午後02:10 中央パトロール本部庁舎 8階捜査部1係オフィススペース
ラジェットは犯罪組織に関する情報をどのように利用するつもりなのか様々な法執行機関の友人に探りを入れていた
その結果、ある情報をつかむことができた
FBIとCIAが合同で一斉摘発を行うことを企んでいるとのことだ
そこでクラナガン市内の犯罪組織の情報収集のためにクラナガン捜査局を利用したのだ
それも中央本部捜査部の情報網を利用した。
CIAが前面に出て調査を行うとすぐに内偵していることが漏れるかもしれない
それを避けるためにこちらに一枚かませることで情報漏れを最小限にしようとしたのだろう
「面倒なことをしてくれる。俺たちは利用するだけ利用してポイ捨てとはな」
だがそうはいかないというとすぐにある人物に連絡した
ミッドチルダ国土安全保障省の長官であるウィル・ヘンリーにである
彼とは以前にシエルの代理で会議に参加した際に人脈を作ってきた
国土安全保障省立ち上げに当たっていろいろと恩を売ってきた。その恩を回収する時が来たのだ
『久しぶりだな。ラジェット。そっちからコールとは何か危険なにおいを感じるんだが』
ラジェットが話題を振ってきたことに大きな問題を感じていたようだ
それは当たっている
「実は調べてほしいことがありまして」
『わかった。何が知りたい?』
「CIAとFBIが連携して行っている国内の犯罪組織の一斉摘発に関する情報を確認したんだが」
『そいつはレベルが高い仕事だが、ラジェットにはいろいろと世話になっているからな。何とかしてみよう』
よろしく頼むというと通話を終えた。国土安全保障省と連携すればいろいろと情報は入ってくる
あそこはCIAやFBIとも連携している。
今回のことを知らされていないとなると、あちらも興味を引くはずだとラジェットは考えたのだ
「あとは情報待ちだな。その間に報告書の作成をして提出をしないとな」
はやてとツヴァイには引き続き教本を読んでおくように指示すると報告書の作成を始めた
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東区東部 港湾パトロール本部基地 港湾パトロール飛行場
ステラとマイアは無事に輸送機で帰還していた
「ようやく戻ってきたわね」
「はいです」
2人は機内で報告書を携帯情報端末を使って作成していたので後はプリントアウトするだけだ
ベルカ州で天然痘の爆発的流行は抑えることはできた。それはまさに運がよかったと言える
「ベルカ州がなくなることは避けることはできたわね」
「主ステラは天然痘は自然発生だと思いますか?」
「それを調べるのは疾病対策センターの仕事よ。私達にはもう関係ないわ」
ここでの仕事はあとは聖王教会に関係する報告書を港湾パトロール安全保障局に提出するだけと言った
聖王教会本部でいろいろと情報収集してきたのだから報告書を提出するのは当たり前である
もちろんそれらに関する報告書はすでに作成は完了している
ちなみにこの報告書はシエル首席捜査官にも提出する予定である
問題なのはこの報告書がどんな影響を与えることになるかである
できれば大きな波を起こさないほうが良いと考えているがそれは難しいことであると考えていた
「とりあえず港湾パトロール安全保障局に立ち寄ってから中央本部に戻りましょう」
飛行場の整備員がセダン車両を運転してこちらに来てくれたのでその車を利用することにした
ステラはそう言うとマイアと一緒に港湾パトロール安全保障局に向かった
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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部1係オフィススペース
ジャネットはミカ主任捜査官と共にギャレット・ボイスコーンの情報収集を継続して行っていた
「かなり金の動かし方がひどいわね。ワンワールドバンクの口座記録を見る限りでは」
ミカ主任の言う通りである。
退役時空管理局員が創設して時空管理局関係の取引を主に扱っていたワンワールドバンクの口座、
そこの金の動かし方を見る限りかなり頻繁であった
「ワンワールドバンクは犯罪組織の金も受け入れをしていたという報告書がありましたがここまで汚れていたとは」
犯罪組織から一定の手数料を受け取る代わりに犯罪で得た汚れた金を資金洗浄していた
それだけに多くの犯罪組織はワンワールドバンクを利用していた
酷い話だが、それで大金を失って組織間抗争が激化しつつあることは事実である
「私たちにとっては大きな影響が与えそうね。ワンワールドバンクが破綻したことは」
「ミカ主任。以前にも犯罪情報で警戒するべき事案として情報がありましたよ」
「わかっているわ。だから今は市内でも組織犯罪の発生率が高まっている」
特に麻薬密売では縄張り争いが頻発している。それもかなりの頻度で
どの犯罪組織も資金を取り戻そうと必死になっている
「どこも必死みたいですね」
「ジャネット、あなたもお金を失ったら必死になって取り戻そうとするでしょ。それだけの話よ」
「そうですね」
2人はその後も金の流れを追ったがどこも途中でどん詰まりだった
ワンワールドバンクが破綻して資金を失ったということまでしかわからなかった
それ以上のことは調べようがなかった。となると残る手段は1つである
連邦法執行機関の1つである麻薬取締局に問い合わせることである
麻薬関係の捜査を国内全域で専門に扱っているところである
今回のギャレット・ボイスコーンに関係する情報はかなり持っているはず
麻薬の密売で生計を立てていたとなると特にである
「ジャネット。あとの調査はこちらでしておくわ。休憩してきてかまわないわよ」
「良いんですか?」
「ええ、かまわないわよ。麻薬取締局に連絡するだけだから」
ミカの言葉を受けてジャネットは休憩することにした
捜査部のフロアを出るとエレベーターに乗り込み1階カフェテリアに向かった
「それにしても難解な事件は厄介ね」
エレベーターはすぐに1階に到着した。カフェテリアに入るとホットドックを注文した
「それにしても犯罪組織の動きが激しくなっているわね。今度の犯罪組織動向報告書を確認しないといけないわね」
ジャネットはホットドックを食べながら携帯情報端末で報道番組を見ていた
『クラナガン原油先物価格は1バレル4000ミッド台まで下落しています』
『一方で外国為替相場はミッド高が継続していることから政府は為替介入に踏み切ることを考えていると表明』
『この情報を受けて一時的にミッド高が収まったものの、流れは簡単には変わることがないものと思われます』
ジャネットは口先介入だけではどうにもならないわねと考えていた
今のミッドチルダ連邦国内の経済は好景気である。そのため通貨ミッドが買われるのは当然である
国内への投資が急増している。国内の各州に設置されている州証券取引所では多くの銘柄に高値で取引されている
つまり多くの銘柄に買い注文が入っているということである
「好景気は良い話だけど、大量リストラされた退役時空管理局員の受け入れには否定的なのは問題ね」
どの企業にもリスクを背負いたくないという思いは理解できるが差別はしてはならない
各次元世界国政府は企業に対して退役時空管理局員だからと言って差別はしてはならないと、
指示を出しているが効果は限定的である
「退役時空管理局員による犯罪発生率が高いのも納得できるわ」
最新のレポートで大量リストラされた退役時空管理局員の多くが、
再就職に困難して犯罪に関与する事例がかなり確認されている
この問題はミッドチルダ連邦だけでなく、次元世界連合の多くの加盟国でも確認されている
「退屈そうにしているわね」
ジャネットに声をかけてきたのは事務部首席事務官のリーザ・コンパーノであった
「リーザ。退屈な時間なんてないわよ。ミカ主任に一時的に業務を代行してもらって休んでいる状態よ」
「忙しいわね。捜査部は。機動六課組という不発弾を抱えると余計に大変でしょうけど」
彼らのことを不発弾と呼ぶのはかなりの局員である
いつどんな騒動を起こすかどうかわからないのだから当然である
「それは事務部も同じじゃないの?」
捜査部で問題が発生したらマスコミ発表で苦労するのは事務部なんだからとジャネットは伝えた
確かにその通りだ。マスコミ発表をするのは事務部の担当である
万が一に備えてシナリオ作りをしておく必要があることは容易に想像できる
リーザは当然でしょと同意した。マスコミ対応をするのは当然の仕事である
「それで捜査部の空気はどんな感じなの?」
「私は直接関わっていないから詳細なところはわからないけど不満に思っているメンツがいることは間違いないわね」
「そう」
リーザはどこか悩んでいるような表情を浮かべていた
ジャネットは何かはめられたのではないかと考えてしまった
「私から感想を聞いて何をするつもりだったのかしら」
「人事評価の参考にしようと思っただけよ」
ジャネットはやめてほしいわねとリーザに伝えた。それは当たり前である。
自らの発言で同僚の人事査定に影響が出るようなことは避けたいと考えるのは当然である
「冗談よ。でも機動六課組に関するあなたの私的評価はどんな感じ?」
「非公式に言わせてもらわせることができるならまだまだ子供ね」
まだ厳しい現実を見たことがないことは誰の目から見ても明らかとジャネットは評価した
捜査部捜査官は鉄の胃袋が必要だ。事件ではとんでもない死体と出会うこともある
生首しかない遺体とかバラバラにされた遺体。普通の人間が見たら嘔吐するようなケースも担当する
それを耐えて捜査をしなければならない。まさに鉄の胃袋が必要である
そんな事件を捜査しながら平気に食事ができなければ体が持たない
「つまり例の試練はさせていないわけね」
「いきなりさせるわけにはいかないでしょ。あれはまだまだね」
試練とは検死に立ち会うことである。あれだけはかなり覚悟を持たなければできない
だからといって経験しないわけにはいかない。事件解決には検死に立ち会うことは極めて重要なのだから
検死解剖で得られる情報は極めて貴重である。だがそこに立ち会うのはかなり覚悟が必要であれば
初めは誰だって嘔吐をするものだ。次第に慣れてくるがそれに時間をかけているような余裕はない
呑み込みの良さが求められる
「まぁ、頑張る事ね。捜査部は」
そこに今度は軍服を身に着けた男性がジャネットに話しかけてきた
「ジャネット。捜査部は苦労人らしいな」
「ケプラ・グリンダ大佐。あなたがカフェテリアを利用するなんて珍しいですね。何かありましたか」
「ああ。ちょっと気になってな。お前たちの捜査部の様子を見て来いとさ。上の指示だ」
上の指示、ケプラ・グリンダ大佐は港湾パトロール艦隊に籍を持つ軍人である
現在はクラナガン捜査局港湾パトロール連絡部に所属している
捜査長官などに港湾パトロールが得た情報を伝える役目を持っている
港湾パトロール連絡部には連絡担当官は4人在籍している
各隊から最低でも1人以上の連絡担当官がここに出されている。
「苦労しているみたいですね。上の圧力に」
「それは捜査部も同じってことだろ。機動六課組を押し付けられてすべての責任まで面倒見ろなんて」
怒らない方がどうかしているとケプラ・グリンダは語った
確かに捜査部内でもそういう意見が全くないというわけではない
ただ誰も表面上に出さないだけの話である
「シエル首席が暴走したと噂になっているぞ」
「さすがは私たちのボスね。それで何をしたの?」
「詳細は知らないが、いろいろと管轄権でもめたときに責任の擦り付け合いにはするなとらしいぞ」
「そう」
ジャネットはあっさりとした感じで回答した
確かに管轄権でもめたときには責任の擦り付け合いが発生することが多い
それを避けることができるなら大きい
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中央パトロール本部ラボ棟 2階マルチメディアラボ
ダイナは強盗事件が発生した時のバーの周辺に設置されている街灯観測システムにある監視カメラの映像を全て確認していた
強盗時に別の場所でホライトン・ディスが確認されていたら無実の証明になる
「ラグナ。当時の監視カメラ映像から顔認証システムで照合にかけてくれ」
「ホライトン・ディスを探し出せばいいわけだな」
マルチメディアラボの分析官であるラグナの質問にその通りだと伝えた
今は確認が取れればそれで問題はない。犯行時に別の居場所にいたという証拠があれば良いのだ
アリバイを確認する。まずはそこから始める
「それならもうかけておいた。証言通りだ。犯行が行われた時間は現場から少し離れた場所で車から降りたところが記録されていた」
空間ウィンドウに映し出すというとその時間に記録されていた監視カメラの映像を表示させた
確かに撮影時間の記録と犯行時間は一致している。バーからはそれなりに離れていたところに車を止めていた
これでは強盗などできるはずがない
「証言は事実ということで間違いないわけだな」
アリバイという名の証拠が出た以上、まずはやることがある
「すぐに検事局に掛け合って身柄拘束解除令状を請求する」
ダイナは携帯電話を取り出すと検事局に連絡。すぐにホライトン・ディスの身柄拘束解除令状の請求した
ここで問題になるのは真犯人である。すでに候補は出ている。あとは確認するだけである。
当時時空管理局の捜査部門が捜査した物的証拠に関して再分析を行う必要がある
「証拠をすべて見直してみるか。今はどこに保管されているんだ?」
ラグナはすぐに証拠品の保管場所を確認すると中央本部の近くにある証拠保管庁舎に保管されていた
すぐに証拠移送の手続きを行うことにした。
手続きを行えばすぐにこちらに証拠が収められている箱が届けられるだろう
その間にバーを襲った人物の生体認証をかけて身元を特定してくれとラグナに依頼した
するとそれならすでに作業は終わっているとラグナは答えた
「一致したのはカイル・ギーランだ。ひき逃げ事故で死亡したホレイスト・ギーランの息子だ」
現在はサウスクラナガン刑務所に収監されているとラグナはダイナに報告した
その人物もこちらに移送させる必要がある。バーへの強盗容疑で取り調べを行うことが求められる
「苦労する案件だな」
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南区南部サウスフラグラー地区9番街2丁目と3丁目の間の通り
フィリーとなのはとジャスティは現場鑑識作業を進めていた
すでに2チームの現場鑑識チームが来ているので総力戦で当たっている
できるだけ早く現場鑑識を終わらせることが求められる。現場の立ち入り規制をずっと行うわけにはいかない
できるだけ素早く対応して処理することが求められる。
犯人たちについては近くの地区パトロール事務所で組織犯罪課の刑事による取り調べを受けている
「本当に弾の数が多いな」
ジャスティもさすがに弾の多さに鑑識を苦労していた。銃弾のほとんどは5.56x45mm弾である。
アサルトライフルで使用される銃弾でありこの派手な銃撃戦を生み出したことに納得である
「犯人は持ち弾を全部打ち尽くして降伏したのよ」
「それを先に言っておいてくれよ」
そんなことを知ればもっと応援を連れてきたのにとジャスティは言った
これ以上の応援は期待できない。他にも犯罪現場はあるのだから現場鑑識チームも数が限られている
限られた人員を上手く運用して対応することが求められる。
「何とかするしかないわけか。今ある人員で」
「そういうことよ。それでも現場鑑識チームが2チームも来ているからできるだけ早く終わるはずよ」
2人はそんなことをしゃべりながら鑑識作業を続けていた
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中央パトロール本部ラボ棟 1階車両ラボ
カリーとシグナムはそこである情報が送られてくるのを待っていた
車に隠されていた銃の線条痕で一致した事件についての詳細な情報についてを提供されるのを待っていた
今はFBIが捜査をしている案件だけに裏にいったいどんな秘密が隠れているのか
『ピーピーピー』
「ずいぶんと時間がかかったわね」
『そう嫌味を言うな。5分くらいでな。悪いんだがその事件の機密解除はできないと上は判断した』
カリーは1度車両ラボから出てシグナムに聞こえない場所まで移動してから問いただすことにした
「どういうこと?」
『機動六課組が絡んでいる案件があるということだ』
つまりシグナムには知られたくない情報が含まれているとのことだ
捜査部に機動六課組がいることをFBIはある意味で危険視している
情報漏洩につながるからだ
「それってかなりまずい展開にならない?」
『可能性は否定できない。今のところはだがな。とにかく銃のことは忘れてくれ』
車爆弾の事件の方に専念してくれとのことだ。嫌な展開にならなければ良いのだが
「わかったわ。でももし話せそうな情報があればこっちにも提供してもらえるわよね?」
『その辺はうまく調整をしてみる。なるべくな』
それじゃなというと通話は終了した
あまり収穫は得られなかったが、これだけははっきりしている
バックに大きな闇が隠れているということは。
今はともかく車爆弾の事案の捜査に専念することにした
「シグナム。あの銃のことは忘れましょう。機密解除は無理だったから」
カリーの発言にシグナムはどこか疑っているような表情をしていた
「どうせFBIが何か企んでいるならそのうちわかってくるわよ」
シグナムにそう伝えると車の調査を再開した
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