午後02:40 中央パトロール本部庁舎 8階捜査部2係主任捜査官執務室
ダイナは直属上司であるミカに報告書を提出していた
「よくやったわ。ダイナ」
ミカは報告書を確認してサインをするとそれを決済済み書類棚に置いた
「時空管理局の冤罪が立証できた。だがこれは大きな動きになることは間違いない」
「ええ、当然でしょ」
今回の冤罪事件発覚でバーを襲った事件を捜査担当した時空管理局員のすべての事件捜査に疑問視の目線で見られる
現在その人物によって収監されている囚人は当然再捜査を求めてくるだろう
弁護士もこれは大きなチャンスと見て再捜査を申請してくることは間違いない
弁護士は囚人から依頼を受けて民事裁判を起こすつもりでいる。
そしてうまく賠償金を得ることができればそこから分け前をもらえる
もちろんそこに至るにはかなり時間が必要になるが
それでも訴えを起こす人物はかなり増加することは確実である
「再捜査の件は事件再検討課にも通達を出すわ」
ようやくけりがついたわねとミカは言うと退室を許可した
ダイナは失礼しますと言って2係主任捜査官執務室を退室した
彼はデスクに戻るとコーヒーカップを持ってコーヒーメーカーがある休憩室に向かった
休憩室でコーヒーを注ぐとそれを飲んで一息ついた
「とりあえず検事局は喜んでくれるだろうな。冤罪を立証して正義が果たされるのだから」
コーヒーを飲みながらいろいろと今後のことを考えていると携帯電話に着信が入ってきた
「ダイナ・コースターだ」
『デュナ・メイスよ。今回はお手柄だったわね。早速裁判所に冤罪事件の発生と立証ができたことを伝えたわ』
「動きが早いな」
デュナ・メイスはクラナガン検事局の検事をしている女性だ
74年に検事局に入局して2年目の検事だが数多くの事件を扱ってきた。有能であることで知られている。
それに手堅い捜査を求めて、少しでも穴を見つけると再捜査を求めることでも有名である
「冤罪被害者はどうなる?」
『すでに拘束解除令状は出されているししばらくは宿舎で寝泊まりしてもらうわ。裁判で証言もしてもらわないといけないし』
冤罪被害者であるホライトン・ディスには裁判で時空管理局の捜査がいかに雑であったことを証言してもらわなければならない
そうすることで当時の捜査担当者を冤罪を生み出したことで刑務所にぶち込むことができる
軽犯罪ならともかく重罪を冤罪で作り出して長年にわたって刑務所に収監したとすれば、
それは重罪を犯したのと変わらない。当時の捜査担当者にはその責任を取らせることは当然の流れである
「当時の捜査担当者はどうなっている?」
『すでに身柄拘束されているわ。あとは任せて』
「期待している」
そう言うと通話は終了した
これで事件は解決した。とりあえずは。あとは裁判次第である
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南区中央部 中央パトロール南分署庁舎 6階麻薬捜査課取調室
フィリーはマジックミラー越しに取調室を見ていたが、
ヒスガード・ナツリス刑事のフェルリク・フォーゲルに対する取り調べはさらに厳しさを増した
状況証拠はそろっている。問題は殺人に関する物的証拠である。
まだ病院から夫人の遺体が検死ラボに到着していないので殺人で立件はできない。
今は殺人未遂で取り調べを進めている。未遂なら今でも十分取り調べは可能である
検死官が殺人と断定するまでは殺人事件とは言えないのだから仕方がない
「お前にはもう逃げ場はないぞ。お前は麻薬の使用に密造。それにどうして奥さんを襲った?ただ邪魔されただけじゃないだろ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「黙秘したければすればいい。だが刑務所生活は仮釈放なしの終身刑か死刑だ。交渉の余地もない」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
交渉の余地はないようだ。それどころか少しずつ態度がおかしくなり始めていた
麻薬が切れてきたのだろう。麻薬常用者が効果時間が切れたら暴れることがあるため、後ろ手錠をさせることにした
そして今度はフィリーも入ることにした。
「捜査官のフィリー・アクシオムよ。そろそろ麻薬の効果時間が切れるんじゃない?」
「だ、だからなんだよ?」
「どうせもう麻薬とはさようならよ。今のうちに喋りたいことがあるなら喋ったほうが身のためよ」
「う、うるさい!」
少しずつ状況が変わってきた。錯乱状態になりはじめた
「薬をくれ!頼む!」
完全に麻薬の効果が切れてきたことは間違いない
このままでは何も証言を得ることはできない
仮に証言を得たとしても錯乱状態での証言なので証拠能力はない
あとは物証をそろえるしかない
「残念だけど、もう時間切れよ。薬とは一生お別れよ」
『ピーピーピー』
フィリーの携帯電話に着信が入ってきた。南分署の検死ラボからだ
「どうしたの?」
『遺体が到着しました。これから検死を行います』
「わかったわ。私が行くから、少し待っていて」
フィリーはそう言うと取調室を出ようとした
それを見てさらに焦った声を出してきた。完全に正気を失いかけていることは間違いない
麻薬常用者、ジャンキーの特徴である
「おい!待てよ!薬をくれよ!」
「時間切れだ。地下留置施設に連行しておいてくれ」
ヒスガードも退室した。
フェルリク・フォーゲルも地下留置施設にパトロール捜査官によって連行されていった
「なのは。あなたも検死に立ち会ってもらうわよ。嘔吐しないでね」
フィリーたちは検死ラボに向かった
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中央区南部ノースレパブリック地区 レパブリック小中学校寮
シエナは連行された2人の寮室内の鑑識をしているとさらにあるものを発見した
それはメタンフェタミンではなくコカインである
「コカインの密売にまで手を出していたのかしら?」
試薬で確認したところ、かなり純度が高いコカインであることが分かった
麻薬試薬でかなり強い反応が出たからだ
「麻薬の密売で小遣いの稼ぎ。中学生がそんなことをするとは」
本当に犯罪の低年齢化は激しいことは間違いない
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中央パトロール南分署庁舎 3階分署地域情報センター
サイノスとティアナはそこで情報収集をしているとある事件の情報が入ってきた
『南区中央部イーストコリアー地区1番街7丁目3番地のオフィスビルから窃盗が発生したとの通報あり』
窃盗事件と言って甘く見てはいけない。時にはとんでもない事件に発展することもある
「窃盗事件か。ここからそれほど離れていないから応援に駆けつけてみるかな」
サイノスは無線のハンドマイクを手にすると応援に出ることを現場に連絡した
「良いんですか?」
ティアナは他の部署の管轄を侵すのではないかと懸念していると
サイノスは捜査部はあらゆる事件の捜査参加権限があるから問題ないよと言うと行くよと言った
2人は駐車棟に移動するとSUVに乗り込んで現場に急行した
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中央パトロール本部ラボ棟 1階検死ラボ
リエ・ミズノ検死官は市内の病院から依頼された検死を行っていた
シャマルはそばでメモを取っていたが、表情はあまり良くなかった
「シャマル。もっと鍛えないといけないわね」
「・・・そうですか?」
「ここにいると1日に数体の検死解剖を行うのよ。慣れることは極めて重要よ」
病院からの依頼では不審な症状が見受けられるので検死をしてほしいとのことだった
こういう要請は珍しいことではない。1日に何件かは存在している
「今のところは問題は確認されていないわね」
検死解剖を進めているが、死因は今のところは不明である
ごくまれに突然死ということはあるがそれはかなり限られている
ほとんどは何か要因があるはずだ
「何かあれば良いんだけど」
リエはそんなことを言いながら解剖を進めていた
「これは」
足の血管から小さな銃弾が発見された
「これが死因ね。血管塞栓症かもね。銃弾は22口径かしら。どこかで撃たれたのかもしれないわね」
これは事件性ありねとリエは思った。銃弾の線条痕を照合することが求められる
捜査部に連絡するしかないわねとつぶやくとすぐにシエルに連絡した
「シエル。大至急誰でも良いから捜査官をよこして。事件性のある遺体を確認したわ」
『わかったわ。今から調整してすぐに向かわせるから、少し待っていて』
シエルはそう言うと電話を切った
リエはこれから忙しくなるわねとつぶやくとさらに検死解剖を進めた
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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部首席捜査官執務室
ラジェットはシエルから依頼された報告書をまとめ終わって提出に行くとすぐに別の仕事を依頼された
「検死ラボに行って、殺しと思われる案件の捜査を任せるわ」
「検死官は?」
「リエよ。つまりあなたの相棒のはやての家族であるシャマルがパートナーを務めているはずよ」
「了解」
ラジェットはそう言うと執務室を出た
「はやて、ツヴァイ。お仕事の時間だ。今度は殺しかもしれないな」
行くぞというと3人は捜査部を出てラボ棟に向かった
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