CSI:クラナガン   作:アイバユウ

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新暦76年4月1日午後03:00

 

午後03:00 中央パトロール本部庁舎 8階捜査部首席捜査官執務室

 

シエルはある報道番組に注目していた

 

『市内に存在する魔力精製炉発電所が一時運転停止になった事案ですが、問題が解決したとして再稼働に向けて動いているとのことです』

 

『電力の安定供給に影響は出ないとしてクラナガン市政府は市民に冷静な対応を取るようにと要請を出しています』

 

『一方で原油高は収まり、1バレル5000ミッド前後の価格帯で動いています』

 

『また自動車燃料先物価格も大きく下落しました。当面の間の安定供給に問題はないと判断されたようです』

 

「問題は収束してきたようね。今原油高になれば金融市場に大きな影響が出るし」

 

これ以上ガソリン価格が上昇すれば経済に大きなダメージを与えることになる

ガソリンなどの自動車燃料については安定した価格での安定供給が求められる

そのために備蓄原油があるので沖合の採掘リグから原油産出が停止してもある程度は持ちこたえることができる

まぁクラナガン市沖合の原油埋蔵量はきわめて豊富に存在する。数十年以上は今後も採掘することができる

クラナガン市は重要な原油産出地として知られている。

近隣州にも重要な原油採掘し施設があるため首都圏では豊富に原油や天然ガスの産出ができる

互いにパイプラインが連携しているので足りない場合はすぐにパイプラインを通じて供給することができる

 

「これでしばらくは安心できるわね」

 

『ピーピーピー』

 

「シエル・ミズノ首席捜査官よ」

 

『お忙しいところ申し訳ありません。1階届出受付センターです。面会したという女性がお見えになられていますが』

 

「名前は?」

 

『連邦海兵隊のオリエル・パトエラース少佐です。どうしますか?』

 

「こっちまでエスコートをお願いできるかしら」

 

わかりましたと言うと通話は終了した

オリエル・パトエラース少佐は連邦海兵隊の特殊部隊に所属している一流の戦士である

女性であっても任務に忠実。連邦海兵隊の上層部からの信頼も厚い

シエルとは何度か仕事をした関係がある

そしてオリエル・パトエラース少佐が8階の捜査部首席捜査官執務室に入ってきた

 

「元気そうね。オリエル」

 

「シエル首席捜査官は苦労を背負っているとお聞きしていますよ」

 

すでに機動六課組の話は連邦軍にまで回っているようだ

さすがは噂話には事欠かない

 

「連邦海兵隊にまで噂話が回っているの?勘弁してほしいわね」

 

「こちらは噂話が好きだから当然かと思いますよ」

 

それはまぁ良いわとシエルは言うと何か宿題を持ってきたのと聞くと1冊のファイルを手渡してきた

そこには機動六課組の取り扱いに関係する最終報告書と題名が記載されていた

機密資料としてスタンプがされていた

 

「どういうこと?連邦軍の問題を持ち込まれるのは好ましくないんだけど」

 

「そのあたりはわかっていますが、いずれこれが必要になるときがあると思って」

 

「これが必要になるときはできれば来ないことを祈りたいところだけど」

 

報告書には機動六課組に関する様々な個人情報が記載されていた

友人関係などプライベート情報なども表記されている

 

「連邦軍は相当警戒しているみたいね」

 

報告書の内容にはかなり機動六課組に関する詳細情報が記載されていた

プライベートなど関係ないと言わんばかりに詳細に記載されていた

 

「それは当然かと思いますが。ところでシエル首席の評価はどうですか?」

 

「まだまだ甘いことは間違いないわ。検死解剖に立ち会うだけで嘔吐しているらしいわ」

 

シエルのもとには検死解剖に立ち会って嘔吐したことの情報が回されてきていた

 

「それはまだまだ甘いですね。捜査部捜査官は鉄の胃袋が必要なのに」

 

少佐の言う通りである。鉄の胃袋がなければ簡単に仕事をこなすことはできない

 

「そうでしょ。まだまだ本番はこれからであることは間違いないわ」

 

「とにかくファイルは受け取って機密書類として処理するわ」

 

よろしくお願いしますというとオリエル・パトエラース少佐は敬礼をして首席捜査官執務室を退室していった

 

「連邦軍も大変ね。機動六課組に関して警戒しているみたいだから」

 

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南区中央部カルホーン地区9番街4丁目5番地 コンビニ店

 

はやてとリィンは周辺の聞き込みに入っていた

 

「このあたりで銃声を聞きませんでしたか?」

 

「俺は何も知らないぞ。俺は騒動が起きているから来ただけだからな」

 

近隣住民や野次馬連中に聞き込みをしていたが目立った成果はなかった

はやてだから聞き取りに手間取っている可能性があるのかもしれない

 

「俺達は何も見てもいないし聞いてもいない」

 

聞き込みは目立った成果はなかったようだ

 

「どうだ?初めての聞き込みは?」

 

ラジェットの言葉を受けてはやては表情を暗くした

その表情を見ただけで状況はすぐに理解することができた

 

「だめや。何も証言を得ることはできなかった」

 

ラジェットはそうかというと他の刑事たちに話を聞きに行った

 

「どんな感じだ?」

 

「犯行時間がわからないから難しいな。良い情報を得ることはできなかった」

 

本職の刑事でも犯行時間がわからないことから証言を得ることは難しかったようだ

できるだけ何か大きな情報があれば良いのだが。難しいところである

 

「証言は何も得ることはできなかったか。想定はしていたが最悪だな」

 

目撃証言がなければ犯人を捕まえるのは難しいことは確実である

 

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南区北部 クラナガンハイウェイ6号線(南線) 南行き

 

フィリーとなのはたちはエレスコ・フォーゲル君と一緒に荷物を取りに行くために自宅に向かっていた

 

「本当にこんな結果になるなんて」

 

エレスコ・フォーゲル君はかなりショックを受けている表情を後部座席で浮かべていた

 

「お母さんを助けることができなくて本当にごめんなさいね」

 

本心でを持っていることを伝えている時に無線連絡が入ってきた

 

『中央本部から各員へ。ベルカ保険の破綻申請について通過したことを確認。騒動が起きる可能性あり』

 

ベルカ保険は聖王教会系の関連企業だったが聖王教会が資産確保のために保有している株式を売却。

しかしもともと不良債権を大量に抱えていることからほとんど紙くず同然の価値しかなかった

不良債権の理由は大量の証券化商品を発行していたことからである

最終的に財務諸表は大幅に悪化したことから破産するしか道はなかった

聖王教会や時空管理局関係者は彼らが発行していた証券化商品を購入して大やけどを負って大部分の資金を失った

 

「ベルカ保険の関係者と取引があった人は大変ね。破綻して何もかも失ったのだから」

 

証券化商品となった金融商品の価格は暴落している

おまけに証券化商品に組み込まれた債権は返済不能になってしまったものが数多く含まれていた

そのため金融商品価格は暴落しているのだ。

おまけに証券化商品は複雑になっていたことからすべてを確認することに時間が必要で、

投資家は少しでも金になるうちに売りに出そうとしていたがストップ安で買い手がつかない状況になっていた

 

「本当に時空管理局も聖王教会関係者も本当に大変ね。資金を失ってしまったし」

 

「そうですね」

 

「なのはもリスク分散は極めて重要よ。常にバックアッププランを練っておかないとすべての計画は破綻するから」

 

確かに事故対応や事件捜査において常にバックアッププランを練ることは極めて重要である

何かあった時にすぐに予備のプランに切り替えることができるからだ

捜査を止めることなく実行することができる

 

「ワンワールドバンクが破綻した時に嫌というほど理解しました。今は複数の銀行に分散させて預金しています」

 

当然のことなのだがリスク管理からそうするのは当たり前である

以前はワンワールドバンクが破綻することなどありえないというのが当たり前だったのだから

今はどの金融機関が破綻するかわからない。だからこそ分散して預金する人物が増加している

ちなみにペイオフで保護されないのは利息付預金口座である

無利息預金口座に関しては全額保護されることになっている。これは連邦法で定められている

 

「良い心がけね」

 

「フィリーさんはどうしているんですか?」

 

「私たちは給与は安月給よ。保有資格によっては手当ては出るけど基本給が安いから。かつての時空管理局と違って」

 

「嫌味ですか?」

 

「そうよ。わかってきたじゃない」

 

「新人さんなんですか?」

 

エレスコ・フォーゲル君の発言にフィリーはまだまだ新米よと回答した

 

「フィリーさんは嫌っているんですか?」

 

「ストレートに来るわね。まぁ人それぞれ価値観の違いがあるとだけ答えるしかないわね」

 

フィリーは今はとにかくエレスコ・フォーゲル君の自宅に向かうことを最優先で車を走らせていた

 

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中央パトロール本部ラボ棟 3階質量化学ラボ

 

シエナは学校寮から押収してきた麻薬の分析を依頼していた

売人役をしていた子供に関しては麻薬捜査課の刑事が事情聴取をしている

まずはレバヅリド・サッカードの検挙が最優先課題である

あの男は1か月でかなりの量の麻薬密売に動いている。検挙することができれば大きな成果につながる

 

「クーガ。このコカインとメタンフェタミンの純度を調べてもらえる?」

 

質量化学ラボのクーガ・モンデオに押収した麻薬を預けて成分分析を依頼した

 

「同一成分の麻薬がヒットするのか確認したいということですか?」

 

「そういうことよ。確認をお願い」

 

了解というとクーガはすぐにサンプルを分析装置にセットして分析と照合作業に入った

 

『ピッ』

 

「最近出回っているメタンフェタミンとコカインと成分がかなり酷似しています」

 

「そう。流通元に関する情報は?」

 

「レバヅリド・サッカードが卸元であるという可能性は極めて高いという情報が登録されているだけです」

 

「嫌な予感が大当たりね。最近派手にさばいているわけか。今回の一件で捕まえることができると良いけど」

 

今までの押収量の記録を確認すると500㎏近い量のメタンフェタミンを密売人に卸していることが分かった

末端価格でかなりの額を稼いでいるはずだ。

銀行には預けることができないお金となると保管するのにかなり苦労しているはず

もっとも最近で確認されたのは2週間前に中央区南部で麻薬密売人に卸したという事実だ。

しかしこれは売人がレバヅリド・サッカードから卸してもらったと証言したに過ぎない

それでも活動場所は絞り込むことはできていた。活動圏内は主に中央区であることは間違いない

 

「あとは顔認証システムで探すだけね」

 

シエナはやる気が出てきたようだった

もしも検挙につながれば大きな成果になるからだ

 

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南区中央部

 

サイノスとティアナは南分署に戻ろうとしていた。今回の事件は刑事課に引き継ぐことにした。

スパイ行為は連邦事案にも関与することもあるが今のところは市内だけの事件だ

FBIが介入するのは市外に出てしまった時だ

 

「それにしても産業スパイは多くいるものなんですか?」

 

「世の中出し抜くのが会社経営で一歩先を進めることになるからね。産業スパイは多いよ」

 

おかげでこちらの仕事も増える一方だとサイノスは語った

すでに顔認証システムで市内の街灯観測システムにヒットすることを願うのみである

可能性としてはかなり低いがチャレンジする価値はある

 

「スパイ事件で面倒なのは立証することだよね。連邦法で規制されているとはいえ証拠固めが大変だから」

 

組織犯罪課はスパイ関係の事案を取り扱っている

また査察部も同じでスパイ事案を組織犯罪課と共同で捜査することは珍しいことではない

捜査部が介入するのはあまり好ましいとは言えないことは間違いない

 

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