午後02:45 中央パトロール本部ラボ棟 1階検死ラボ
検死ラボに到着するとリエは検死解剖を続けていたがシャマルがいなかった
ラジェットは何となく答えはわかっていたがあえて質問をした
「リエ先生。新人のシャマル・八神の相手はどうだ?」
「まだまだ甘いわね。今はトイレに行っているわ」
「嘔吐ですか。まぁ新人の通る道ですから仕方がないか」
「まぁね。新人はみんな最初の1か月はハンバーガーは食えないでしょうね」
鉄の胃袋がないとこの仕事はできないのにとリエは話した
事実なのだから仕方がない
「身元は?」
「名前はマイルス・ルーレント。41歳。病院からの報告によると自ら体調不良を訴えて病院に受診。その後死亡」
職業はコンビニ店舗の経営者。南区中央部で4店舗を経営している
病院側は不審死を疑って検死を要請してきたとのことだ
この要請自体は別に珍しいわけではないので通常の検死解剖を行った結果、
先に述べたとおり銃弾が見つかった。22口径の弾だ
「射入口は?」
体内に銃弾があるということはどこからか体に射入口があるはずだが
今回は初期の監察では見つからなかったが詳しく調べたところ分かった
「わきから弾が入ったようね。そして血管内を流れて塞栓症を起こした。もしくはわきからの出血死とも考えられる」
「最終的な結論はまだと?」
「そうね。死因については断定できないけど、銃弾があることを考えるところ市と見るべきね」
「なら殺人で捜査をする。検死報告書を後で俺の携帯情報端末に」
ラジェットの言葉を受けてもちろんよと言った。
そして後ろを振り返るとはやてとリィンフォースツヴァイの顔色はかなり悪かった
「2人は外の空気を吸ってきて良いぞ。ここで吐かないでくれ」
「「すみません」」
2人は慌てて外に出ていった。
廊下にある洗面所から水の流れる音が聞こえてきた
どうやら嘔吐をしているようだ
「まだまだ甘いな。強靭な胃袋が必要な仕事なんだからこれくらい離れてもらわないと」
「経験がものをいう世界だから仕方がないわ」
経験を積んでいけば慣れてくる。あまり慣れたい仕事ではないが
検死官になるということはそう言うことである
「昔は検死も大変だったからな」
クラナガン捜査局の前身であるクラナガン捜査部時代は検死解剖はあまりにも件数が多くて、
当時のクラナガン捜査部捜査官は分析官も兼ねていたことから毎日のように検死に立ち会っていた
それも1度に複数の遺体の検死解剖に立ち会っていたのだから自然と慣れてくる。
否応なくだ。だからこそ捜査部捜査官は簡単に気分を悪くしたりしない
「22口径の弾をもらっても良いか?」
「ええ。フィアットに線条痕を照合してもらって」
証拠袋に入れて銃弾を受け取ると検死ラボを出た
外では口を洗っているはやてとツヴァイがいた
「まだまだ甘いな。本番はこれからだぞ」
ラジェットははやて達にそう声をかけた。
「よく耐えれますね」
「リィン。俺は捜査部捜査官だ。それに港湾パトロールにも所属していた。過酷な訓練を何回も受けてきたんだ」
この程度のことで弱音を吐くほどやわな鍛え方はしていないし、捜査官失格になるからなとラジェットは言った
確かにその通りである。これくらいで弱音を吐いていたら捜査などできるはずがない
もっとひどい遺体があるのだから。例えば水死体とか腐乱死体などだ
それでも何とかするのは任務なのだから耐えるしかない
「とにかく線条痕を照合するために銃器刃物ラボに行くぞ」
ラジェットたちは3階の銃器刃物ラボに向かう
ラボに到着するとそこにはすでに連絡を受けてフィアットが待っていた
いつでも分析できるように分析装置を用意していた
「こいつの照合を頼む。線条痕が過去の事件で発見された弾と一致するか確認したい」
「わかりました。すぐに照合してみます」
顕微鏡に弾をセットして線条痕を拡大。細かい傷まで分析して照合をかけた
膨大なデータが保存されているので照合には時間がかかる。一致する弾がなければなおさらだ
「照合が完了するまで時間がかかるかもしれないわね」
『ピッ』
「ヒットしたわ。ずいぶんと早いわね」
フィアットは驚いていた。珍しいこともあるものだと
たいていの場合は最低でも10分以上はかかるのだから
「一致したのは10年前の事件。強盗事件で襲われたのはマイルス・ルーレントが経営するコンビニ店で押収されているわ」
「今回の被害者が経営している店を襲った時の弾か。何か裏があるかもしれないな」
当時の捜査記録を確認するかというとラジェットはラボ内の情報端末を借りて情報を閲覧した
結果は10年前の8月に起きた事件だ。コンビニ店を深夜に襲ったのだ
幸いなことに人にけが人は出さなかったが金庫から100万ミッドを奪って逃走していた
その時に使用された銃弾と同じ線条痕、つまり同一銃で襲われた可能性が高いということだ
何か恨みを買ったのかもしれない。どこで撃たれたのか現場を探す必要がある
「コンビニ店を調べに行くか」
ラジェットはそう言うと被害者が経営しているコンビニ店に向かうことにした
まず最初に最初に駆け込んだ病院のそばにあるコンビニから鑑識をすることにした
それは南区中央部カルホーン地区9番街4丁目5番地にある店だ
現場近くにある地区事務所に連絡して閉鎖措置を取らせることにした
証拠が汚染されることを懸念しての配慮だ
「はやて。リィン。捜査部に戻って捜査キッドを持って出動だ」
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中央パトロール南分署ラボ棟 1階検死ラボ
ヘレス・ポーカス検死官がナタリーナ・フォーゲルの検死を行っていた
フィリーとなのはが立ち会っていたが、なのははかなり顔色を悪くしていた
初めての検死立ち合いに今にも吐きそうな表情だった
「なのは。外で待っていなさい。洗面所が外にあるから」
「はい・・・・そうします!」
そう言うとなのはは慌てて出ていった
「新米ね」
「ええ、とんでもない新米よ。死体くらい慣れてもらわないと。早くね」
「私たちは毎日のように見慣れているから当たり前だけど、時空管理局のようなぬるい仕事だと無理な話よ」
確かに時空管理局では非殺傷攻撃が基本なのだ。こちらは命を削って仕事をしている
銃弾は時として簡単に命を奪ってしまう。それだけに常に冷静な行動が求められる
「それで正確な死因は?」
「頭蓋内出血ね。頭部に複数の出血が見られたわ。頭蓋骨にはひびも。体のあちこちにあざもある」
日常的に暴力を受けていたことの証ねとヘレス・ポーカス検死官は話した
酷い話だ。麻薬中毒者のいる家庭だ。あまり驚かない話ではあるがそれでも悲惨だ
子供に暴力が向かなかっただけ、まだ良い方だったのかもしれない
「あなたの見立てではどれくらい長期間にわたって暴力を受けていたと思う?」
「あざの状況から判断してほぼ毎日のようにかもしれないわね。正確なところはわからないわ」
「夫人は麻薬はやっていたの?」
「そう言う痕跡はなかったわ。念のため血液サンプルを質量化学ラボに回したからそれで分かるでしょ」
つまり注射痕はなかったということだ。
ただしマリファナの場合は注射痕は出ないので血中の成分を調べればすぐに分かる
「毛髪サンプルももらえるかしら?」
「いいわよ」
毛髪には様々な成分が含まれている。成長速度が一定のため何を摂取していたのかがよくわかる
分析すれば麻薬と接触していたなら毛髪にその成分が残っているはずだ
幸いなことにナタリーナはロングヘアだ。かなり長期にわたって調べることができる
「できることなら麻薬と接触していないことを願うわ」
そうすれば母親まで犯罪に関与していたと子供に報告することができる
あの子に両親はともに犯罪に関与していたと報告するのはできれば避けたいところである
だが嘘をつくわけにはいかない。真実の探求者なのだから。捜査官は
「これで真実がわかるはず」
毛髪のサンプルをもらうとフィリーは検死ラボを出ると外では洗面所で口をゆすいでいるなのはの姿があった
「あなたもまだまだね。これくらいで負けないでね」
なのはの様子を見てフィリーは大きなため息をついた
「これが日常なんですか?」
「そうよ。これが日常。質量化学ラボに行くわよ」
2人は南分署ラボ棟3階の質量化学ラボに向かう
現場に到着するとコレントリ・バーズス分析官が忙しく仕事をしていた
「相変わらず忙しそうね」
「分署のラボはこれが日常的だからな。本部で研修を受けていた頃が懐かしい」
「あら本部も忙しいのよ。それに今年から各分署のラボ分析官は増員されたでしょ。少しは楽にっていると思うけど」
そう。権限拡大に伴って取り扱い事件件数拡大を受けてラボ分析官は各分署に増員された
フィリーが指摘すると知っていたかと残念そうな表情をコレントリ・バーズス分析官は浮かべた
どうやら試されたようだ
「それで分析結果は?」
「夫人の血中から麻薬成分は出なかった。きれいなものだ」
「少しは良いニュースね。あの子に嘘をつかなくて済むから。毛髪の分析もお願いできるかしら」
「了解した」
先ほど検死ラボから預かってきた毛髪のサンプルを引き受けるとコレントリはすぐに分析に入った
「血中に成分はなかったのに毛髪も調べるんですか?」
意味がないように思いますけどとなのはは話した
フィリーはバックアッププランを常に立てることは極めて重要よと回答した
弁護士は些細な穴を指摘してくる。そこを攻めてこないように穴はふさがなければならない
そのためには分析できるものは全て調べる必要があるのだ
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中央区南部 クラナガンハイウェイ10号線(南北線) 南行き
シエナは中央本部に向かっていた。すでに学寮の鑑識は終了している。
部屋は当面の間は立ち入り禁止のために施錠している
校長にも24時間警備員を配置するように依頼している
現場鑑識を再度行えるように備えは大事である
「それにしてもメタンフェタミンにコカインの密売を中学生がするなんて、犯罪の低年齢化がひどいわね」
売人も学校寮という密閉空間なら漏洩しえないと考えたのだろう
問題は卸元であるレバヅリド・サッカードを見つけることができるかどうかだ
もし見つけることができれば大きな成果につながる
「どこに潜伏しているのかわかればいいんだけど」
証言で麻薬密売の容疑で逮捕状を請求することができる
今までは容疑だけであったが実際に密売をしていたことを立証することはできなかった
だからこそ簡単に捕まるための証拠をそろえることができなかった。
指名手配をすることはできても物的証拠を見つけるしかない
今回はすでに証拠はそろっているので市内に潜伏しているなら見つけるだけである
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南区中央部イーストコリアー地区1番街7丁目3番地 15階パトリック不動産コリアー支店
サイノスとティアナは窃盗事件の現場に来ていた。
昼間から堂々と会社員の姿をしてある情報を盗んだらしい
「中央本部捜査部のサイノス・プロナードです。何を盗まれたんですか?」
サイノスはIDを見せて支店にいる会社員の男性に事情聴取をした
盗まれたのはそれほど高価なものではないが、今度購入予定の聖王教会の不動産物件の入札情報であるとのことだ
その他に社用車の車である
「なるほど、車には盗難車追跡システムは装備していますか?」
「それが、弊社では経費節減のために余分な装備はつけない方針でして」
「では車両ナンバーはわかりますか?」
「それはわかります。車両ナンバーは『クラナガンサウスESD-0019』です」
「すぐに盗難届を書いてもらえますか。車両ナンバーで追跡しますので」
サイノスはすぐに捜査キッドから盗難届の書類を出すと記入を求めた。社員はすぐに記入してくれた。
記入さえすれば街灯観測システムや各種交通監視システムで車両ナンバーを基に追跡できる
「あとはお任せください。それと一度このフロアから退室を。鑑識をしますので」
「わかりました」
社員を駆けつけてきたパトロール捜査官と一緒に出させると、
盗まれた書類があったところを中心に証拠採取作業を始めた
犯人の指紋が出ればラッキーである
「ティアナは現場写真の撮影をしておいてね。まずは写真撮影からスタートだよ」
「はい」
サイノスはティアナに一眼レフカメラを渡すと写真撮影を任せた
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