CSI:クラナガン   作:アイバユウ

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新暦76年4月1日午後02:55

 

午後02:55 南区中央部カルホーン地区9番街4丁目5番地 コンビニ店

 

ラジェットの要請を受けてすでに現場は隔離作業がとられていた

すでに南分署の現場鑑識チームが作業を行っていた

 

「遅くなってすまないな」

 

ラジェットはそう言って声をかけるとはやて達と一緒にバリケードテープを潜り抜けて店内に入った

状況はどんな感じだと聞くと、奥の金庫があるところに微量の血痕があったとのことだ

すでにサンプルを採取して人血検査をしたところ人の血であることを確認していた

問題はそれがだれのものであるかだ。その辺はラボでDNA鑑定をしなければならない

店内で現場鑑識チームを率いているミエラ・ボードスと話を始めた

 

「薬莢はあったのか?」

 

「いや。だが壁から硝煙反応が出た。リボルバータイプの銃が使われたのか、もしくは薬莢を回収したのかもしれない」

 

薬莢を回収する余裕があったということはプロの可能性は十分に疑われる

普通犯罪者は素早く逃げようとする。それをしないで薬莢を拾う余裕があった

用意周到である

 

「プロの仕事だな。薬莢を回収するとなると」

 

「ああ。同意見だ」

 

「ほかに不審なものは?」

 

「金庫の金には手を付けず。レジにあった金にだけ手を付けている。盗まれた額はわからない」

 

「顔は?」

 

「店内に監視カメラはない。今周辺の街灯観測システムの映像を調べているがいつ事件があったのかわからないとなると絞り込むのはかなり難しい」

 

「それは難題だな」

 

ラジェットはそう言ったが犯人はへまをしたと感じていた

死亡したことを確認しないで去っていった

この段階で少し抜けていると言える。薬莢の回収に監視カメラがない店で犯行に及んでいる

用意周到と言えて当たり前だ

 

「本当に準備は良いが行動が欠陥だらけだ」

 

何か誤算があったのかもしれないとラジェットは考えた。もしくはこれが脅しのつもりなのかもしれない

死亡した人物の家族への脅し。本人を殺したら周辺に圧力を加えることができる

言うことを聞かなければ次は他の対象者もこうなるぞとというメッセージである

 

「遺体から弾は回収できたんだろ?」

 

「ああ、22口径の弾で過去にコンビニ強盗事件で使用された弾だ」

 

「過去に使用された銃弾が再び現れたわけか。何かあるかもしれないな。今回の事件との関係性は」

 

「過去にもここの経営者が経営しているコンビニが襲われている。何か関連があるかもしれないから過去を調べることにする」

 

それは良い考えだとミエラは言った

ここでラジェットははやて達にある任務を任せることにした

捜査において重要な内容な任務である

 

「はやて。お前は現場の聞き込みをしてこい。バッチは持っているだろ。このコンビニでトラブルがあったかどうかを中心にね」

 

「わかったわ」

 

はやてたち機動六課組にも捜査部に属することを示す身分証とバッジを配布されている

バッジには様々な機能があり有毒ガスなどの危険物探知や現在位置情報が発信できるようなマイクロデバイスが組み込まれている

 

「大丈夫なのか?」

 

ミエラは裁判で証拠能力で問題が出るのではないかと懸念していた

しかしラジェットはその時はあいつが裁判に出て証言するだけだと回答した

それにとある一言を追加した

 

「多少は荒波に巻き込まれるのも良い経験になる」

 

確かにいつまでもぬるま湯に染まっていたら良くない

時には厳しいことを任せることが求められる。

 

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中央パトロール南分署ラボ棟 3階質量化学ラボ

 

なのははエレスコ・フォーゲル君の親族関係の情報を調べていたが親戚はかなり遠いところにいることが分かった

市内には親族はいないことからこのままではティアイエル保護孤児院で身柄を預かることになる

一方フィリーは南分署のパトロール課に連絡して、

エレスコ・フォーゲル君を南分署まで案内してもらうように手はずを整えていた

本人に直接伝えることと、あることをしてもらう必要があった

それは母親の顔を確認してもらうこと。通常の大人なら検死ラボに通すのだが

子供の場合は顔写真で確認してもらうことが通例となっている

子供に遺体を見せるわけにはいかない。精神的ショックが激しいからである

 

「あの子に真実を話すのはかなりつらいわね」

 

できることならこのような結果にならないことを望んでいた

父親が麻薬密造と仕様で逮捕するだけで済めばまだ救いはあった

しかし母親まで失うことになるとは予測していなかっただろう。あの子も

 

「本当に気が重いわね」

 

『ピーピーピー』

 

フィリーの携帯電話に着信が入ってきた

 

「フィリー・アクシオムよ」

 

『南分署の1階の届出受付センターです。エレスコ・フォーゲル君が来ましたがどうしますか?』

 

学校を途中で抜けてきてもらったのだ。まずはお腹がすいているだろうとフィリーは考えた

そこであることを指示して待ってもらうことにした

 

「カフェテリアで何か食べさせておいて。払いは私が持つから」

 

『わかりました』

 

通話を終えるとなのはと一緒に向かうことにした

 

「これから最も残酷な時間が始まるわね」

 

子供につらい話をしなければならない。両親をともに失うことになってしまった。

まだ何も知らされていないあの子にこんなショックになる話をしなければならない

こういうのは何度やっても気持ちいいものではない

 

「そうですね」

 

「なのは。これも仕事だからしっかりとこなしなさい。絶対に本人の前で泣かないこと」

 

「はい」

 

とりあえずラボ棟から南分署庁舎に移動すると1階のカフェテリアに向かった

カフェテリアに到着するとサンドイッチを食べているエレスコ・フォーゲル君の姿があった

 

「捜査部捜査官のフィリー・アクシオムよ。あとは任せて」

 

そばにいた女性パトロール捜査官にそう伝えると彼女はその場から去っていった

 

「エレスコ・フォーゲル君。遅くなってごめんなさいね」

 

「フィリーさん。父はどうなりましたか?」

 

まだ母親のことは何も話していない。これからショックになる話をしなければならない

 

「お父さんは麻薬使用と密売の容疑で逮捕されたわ。それとこれはとても言いにくい事なんだけど」

 

君のお母さんを殺した罪でもお父さんは起訴されることになると包み隠さず話した

 

「お母さんが死んだって嘘ですよね?」

 

「嘘なら本当に良かったのだけど。お父さんがお母さんに度重なる暴力をふるって死亡したことは正式に確認されたわ」

 

「そんな!」

 

「これを確認してほしいの」

 

検死ラボで検死前に撮影された母親の顔写真を見せて確認してもらった

 

「・・・・確かに・・・・お母さんに間違いありません」

 

かなりショックを受けている様子だった。

あまりのショックな話のために涙を流すことを忘れているように感じられた

問題はそういうことではない。心のケアが今後は必要になる

 

「市内に親戚入るかしら?」

 

念のため確認するが市内には親戚はいないとのことだ

今後の生活としてティアイエル保護孤児院で生活するのはどうかなと提案した

ゆっくりとした時間が必要になると思うのと少しずつ話を進めていった

 

「あなたを保護対象にすることになるわ。ティアイエル保護孤児院で生活をするつもりはあるかしら?」

 

「保護孤児院ですか?」

 

彼は少し戸惑っている様子を感じたが今はショックで何も考えることができていないことはわかっている

だができるだけ早く決めてもらった方が同じような目にあってきた者同士で傷を癒しあうことができるかもしれない

 

「あそこは私たちクラナガン捜査局も関係しているから、何かとサポートをすることができるの」

 

「・・・・・わかりました。引っ越しはいつすればいいでしょうか?」

 

彼は意外なほどすぐに決断した

 

「できるだけ早くしたほうが良いと考えているの。犯罪が絡んだ家は嫌でしょ。荷物は私達と一緒に用意しましょう」

 

引っ越し用の荷物と言っても学校に必要な勉強道具と思い出の品のアルバムや着替えなどだけである

 

「それぐらいですね」

 

「それじゃ、一緒に取りに行きましょう」

 

そう言うとフィリーたちは現場の家に向かうことにした

 

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南区北部 クラナガンハイウェイ6号線(南線) 南行き

 

シエナは交通事故現場の整理に追われていた。発炎筒と三角コーンなどで規制線が敷かれている

現場規制の影響で渋滞がかなり伸びている。すでに現場鑑識チームが到着していた

中央本部から近くのため、中央本部の現場鑑識チームが来ていた

 

「本当に今日は忙しいわね」

 

事件や事故が次々と発生して対応に追われるのはいつものことだが、

最近は割増しで起きているように感じられている

 

「何かの陰謀論を感じさせるのは気のせいかしら」

 

捜査部が担当する案件が大幅に増加していることは言うまでもないあ

それもすべてはJS事件によって大量リストラされた退役時空管理局員関係の事件の影響が大きいが

それでも多すぎる

 

「早く中央本部に帰りたいのに、こんな時に限ってトラブルは雨のように降ってくるのよね」

 

「アルフォード捜査官。応援に駆け付けました」

 

中央本部交通捜査課の刑事が駆けつけてきた現場を引き継げるかどうかを確認したところ問題ないとのことだ

 

「玉突き事故だけど詳細についてはまだ何もわかっていないわ。私は現場規制をしただけだから」

 

「了解です。あとはお任せください」

 

現場引継ぎ書類を作成してサインをもらうとあとは任せてシエナは中央本部に向かった

今は急いで中央本部に戻る必要がある。いろいろな意味で多忙なのだから

 

「それにしても犯罪の低年齢化にはあきれるわね。中学生が麻薬密売なんて」

 

子供を隠れ蓑にすることでかなり稼いでいるはずだ

問題は卸元を検挙できるかだ。麻薬取締局が追いかけていまだに見つけることができていない

かなり利口に隠れていることはわかっている

問題は今も市内にいるかどうかだ。すでに足がつくと思って市外に逃げているかもしれない

そうなるとこちらで追いかけるのはかなり苦しい

 

「どこに隠れているのか顔認証システムで照合をかけてみるしかないわね。ヒットすればいいけど」

 

検事局に令状を請求する必要はない。

レバヅリド・サッカードは重要指名手配犯として手配がかけられているので令状なしで作業ができる

 

「SA24から中央本部。レバヅリド・サッカードについて顔認証システムで照合をかけて」

 

『すでに検索作業を行っている。今のところヒットはしていない』

 

ヒットがあり次第報告を入れるとのことだ

素早い行動をしてくれているようだ。早く一致することを願うばかりだ

 

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南区中央部イーストコリアー地区1番街7丁目3番地 15階パトリック不動産コリアー支店

 

サイノスとティアナは大部分の現場鑑識作業を終えて引き上げる準備に入っていた

 

「とにかく産業スパイの可能性は極めて高いです。すでに情報は漏洩していると考えるべきと思われます」

 

サイノスの言葉に社員はがっかりした表情を浮かべていた。

当然と言えば当然である。自社の機密情報が漏れたのだから

今後の経営に大きな影響を与えることは間違いない

 

「そうですか」

 

「では我々はこれで失礼します。犯人にはそれに似あった罪の重さを理解してもらいます」

 

「逮捕することはできるのでしょうか?」

 

「以前にも同様の犯行を侵しているので市内全域で顔認証システムで照合すればすぐに見つかるはずです」

 

ただし何も戻ってくるものはないと考えてくださいとサイノスはあえて言った

今さらじたばたしてもどうにもならない。もはや運に任せるしかないのだから

 

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