CSI:クラナガン   作:アイバユウ

43 / 43
新暦76年4月1日午後01:25

 

午後01:25 ベルカ州中央地方ベルカ市 ベルカ市警察本部庁舎 対策センター

 

ステラはそろそろクラナガン市に戻るために動き始めた

すでに天然痘の爆発的拡大になることは避けることはできている

ワクチン接種も順調に行われている。今後のことはベルカ市警察の保健当局に任せておいて問題ないだろう

 

「それじゃ私はそろそろ引き上げるわね」

 

「もう帰るのか?」

 

「クラナガン市で仕事が溜まっているのよ。いつまでも放置するわけにはいかないし」

 

ステラの発言にクラナガン市は人口が多いから事件発生件数はかなり多いから当然だなと、

対策センターにいた多くの市警察の関係者が漏らした

確かにその通りである。クラナガン市は人口2億人のミッドチルダ連邦の首都である

おまけにカジノも存在するので犯罪発生率は極めて高い

今後のことを考えると早期に戻っておきたいと考えるの至極真っ当な考えである

 

「クラナガン市は本当に問題を抱えているな。とりあえず応援に来てくれて感謝する」

 

「ベルカ州もこれから犯罪発生率は大幅に高まっていくことは間違いないでしょ」

 

これから次々と移住してくる人々が多くなるのだからとステラは発言した

確かに今のベルカ州内の景気は好景気である。それも特に好景気と言える

道路や送電網や通信網などインフラ整備が行われている

さらにベルカ州内に新しいテレビ放送局の新規開設も増加している

公共事業の件数だけでも膨大になっているのでブルーカラーの労働力を求めている

求人率はかなり高いので、人手不足傾向であることには変わりない

 

「ベルカ市も郊外に都市規模が拡大していっているのでしょ。市警察も大変ね」

 

その言葉にベルカ市警察本部長のフランクリン・チャールストンはそれは言えていると同意した

ベルカ市もどんどん都市規模が拡大している。郊外には次々と新しい住宅地が建設されている

市民の数も大きく増加していることから市内のライフラインの建設工事はかなり急ピッチで進んでいる

おかげでベルカ市の財政は歳出も多いが、

人口が増加すればするほど歳入も増加傾向にあるので黒字財政を維持している

 

「これから多くの事件事故の発生件数が増えるのだから」

 

「だがクラナガン市ほどではない。クラナガン捜査局で鍛えられた時に比べるとまだまだましの方だ」

 

「市警察本部長になってもそんなことが言えるなんて羨ましいわ。私たち捜査部捜査官は毎日が激動よ」

 

「そうだな。窃盗からテロまで扱う部署だからな。中央本部捜査部は」

 

「それじゃあとは任せるわ。私は病院でマイアを拾ってクラナガン市に帰ることにするわ」

 

「今回はいろいろと助かった。本当に感謝する」

 

フランクリン・チャールストン市警本部長は礼をする。

ステラは何か問題が起きたらまたいつでも連絡してというと対策センターを退室した

彼女はそのままタクシーでマイアがいる病院に向かった

市警察本部からそれほど離れていないところに病院はあるのですぐに到着した

 

「マイア、状況はどんな感じ?」

 

病院の伝染病専門病室に到着するとマイアはすでに大丈夫なのか帰宅の用意をしていた

 

「主ステラ。こちらも対応はもう大丈夫です。そろそろクラナガン市に帰りますか?」

 

「そうよ。ベルカ基地から輸送機で帰りましょう。もしかしたら直通便はないかもしれないけど」

 

ベルカ基地から港湾本部基地に直通便があるとは限らない

ほかの基地経由で帰ることになるかもしれない

 

「帰宅できるのであればどのような経路をたどっても良いのではありませんか?」

 

「そうね。とりあえずベルカ基地に向かいましょう」

 

ステラとマイアはそう言うと病院から出るとタクシーでベルカ基地に向かった

 

----------------------------

 

南区中央部 中央パトロール南分署庁舎 6階刑事課オフィススペース

 

アルシオーネはグレモリーに対する家宅捜索令状の準備に入っていた

犯罪組織対策法を盾にすれば令状なしで捜索はできる。だが今回は礼儀としてわざわざ令状の手配をかけた

これはあちら側への圧力である。こちらの監視の目があることを忘れるなという意味のである

 

「グレモリー本拠地のビルを一斉捜索するわよ」

 

アルシオーネの言葉に危ない橋を渡るわけだと多くの刑事たちが口から漏らした

 

「本気でやるのか?」

 

「令状も取った。本来なら令状なしで踏み込んでも良いのを。連中は証拠隠滅のために動いているはずよ」

 

そこが最大のねらい目のなのだからとアルシオーネは言った

証拠隠滅をすればその行動そのものだけでいろいろと関係者が動揺して行動不能に陥ることが考えられる

令状を取った段階でその情報は組織に流れている可能性は高い

情報というものは生き物なのだから、どこから漏れるかはわかるものではない

令状という公に手配したいものは簡単に組織に情報が流れてしまう

そういうことをしてでもグレモリーにお圧力をかけることで行動が難しくする利点があった

 

「それじゃ、行くわよ」

 

グレモリーの本拠地である南区中央部ブラッドフォード地区2番街7丁目4番地のオフィスビルに向かった

南分署からそれほど離れていないのですぐに到着することができた

アルシオーネを筆頭に刑事10名。パトロール捜査官30人の強制捜査に踏み込むことにした

オフィスビル前に到着するとすぐに強行突入に入った

 

「中央パトロールよ!家宅捜索令状があるわ!」

 

失礼するわよというとオフィスビル内に入っていった

警備をしているのはマフィアの下っ端だ。連中は慌てて幹部に連絡しようとしたがそれを止めた

アルシオーネはグレモリーのボスであるユン・ブラウンと対峙することになった

 

「ユン・ブラウン。このビル内を強制捜査するわ」

 

「何の容疑だ?」

 

「保険金殺人の容疑よ。保険金の受け取りがあなたたちの幹部になっているの。家宅捜索としては十分な容疑よ」

 

アルシオーネの発言にボスのユン・ブラウンは表情を曇らせた

 

「保険金殺人が事実ならあなたまで過失が行くことになるわ。使用者責任ということで。こっちは逮捕状を取っても良いのよ」

 

それが嫌ならさっさと幹部の身柄を出しなさいと詰め寄った

使用者責任とは組織の下っ端の人間でもあっても、それを仕切っている人間の責任を問うことができる

ということである。

 

「あなた次第よ。素直に身柄を出せば私たちは引き上げる。もし拒否するならいろいろと探ることになるわ」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「組織を守るか、部下のせいで組織がつぶれるか?二者択一。好きな方を選ばせてあげる」

 

まさに究極な決断である

どこまでの組織を守るかで部下の信頼度が変わってくる

簡単に部下を売っていたら組織は維持できない。だからと言って頑なに拒めば組織がつぶれるかもしれない

 

「あなたを逮捕しても良いのよ。使用者責任でね。さてどうする?」

 

保険金殺人となると仮釈放なしの終身刑か死刑は間違いない

どこまで利口な人間なのかはユン・ブラウンがどう判断するかによる

自ら犠牲になって組織を守るか。部下を差し出すか。それとも・・・・・

どの道を選んでも良い選択はない。どこかに犠牲が出ることは間違いないのだから

 

「悪いが部下を差し出すことができない」

 

「ならあなたを逮捕するわ。幹部が保険の受取人であることは疑いようのない事実なのだから」

 

文句を言うなら南分署で聞くわというとアルシオーネはユン・ブラウンに手錠をかけた

 

「組織を守るために身をささげるなんて、さすがはマフィアのボスね」

 

「組織を守るのが仕事だからな。ボスというのは」

 

アルシオーネはそう言うと彼を連行していった

ビルの廊下を歩いている時に多少のトラブルがあったが何とかグレモリーの本部を退去することができた

アルシオーネは厳重警備の身柄輸送車を手配していたのでそれにユン・ブラウンを乗せた

そして連行していった

 

----------------------------

 

東区東部サウスクラナガン港 沖合70Km地点 高度9000m F/A-18F(識別コード:ノスリ7)

 

「空の旅はやはり良いな」

 

「雲の上を飛んでいるっていうのはこんなに気持ちいいものなんだな」

 

はやても同じ感想を持っていた。

ラジェットは戦闘機の機体操縦を自動操縦に設定するとある報道番組を見始めた

 

『ミッドチルダ連邦政府はミッド高を抑制するために為替介入に踏み切ることを決定したと発表しました』

 

『現在のミッド高では経済に大きな影響すると専門家の意見も一致しています』

 

豊富な外貨準備と金塊保有によって通貨ミッドは安全通貨として買われている

それだけに簡単にミッド高を抑制することができない。

ミッドチルダ連邦政府は何度も為替介入を行って外貨に買い注文を入れてミッド売りを実行している

そのために使用される資金は金融市場安定化基金から捻出される

この基金は金融市場が不安定になっている時などに使用される

今はミッド高を抑制することが求められるので使用理由としては十分な根拠である

外貨の買いを入れれば入れるほど外貨準備金は増加傾向にある

 

「連邦政府も大変だな。経済の暴走を抑制するために必死になっている」

 

そんなことを考えながら報道内容をチェックしているとコックピット内でアラート音が鳴りだした

同時に報道番組も見ることができなくなってしまった。今対応するべきことはミサイルロックを示すアラートである。

ラジェットは自動操縦を解除して一気に緊急降下をしていった

さらにフレアによるミサイル妨害の準備にも入っていた

ノスリ7の飛行高度は9000mから7000mまで急降下したがそれでもミサイルロックのアラートはなり続けた

ラジェットは速力をさらに上げて港湾本部管制に無線連絡をしようとしたが、

妨害電波の影響で通信ができていない状況に追い込まれていた

火器管制システムはすでに立ち上がっているので発射ボタンを押せば対空ミサイルをミサイルの発射ができる

 

「また誰かの仕掛けか。それとも本気で攻撃を仕掛けてくるのか」

 

『ビービービー』

 

コックピット内ではアラートが鳴り続けていた

ラジェットは高度をさらに低下させて2000mまで低下させた

すると突然アラート音が消えた。それと同時に右側に1機のF/A-18Eが現れた

 

「演習にしては派手な展開をしてくれるな。相棒は乗り物酔いをしているんだが」

 

無線でそう呼びかけるとF/A-18Eのパイロットから手信号をしてきた。

ジャミングもやんでいた。無線交信を開始した。同時にレーダーに識別コードが表示された

フレック1、第182特殊教導飛行隊に属するF/A-18Eである

 

『それは悪かったな。スリルがあって楽しかっただろ』

 

「こっちは新米と一緒にいるんだ。もうすこし手加減をしてくれても良かったと思うが」

 

『それは悪いな。本部からは本気でやれと言われてな。見えない敵にミサイルロックされるのはスリルがあって楽しかっただろ』

 

スリルと言っても良いスリルではない。かなり緊迫な空気を出すスリルの方である

 

『新米に厳しさを教えるには良い訓練だろ。撃墜されなかっただけましだと思うことだな』

 

「やめてくれ。こっちはフレアを出すかの判断をするところだったんだぞ」

 

ミサイル妨害のためのフレアを発射すれば本気でこちらも対空ミサイルを発射するつもりだった

演習にしてはスリルと緊迫感がありすぎる。これはもしかしたらと思ってラジェットは確認をした

 

「フレック1。これは港湾本部からの指示か?」

 

『そうだ。実戦訓練を体験させてやれとのお達しだ』

 

予想通りである。ここまで派手なことをしなくても良いのだが

それもわざわざ妨害電波を出して無線が使えない状況にするとはかなり派手なことをしたものだ

 

『港湾本部基地までエスコートをする』

 

「援護感謝するとだけ伝えておく。それと過激な訓練も感謝する」

 

ラジェットは後で港湾本部に皮肉交じりの報告書でも提出するべきかと考えていた

 

「とにかく護衛がいるなら安全に帰れそうだな。ノスリ7から港湾本部。高度上昇の許可を求める」

 

『高度を8000mまで上昇させて以後は護衛機と港湾本部飛行場に戻るように』

 

----------------------------

 

南区北部 クラナガンハイウェイ6号線(南線)北行き

 

ジャネットは中央本部に向かっていた。証拠を大量に乗せた状態である。

ちなみに麻薬に関しては専用の証拠運搬車を手配して移送作業を行っている

大量の麻薬だ。純度が高ければ末端価格でかなりの高値で裁ける

強奪に現れる連中がいるかもしれないだけに警戒するべきである

もちろん輸送車にはアサルトライフルを装備したSWATが乗り込んで警備している

最悪の事態に備えているのは当然の措置である

 

「これで強襲してきたらはっきり言ってバカな連中と評価できるわね」

 

状況は限りなく奪うことなど不可能に近い

それでも少しはチャレンジできるかもしれないと思って強襲プランを考える連中は存在する

だからこそ厳重な警備態勢を敷いているのだ

 

『中央本部から各員へ。グレモリーのボスであるユン・ブラウンを拘束した。組織内部抗争の可能性がある』

 

警戒されたしということとの無線連絡だった。

アルシオーネが確保したことで組織内部で抗争に発展することは十分考えられる

新しいボスを選出するには大量の血が流れるのだから

権力を握りたくて仕方がない連中なのだから当然である

 

「内部抗争に発展しなければ良いけど」

 

『すでに一部勢力が活動しているとの情報あり。警戒されたし』

 

「嫌な予感的中になりそうね」

 

 

----------------------------

 

北区南部イーストカタラウガス地区8番街2丁目9番地 サレイバーグ・ゴレイスの自宅 リビング

 

ダイナが現場に到着したころにはすでに現場鑑識作業は終了していた

 

「もう鑑識作業は終了したみたいだな」

 

ダイナは北分署の現場鑑識チームに状況を確認した

現場からは小型オートマチック拳銃が出てきた。型はSIG SAUER P230タイプの拳銃である

自殺したサレイバーグ・ゴレイスの側頭部にはきれいな穴が開いていた

反対側の側頭部には大きな穴が開いていた。弾は貫通してリビングの壁にめり込んでいた

 

「使用された弾は?」

 

「9mmだがどうかしたか?」

 

「いや、それにしても真相を闇に葬ってくれたわけか」

 

「冤罪に関係すると聞いていたが、唯一の証言者か」

 

「そんなところだ。検事局に連絡して身柄を刑務所から中央本部に移送させるか」

 

もう証言を最後に確認して保釈するかどうかを判断することにした

すでに証人を脅迫していることはわかっている。この段階で証言に証拠能力はないに等しい

物証である拳銃も指紋は出ていない。つまり銃は使用されていない。

それに線条痕を照合しても過去に使用された痕跡はない新品である

これだけの証拠がそろってしまえば投獄しておく理由はない

 

「物的証拠がこれだけ弱くてよくも裁判に持ち込んだな。呆れる話だ。今の検事局なら再捜査を求めてくる」

 

ダイナはそう言うと検事局に連絡。

刑務所に収監されているホライトン・ディスを中央本部に移送するように求めた

さらにひき逃げ事件で死亡したホレイスト・ギーランの事件の再捜査を交通捜査課に依頼することにした

交通事故関係のエキスパートである彼らなら何か新たな証拠を発見してくれるかもしれない

この事案はかなり複雑になっている。利害関係者の背後を調べれば調べるほど暗い沼が待っている

面倒な案件であることは間違いない。それでも冤罪ならしっかりと立証することが求められる

本当の真実を暴くことが求められる。

このコールドケースでは簡単な関係図はこんな感じである

バーを襲ったとされる人物はホライトン・ディス。

彼の裁判が終わると同時にホレイスト・ギーランが特定の誰かに金を振り込み始めた

入金先の人物は不明だが。しばらくしてからホレイスト・ギーランはひき逃げ事故で死亡している

そして事件の捜査担当者は複数いるが声紋鑑定で1人がわかっている

その1人が自殺したサレイバーグ・ゴレイスである。もう1人担当者がいることもわかっている

その人物はレミナード・ホリザスであり他の事件で冤罪などの不正捜査で拘置所に収監されている

かなり裏が深いことは間違いない。おまけにややこしいことこのうえない

 

----------------------------

 

中央パトロール本部庁舎 8階捜査部レイアウトルーム

 

エルガとヴィータは証拠の現場写真などの片付け作業をしていた

これらの証拠はすべて証拠保管庁舎で保管されることになる

基本的には最低でも100年間は保管されることになっている

 

「できることなら捜査協力が来なければいいんだがな」

 

そう願っている時に限って電話が鳴るんだよなとエルガは愚痴っていた

その間も片付ける手を休めることはなかった

 

「かなり悲観的なんだな」

 

「楽観的な観測はするものではない。俺たちの業界では特にこの考えが重要だ。悲観的な考えの方が後が楽だ」

 

証拠の箱にすべてを片付けると封印のテープをしてラベルを張り付ける

そして事務部証拠保管課に連絡した。あとは引き渡しをすれば彼らがしっかりと証拠を保管してくれる

 

----------------------------

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。