CSI:クラナガン   作:アイバユウ

49 / 49
新暦76年4月1日午後01:55

 

午後01:55 東区西部 クラナガンハイウェイ4号線(東線) 東行き

 

ヴォルツとフェイトのコンビはハイウェイで交通違反の取り締まりを行っていた

主にスピード違反の取り締まりを行っていたのだ

 

「交通違反の取り締まりもするんですか?」

 

「今は暇だからな。時間が空いていたらどんなことでもする。休憩をとるのと似たようなものだ」

 

交通違反の取り締まりはカーチェイスにでもならない限りは退屈な時間でありのんびりと休憩代わりの時間帯である

その時緊急無線周波数を通じて連絡が入ってきた

 

『中央本部から各員へ。レベル1の緊急非常事態への移行訓練を行う。直ちに総員は配置に着け』

 

レベル1の緊急非常事態とは市内で大規模戦闘が行われた場合に発令される

抜き打ちで訓練をすることですぐに態勢に入ることができるようにする

 

「面倒なことになってきたな」

 

スピード違反の取り締まりをしている状況ではなくなった

レベル1の緊急事態への移行訓練とは市内で大規模戦闘が起きたことを想定して動くシナリオである

緊急時に素早く対応できるように抜き打ちで訓練が行われることは存在している

捜査部捜査官はこの命令が発令されると手の空いている者は警戒態勢に入ることが規則で定められている

捜査中の捜査官も不審な動きを見せた人物に対して職質などを行うようにと定められている

常に警戒心を持つことを鍛えるための訓練である

 

「サイレンとワーニングライトのスイッチを入れろ。緊急走行でハイウェイのパトロールを行う」

 

ヴォルツはフェイトにそう命令をすると彼女はすぐにサイレンとワーニングライトのスイッチを入れた

緊急走行で警戒行動に入ると周囲にいた車はスピードを制限速度ぎりぎりで走行させ始めた

誰だってパトロールをしているのに堂々と交通違反するようなバカはほとんど存在しない

自分から違反切符を切ってくれと言っているようなものだからだ

 

-------------------------------

 

中央パトロール本部庁舎 8階捜査部1係オフィススペース

 

ジャネットは港湾パトロール安全保障局の友人に電話連絡を取っていた

少し前に依頼していたギャレット・ボイスコーンの表には表面化しない金融情報の調査結果を

港湾パトロール安全保障局の男性局員から聞いていた。電話ではあるが暗号回線を使っての通話である

 

『かなり派手に使いまくっていたな。高利貸しから数千万ミッドも借り入れをしていた』

 

港湾パトロール安全保障局の友人からの報告によると高利貸しだけでなく、

犯罪組織からも借り入れを行って違法カジノで金を使いまくっていた。

返済はある程度はできていたとの情報だった。だからこそ高利貸しは数千万ミッドも貸していた

だがJS事件以降は返済が行き詰って身動きが取れない状況になっていたことが分かった

麻薬の密売をしたくても法執行機関の警戒態勢が厳しくて簡単に売りさばくことができなかった

つまり返済資金の回収ができなくなったことで完全に行き詰まり追い詰められていたことを示している

 

「だけど彼を殺して得られるメリットは何かあるの?」

 

『おそらくだが。金を返さなければこうなるぞという見せしめに利用されたのかもしれないな』

 

「見せしめね」

 

『ああ。脅しの材料としては十分だろう。金を返さなければこうなるぞという見本としては格好の餌食だ』

 

「金欠になって困っている借主はかなり多いから見せしめにはもってこいの相手ね。どんな相手でもこうなると」

 

たとえ麻薬密売の大物であっても金を返済できなければ殺されることになるというアピールをしたいのだろう

脅迫材料としての威力は十分である。

 

『それでどうする?』

 

「この件は港湾パトロール安全保障局の協力がなければ解決は無理ね」

 

『それに関してはこちらも同意する。捜査部単独では無理だろうな』

 

「嫌な案件に首を突っ込んでいることは間違いないわね」

 

『確かにその通りだな。こちらから何か新しい情報があれば連絡を入れる。それじゃあな』

 

そう言うと通話を終えた。問題は敵が多く存在するということだ

誰が狙っても不思議ではない

 

「お金を返済しなければ殺してしまうという脅迫材料にするつもりね」

 

となるとどこの高利貸しから借り入れをしていたのか調べなければいけない

その情報は港湾パトロール安全保障局から送られてきていた。借入先は複数の犯罪組織になっている

どの組織も殺して見せしめにしてもおかしくない。判断をするなら難しいところだ

 

-------------------------------

 

中央区中央部 クラナガンハイウェイ10号線(南北線) 南行き

 

ダイナは急いで中央本部に戻ろうとしていたが、

レベル1の緊急事態訓練についてこちらも動かなければならないからだ

 

「トラブル発生だな。早く中央本部に戻りたいんだが」

 

ダイナはワーニングライトとサイレンのスイッチを入れて緊急走行で中央本部に向かった

周囲の車は突然のサイレンなどの音に驚いたのか急にスピードを制限速度ぎりぎりまで下げた

誰もスピード違反で捕まりたくないは当然ではあるが

 

『セントラル分署から各員へ。レベル1の緊急事態の対応訓練を実行中。所定の配置につくように』

 

「8年間、捜査官をしているが実際にレベル1の緊急事態が宣言されたのはJS事件だけだな」

 

レベル1の緊急事態とはよほどのことでもない限り発令されることはない

だからと言って訓練をしないわけにはいかない。万が一に備えて訓練をすることは極めて重要である

本当の意味で安全確保のためには必要な訓練である

 

「SA20から中央本部。こちらは中央本部に帰還したい。許可されたし」

 

『了解。SA20には特例措置が出ている。中央本部への直帰を許可する』

 

特例措置が出ているということは緊急事態の対応訓練に参加する必要はないということだ

それはそうと好都合だ。今なら緊急走行で走行してもすぐに一般車両は逃げていく

いや、避けていくと言ったほうが良いだろう

 

「少し手間が省けたな」

 

最優先で中央本部に戻るように指示が出ているということはこちらの案件は最優先であることを示している

 

『中央本部から各員へ。中央区の警備体制を厳重にするようにして対応せよ。特に政府機関が多くある地区は要注意』

 

連邦政府に対する攻撃があるのかもしれないという情報を得た可能性は極めて高い

だからこそ警戒情報が出されたのかもしれない

 

「中央区には多くの連邦政府機関があるから警戒態勢が上がるのは当然だが」

 

何かあるのかもしれない。そうでもなければ緊急事態の対応訓練中に追加命令が出るはずがない

 

「問題が発生しているのかもしれないな。念のためセントラル分署の無線を傍受するか」

 

中央パトロールの無線通信は本来は中央本部にある中央パトロール管制センターから統一して無線管制が行われる

しかし各分署にも一定の裁量権が与えられて、各区内の管轄区域内の問題を分署内で対応することが認められている

そのために各分署には分署地域情報センターという無線管制センターが設置されている

そこから無線指令が出ることは珍しいことではないが、それが出るということは現場が混乱している時にことの方が多い

問題が拡大する前に解決すればいいが

 

-------------------------------

 

南区南部ボルシア地区3番街1丁目9番地 フォーゲル家の自宅

 

地下室から押収したマリファナの鉢植えは特殊証拠輸送車に積み込んだ

あとは南分署で分析をするだけなのだが問題なのはそこからである

フィリーは分析に時間がかかることになることを察してため息をついた

 

「それにしても閑静な住宅街でマリファナ畑とは驚いた。マリファナとメタンフェタミンを物々交換していた可能性があるわね」

 

「そんなことが可能なんですか?」

 

なのはは種類は違うと思うのですがと聞いてきた

確かに麻薬の種類は全く異なる。だが全くないのかと聞かれると答えは『ノー』である

できるだけ早く答えを見つけることが求められる

 

「物々交換に応じる密売人がいることは間違いないわ。彼らにとっても多くの商品を扱えば客も増えるから」

 

1つの麻薬しか扱わないという売人もいるが多くの売人は手広くビジネスをしている

さまざまな麻薬を扱うことで大きなビジネスに結び付けている

 

「メタンフェタミンはかなり売れる商品だけど、マリファナも同じよ」

 

どちらも密売量はかなり多い麻薬に入る。

そこにさらにコカインも入れると国内で流通している麻薬の50%を超えてしまう

特にマリファナは最も流通量が多いとされている

JS事件後は取り締まり強化の影響で流通量が減少していることから麻薬全体の末端価格は大きく上昇

一方でマリファナの価格は安定している。簡単に密造できるという利点があるからだ

メタンフェタミンは化学物質が必要なために密造しようとして摘発される例は多くなっている

マリファナは苗を育てるだけのため、マリファナ畑の場所の摘発は難しい

都会のど真ん中で早く収穫しようと思った場合は電気代がかなり必要になる

しかし天然で育てている場合は摘発は難しいことから密売人からはマリファナの密売価格は安定している

メタンフェタミンと異なるのだ。すべてのマリファナの鉢植えを積み込むと警備のパトカーと一緒に南分署に向かった

フィリーたちも南分署に向かうためにSUVに乗り込んで南分署に向かった

 

『先ほど連邦準備銀行はベルカローン社が売り出した不動産債権は紙くず同然になってしまったと発表』

 

『またワンワールドバンクローン社も同じような方向に流れていることがわかりました』

 

ラジオでニュースを確認していた

 

『ベルカローン社やワンワールドバンクローン社が売り出した証券化商品の価格が暴落して一部の金融機関では不良債権として処理しなければならないとして問題が生じています』

 

2社が発行していた証券化商品の格付けは『AAA』であることから破綻することではないとされていた

しかし今ではデフォルト債権(債務不履行債)となってしまった

紙くず同然になった債権を多額に抱えている金融機関も存在していため、資金繰りに行き詰っている金融機関がある

 

「どこもお金がないのは一緒ね」

 

『南分署から各員へ。南部サウスフラグラー地区9番街2丁目と3丁目の間の通りで銃撃戦が進行中』

 

ここ彼らそれほど離れていない。フィリーは進路を変更して銃撃戦の現場に急行した

もちろんワーニングライトとサイレンのスイッチを入れて緊急走行で向かった

 

「SA13から南分署。サウスフラグラー地区の銃撃戦に対応する。現状報告を」

 

『了解。こちらで把握している限りは現場は戦場さながらの状況になっている。現場到着時は要注意されたし』

 

「具体的な人数はわかっているの?」

 

『現在南分署で把握している情報では8人の男たちがアサルトライフルで攻撃を仕掛けてきているとのこと』

 

アサルトライフルで銃撃戦となると現場はかなり混乱した状況になっているだろう

こちらサイドに死者が出たらとんでもない大騒動になることは間違いない

 

「こちら側に現在被害は出ているの?」

 

『幸運な事にパトカーが防弾代わりになっているので負傷者は確認されず。それもいつまでもつかわからない』

 

今は一刻も早く現場に急行して収束に向かわせるようにとのことだった

 

「なのは。現場に到着したら車から降りないで隠れていなさい。現場は戦場よ」

 

「はい!」

 

「SA13から中央本部。サウスフラグラー地区の銃撃戦現場に急行中。支援要請を願う」

 

『こちら中央本部。了解した。SWATが南分署から出ている。そちらはSA19がいるが大丈夫か?』

 

「現場経験にはいい機会よ。いつかは通らなければならない道と判断している。SA19は車からは降車させない」

 

『SA19の安全確保は最優先に行え』

 

そんなことは言われなくてもわかっている。

もしなのはにけがを負わせたらとんでもない大騒動になる

もちろんまだまだ新米なので失敗することもあるが、銃撃戦の現場では何があるかわからない

危険な現場なので現場から少し離れた場所で待機してもらうしかない

 

-------------------------------

 

中央パトロール本部駐車棟 8階捜査部専用駐車エリア

 

カリーとシグナムは無事に中央本部に帰還していた

これからはラボ棟で車の鑑識作業を行わなければならない

すでに1階の車両ラボに車は搬入されている

 

「シグナム。あの車を徹底的に調べるわよ」

 

「了解した」

 

だがすでにほとんど調べ終わったようなものではないかと言ってきた

確かに現場で調べることができる範囲では完了している

ラボではより詳細に調べなければならない。詳細に調べることでさらに大きな発見があるかもしれない

 

「別の角度から検証すれば新しい発見があるかもしれないのよ」

 

今はとにかくラボ棟に向かいましょうと言うとカリーとシグナムはラボ棟の1階にある車両ラボに向かった

車両ラボにはセダン車両が最大2台も搬入できるように広い面積がある。

高さはさすがに大型車両の搬入はできないがセダン車両などの一般車両の搬入ができるくらいの高さはある

 

「これからが忙しくなるところだから覚悟をしておくことね」

 

「どういう意味だ?」

 

車には大量の部品が使われている。それらに関しても調べることが求められるからだ

極めて地味で時間のかかる作業だがやらないわけにはいかない

 

「面倒なことが多いんだな」

 

「爆薬を積み込んでいた車よ。慎重に鑑識作業を行うことは当然よ」

 

2人は駆け足でラボ棟1階の車両ラボに到着するとすでに車は搬入されていた

カリーは車の底を見るために1段下がったエリアに階段で下りていった

 

「そこまで調べるのか?」

 

「当然よ。完璧に調べることが求められるのが私たちの仕事なんだから」

 

問題が1つもなくなるまで調べまくることが捜査官には求められる

 

-------------------------------

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

キラ・ヤマトになってしまった…(作者:星乃 望夢)(原作:機動戦士ガンダムSEED)

なお、准将みたいに頑張らないと世界が簡単に破滅しそうな戦略兵器がポコポコ簡単に撃たれるマッポーめいた終わらない明日へ目指して「それでもっ、守りたい世界があるんだぁぁぁ!!!!」しないとならない模様。▼将来別嬪なお姫さまが嫁になったり、カッコいいロボットに乗ってオレTUEEEEE!!!!出来るイケメン主人公ではあるが、絶対に転生したくない主人公の1人である。▼…


総合評価:22561/評価:8.44/連載:117話/更新日時:2026年06月19日(金) 18:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>