午後01:50 中央パトロール本部庁舎 10階捜査長官執務室
シエルはエルガとヴィータがまとめた犯罪組織の財務状況の報告書を持って捜査長官執務室を訪問していた
「依頼されていた件の報告書です」
「さすがは捜査部だね。仕事が早くて助かるよ」
ユウ・ミズノ捜査長官の言葉にシエルは部下は優秀な証ですと返答した
「この報告書をどうするつもりですか?」
「FBIが知りたがっているようでね。市内の犯罪組織の情報について」
その言葉にシエルは不信感を感じた。なぜFBIが独自に調べないでこちらに投げてきたのか。
何か大きな陰謀があるのかもしれない。そのあたりを探る必要があるかもしれないとシエルは考えた
もちろん正面からぶつかるわけにはいかない。揺さぶりをかけてみる必要がある
「なぜFBIが独自に動かないのでしょうか?この手の報告書はこちらに作成を求めなくても独自に作れるはず」
「それについては後々話せるときが来ると思っておいてもらえるかな」
「機密扱いということですか?」
シエルの発言にそう解釈してもらってかまわないとユウ・ミズノは返答した
これが機密情報に該当することはわかっている。犯罪組織の財務状況は簡単にわかるものではない
それを調べるように依頼してきたということは、FBIでも何かの捜査で利用するつもりがあるのかもしれない
それらについては後で確認することが求められる。捜査長官が簡単にしゃべるとは思えないからである
「では私はこれで失礼します」
シエルはそう言うと捜査長官執務室を退室しようとしたときに一言、質問をかけられた
「シエル。わかっていると思うけど深入りはしないでもらえるかな」
「残念ながら仕事は完璧にしておきたいので保証できかねます。では失礼します」
そう言うとシエルは捜査長官執務室を退室していった
残されたユウ・ミズノ捜査長官は今後のシエルの動きを想定して予防線を張ることにした
「カーター。悪いけどあることを頼みたいんだけどいいかな」
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中央パトロール本部庁舎 7階組織犯罪課オフィススペース
ジャネットは最近の市内の犯罪組織の実際の動きについて情報を共有するために訪問していた
情報で確認はできるが実際に話で聞いた方がより詳細に確認できるのだから
組織犯罪課の責任者であるブリジット・アート主任刑事と話をしていた
「最近の市内の組織犯罪の動きはどんな感じなのかしら?」
「かなり派手に動いている。どこの組織も金に困って麻薬の密売や違法カジノの経営にな」
「違法カジノは儲かる商売だものね。当然と言えば当然だけど」
市内には違法な賭博場はかなり存在する。
こちらは基本的にはほとんどすべて把握しているが摘発したらすぐに新しくまた立ち上がる、
イタチごっこの状態が続いている。犯罪組織も利益が出やすいことをよく知っている
「本当に金に困っているのは間違いないわね。そんな連中から金を借りていて返済できないから見せしめにされた可能性もあるわね」
「その可能性は高いな。どうする?」
「問題はどこから金を借りていたか。記録は簡単には見つからないでしょうね」
犯罪組織だってバカではない。公的な記録に残るような融資の方法はしない
こちらから記録を探すのはかなり苦労することはわかっている
金の流れを追うのは難しいがいろいろと協力者の力を借りたら不可能というわけではない
「金の流れを何とか追いかけるしかないわね。難しいことはわかっているけど」
「こちらでも探りを入れようか?力になるぞ」
「組織犯罪課に迷惑をかけるわけにはいかないわ。任せて。必要なら情報機関の協力を得るから」
ジャネットの言葉にそれはまた強力なやり方だなとブリジットは言った
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北区南部 クラナガンハイウェイ2号線(北線)南行き 交通事故現場
ダイナは交通捜査課と引き継ぎ作業を進めていた
「ダイナ。捜査部もお荷物を背負うことになって苦労しているらしいな」
事故の状況や証拠確保などの状況説明を終えると交通捜査課の刑事が機動六課組の話題の話をしてきた
さすがはクラナガン捜査局だ。噂話はすぐに広がる
「本当に噂話はすぐに流れる所だな。クラナガン捜査局内の話は」
「当然だろ。噂話は好きだからな」
それで捜査部としてはどうなんだと聞いてきた
ダイナは俺は教導官を担当していないからわからないが、教導担当官は苦労しているだろうなと回答した
実際のところ、多くの教導担当官は苦労している
「それであとは任せても大丈夫なんだな?」
「ああ。かまわない。交通事故はこちらの担当だ。移管に異論はない」
ダイナは最後に捜査権限移管書を作成してサインをもらうと中央本部に引き上げることにした
「それじゃ、あとは任せるぞ」
ダイナはそう言うとSUVに乗り込んでその場から引き上げた
その間に退屈であったのでラジオでマスコミの報道を確認していた
『クラナガン上下院市議会は市議会議員献金規制法の改正案について審議を継続するとして決議を見送りました』
今のクラナガン市議会議員が受け取れる献金は年間で1個人で50万ミッドまで
1企業は100万ミッドまでと定められていて献金の情報については完全公開しなくてはならないと定められいる
今回の改正案の中ではさらに献金容認額を引き下げて厳しくするものだったがそれは難しいとされていた
政治活動にはいろいろとお金が必要なのだから当然である
「市議会議員も大変だな。政治改革が求めらるだけに、何か改革を進めているという態度を見せないといけないからな」
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南区南部ボルシア地区3番街1丁目9番地 フォーゲル家の自宅 地下室
フィリーとなのはは地下室にあったマリファナを輸送するために特殊証拠輸送車の到着を待っていた
麻薬の輸送は大量の麻薬の場合は専用の車での輸送が求められる
実際のところジャネットも警備体制が強化された証拠輸送車で運ばなければならない
強奪されたら大変だからである
「それにしてもよくもこれだけ育てたものね。末端価格でかなり稼ぐことができたはず」
その金の流れを追うことも求められる。麻薬密造密売で得た『汚れた金』はどこかで洗浄しているはず
『汚れた金』をそのまま銀行などの金融機関に預けることはリスクがありすぎる
どこかでその汚れたお金を洗浄する必要がある。そうしなければすぐに摘発される
「金融機関の情報を徹底的に調べるしかないわね。本当に面倒なことになることは間違いないけど」
「汚れたお金を洗うのは簡単ではないですよね?」
「なのは。マネーロンダリングをするにはJS事件まではワンワールドバンクが陰でこっそりとしていたことで有名よ」
その記録は残されていないことで有名な話である
そのためワンワールドバンクでは詳しい金融記録の調査について、
連邦捜査局(FBI)や証券取引委員会(SEC)だけでなく次元世界連合も調査を行っている。
その他にも多くの次元世界国の法執行機関でも行われている
理由はワンワールドバンクは多くの次元世界国をまたにかけて経済活動していたことからである
「ワンワールドバンクに私も口座を持っていたのですがペイオフで預金の一部が保護されなかったです」
なのはは少し悔しそうな表情をしながらそんなことを言っていた
「あなたもバカね。危機管理の観点から分散させておかないからでしょ。1か所に集中させておくから損をするのよ」
フィリーの言う通りである。リスク管理は当然である。預金を1か所に集中させておくのは危険すぎる。
分散管理をすることは当然である。それをすることは極めて重要である。
ワンワールドバンクが破綻することがないという神話を信じていた人物が極めて多かった
破綻などありえないという神話のような話を信用し続けるほうが大きな問題である
破綻する際にワンワールドバンクが発行していたさまざまな金融商品の空売りを仕掛けて、
巨額な利益を出した企業や人物はそれなりに存在する
一方でそれらの金融商品を購入していて運用していた者や企業のほとんどは財産を失うことになってしまった
損切りができた者はごく限られた一部だけである。多くの関係者は資金を失った
「裏道の散歩をするのは楽しいわよ」
裏道とは黒い犯罪領域を意味している
そこを散歩するのはいろいろと発見があって楽しいものである
さらに別の事件を抱えることになってしまうこともあるので苦労することもまた事実であるが
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西区東区 クラナガンハイウェイ8号線(西線)東行き
カリーとシグナムは中央本部に戻っていた。
爆弾を積み込んでいた車はレッカー車で移送されていた
その後をついていく形でカリーはSUV車を運転していた
「本当に捜査官は何でも担当するんだな」
助手席に座っているシグナムの発言にカリーは当たり前でしょと返した
「私たちはクラナガン市民の安全保障を守るために存在するのよ。テロから万引きまで何でも担当する」
その時、無線通信が聞こえてきた
『中央本部から各員へ。西区東部クルック地区の問題は解決したと思われる。ただし警戒レベルは引き上げた状態を維持』
『クルック地区でトラブルがあればすぐに中央本部に報告を入れることを忘れないように』
「問題はまだまだ本番があるって見たいね」
カリーはそう言うと無線のハンドマイクを手にした
「SA31から中央本部。SA36と共に中央本部に向かっている。本部に戻り次第証拠の分析を行う」
『こちら中央本部。内容を了解。クルック地区では現在も爆弾などの危険物警戒を最大級レベルで警戒中』
「その方針にこちらも賛成する。今のクルック地区では何が起きるかわからない。警戒態勢は厳重の方が安全である」
『クルック地区分署には不審な行動をする者には速やかに職質を行えと指示を出している』
「何か新しい情報があればこちらに回して」
『了解した』
そこで無線通信は終了した。あとは問題が発生しないことを祈るだけだ
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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部オペレーションルーム
ミカはそこで各マスコミの報道内容をチェックしていた
「状況はどんな感じ?」
「マスコミは今のところはクルック地区の爆弾事案に注目している。機動六課組がクラナガン捜査局に移ったことに関する報道量は減っている」
管制官のギブリの報告にそれは良い事ねとミカは答えた
できるだけ早期に火消しに入りたいのだ。機動六課組のことについては
マスコミが騒げば現場が苦労することになる。それだけは避けなければならない
「マスコミの報道で機動六課関係が出てきたら注目しておいて」
「シエル首席に報告は?」
ギブリの質問にミカは必要ないわと回答した
本当に大丈夫なのかとギブリが再度質問をすると意外な答えが返ってきた
「気にすることないわ。どうせ嗅ぎつけてくるから」
そんなことを言っているとシエルが入ってきた
「ミカ。私は犬じゃないのよ」
「ほらね。ギブリ。来るって言ったでしょ。あとは任せるわ」
噂をすれば現れる。わざわざこちらから連絡を入れる必要がない
ミカの言う通りである。彼女は後のことをシエルに任せるとオペレーションルームを退室した
ギブリはシエルの現在状況を報告した。その報告にシエルは今のところうまくいっているわねと話した
「機動六課組の報道チェックはもういいんじゃないのか?」
「ちょっと引っかかることがあってね。長官の考えを先読みしておこうと思って」
「捜査長官が裏で何かしているのか?」
「それはわからないわ。今の段階ではね。でもこちらに犯罪組織に関するレポートを作らせたのよ」
何か裏があるかもしれないし、
それを急に求めたことから考えて機動六課組が絡んでいる可能性は十分あるわと
確かにそれはあり得る話である。だがまだ可能性の段階である
『さきほどベルカローン社の破綻の影響で証券化商品が紙くずになった影響でいくつかの金融機関が不良債権として処理を行うことに』
ベルカローン社は聖王教会系列の会社だったがかなりの金額の不良債権を抱えて倒産した
貸出先は主に聖王教会関係者や時空管理局関係者向けが多かった。不良債権総額は1京ミッド近くになる
もしかしたらそれ以上になるかもしれないと報道されていた
1顧客の融資額は通常の金融機関が定めている上限以上の融資を行っていたことがわかっている
だからこそJS事件によって破綻に追い込まれてしまったのだ
さらに融資した債権を証券化商品として売り出していたことも経済に大きなダメージを与える結果になった
安全資産として金融資産評価格付けも『AAA』という安心材料があったので多くの投資家が購入していた
今は紙くず同然になってしまって、多くの投資家が時空管理局と聖王教会関係で資金を失うことになった
「どうしようもないわね。誰も損失補填をしてくれないから」
「だが一方で空売りで多額の利益を得た人間も存在する。そうだろ」
ギブリの発言にシエルは当然でしょと答えた
経済は弱肉強食なのだから負けるものがいれば勝つものも存在する
金融相場を上手く泳ぎ切った者の中にはそれらの危険債権で大量の空売り攻勢を行い、
莫大な収益を得たものが存在している。個人だけでなく企業も存在する
「負ける者がいれば勝つ者もいる。そういう世界だもの。だけど犯罪組織の多くは資金運用にしくじって大損失を抱えている」
だからどこも必死なのよとシエルは言った
金に困った犯罪組織はあらゆる手段で金を集めようとしている
失ったものが巨額過ぎてすべてを取り戻すことはできないが少しでも補填できればいいと考えている
そのためには高利貸しで貸し出している資金の回収や麻薬や銃火器の密売などに力を入れるしかない
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中央パトロール本部庁舎 1階カフェテリア
エルガとヴィータは軽めの昼食としてサンドイッチを食べていた。
「捜査部の仕事は激務だろ?」
「本当だな。1人であらゆる仕事を担当するとは」
ヴィータもいろいろと仕事を担当する捜査部の激務に少し驚いていた
資料集めから事件捜査。活動範囲はかなり多岐にわたる。1人で何人分もの仕事をしなければならない
「俺達捜査官は1人で何役も行わないといけないからな。この苦労も数日すれば慣れてくる。それに今日は夜勤だ」
「夜勤ってどういう意味だ?」
「明日の午前9時まで勤務があるということだ」
捜査部では基本的に午後9時以降は夜勤で対応している
夜勤は全部で6チームに分かれていて、基本的には週に1度から2度は夜勤を担当することになる
つまり24時間勤務があるということだ。かなり激務になる。
だからこそ休めるときに休むのが夜勤になった日の昼の勤務体制なのだ
夜はこのクラナガン市の広範囲を捜査部の捜査官は少数でカバーしなければならない
「24時間勤務!」
「そうだぞ。休めるときには体を休める訓練をする必要があるぞ」
どんな場所でも眠ることができる癖をつけないといけないとエルガは言った
実際のところその通りなのだから当然である。
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南区中央部 中央パトロール南分署庁舎 1階カフェテリア
サイノスとティアナはカーチェイスに参加するのをやめて南分署に立ち寄っていた
「良いんですか?カーチェイスに参加しなくて?」
「追いかける方法はカーチェイスだけじゃないから心配ないよ。それに交通捜査課が頑張ってくれるよ」
必要なら応援要請が入ってくるから心配しないでとサイノスはコーヒーを飲んでいた
さらにホットドックを食べていた。ティアナはサンドイッチを食べていた。昼食の時間を過ごしていた
「それにしても分署と言っても中央本部庁舎並みに広いんですね」
「分署もいろいろと部署を抱えているからね。本部並みのフロア面積を持っているよ」
それに緊急時には司令塔になる役目も果たしているから当然だよとサイノスは話した
もし中央本部庁舎が使えなくなった時は各分署で指揮命令系統が分散できるようになっている
それだけに各種設備は整っているのだ。ラボも分署には設置されている
分署の近くにも証拠保管庁舎が設置され、分署で捜査された事件事故証拠が保管されている
「ランチを食べ終わったらパトロールに戻るからね」
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