午後02:30 中央パトロール本部南館 地下2階射撃訓練室
カレンはフェイトを連れて射撃訓練室に来ていた。
フェイトの銃器資格の訓練をさせるためにだ。それに万が一に備えての訓練も重要である
「フェイト。私の銃を貸してあげるから射撃のレベルを確認させてもらうわよ」
カレンはホルスターから『S&W M3913』を抜くとフェイトに渡した
フェイトは慎重に照準を定めると発砲しようとしたが銃のスライドを引いていなかったので発砲できなかった
さらに安全装置を解除していなかった
「フェイト、スライドを引かないとチェンバーに弾が送れていないわよ。それに安全装置も解除されていない」
「すみません。そうでしたね」
フェイトは安全装置を解除してスライドを引くと慎重に照準を合わして発砲した
弾はターゲットボードの的から大外れ。まぁ初心者はこんなものだ
「フェイト。マガジンの全弾を撃って良いから連射してみて」
「はい」
連射するとさらに照準を外した。
「・・・・・全弾外れですね」
「へなちょこ手首。銃の反動を上手くコントロールできていない証ね」
銃の反動を吸収できない腕のことを通称『へなちょこ手首』とクラナガン捜査局では呼んでいる
これではまだまだ銃の所有許可は与えることはできない
今度はカレンが射撃練習をすることにした。マガジンを取り出すと銃弾を込めて銃に装てん、発砲を開始した
弾は全弾デッドゾーンに直撃した。これが銃器保有資格に求められる基準である
「フェイトも何千発も射撃練習をしていたら慣れてくるわよ。まだまだ銃は初めてだから反動にはなれないことは気にしないことね」
カレンは使用した銃弾の補充をすると射撃訓練室を出るとパトロールに出ることにした
「フェイト。あなたたち機動六課組はかなり恨まれているわよ。気を付けることね。だから私からこれをプレゼントするわ」
カレンはカバンから防弾ベストを取り出した。
フェイトに外出時はそれを着用するように指示した
「少し重いのが欠点だけど命を守るためには重要なものだから」
「わかりました」
フェイトはその場で防弾ベストを着用した
その後駐車棟に移動すると8階に駐車しているカレンのSUV車に乗り込んだ
「それじゃ、のんびりパトロールに行きましょう」
「はい」
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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部取調室
ダイナの取り調べはスムーズに進み、カイル・ギーランは何もかもを認めてすべてを証言した
こちらの知らない事実も証言したことから真犯人であることは間違いない
「本当にすべて証言して裁判に臨むつもりか」
下手をすれば銃罪に問われる可能性があるんだぞと忠告するが、
カイル・ギーランは俺はもう終わっていると話した。
どこまでも落ち込んだ発言しかできない奴である
「刑務所の中の方が生活は楽だ。どうせ俺は外に出ても犯罪者のレッテルは変わらない」
「更生の道はあると思うが」
「今の状況でそんなものがあると思うか?時空管理局関係者だけで白い目で見られる」
それはまた事実である。時空管理局関係者というだけでかなり白い目で見られている
実際に大量リストラされた退役時空管理局員は再就職にはかなり苦労している
災害対応などの現場にいた人物なら消防部隊や救急部隊などに再就職することは比較的容易だが
デスクワーク組の人間はかなり再就職に苦労している。
さらに大幅縮小された時空管理局の捜査などの法執行関係機関部門はリストラされた後はかなり苦労している
時空管理局に物資を納入していた業者も多くが倒産して従業員は再就職に苦労している
ブルーカラーになら再就職は比較的容易かもしれないが、ホワイトカラーへの就職は難しい
「まぁそれは言えているな。だから素直に自供するのか」
「そうだ」
刑務所生活の方が確かに楽なのかもしれない。衣食住に苦労することはないのだから
それを考えれば当分の間は刑務所で暮らしたほうが、
時空管理局関係者として差別される時期も乗り切れると考えたのかもしれない
「まぁ良いだろう。すべて認めるならお前を裁判にかける。覚悟することだな。今度のは少し長くなるぞ」
「好きにしろ」
ダイナは取調室から出ると外に待機しているパトロール捜査官に、
カイル・ギーランを地下留置施設まで連行するように指示した
あとは検事局に出す捜査報告書を提出するための用意して、裁判にかけるだけである
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南区中央部 クラナガンハイウェイ6号線(南線) 北行き
フィリーは交通事故現場の対応を行っていた。
トラックの運転手はすでにパトカーに乗せられて事情聴取を受けていた
なのはは現場写真の撮影を行っていた。5車線のうち2車線を規制しているので少々渋滞が発生している
できるだけ素早く渋滞解消のために事故現場の車線規制の開放が求められる
そこに南分署から無線連絡が入ってきた
『南分署からSA13。渋滞緩和のために行動を開始することを要請する』
渋滞がかなり伸びていることが十分予測させることができる内容だった
「こちらSA13。できるだけ早く対応するけど、今のところ難しい。多少の犠牲は何とかしてほしい」
『できるだけ素早い対応を求める。以上である』
交通規制の影響で大きな問題が入っているのだろう。
そもそもクラナガンハイウェイは主要幹線道路なのだ。交通量も多い
早期交通規制の解放を求めるのは当然である
「無茶ばかり言ってくれるわね」
まだまだ現場写真の撮影も終わっていない。
それに写真撮影とサンプルであるタイヤ片の回収もまだ完璧ではない
何故バーストしたかについても調査しなければならない。
もちろんそれらの調査をするのは交通捜査課がメインではあるが、
フィリーが1度タッチした以上、ある程度は責任を持って捜査をしなければならない
「お待たせしました」
南分署交通捜査課のテレース・ホレス刑事がやってきた
「ようやくのご到着ね。近場なのに時間がかかったわね」
「渋滞に巻き込まれてしまって。おまけに後方でも事故が発生しているので分担してきました」
「テレース、最悪ね。玉突き事故が発生しているの?」
そう言うことですと回答してきた
よりトラブルが続発していることは間違いない
「とにかく捜査指揮権をそちらに引き渡しても良いかしら。こちらも別件で南分署に急行していたから」
「ええ。子供の通報で親を刑務所送りにするつもりだと聞いていますよ」
「子供は正義感にあふれている。勇気のある子であることは間違いないわ。その期待に応えることが求められる」
勇気のある子。確かにわざわざ学校をさぼって通報してきた子供は勇敢である
その子の期待に応えることが今のフィリーたちに求められている
『ピーピーピー』
「フィリー・アクシオムです」
フィリーの携帯電話に着信が入ってきた
『南分署麻薬捜査課のビリード・ハンホーです。到着はまだですか?』
「ごめんなさいね。少し交通事故の対応に入っているから少し待ってもらえるかしら?何かトラブルが発生したの?」
『実は夫人の死亡が確認されました。殺人事件として捜査を切り替えたいので許可を求めたいのですが』
「死因は?」
『まだ解剖はされていないので正確なところはわかりませんが、頭蓋内出血が多数みられていたとの病院から報告を受けています』
「検死は南分署でするのね?」
その通りですとビリード・ハンホー刑事は回答した
できるだけ早く南分署に向かうわというと通話を切った
「殺人になるなんて最悪ね」
フィリーは現場引継ぎができるかテレース・ホレス刑事と相談。
彼は後は引き受けると言ってくれたので捜査権限移管書類を作成して引き渡した
「必要になったらいつでも連絡して」
フィリーはそう言うとなのはに声をかけてSUV車に乗り込むと近くにある南分署に向かった
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中央区南部 クラナガンハイウェイ10号線(南北線) 南行き
シエナはクラナガンハイウェイを制限速度ぎりぎりで走行して、
中央区南部ノースレパブリック地区にあるレパブリック小中学校に向かっていた
『中央本部から各員へ。市内の警戒レベルはオレンジからイエローに変更する。ただし何か問題が発生次第変更する』
「とにかく市内の動揺を落ち着かせないと警戒レベルが安全である証のブルーにはならないわね」
全寮制の小中学校で麻薬に絡んでいるなんて嫌な学生生活を送っていることは間違いないとシエナは考えていた
エリート学校の大スキャンダルになることは間違いない
「スキャンダルで騒がれるとなるとかなり苦労するでしょうね」
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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部3係オフィススペース
カリーとシグナムは捜査報告書の作成を行っていた
今のところは犯人も物証もそろっている。検事も立件するには十分であると考えるだろう
「事件が解決して良かったわね」
カリーは報告書を作成しながらシグナムに話しかけた
「確かによかったが、どこかすっきりしない感じがするのは気のせいか?」
「少しくらいはそういうところがあるものよ。爆弾製造犯は逮捕。その爆弾も無事に回収。爆弾で特攻をしようとした犯人も逮捕。でも少しすっきりしない」
「そのすっきりしないところはどうするんだ?」
「そのうち真相解明のチャンスが来るわ。時間がかかる捜査もあることだし」
とにかく今は報告書を作成して検事局に送るだけよと言って報告書の作成作業を続けた
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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部1係オフィススペース
ジャネットは自分のデスクで報告書を作成していた
今のところは何も問題はない。コールドケースになってしまったことは残念ではあるが
こういうこともあるものだ。
「本当に残念ね。解決できなくて」
問題はあの麻薬の出所だ。そこについては調べたい
純度100%のメタンフェタミンなどの麻薬は簡単に入手できるものではない
市内で独自に作っている可能性は極めて高い。問題はその製造工場を調べることが重要である
摘発するには時間が必要であり、そこには組織犯罪課と麻薬捜査課の協力が必要になる
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