CSI:クラナガン   作:アイバユウ

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新暦76年4月1日午後02:20

 

午後02:20 中央パトロール本部庁舎 8階捜査部3係オフィススペース

 

カリーとシグナムは証拠車両の移動を終えて報告書作りを行っていた

 

「捜査部捜査官は本当に忙しいな」

 

「シグナム。こんなことはまだまだ序の口よ。本番はこれからなんだから」

 

他に何があるんだとシグナムは聞いてきた

 

「裁判で証人として証言をしなければならないのよ。時間は限られているのにさらに忙しいのだから」

 

「裁判で証言もするのか?」

 

「そうよ。捜査をしたのだから当然でしょ。だからすべてを覚えておくだけの記憶力が求められるのよ」

 

中央本部捜査部の前身組織であるクラナガン捜査部時代でも裁判で証言することは普通にあった

ただしその時はかなり正当な裁判と言えないケースがあったことは言うまでもない

時空管理局が司法制度の権限も握っていたからである。

今は独立した司法機関になっているため公正な裁判制度であるが

それでも裁判で必要に応じて証人と立つことはかなりの頻度で存在する

 

「報告書が完成したらどうするんだ?」

 

「少し休憩しましょう。コーヒーを入れてあげる。捜査部のコーヒーはおいしいから」

 

カリーはさらに休憩が終わったら射撃訓練に行きましょうと言った

彼女自身も最近はあまり頻繁に撃っていないので腕が鈍っているかもしれない

銃を扱う上では正確な射撃技術が求められる。そのために資格テストがあるのだから

そのため時間があれば射撃訓練をするか鑑識技術を磨くなどのすることはいろいろとある

休憩しているくらいなら何か訓練をするべきであるというのが考え方だ。捜査部捜査官の。

 

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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部取調室

 

サウスクラナガン刑務所から移送されてきたカイル・ギーランは取調室で待たされていた

ダイナは各種証拠の資料を持って取調室に入った

 

「8年前のバーを強襲した事件の再捜査を担当しているダイナ・コースターだ」

 

「もう証拠は上がっているんだろ?俺はどうせ長くない」

 

どうやらカイル・ギーランはすでに状況を理解しているようだ

しかし長くないとはどういう意味なのか。彼の健康状況を見るとがんを発症していることが分かった

ただしまだまだ治療すれば完治することは可能であるレベルだ

だからといって油断はできない。万が一ということも考えられる

できれば奴が死ぬ前に裁判を受けさせて真実を白日の下にさらすことが求められる

 

「認めるのか?8年前にバーに強盗に入った件について」

 

「ああ、俺がやった。裁判でも素直に証言する。どうせ長くない人生だ」

 

「司法取引を望んでいるならあり得ないと思うんだな。こっちは証拠という名の壁は固いぞ」

 

司法取引など必要がないくらい、証拠はそろっている

特に監視カメラに記録されている顔写真の生体認証で一致している段階でほぼ確定だ

その他にも当時の状況証拠なども加味すると有罪にするには申し分ないほどの証拠がそろっている

簡単に司法取引でお流れになるほど甘くない

 

「今さら司法取引をするつもりはない。さっさと裁判にかけて刑務所に戻してくれ」

 

ダイナはどこか投げやりな感じに違和感を覚えた。

普通なら司法取引を望むはず。それを望まないということはよほどの本人に何か考えるところがあるのか

それとも別に何か考えることがあるのか。今のところは何もわからない

 

「何を考えている?」

 

「俺は今は刑務所の外に出たくないだけだ。個室に戻してくれ」

 

個室とは犯罪者や法執行機関の関係者中での隠語で収監されている場所のことを示している

今回の場合はこいつはさっさとサウスクラナガン刑務所に戻りたいということだ

ダイナは1度取調室を出ることにした

 

「何を考えているかわからないな?」

 

取調室の外からマジックミラー越しに見ていた

そこにシエルが話しかけてきた

 

「ダイナ。どうしたの?」

 

「投げやりの態度が気になったので」

 

いくらがんになっているからと言っても治療すればまだ完治する可能性はある

それなのに投げやりの態度に気になるのだ

 

「そうね。どうしてかはわからないけど何かあることは間違いないわね」

 

「どうするべきか」

 

「あの男の交友関係は?」

 

シエルにタブレット情報端末を渡して経歴などの詳細情報を確認してもらった

 

「父親のホレイスト・ギーランはひき逃げ事件で死亡。この人物は定期的に金を誰かに送金していた可能性があり」

 

「母親は?」

 

「母親に関しては現在はクラナガン市内で住んでいます。呼び出しますか?」

 

母親は彼に定期的に面会に行っている。刑務所に収監されてからずっとである

一通り確認したが怪しいところはなかった。

現在は市内のスーパーでアルバイトをして生計をやりくりしていた

 

「それが最善策ね。母親の経済状況についても調べたほうが良いわ」

 

シエルの指摘を受けて了解とダイナは返答するとすぐに準備を開始した

 

「これじゃまるで落ちてくるナイフをつかむようなものね。彼の場合」

 

もし犯罪を認めたらサウスクラナガン刑務所で過ごす日数はさらに数年は長くなる

下手をすれば十年近くの収監は確実になる。

証言拒否をするよりも素直に証言をして印象をよくするほうが良いかもしれない

 

「刑務所生活のつらさをよく理解しているのかもしれないわね」

 

『ピーピーピー』

 

「シエル・ミズノ首席捜査官だけど」

 

港湾パトロール安全保障局長であるカザーナ・ステージア局長

 

『シエル。カザーナよ。問題が発生したわ』

 

「何があったの?」

 

『フローレンス州にあるフローレンス時空管理局基地でクーデター騒動があったようよ』

 

クラナガン市近隣の州で最も最大の規模を持ち、

唯一の時空管理局の実働部隊が配置されているのはフローレンス州中央部セントラルフローレンス市にある基地だ

ここでクーデターが起きたらとんでもないことになる事は以前から予測されていた

 

「それでこっちにはどうしろと?」

 

『市内にある時空管理局本部の警戒態勢をサ台減に引き上げてほしいの。それと機動六課組の教導官にも警戒を』

 

カザーナの言葉シエルはずいぶんと優しいのねと返答すると当然でしょとカザーナは回答した

今は仲間なのだからとも伝えてきた

 

「わかったわ。こちらから誰から時空管理局本部の警戒に誰か人を出すわ」

 

『何かこちらでも最新情報をつかめばすぐに至急報で連絡を入れるからお互い仲良くでよろしく』

 

 

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南区南部 クラナガンハイウェイ6号線(南線) 北行き

 

フィリーとなのはは緊急走行でハイウェイを北上して南分署に向かっていた

今は急いで南分署のラボ棟に向かうことが求められる。

現場で押収した様々な証拠の分析が求められる

 

「それにしてもマリファナ畑には驚いたわね。あれだけの量は末端価格でかなり荒稼ぎをしていたはず」

 

「麻薬はそんなに儲かるものなんですか?」

 

なのはの疑問についてフィリーはまだまだ新米ねと答えた。今の市内の麻薬相場を理解していない。

マリファナなどを含む様々な麻薬の末端価格はかなり上昇している

押収量が急上昇しているからだ。犯罪組織にとっても資金が必要なため麻薬密売にかなり手を染めている

派手に動けばすぐに見つかってしまう。難しいバランスが求められるのだ

それができなければすぐに逮捕される。麻薬関係の犯罪発生率は極めて高い数字になっている

 

「麻薬関係の事件は好きになれないわ。いつもね」

 

どうもやりきれないところがあるからとフィリーは言った

 

「子供が麻薬欲しさに事件を起こすこともあるから」

 

「子供ですか?」

 

「麻薬の快楽を1度でも味わったものは再犯を繰り返す。麻薬使用の低年齢化は致命的よ」

 

「一番下でどれくらいなんですか?」

 

「小学生の場合もあるわ。使用だけでなく密売に手を染めていることもあるからつらいのよね」

 

小学生は麻薬のディーラーから引き受けて密売をしている。小遣いが手に入るからである

小学生が小学生に麻薬を売りに出す。皮肉な結果である。同級生がビジネスの相手となっている

連邦法執行機関である麻薬取締局や中央パトロールの麻薬捜査課でも子供の検挙率が極めて多くなっている

安易な考えで麻薬に手を出してどっぷりと暗い深淵にまで落ちてしまう

そういうケースが急速に増加している。それが麻薬の恐ろしさである

 

「酷い話ですね」

 

「なのは。これが現実よ。そして麻薬の恐ろしさ。子供でも簡単に使ってしまう。そして犯罪によって命を落とす」

 

綺麗事では済まないのが今の社会なのよとフィリーはなのはに現実を突きつけた

 

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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部3係主任捜査官執務室

 

ウル主任捜査官はすでに中央本部に戻ってきていた

ようやく捜査もある程度めどがついた。マナサリ・グースルの身柄は今もどこにいるのかわからない

だがすでに逃走犯を専門に追いかけるパトロール部長期逃走犯追跡課が捜査している

ウルは報告書を作成して担当課に資料として提供するだけで済むだけの話である

 

「本当にどこに逃亡したんだか」

 

今も足取りがわからない犯人にウルは残念そうな表情をしていた

できることなら自らの手で見つけ出したかった

その時ミカが話しかけてきた

 

「捕まえることができなくて残念だったわね」

 

「ミカ。追いかけることができるならどこまでも追いかけたかったけど3係主任捜査官という仕事があるからね」

 

「そうね。管理職はつらいと言ったところね。簡単に事件捜査に介入することもできないし」

 

応援をしてやりたい捜査官がいても難しい時は難しいとミカは言った

手伝いくらいはできるが本格的な捜査に着手するにはそれなりの下準備が必要になる

主任捜査官としての仕事を忘れるわけにはいかない

 

「まぁ、こちらの逃走犯追跡課は優秀だからきっと捕まるわよ」

 

「そう願いたいね。とにかく報告書を作成してできるだけ早く引継ぎをしておくよ」

 

「そうすることね。3係の職務責任者としての仕事も溜まっているし頑張る事ね」

 

未決済書類棚には数多くの報告書が置かれていた

それらの決済を行って関係各部署に回す必要がある

ミカは自らも仕事があると言って執務室に戻っていった

 

「それにしてもここの捜査部は忙しいね」

 

捜査部のオフィスにはほとんどの捜査官はいない

多くの捜査官はパトロールで巡回をしている。

それぞれに担当エリアがあるのでそれに従ってパトロールしている

 

「今日は休暇返上で仕事をしている人間も多いし。今日の夜勤は僕が責任者になる」

 

苦労ばかりが増えるのは職責かなと考えると自らもデスクワークを始めた

 

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中央区中央部セントラル地区6番街 国防省 会議室

 

国防省の庁舎形状は第97管理外世界アメリカ合衆国[ 国防総省 ]と同様の形状となっている

だからこそ『連邦ペンタゴン』と呼ばれている。

連邦ペンタゴンと呼ばれている理由は港湾パトロール本部基地にも同じような庁舎があり、

そちらが先にペンタゴンという略称が採用されたことから混同しないように連邦ペンタゴンと呼ばれている

 

「元気そうだな。シエナ・アルフォード三等兵曹」

 

シエナはクラナガン捜査局に入局する前は時空管理局本局執務官をしていた

しかし次元犯罪者を取り逃がした責任を取らされて解任された

その後クラナガン捜査局中央本部捜査部に入部。最初は苦労はあったが実力が認められて今では信頼も厚い

フェイトとは面識がある

 

「レポース・ホイッス少佐。教導官役はいかがですか?」

 

シエナがあっていた人物は元港湾パトロール海兵隊の隊員である

現在は連邦海兵隊の教導官を務めている。教導官としての腕は極めて高いことで有名である

シエナも港湾パトロールで訓練を受けていた時に厳しく指導を受けていた

 

「新米を鍛え上げるのは楽しいものだ。成長していく訓練生を見るのもな」

 

「それで今日は私を指名して呼び出した理由は何かあるのですか?」

 

シエナは直接指名されて呼び出されていた。それも内密にして呼び出された

それだけに嫌な予感を感じていた

 

「実は調べてほしいことがあるんだが。それもシエル首席捜査官にも内密に。できるだけな」

 

その言葉を聞いてとんでもない大きな問題であるとシエナは予測した

シエル首席捜査官にできれば話さないでほしいとなるとなおさらである

 

「できるだけやってみますがばれたら責任は持てませんよ」

 

確かにシエルはこの手の話はすぐに情報を把握することになるだろう

いつまでも隠れて捜査というのは難しい

 

「シエル首席にばれたらその時は仕方がない。事情を説明してくれてかまわない」

 

「では努力はしてみます。それで何を調べれば良いのですか?」

 

「俺の息子について調べてほしい。最近危険な連中とつるんでいるらしい。できるなら引き離してほしい」

 

「港湾犯罪捜査部に依頼をしても良いのでは?」

 

「今は連邦軍に在籍している立場だ。それに息子は全寮制の学校に通っている。学校内で麻薬に手を出しているという話も聞いている」

 

麻薬に手を出しているなら早めに引き離すことが求められる。

組織犯罪に絡んでくるかもしれないからだ。

学校の寮で麻薬密売となるとマスコミは大きく騒ぐこと間違いない

マスコミの餌食になる前に引き離したいと考えるのは当然である

できるだけやるだけやってみますというとシエナは会議室を退室した

退室する前に彼の息子に関係する情報が記載された報告書を受け取った

シエナはまずは在籍している学校に向かうことにした

 

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