午後02:15 中央パトロール本部庁舎 8階捜査部1係オフィススペース
ラジェットはミッドチルダ国土安全保障省の長官であるウィル・ヘンリーからの情報提供を受けていた
「それはかなり危険な一斉摘発方法だな。国内全域でやるわけか」
『こっちにも秘密でやるとは驚いた話だ。どうやらこちらにモグラがいると思っているらしい』
モグラとはスパイのことである。
FBIやCIAは国土安全保障省に犯罪組織のスパイがいると疑っているのだ
新設されたばかりの組織だけにまだまだ信用度は少ないというところである
だからといって長官にもなれば友人関係から機密情報にアクセスすることはそれほど難しいことではない
だからこそラジェットに情報提供ができるのだ
「そればかりは仕方がない。人員は新米が多いからな。まだ信用評価が終わっていないんだろう」
『だからといってこちらに何も言わないのはやりすぎだと思うがな』
「それは言えているな」
国土安全保障省に完全に情報を隠匿しておくとは度胸があると言える
事後報告で済ますには規模の大きな作戦であるからだ
「とにかくFBIとCIAの動きに期待するしかないな」
『それはこちらも同じだ』
とにかく犯罪組織の一斉摘発をすることで国内の犯罪発生率を抑制しようと考えていることはわかった
あとはお手並み拝見と言ったところだろう
「こちらでも何か情報をつかんだら連絡する。お互い持ちつ持たれつだからな」
ラジェットの言葉にウィル・ヘンリーもそうだなというと通信を終了した
これである程度の情報収集は完了した。あとは報告書にまとめるだけだ
「報告書を作るとするか」
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東区東部 港湾パトロール本部基地南部 港湾パトロール安全保障局A棟 7階安全保障局長執務室
ステラとマイアは様々な聖王教会に関係する情報を報告するために訪れていた
「悪いわね。こんなところまで来てもらって」
「これが仕事ですので。カザーナ・ステージア局長」
これが報告書ですとステラはカザーナに書類を手渡した
「それにしても捜査部を諜報員扱いにするとは無茶なことを考えましたね」
「あなたたちのためを思って送り込んだのよ。いろいろと収穫もあったみたいだし」
それにあなた達を派遣して正解だったわとカザーナは語った
「天然痘の対処案件ですか?」
確かにあれは素早くしなければパンデミックになっていたかもしれない
2人が迅速に動いたからこそ被害規模が最小限で事態収拾ができたのだから
「本当に感謝しているわ」
「1つだけ聞いても?」
カザーナは聞かれる質問はある程度、予測できていた
「何かしら?」
「あの天然痘の出所はどこだったのですか?」
「その件については現在も調査中よ。CDC(疾病対策センター)が」
「今のところは不明と?」
そういうことになるわねとカザーナは回答した。
天然痘はミッドチルダ連邦国内では完全に根絶されたはずだ
発症例はかなり前から確認されていない。ワクチンは万が一に備えて持っている
問題は今回の出所である。そこがわからないと新たに発症する人物が現れるかもしれない
「ベルカ州は自治区から州制度に移行したばかりだからまだまだ把握できていないことも多くあるわ」
そのあたりは今後の自然環境調査でいろいろとわかってくるかもしれないわねとカザーナはステラたちに話した
今は連邦政府とベルカ州政府が州内の自然環境などについてさまざまな角度から調査している
自治区時代はあまり調査は行われていなかったので新しい発見が今後は続くことになるかもしれない
こればかりは時間がかかる作業になる
「そうですか。では私たちはこれで失礼します。中央本部に戻りますので」
「借りができたわね。いつか恩返しはさせてもらうから」
ステラは期待していますというとマイアと一緒に局長執務室を退室した
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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部1係オフィススペース
ジャネットはカフェテリアから戻ってくると、
ミカがジャネットのデスクですでに情報収集を終えてレポートを作成していた
「ミカ主任。レポートまで作成してくれたんですか?」
「ええ、退屈の時間だからちょうど良い時間つぶしになったわ。それにしてもあなたも厄介な事件を引き受けることになったわね」
ミカは自らの情報収集でも成果が上げられないことに残念そうな声で発言した
確かにこの事案は大きな謎がいくつも存在している
「わかります?」
「情報収集をしてよく分かったわ。この事件の解決はかなり苦労するわね」
「いまだに事件の概要もつかめていないのが現状ですから。過剰摂取で死亡した遺体に大量の麻薬」
そして犯罪組織から借金をしていたと思われる記録。他に物証らしきものはない
これ以上何か物的証拠が出なければ事件捜査は行き詰まりである
「真相解明につながる証拠が出る可能性はかなり低いわね」
「私もそう思います。この事件はかなり奥が深いです」
「ジャネット。この案件は新情報が来るまでは凍結にするべきじゃない?」
「今のところ、別に忙しく担当している事件は抱えていませんから対応できなくなるまでは探りを入れてみます」
ミカは捜査魂があるわねと言うとジャネットの席を立つと自分の執務室に戻っていった
一方のジャネットはミカ主任がまとめたレポートを見ながら今後の捜査方針について検討していた
何か良い方法がないか。小さなきっかけだけでもあれば良いのだが現実はそれほど甘いものではない
「難しいわね」
このままでは本当にコールドケースにするしかない
できれば自らの捜査でそれは避けたいところだが、証拠がない以上捜査をするのは難しい
「仕方がないわね」
ジャネットは決断した。一時的な捜査保留措置。コールドケースとすることに
だが何か新しい情報が入ってくればすぐにでも再捜査を行うことを情報として登録した
すべての証拠や関連報告書などの書類を証拠収容箱に収めるとラボ棟に持っていくことにした
ラボ棟の4階には証拠保管課のオフィスがある。
証拠保管課は中央パトロール本部が保管している証拠管理を行っている
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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部2係オフィススペース
ダイナはカイル・ギーランがサウスクラナガン刑務所から移送されてくるのを待っていた
ホライトン・ディスについては今は検事局を通じて裁判所に拘束解除令状を請求してもらっている
解除令状が出されると逮捕状態を一時的に解除することができる。
ただし現在位置を監視するために現在位置を発信するための装置を足首に着用させておくことが義務付けられるが
刑務所にいるよりかは自由な生活ができる。
しばらくは中央パトロール本部のすぐ近くにある官舎で寝泊まりしてもらう
まだ事件が解決したわけではないので完全な自由になるわけではないが、仮釈放には該当する
「ダイナ。保釈手続きに入るみたいね」
「ミカ主任。これは当然の措置であると考えていますが問題でも?」
「いえ、あなたの対応に問題はないと私は判断しているわ。問題があれば止めに入るから」
それまでは頑張って捜査をすることねとミカは言うと自分の執務室に戻っていった
『ピーピーピー』
「ダイナ・コースターだ」
『サウスクラナガン刑務所です。これよりカイル・ギーランの移送を開始します。できるだけ素早く身柄を移送します』
「厳重警戒して身柄移送を行ってくれ。奪還のために動く連中がいるかもしれないからな」
時空管理局の暗い暗部、『HR』が絡んでいる可能性が極めて高い
つまり証拠隠滅のために何をしてくるかわからないということもある
警戒するに越したことはない
『わかっています。今は囚人1人の身柄移送にも最大限の警戒をして行っています。今回は特に』
そう言うと通話が終えた
「警戒しておけか。口で言うのは簡単だが実際は大変なんだがな」
そう、守るのはかなり苦労することになる。
特に相手がすべての証拠を消すために抹殺するために動いている場合は。
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南区南部サウスフラグラー地区9番街2丁目と3丁目の間の通り
現場鑑識チームの協力もあって大部分の鑑識作業は終了した
あとの捜査については組織犯罪課に任せることにするだけだ。
フィリーとなのはは別件の捜査があるのだから。
いきなりなのはに複数の捜査を同時にさせるわけにはいかない
もし間違った方針で捜査をすることは避けなければならないからだ
「ジャスティ。この案件の捜査を引き継いでも良いかしら?」
「こちらはかまわないぞ。そっちはいろいろと大変らしいからな」
「悪いわね。なのは!現場写真を記録したメモリカードをジャスティに引き渡して私たちは南分署に向かうわよ」
フィリーとなのはは南分署のラボで証拠分析の作業を行うことになっている
本来であれば今頃には到着しているはずなのだが、予定変更で今もここにいる
地区パトロール事務所に留置されていたフェルリク・フォーゲルも南分署に移送されている
取り調べを行って真相解明をしなければならない。
なのはは自分が撮影した現場写真が記録されているメモリカードをジャスティに渡した
「それじゃ、ジャスティ。あとはよろしく。応援が要りそうなら声をかけて。しばらくは南分署にいると思うから」
「了解」
引継ぎ書類にフィリーとジャスティはサインをすると権限委譲も同時に行い、
この現場の捜査はジャスティに任せてフィリーとなのはは南分署に向かった
「やっと本来の仕事に戻れるわね。早く南分署に向かわないと」
フィリーは少しうんざりとしていた。激しい銃撃戦に巻き込まれたのだから当然である
銃撃戦を好む人間はいない。いつ命がなくなるかわからないのだから
「本当に命がけなんですね」
なのはの言葉に当然でしょとフィリーは返答した
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中央パトロール本部ラボ棟 1階車両ラボ
カリーとシグナムは車の分析をすべて終えて再び組み立てていた
車体から外したドアや座席などを基に戻して証拠車両保管施設に移送することにした
南区北部区域ビューロー地区9番街には中央パトロール押収車両保管施設が設置されている
50階建ての建物で多くの証拠車両が保管されている
「一審の裁判が終わるまでは中央パトロール押収車両保管施設で保管するのが義務付けられているから」
クラナガン市の場合は裁判制度について、三審制であり市地方裁判所・市控訴裁判所・市最高裁判所で構成されている
さらに連邦裁判所もあり、連邦裁判所は基本的には連邦法を専門に扱っている
こちらも連邦地方裁判所・連邦控訴裁判所・連邦最高裁判所の三審制で構成されている
最低でも一審の地方裁判の判決が出るまでは証拠保管することが連邦法で義務付けられている
市法でも同様に定められているため、地方裁判所で裁判が終わる。
つまり判決が出るまでは保管することになる
「車を移動させたら、あとは報告書を作成するだけね」
カリーはそう言うとシグナムに早く終わらせましょうと言った
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