午後01:30 ベルカ州中央地方ベルカ市郊外 港湾パトロールベルカ基地 ベルカ飛行場
ステラとマイアはクラナガン市に帰るために輸送機に乗り込もうとしていた。
急いで戻ってきたのが幸運だったようで港湾本部基地行きの輸送機がまだ待機していた
「悪いわね」
ステラはそう言うと輸送機のデッキに座った
座り心地は良いものとは言えないが、今日中に帰るにはこれが最善の策の便である
早く中央本部に戻り報告書を提出しなければならないのだから
彼女は携帯情報端末を使って報告書の作成に入った。
機内で報告書を作成してすぐに提出できるようにするのと記憶が新鮮な内に作るほうが忘れることが少ない
一応聖王教会に関係する報告書は作成が終わっているが天然痘に関係する報告書はまだである
早期に作成して関係各部署に提出しなければならない
「本当に世の中ままならないものね」
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港湾本部基地 沖合50Km 高度8000m F/A-18F(ノスリ7)
「もう少しで港湾本部基地だな」
ラジェットはここまでくればもう強襲される心配はないなと考えながらも警戒体制は維持していた
万が一に備えて火器管制システムを運用してミサイル攻撃を可能な状況にしている
いつ何が起きるかわからないからである
「これが日常なんか?」
「はやて。これが捜査部捜査官の日常だ。俺たちは市民が平和に暮らせるようにさまざまな活動をする」
「本当に激務なんやな」
「休日だってまともに休めることはない。呼び出された常に100%の力量で活動する」
捜査部捜査官の有給休暇取得日数はかなり少ない。休日出勤も当たり前にあるからだ。
少数精鋭で活動しているだけに1人で担当する事件件数もかなりの数になる
それらを間違いないように対応することが求められる
「捜査部捜査官が結婚したら捜査部捜査官をやめて刑事に降格することは珍しい事じゃない」
たまに例外はいるがと言いながらも、
今まで捜査部捜査官をやっていた中で結婚を機に刑事に降格する者はかなり存在した
唯一の例は1係のエミーナ・アリオンだ。彼女の場合は3係の捜査官であるエバック・アリオンとは夫婦だったが
一時期死んだことになりCIAの任務に就いていた。もちろん妻であるエミーナには秘密で
今は復帰しているが、その時もかなり激しい夫婦喧嘩があったとして有名である
2人には娘が2人いる。それでもうまく時間を都合つけて娘を育てている
今は夫婦でうまく連携して娘2人を育てている
「休暇なしで仕事なんや」
「そういうことだ。お前も捜査部に慣れてきたら激務にも慣れてくる」
まだ入ったばかりだから体がついていかないだけだから心配するなとラジェットははやてたちを応援した
「それはあんまり嬉しくない話やな」
「そういうものだ」
「本当に大変なお仕事なんですね」
ツヴァイの言葉通りである。捜査部捜査官は本当に激務なのだ
それでも職務遂行ができるのは市民の平和と安寧のために働いているという気持ちがあるからだ
「任務遂行のためには全力を注ぐことは当たり前だろ。善良な市民を守るのが俺たちの仕事だ」
「そのために私たちを時空管理局から切り離しと?」
「はやて。答えがあっても容易に口にすることができないこともあることをよくわかっておくべきだぞ」
そう、目の前に答えが転がっていたりしても口にすることは控えたほうが良いこともある
関わらなければ被害が拡大しないこともあるからだ
「今は中央本部に戻ることが最優先事項だ」
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南区中央部 中央パトロール南分署庁舎 6階刑事課1号取調室
アルシオーネがグレモリーのボスであるユン・ブラウンの取り調べを行っていた
「組織を守るのは良いことだけど、リスクがあることはわかっているのかしら」
「俺はボスだ。組織を守るために部下を売っていたら信用問題になる。それに俺には強力な弁護士がついている」
それは当然である。マフィアだって表向きは企業の形で活動している
その企業の顧問弁護士がついている。その顧問弁護士はほとんどの場合はかなりの力量を持っている
小さな穴を見つけてはそこを突いてくる。そしてうまく刑をかなり軽くしてくる作戦に出てくる
珍しいことではない。
「仮釈放なしの終身刑になっても文句はないというわけね」
「組織のボスになってから死ぬことは覚悟している。昔は好き勝手暴れることができたが今さっぱりだ」
それは時空管理局とマフィアなどの犯罪組織が密着した関係があったことを示している
今はそんなものは存在しないので厳しく処罰されている
過去に握りつぶされた事件についても掘り起こされて再捜査されて数多くの犯罪組織の構成員が逮捕されている
今回はマフィアのボスを逮捕。マスコミはかなり騒ぎ立てることになるだろう
問題は裁判になる前に検事局で司法取引をされないかどうかである
ユン・ブラウンは時空管理局と関係が深かった。つまり時空管理局の裏事情を知っている可能性は高い
そのことをネタに司法取引をして刑務所に収監される確率を大幅に下げるかもしれない
検事局にとってもより大物を捕まえることができるなら取引をすることは十分考えられる
「検事局にうまく取引することね。そうしないと仮釈放なしの終身刑か死刑の可能性はかなり高いわ」
「昔が懐かしい。時空管理局に金を渡せば簡単にもみ消すことができた時代がな」
「そんな話。ここでするものじゃないわ。検事局ですれば罪は取引してくれるわ」
私はさっさと送検するだけよと言うとアルシオーネは外で待機している刑事2人に、
南分署の地下留置施設まで連行するように指示した
連行されていくのを見届けるとアルシオーネは大きくため息をついた
「この裁判。成り立つかどうかは微妙ね。時空管理局の闇を知っているならそれをネタに取引することはありうるし」
「そうなると刑期は?」
「下手をすれば執行猶予になるかもしれない。あとは検事局次第ね」
検事局に何を話すかによって罪は大きく変わってくる
検事局も大きな獲物が釣り上げることができれば大きな手柄になることは間違いない
それなら減刑の余地ありと考えて司法取引を行う
「それで事件に幕引きか」
男性刑事の言葉にアルシオーネは結果は裁判次第だけど、
時空管理局犯罪捜査局が興味を示すネタを出してくるかによって大きく情勢が変わることになると回答した
どんな証言をするか。
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北区南部イーストカタラウガス地区8番街2丁目9番地 サレイバーグ・ゴレイスの自宅
ダイナは中央本部に引き上げることにした
事件の概要はわかっている。問題は誰が真犯人かである
バーを襲った人物がだれなのか。ひき逃げをした人物は誰なのか
それらをすべて立証しなければならない。
「とりあえずこの案件は時空管理局犯罪捜査局にも捜査を打診するか。バーを強襲したことそのものが事実かどうかも確かめないといけないからな」
当時の監視カメラの映像が残っていることは確認が取れている
そこから分析すれば何か出るかもしれない
それにひき逃げ事件についても交差点には監視カメラが設置されていた
当時はそこまで踏み込んだ捜査はされていない。今なら可能である
「監視カメラの映像を調べるしか道はないな」
ダイナはそう言うと中央本部のマルチメディアラボのラグナに電話をしてから戻ることにした
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中央パトロール本部ラボ棟 2階マルチメディアラボ
「それで俺に過去のバー強襲事案の監視カメラの映像を分析しろと」
ラグナ・ヴェルサティス分析官はダイナからの連絡に面倒な案件を任されたことを察した
『お前なら簡単だろ。過去の映像は証拠データベースに登録されている。それを基に分析してくれ』
「だがなダイナ。他人の芝生に土足に踏み込むと面倒なことになる。その辺は大丈夫なのか?」
この事案は事件再検討課の共同捜査になる。
つまり好き勝手に捜査に介入していることを知られるとラボにも迷惑をかけることになる
『縄張りでもめたら俺に直通にかけるように言ってくれ。始末はこっちでつける』
「わかった。責任はしっかりと取ってくれよ」
そう言うとラグナは通話を終えて証拠データベースにアクセスしてバー強襲時の監視カメラの映像を分析した
バーを強襲した人物の生体認証を行った。身長や体格などの情報を逮捕時に取られた容疑者写真と照合した
結果は最悪のものであった
「不一致か」
一致しない。身長の高さが一致していないのだ。体格の情報も並行して照合しても一致しない
これでは再審請求は通過できる。それに無罪判決が出ることは間違いない
「犯歴者の生体認証にかけてみるか」
ラグナはさらに犯歴者の生体情報を使って照合作業に入った
するとある人物がヒットした。一致した人物はカイル・ギーランである
ひき逃げ事故で死亡したホレイスト・ギーランの息子である。
「家族を守るために囮にしたわけか。マスコミが知ったら大騒ぎになるだろうな」
ラグナはカイルについて情報を集めた。現在はサウスクラナガン刑務所に収監されていた
サウスクラナガン刑務所は刑期が10年以下の犯罪者が収監されている
「何の罪で収監されているんだ?」
ラグナが確認したところコンビニ強盗をして収監されていた
刑期は7年になっていた。不幸中なことに人を傷つけたことはないが、10万ミッドをレジから盗んでいた
つまりホレイスト・ギーランが金を入金していたのは子供の犯罪の隠ぺい工作をするためのお金だったようだ
「隠ぺい工作か。面倒な事案だな」
ラグナは調べて分かった情報をダイナの携帯情報端末に送信した
あとは彼の判断次第だ
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中央パトロール本部ラボ棟 3階質量化学ラボ
遺体に関しては中央本部検死ラボで解剖が行われている
大量の麻薬に関しては警備の関係もあり中央本部のラボ棟に移送させた
すでに分析が行われていた
「期待しているわよ」
ジャネットは部屋から見つかった白い粉末の純度が気がかりだった
あの麻薬の純度がかなり高ければ大手の物になる。末端価格もそれなりの価値になるのだから当然である
分析をしていたのはコティーナ・マスタング分析官だ。彼女は極めて優秀なラボ分析官である
毒物の研究をしていて時々学会に論文を発表している。
普段の彼女の働きを知らない者からは少し危険なにおいをさせている女性として有名である
だが現実は極めて有能で様々な毒物に関する知識を持っている有能な分析官だ
「任せて。これが大手の物ならさらに危険な物が市内に流れているかもしれないということだから」
すぐに分析するわというと早速それぞれの袋からサンプルを取り分析を始めた
分析装置でどれくらいの純度なのか調べたところ驚くべき数字が出た
「純度100%。これを使ったら過剰摂取になるのは当然ね」
「かなり大手の物ね。不純物はなし」
「ちょっと待って」
コティーナは分析装置の結果を確認するが不純物は確認されなかった
すべての袋はコカインとメタンフェタミンである。末端価格で数億ミッドになる
そんなものを放置する理由がわからない。それに自殺する理由もわからない
売りに出せばかなりの金銭を得ることができたはずなのに。こんな扱いをする理由がわからないのだ
「それにしてもこれだけの麻薬をどうするつもりだったのかしら?」
ジャネットの言葉通りだ。これだけの物をどうするつもりだったのか
ただの自殺に使うためにしてはおかしい。何か組織が背後で動いているのかもしれない
「私は分析するだけ。捜査はあなたの担当よ。ジャネット」
「了解。報告書をもらえるかしら」
コティーナは分析結果の報告書をするに作成するとジャネットに渡した
それを受け取った彼女は中央本部庁舎8階の捜査部オフィスに戻っていった
「本当にわけが分からない事案ね。裏市場で売りに出せばかなりの価値になるのに」
中央本部庁舎に戻るとエレベーターに乗り込み8階捜査部に戻った
「ジャネット。帰ってきたか」
捜査部の受付担当のスタッグ・ドロマイトが声をかけてきた
「こっちはまだまだ事件を抱えているところよ。真相追及するのはかなり難しいけど」
「それは大変だな。頑張れよ」
「そういうあなたも受付担当も大変でしょ。出入りの監視をしないといけないのだから」
捜査部には機密性の高い資料が保管されている
そのため受付担当である彼らは捜査部を出入りする人間の監督をしている
「まぁそれなりに頑張っていくわ」
ジャネットはそう言うと1係の自分のデスクに戻った
本当にこれから調べることは多い
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東区中央部 ヘリ 高度3000m
ウルは中央本部に戻っている途中であった
ウエストクラナガン空港で逮捕されたエレス・カルガルートは中央本部に移送されていた
厳重警戒の上ですでに中央本部に移送されて地下留置施設に収容されていた
「本当に何を考えているのかわからないものだね」
飛行機で逃げるとはかなり間抜けな犯人であるとウルは思っていた
ブラックリストに登録された段階で航空機に乗ることは基本的にはできない
搭乗拒否されるからだ。すぐに法執行機関に通報されて逮捕される
「早く戻って取り調べをして情報を集めておきたいね」
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