午後03:05 中央パトロール本部庁舎 10階捜査長官執務室
『エネルギー資源開発会社の3大メジャーは安定供給に問題はないと表明しています』
『原油産出量は需給バランスは崩していないと発表。今後も需給バランスが崩すことなく供給を行うと』
エネルギー資源開発3大メジャーとは第1位はミーミルエネルギー社
第2位はサーストンペトロリアム。第3位はドッジエネルギーである
この3社は最も規模が大きく常に競い合っている。そのほかにも零細エネルギー資源開発会社は存在している
『多くの市場関係者からは安定供給に不安視する声が上がっています』
不安に思うのは当然である。最近はいろいろとトラブルが続発しているからだ
安定供給が途切れたらガソリン価格が大きく上昇することになる
それを避けるために各企業ではガソリンなどの石油製品別に備蓄をしている
必要に応じて備蓄から供給できる仕組みになっている
「JS事件の影響で原油先物の取引量は大幅に増加したね」
ユウ・ミズノ捜査長官の言葉に首席補佐官であるエテルナ・ジンガーはかつての数十倍に増加していますからと
確かに今までは魔力精製炉発電方式がメインであったがAMF野影響で火力や水力や太陽光など分散型電源が求められる
特に火力は重要な電源である。それを考えると石油や天然ガスや石炭などの取引量が増加するのは当たり前である
「喜んでいるのは限られた人間だけだろうけど」
「それは長官も同じではありませんか?ミーミルグループの筆頭株主なんですから」
「否定はしないよ。でも僕はただの一株主に過ぎない。経営に口を出すことはない」
「そうですね。公私混同はしないのが捜査長官ですから。ところで今日の午後から開催されるパーティーですが」
出席なさいますかとエテルナは聞いてきた
ミーミル財団が主催するパーティーで寄付金を集めるためのパーティーである
集められた寄付金は貧しい子供たちや家族たちに支援金として行き渡ることになる
このパーティーには政財界の大物が集まる
「もちろんだよ。寄付をするのは当然だからね」
「では警護を手配します」
「その件だけど、今回はラジェットに任せようと考えているんだけど、どうかな?」
「ラジェット・ハングリー主任補佐官ですか。確かに警護としての能力はありますが、相棒が」
「お披露目にはちょうどいい機会だよ。あのパーティーには政財界の大物が集まるからね。けん制の意味も込めて」
機動六課組はクラナガン捜査局の保護下にあるということをアピールするにはいい機会かもしれない
しかしリスクがあるのもまた当然であるが、リスクのない任務など存在しない
「わかりました。至急手配をかけます」
エテルナはそう言うと捜査長官執務室を退室していった
残された捜査長官は内線電話でシエルに連絡を取った
「シエル。悪いんだけど、午後からのミーミル財団のパーティーの護衛にラジェットを借りたいんだけど」
『はやて達がセットになりますが問題になりませんか』
「顔見せのパーティーにはちょうど良い機会だから問題ないよ。パーティーに参加するための手配をかけて」
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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部首席捜査官執務室
「本気で言っているのか?」
ラジェットはシエルからの通告に驚いていた
はやて達を顔見せさせるには早すぎるくらいだと感じていた
なのに今日来たばかりなのに、いきなり当日に政財界の大物に顔見せさせる
リスクがありすぎることは大問題になるかもしれないことは間違いないが上の命令は逆らえない
シエナはラジェットを説得した
「何とか納得して」
「冗談は顔だけにしてくれ。これ以上トラブルを持ち込みたくない。それに別件で俺は事件を抱えているんだぞ」
護衛任務なんかしているような暇はないとラジェットは激しく反論した
本来なら査察部の担当である。査察部に要人警護課が存在している
そちらが警護を担当するべきなのに問題児の見世物のためにこちらとんでもない無茶を押し付ける
やってられないと思うのは当然である
「私の顔を立てると思って」
「・・・・・・・貸しだからな」
ラジェットは妥協することにした
「わかっているわ」
「パーティーは何時からだ?」
「4時から西区中央部ノースミーミル地区ウエストクラナガン宮殿で行われる予定よ。制服で行ってね」
ウエストクラナガン宮殿とは建物と庭園は、第97管理外世界フランスの『リュクサンブール宮殿』に似ている。
クラナガン市政府からミーミル財団に所有権が移され、『ソフィア・ケルベ』『セリーナ・ヘイリガ』の住居
また、ミーミル関係のパーティもこの宮殿で行われている。現在一般の立ち入りは認められていない。
「了解。はやて達にはパトロール捜査官の制服を着用させておく。問題はないだろうな」
「ええ。それでお願いするわ」
ラジェットの制服は港湾パトロール海兵隊の制服を着用することになっている
港湾パトロール海兵隊で鍛えてきた経歴があるのだから当然である
「言っておくが弁護はしないからな」
「フォローはするわ」
ラジェットは首席捜査官執務室を出るとはやてとリィンの制服を合わせることにした
「はやて。リィン。制服を合わせに行くぞ」
2人にそう声をかけると中央本部庁舎の2階事務部人事管理課に向かった
「制服がいるんか?」
「そうだ。警護の仕事を任された。さすがに時空管理局の制服はまずいからな」
パトロール捜査官の制服を合わせに行くぞと言った
本当ならこういうことはもっと先のほうが良いのだが、
任務のためのTPOに合わせた服装を考えたときにはパトロール捜査官の制服が好まれる
2階人事管理課のオフィススペースに到着するとミラ・クオーレ主任人事管理官に話しかけた
「ミラ。悪いんだが制服をレンタルさせてほしい」
「シエル首席から連絡を受けているわ。もう服は用意しているからあとは制服がサイズに合うか調整するだけよ」
さすがはシエル首席である。動きは素早い
「なら頼む。俺が採寸をするわけにはいかないからな。ミラに任せる」
「了解」
はやてとリィンはミラと一緒に制服の試着に向かった。
その間ラジェットは人事管理課のコーヒーを飲んで休憩していた
コーヒー休憩を取りながら人事管理課の職員と話をしていた
「新人の教育に苦労しているようですね」
「まったくだ。ガキのお守りは俺たちの仕事じゃないんだがな。俺たちに欲しいのはベテラン捜査官だ」
それは捜査部捜査官の誰もが思っていることである。ベテラン捜査官が欲しいが簡単には見つからない
「捜査部の人手不足は万年ですから」
捜査部を目指すものはかなり限定されている
いつも過激な捜査になるが給与は安月給。おまけに捜査部捜査官になるには様々な資格取得が求められる
それ故になかなか候補者が見つからないのが現状なのだ
「なら人事管理課としてもっと優秀な捜査官候補を見つけてくれ。よろしく頼むよ」
「捜査部仕事は過激ですからなかなかいないんですよね」
「上を目指しても安月給だからだろ。俺達だって命の値段にあってないと思ったことはいつもある」
そのうえ給与は安いのも大きなマイナスポイントである
命を懸けて仕事をしているのに基本給が安い資格による手当てはあるが、
それも資格を持っていなければ手当はつかない
「頑張って探してみます」
「よろしく頼む」
「それにしても政財界の大物が集まるパーティーの護衛任務は苦労しそうですね」
テロの対象になるかもしれないからである。政財界の大物が集まるということはそう言うことである
ミッドチルダ連邦副大統領が参加することになっている
「嫌な事ばかり続く話だ。まだ事件捜査も終わっていないのに次々と仕事は舞い込んでくるのだからな」
「4時からパーティーとなると急いで準備しないとだめですね」
警護はシークレットサービスも担当するが宮殿のメイン警備はこちらの仕事だからなとラジェットは話した
連邦副大統領が参加するとなるとシークレットサービスが警護に参加するのは当然である
『ピーピーピー』
「ラジェット・ハングリーだ」
『コンビニ強盗事件ですが南分署に自首してきました。名前はバーリード・ホイット。45歳。前歴は麻薬所持です』
意外な展開にラジェットは少し驚いていた
まさか自首してくるとは想定外であったからだ
「殺害の動機は何を言っている?」
『殺人依頼されたそうです。依頼はネットで受けたとのことですが、詳細はわかりませんが金の流れはわかります』
よくある話だ。殺人依頼は。
こういったケースは第三者に金で依頼することで成立しているので真の黒幕まで逮捕に繋がることは難しい
「俺は4時から捜査長官の護衛任務をしなければならない。悪いんだがしばらくの間は捜査を任せたい」
『了解です。取り調べは南分署で行います。何か新情報がありました連絡を入れます』
よろしく頼むというと通話を終えた
それと同時にパトロール捜査官の制服を身に着けたはやてが出てきた
「どうかしら?」
「まぁ、パトロール捜査官に見えるな。新米という感じは変わらないがな」
「ああ、制服代は捜査部に請求するから、シエル首席にもそのあたりのことは話しているから心配しないで」
中央パトロール学校に入学したことがないので制服着用は本来の規則なら許されない
しかし時空管理局の制服を着用させるわけにはいかないのだから仕方がない
場の空気を考えるとこれしか選択肢はないのだから
「はやてとリィン。しばらくはその制服を着用しておけ。パーティーは4時からあるからな」
ラジェットはそう言うと捜査部オフィススペースに戻るためにエレベーターホールに向かった
はやて達と一緒にである
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南区中央部 クラナガンハイウェイ6号線(南線) 南行き
フィリーとなのはたちは今も制限速度ぎりぎりでハイウェイを走行していた
まだまだエレスコ・フォーゲル君の自宅までは時間がかかる
自宅に戻れば服や勉強道具などだけでなく
その他に思い出の品であるアルバムも持ち出すことが含まれている
「今は早く自宅に向かうことを最優先にしないと」
『南分署から各員へ。警戒態勢は解除。警戒レベルはブルーに変更する』
警戒レベルがブルーになったということはひっ迫した状況はなくなったということを示していた
それはそれで安心できる材料だ。これ以上トラブルを持ち込まれることは避けたいところである
「ようやく平穏な時間になりそうね。ラジオでも聞きましょう」
『次元世界連合安全保障理事会では聖王教会の監査は終了したが当面の間は監視下に置くことを全会一致で可決したことを公表しました』
『この発表について聖王教会は我々はもうクリーンな組織に生まれ変わったので監視下に置かれる必要はないと表明』
『しかし次元世界連合総会でも加盟国150か国のうち135か国が安保理決議に賛成しました』
「総会も安保理も賛成に回ったとなると聖王教会は当分の間は監視下に置かれるわね」
「そうなんですか?」
「なのは。別に驚くことじゃないわよ。聖王教会には一定の裁量権が返還されたけど全面的に信頼されたわけではないのよ」
「いつになったらすべての裁量権が戻ることになるのでしょうか?」
「それは聖王教会に完全に黒い部分がなくなるまでは無理でしょうね」
「フィリーさんは忙しいのに大丈夫なんですか?」
僕なんかにかまっていてとエレスコ・フォーゲル君は不安そうな表情で話しかけてきた
「心配しないで。これもお仕事だから」
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中央パトロール本部ラボ棟 2階マルチメディアラボ
シエナは街灯観測システムの監視カメラ映像からレバヅリド・サッカードを顔認証システムで検索していた
今のところはヒットしていない。市内にいることを願っているが、既に危険を感じて逃げているかもしれない
もし市外に逃走していれば駅や空港や港などに顔写真が記録されている可能性は高い
そこから検索を中心にしていた
「ヒットすればいいけど」
マルチメディアラボの責任者であるラグナはシエナにずいぶんと悲観的だなと言った
確かに悲観的である。このまま真相解明ができるかどうかは現段階では分からない
顔認証システムで照合してもヒットしない。
まだ市内のどこかに潜伏しているのかもしれないしうまく逃げたのかもしれない
答えを知るにはまだまだ時間が必要である
「この事件は一筋縄ではいかないことは間違いないわ」
「どうしてそんなことがわかるんだ?」
「過去に何度も追いかけられて捕まった形跡がない。捜査情報が漏れているのかそれとも運が良いのか」
おそらく前者が正解になっているはずねとシエナは言った
時空管理局の影響が強かったJS事件前までは、
時空管理局の一部の幹部には金を渡せば捜査情報を受け取れたことは有名な話だ
「ヒットすることを願うばかりね」
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南区中央部 中央パトロール南分署庁舎 6階刑事課オフィススペース
「サイノス・プロナード捜査官。スパイ事案の引継ぎですよね」
アシュリー・ダラス刑事が声をかけてきた
彼女は港湾パトロール海兵隊第9特殊作戦軍に所属していた戦闘においてはスペシャリストである
「今回のスパイは前歴持ちだからもう市外に逃げているかもしれない」
「ずいぶんと弱気ですね。プロナード捜査官にしては。いつもなら自ら追いかけることに戦力を注ぐのに」
サイノスが弱気な口調にアシュリーは茶化すかのように言った
「こいつは一流のプロと判断できるからよ。侵入の仕方や情報がある場所を知っていた」
とにかくあとは任せても良いかなと確認するとアシュリーは問題ないですと回答したので引継ぎをした
捜査権限引継ぎ書類にサインをもらうとこちらで把握している情報をすべて引き渡してパトロールに戻ることにした
「良いんですか?簡単に捜査権を引き渡して?」
「縄張り争いをしたら捜査は進まないものだよ。刑事課はパトロール部の様々な課と連携しているから心配ないよ」
サイノスはそう言うと南分署の駐車棟に移動すると車に乗り込みパトロールを再開することにした
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