CSI:クラナガン   作:アイバユウ

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新暦76年4月1日午後01:45

午後01:45 中央パトロール本部庁舎 8階捜査部1係オフィススペース

 

「それにしてもひどい話ね。自分から災いを持ち込んでおいて自業自得だけど」

 

ジャネットは金融情報を調べれば調べるほどギャレット・ボイスコーンが深みにはまっていることが分かった

彼はかなりの金額の借金があった。その大部分がカジノである

ギャンブル関係で相当の負けが込んでいる。金額にして1億ミッドほど

金融機関から限度額いっぱいまで借り切っていたが、JS事件解決後に返済できなくなっていた

おまけに時空管理局の規模が大幅縮小されワンワールドバンクが破綻してからは自己破産申請をしていた

 

「破産して困る連中は多いわね。それに表の借金でこれだと闇金からも金を借り入れしていたかもしれないわね」

 

表の借金。つまり正規の金融機関だけども1億ミッドの借金があるのだ

当然犯罪組織などの高利貸しからも金を借りていた可能性は十分考えられる

それらに関するデータは出てくることはまずない

つまり調べることは極めて難しいことを示している

 

「港湾パトロール安全保障局に聞いてみましょうか」

 

ジャネットは港湾パトロール安全保障局の友人に連絡を取り確認作業に入った

いろいろと貸しのある友人は多い。情報は簡単に引き出すことはできる

 

「元気にしている?悪いんだけど少し協力してくれないかしら。ある人物の個人情報を知りたいの」

 

『ジャネットの依頼となると断るわけにはいかないわね。あなたにはいろいろと借りがあるから返済するわ』

 

「ギャレット・ボイスコーンに関する詳細な個人情報を知りたいの?用意できるかしら」

 

『それくらいなら問題ないわ。いつものようにあなたの携帯情報端末に暗号回線で送るから』

 

ジャネットは感謝するわというと相手はすぐに電話を切った

彼女は空間モニタに経済ニュース専門チャンネルで報道番組を見ていた

 

『ミッドチルダ連邦財務長官は急激なミッド高を抑制するために為替市場の動向を把握し続けると表明』

 

『ワンワールドバンクを含むワンワールドグループと関連企業が生じさせた大量の不良債権はあまりにも膨大で処理には時間が必要になるとも発表しました』

 

『また準備預金率の引き上げて金融市場の通貨供給量について、今よりも減らそうと動く可能性があるとの情報も』

 

「政府は必死ね。景気がバブルになる前に抑制しようと」

 

好景気からバブル景気に発展すると制御することができない

バブル景気がはじけたらどん底に落ちてしまうことは間違いない

それを抑制するために連邦政府と連邦準備銀行は徹底的に動くしか道はない

 

「それにしても犯罪組織もFBIに国土安全保障省に資金差し押さえを食らって資金難ね」

 

金融関係の情報を分析すればそれらの情報がわかってくる

 

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北区南部 クラナガンハイウェイ2号線(北線)南行き 交通事故現場

 

ダイナはハイウェイに設置されている街灯観測システムの監視カメラ映像に、

ダクトを落とした車が写っていないか確認作業をしていた

膨大な情報量から識別システムにかけて分析していたところ、1件ヒットした

 

「こいつだな」

 

車両ナンバー[ クラナガンノースGAA-0024 ]のトラックから落下させているところが記録されていた

しっかりと積み荷を固定しいなかったからこそ起きた事故になる

これだけでもクラナガン交通法違反に問うことはできる。

幸いなことに死人が出ていないが重傷者が出ているので運輸過失致傷に問うことも可能だ

この場合はトラックの運転手は刑務所に収監されることも考えられる

 

「とにかく捜索指令を出すことにするか」

 

今の現在位置はわかればすぐに追いかけることができる。

ダイナはすぐに無線で車両ナンバーを広域通信で伝えて捜索指令を出した

見つかり次第身柄を確保するようにと

 

「すでに事故発生からそれなりに時間は経過しているから逃げているかもしれないな」

 

だが肝心の製品を落としたとなれば、納入先の業者もおかしく思うだろう

それに排気ダクトには製造番号が刻まれていた。そこから製造業者を調べることができる

製造業者がわかれば輸送を行った人物は簡単につり出すことはできる

そこからは交通捜査課の担当になる。今回の事故では死亡者は出ていないので捜査部の介入が絶対条件ではない

問題があるとするなら落下物を放置したことだ

 

『北分署からSA20。応答願います』

 

「こちらSA20。内容どうぞ」

 

『そちらの事故に関わったと思われるとの報告を受けている。北区南部カタラウガス地区事務所に届け出を出した人物を確認』

 

積み荷がないことを知って初めて届け出をしたようだ

無線連絡によると配送先で荷物を落としたことに気が付いたばかりだと届け出ているとのことだ

 

「内容を了解した。交通事故捜査の捜査権限については現場鑑識を行った後に北分署交通捜査課に引き継ぐ」

 

『北分署としてもその方針に問題ないと判断する』

 

あとは現場鑑識に関する情報を引き継いで急いで中央本部に戻る必要がある

ダイナにも仕事があるのだから当然である。今は最優先課題はこの現場対応である。

 

「本当に簡単に中央本部に戻ることができない事案だな。今回のコールドケースは」

 

ダイナはそう言うとため息をつきたくなってしまった

だが周りの視線もあるので何とか出すことはしなかった

 

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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部1係オフィススペース

 

エルガとヴィータは犯罪組織の財務状況に関する報告書の作成を行っていた

多くの犯罪組織が財産を失った。それだけは疑いようにない事実である

組織を維持するには金が必要である。

その金を確保するために活発に動いていることが組織犯罪課の報告書にも記載されていた

麻薬や銃火器の密売の摘発率は大幅に増加している。麻薬に関しては押収量が昨年度よりも大幅に増加している

中央パトロールだけでなく、密輸摘発をしている港湾パトロールからも同様の報告書が上がっていた

 

「この報告書がどんなことに使われるんだ?」

 

ヴィータは報告書を取りまとめながら相棒のエルガに聞いた

エルガはそれは俺たちが知る事じゃないと回答した。確かにその通りだ

報告書というのはどこでどのように使われるかわからないからこそ正確な情報が求められる

ミスをすることは許されないのだ。些細なミスが議論の方向を大きく変えてしまうこともあるのだから

それは政策の方向性も変えてしまう。だからこそ慎重な作成が求められる

 

「とにかく報告書作りはミスがないようにすることだ。間違えるなよ」

 

「それくらいのことはわかっている」

 

捜査部のトップであるシエル首席捜査官からの直接の依頼の報告書だ

何に使われるかはわからないが、大きなことに利用されることは十分考えられる

それだけにエルガはいつもよりも慎重に収集した情報を報告書にまとめていた

問題がなければプリントアウトしてシエルに提出するだけである

報告書をまとめるとエルガとヴィータは報告書を印刷した

さらに情報端末で確認できるようにメモリディスクにも保存して、

それらもシエル首席捜査官の執務室に一緒に持っていくことにした

 

「シエル。報告書の方はまとめ終わった」

 

エルガがそう言うとシエルに提出した

 

「悪いわね。急がせて。上がどうしても欲しいと言っていたから」

 

これで会議で使えるわとメモリディスクに保存されている情報を確認した

犯罪組織の財務状況を確認してシエルも大きなため息をついた

 

「かなりひどいわね」

 

「俺も同感だ。ここまでひどいとは驚きだな。犯罪組織の抗争が起きる可能性は極めて高い」

 

「会議でもめることになりそうね。この情報を知ったら組織犯罪課と査察部からうまく情報を引き出せると良いけど」

 

「抗争に発展すれば市内のあちらこちらで血が流れることになる。それを止めるのがクラナガン捜査局の存在理由だ」

 

「そうね。あとは任せて。エルガは今日は夜勤よね。休憩で1階でカフェテリアで何か食べてきたほうが良いわ」

 

疲れた表情をしているわとシエルが言うと報告書とメモリディスクを持って自らの執務室を出ていった

エルガとヴィータ達も退室すると1階のカフェテリアで昼食の時間にすることにした

 

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南区南部ボルシア地区3番街1丁目9番地 フォーゲル家の自宅 地下室

 

なのはは大量にある大麻の植木鉢を撮影していた。

フィリーも同じように写真を撮りながら鑑識作業を進めていた

地下室にこれだけ大量の大麻があれば末端価格でかなりさばけていただろう

犯罪組織やほかの売人から敵視されていたのかもしれない。恨まれている可能性は極めて高い

 

「これだけの量をよく栽培できたわね。麻薬取締局の支部が電力の大量使用者リストで割り出されていたかもしれないのに」

 

マリファナに限ったわけではないが、麻薬の大量生産には電気が大量に必要になる

そこで麻薬取り締まりの観点から電力の大量使用者については監視リストに登録されている

実際に麻薬の製造拠点の摘発で電気の大量使用者を中心に内偵して、証拠がつかめたら摘発している

実績はかなりある。

 

「どちらにしても何があったか割り出すのはかなり苦労しそうになりそうね」

 

「真相は闇の中でか?」

 

「なのは。私は捜査官よ。真実の探求者。調べることに関してはとことん調べるけど事件解決につながるかどうかはわからない」

 

どんな証拠をそろえても犯人が浮かび上がるとは限らない

時には証拠が多すぎて犯人の絞り込みができないこともあるのだ

そこが事件解決に最も難しいところである。そしてコールドケースになってしまうことも良くある話だ。

しかしいつかは新しい証拠が見つかって捜査が再開されることになる

その時がチャンスである。たとえ犯人が死亡していても事件の真相を突き止める

 

「なのは、念のために聞いておくけどあなたは麻薬をやったことはないわよね」

 

「当然です」

 

「わかっていると思うけど、不法に持ち出さないように。良いわね?」

 

「了解です」

 

麻薬は一定量のサンプルを取ると焼却処分に回されることになっている

焼却処分で使用される施設はクラナガン市内にあるごみ焼却施設である

 

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西区東部サウスウエストクルック地区9番街 クルック地区検問ゲート

 

カリーとシグナムは爆弾が除去された車の鑑識作業をしていた

車内に何か証拠がないか確認作業をしていたが綺麗に拭かれていて証拠になりそうなものはほとんどない

 

「証拠になりそうなものは何もないわね」

 

カリーは残念そうな表情で声を出した。シグナムは様々な角度から写真撮影をしていた

証拠写真の撮影である。現場鑑識で撮影された写真によって事件捜査に大きな方針変更になるかもしれない

それだけに数多くの現場写真が求められる。

 

「車内はきれいだな」

 

「シグナム。犯罪者の車は汚いものだと考えていたの?そんなことはあり得ないわよ」

 

犯罪者の車ほど疑われることがないようにきれいになっているケースが多い

一般の車も綺麗ではあるが、犯罪者の車も徹底的にきれいにして証拠を消そうとしていることはよくある

 

「あまりここで現場鑑識するわけにはいかないから、ある程度作業が終わったら中央本部に移送するわよ」

 

もしまだ仕掛けが残っていたら大変なので、

カリーは爆弾を積み込んでいた車を中央本部に輸送する手はずに入った

 

「あとは中央本部で作業を行うのか」

 

シグナムの質問のカリーはその通りよと答えた

 

「あとは中央本部のラボで仕事をするわ。これからも忙しくなるわよ」

 

頑張りましょうと言うと車の移送作業に入った。

 

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