携帯電話に着信が入ってきた

 

『ピーピーピー』

 

発信者はシエルからだった。

 

「シエル。差し押さえは完了したか」

 

『すべての銀行口座は差し押さえに成功したわ。預金総額は5000億ミッドにも』

 

「それは誰のものになるんだ?」

 

『クラナガン捜査局のものになるわ。私達の捜査部の基金にも一部を割り振ってくれるように話を付けたわ』

 

クラナガン捜査局には様々な基金が存在する。

運用している基金についてはクラナガン市の行政機関が厳しく監査をしている

クラナガン捜査局でも監査をしている。基金のお金を利用するにはしっかりとした理由がなければならない

 

「いくらだ?」

 

『今のところは数百億ミッドってところね』

 

約1割は捜査部の基金に回されるということだ。捜査部基金は現在2500億ミッドもある

これらの資金は捜査官が使用する機材の購入や最新機材の研究費用に充てられる

 

「かなりの金額になっているな。5000億ミッドも差し押さえができたのなら連中は慌てるだろうな」

 

大金を失ったのだからかなりの連中が困ることになるだろう

大慌てで逃亡しようとするものが現れることはすぐにでも察しがつく

 

『今、預金口座の記録をすべて検証をしているから。いづれにしても何か詳しくわかってくるわ』

 

「どんな大物が釣れるかはシエルの腕の見せ所だな」

 

『大物を釣り上げてみるわ。任せて』

 

「期待している。シエル首席捜査官」

 

そこで通話は終了した。

リィンフォースツヴァイがラジェットが不気味な笑みを浮かべていたので少し不思議そうな表情で質問をした

 

「なにか良い話題ですか?」

 

「ツヴァイ。お前たちにも驚くようなネタだ。時空管理局の暗部であるHRの幹部を釣れるかもだとさ」

 

HRの幹部を捕まえることができれば大きな成果だ

それも不正な資金関係で逮捕することができれば時空管理局に貸しを作る事ができる

次元世界連合にも貸しを作る事ができるので問題なく対応できる

 

「うちらからしたらあんまり嬉しくないわ」

 

「はやて、何度も言うが今から慣れていくことが重要になる。身内でも犯罪者には変わりはないのだからな」

 

犯罪者に容赦はしない。

被害者のためにも何としても法の裁きを受けさせる必要があるのだ

それこそが最も法執行機関の人間に求められる

 

「何かあればすぐに俺に相談しろ。人間関係で悩むようなトラブルなら特にな」

 

「わかったわ」

 

「良い子だ」

 

ラジェットはまるで子供に褒めるかのようにはやての頭を軽く撫でた

その行動にはやてはうちは子供じゃないと回答した

 

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東区東部ノースクラナガン貨物ターミナル パトロール事務所

 

ウルはそこで貨物ターミナル内に設置されている数多くの監視カメラの映像をチェックしていた

何か不審な動きをする映像がないかどうかを探り出すためである

少しでも証拠になりそうな映像があれば、事件の捜査に大きく貢献してくれる

もっとも、そう簡単に見つかるはずがない

そこで顔認証システムを使って犯歴がある者や時空管理局関係者がいないかを集中して検索していた

可能性として低いとしても、考えられるならそれをヒントにして検索する

 

「頑張るしかないね」

 

彼は必死になって情報端末を操作して検索のアルゴリズムを駆使して絞り込む作業を行っていった

何か証拠になりそうなものがないか必死になって検索作業を進めていた

 

「小さな手がかりでもいいんだけどね」

 

ウルはそんなことを言いながらも努力していた

 

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南区中央部 クラナガンハイウェイ6号線(南線) 北行き

 

カリーは一般道からクラナガンハイウェイに入るとさらにスピードを出して緊急走行で向かっていた

追跡対象車を運転しているガレス・ファーミルは追跡されていないことに気が緩んでいる様子だった

速度を落として一般車両の制限速度を守って走行していた。

このままでは追いつけるかどうかについては少しは近づいてきている

 

「追いつけると良いけど」

 

「大丈夫なのか?」

 

「かなり厳しいかもしれないけど、何とかするのが私たちの仕事なのよ」

 

カリーはアクセルペダルを全力で踏み込んで追跡対象車を追いかけていった

 

『南分署からSA31。逃走車は気を許しているようだ。こちらの追跡を振り切ったと考えている模様』

 

「こちらSA31。了解した。引き続き警戒監視を要請する」

 

『了解。妙な行動を起こしたら臨機応変な行動は容認してくれるのか?』

 

「多少は面倒を見るけど大きな損害は与えないようにお願いするわ」

 

つまり簡単に言うと道路への多少の損害は大目に見るが人の命がなくなるようなことはするなということだ

ヘリにはSWATが乗り込んでいる。いつでも強襲できる体制で準備をしている

 

『内容はよく理解した』

 

「良いのかそんな派手なことをして」

 

「シグナム。私は逃げられるのは嫌いなのよ。多少なら面倒を見るのも捜査官の仕事よ」

 

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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部1号レイアウトルーム

 

エルガとヴィータはコーヒーを飲んでいた

リドカインは中央パトロール本部庁舎を出ると時空管理局本部に帰っていった

 

「良いのか。本格的な捜査の主導権を握らなくて」

 

「ヴィータ。何度も言うが現場の状況と組織間の流れを考えることも重要だぞ」

 

「それはわかるが」

 

「それに何も簡単に捜査を手放そうというわけじゃない」

 

そう。一応捜査参加権は持っている。実際のところは情報連絡担当として動くことがメインだ

実働で動くのは時空管理局犯罪捜査局とFBIの担当になる。捜査部はその間に入り連携を上手くいくようにする

とりあえずはのところではあるが

 

「そういえば、ここのおいしいコーヒーだな。豆が違うのか?」

 

「ヴィータ。お前は良い舌を持っているな。俺がブレンドしたコーヒーだ。もちろん事務部にしっかりと申請している」

 

コーヒーなどの一部の食べ物については経費で落ちることができる

捜査にはおいしいものが必要である。

何もなしでは体力が持たないし、ある程度の食料品については各部署に一定の予算が割り振られている

コーヒーなどもその中の1つである。そのため部署によってコーヒーの味が異なるのだ

捜査部ではエルガが独自にブレンドしたものを捜査部に採用してもらっている

 

「それでどうするんだ?」

 

「ヴィータ。事件の流れを一応再確認をしてみる」

 

3年前に押収されて処分されたはずの銃火器が今回の事案で使用された

ちなみに今回の事案で使用された銃に付着していた指紋はすべてアズレエル・バーシンのものと一致した

つまり自殺の可能性がかなり高いことを示している

念のため血液に何か含まれていないかどうかを調べさせている

血中にアルコールや薬があれば自殺の線はひっくり返って殺しになるかもしれない

殺しになればそのことを時空管理局犯罪捜査局とFBIに伝えてこちらも少しは捜査に関与する

 

『ピーピーピー』

 

質量化学ラボからの電話だった

 

『コティーナです。血液検査の結果が出ました。血中から高濃度のフルニトラゼパムが検出されました』

 

フルニトラゼパムとは睡眠薬の成分である。薬の効果としては強力な睡眠薬成分の1種である

 

「となると殺しの可能性が高いわけか」

 

『その可能性は高いです。分析結果はすでに携帯情報端末に送信していますので』

 

エルガは相変わらず仕事が早いなというと感謝の言葉を言って電話を切った

 

「殺しになりそうだな」

 

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