午後03:30 西区中央部ノースミーミル地区 ウエストクラナガン宮殿
パーティーの主催者であるセリーナ・ヘイリガの周辺には絶えず政財界の大物がいた
もちろん彼女守る護衛は配置されている。常に一定の距離を開けて会話をしている
「人気者がいるみたいやな」
「知らないのか?彼女のことを?」
はやては何も知らない様子だった。今は時の人となった超有名人にもかかわらずだ
「セリーナ・ヘイリガ。世界一の億万長者だ。総資産は数百京ミッド以上。彼女の周囲には金持ちが群がる」
「すごい人なんや」
「クラナガン捜査局で使用している武器弾薬の大部分の主要入荷元はミーミルグループ企業からだ」
これは武器弾薬製造メーカの国際認定を得ているのがミーミル企業がほとんどを独占している
おまけに特許も数多く取得しているので他の企業に簡単に入ることができないという理由もある
ちなみに港湾パトロールが運用している空母や巡視船や戦闘機などの、
各種軍事兵器の納入元もミーミルグループ企業が圧倒的に多い
これも兵器や武器弾薬に信頼性が他の企業にはまだまだならないからだ
今は一定の条件で特許権の開放と無償使用を容認している
条件として一定の艦船建造の割り当てを独占するというものだ
その見返りに技術公開を行うことになっている
そのため今後は武器弾薬や兵器製造会社が増加することは間違いない
新しい産業が発生することになる
新しい産業が生み出されれば当然雇用が生まれる
求人率も上がることから失業率も下がっていくはずだ
今のクラナガン市内の有効求人倍率は[ 4.2 ]になっている
今後さらに数字が上がることが見込まれている
今やどこも人手不足で手が回っていない。ただし退役時空管理局員やその関係者に向けられる視線は冷たい
冷酷だがそれは仕方がないことである。自らが招いたことの結果なのだから
いくら政府が差別禁止と言っても自社の機密情報が盗み出されるリスクを考えると
ホワイトカラーでの再就職は難しい。肉体労働系のブルーカラーならまだ再就職は行いやすい
「それにしても、いつ来てもこのパーティーのメインはセリーナ・ヘイリガさんだな」
「そうなんか?」
「当然だろ。世界一のお金持ちだ。政治家は献金欲しさにいろいろと寄ってくるが本人は政治に関与することをあまり良しとしていない」
うまい具合に政治とは一線を引いている関係を維持しているとラジェットは語った。
確かにその通りである。セリーナは政治家と一線を引いている
一定の距離を保つことで政治的介入を避けようとしているが簡単にはいかない
「まぁ俺たちは俺たちの仕事をするだけだ。今は捜査長官の警護をな」
----------------------------
西区中央部ウエストミーミル地区1番街・2番街・4番街・5番街 ティアイエル保護孤児院
フィリーたちは無事に到着していた。これから入所の手続きに入ることになる。
手続きと言っても学校の転校の手続きやこれから生活部屋の準備などの手続きである
基本的にはこの孤児院では1人1部屋ということになっている。部屋のサイズはワンルームほどで広さ
ちなみに情報端末などは当然のことながらあり情報端末はインターネットの接続がされている
ただし違法サイトへのアクセスはブロックされる仕組みになっている
孤児院内には小中高の一貫校が設置されているので安心して教育を受けることができる
常時心理カウンセリングをしている医師も常駐しているので何か心理的な問題があればすぐに対応できる
「何か困ったことがあったら私に電話をしてくれたらいいからね」
名刺には携帯電話番号が書かれているから心配しないでと伝えた
「はい」
「それじゃ、元気に頑張ってね」
「いろいろとありがとうございます」
フィリーは彼を抱きしめるとお別れをした
「なのは、パトロールに戻るわよ」
そう言うと孤児院の目の前に止めている車に向かった
「本当に大丈夫でしょうか?」
「それを決めるのは私達じゃないわ。自分の道は自分で切り開いてこそ価値があるのよ」
「自分で切り開くですか?」
「誰かから与えられた路線を歩いているようではそれは自分で未来を切り開いたとは言えないわ」
それは自分のためになっていないし、言い換えればただの奴隷と変わらないのよとフィリーは厳しい口調で語った
確かにその通りである。誰かに決められた道を歩いているようではそれは奴隷のようなものと変わらない
未来は自分で切り開いていくからこそ価値がある
----------------------------
西区中央部 中央パトロール西分署庁舎 3階分署地域情報センター
シエナは無事に西分署に到着していた
今後の対応としては連行されてくるまでに捜査関係書類を用意することになる
大物麻薬密売人である。簡単に自供するとは思えない。もしくは司法取引を持ち出してくるかもしれない
レバヅリド・サッカードは今までに大量の麻薬密売に関与している
その事実だけは確認されているが逮捕するたびに時空管理局の捜査部門が介入してきて保釈していた
最終的にはうやむやにされて無罪放免だが、今度ばかりはそうはいかない
しっかりとした罪の代償を払ってもらうことになる
「裁判になったら事実上の終身刑になるでしょうね。罪状が多すぎて」
クラナガン市法では麻薬類所持罪と麻薬類売買罪はそれぞれ懲役5年の刑罰になる
密売罪に関しては1度の密売で5年なので何回行ったかによって刑罰は加算されていく
現在捜査資料で確認できるだけで10件以上の麻薬密売に関与している
最低でも懲役50年の刑罰が待っている
『中央本部から西分署。ミーミル地区と近隣地区の警戒は最大限警戒せよ』
「ミーミル地区その近隣地区では問題が発生しないでもらえると助かるけど」
シエナがそう言うと室内にいた管制官たちも我々も同じ意見ですと回答した
今あそこでトラブルが起きると大混乱になるかもしれない
それだけは避けなければならないことは間違いない
「とにかくその問題は中央本部に任せて、私はレバヅリド・サッカードの取り調べで使う資料集めに集中するわ」
そう言うとシエナは情報端末を借りて資料収集に入った
----------------------------
南区北部ノースイーストハーディー地区1番街2丁目と3丁目の間の通り
エルガとヴィータは相変わらず張り込んでいた
「本当に意味あるのか?」
「こういうのは地味な作業だが、大切なパトロール業務の一環だ。文句を言わないで見張っていろ」
「了解」
ヴィータは退屈そうな表情をしていたエルガは真剣な表情で作業に当たっていた
今のところは何も問題はない
「獲物なんて現れるのか?」
「張り込みをしているだけでもパトロールの一環である。そういうものだ。見せつけることが警備につながるものだからな」
『南分署から各員へ。北部ウエストハーディー地区4番街6丁目と7丁目の間の通りで車両火災が発生』
「現場に向かうか」
エルガは車のエンジンをかけるとウエストハーディー地区4番街に向かった
車の火災の場合は放火の可能性があるからだ
『ウエストハーディー地区の車両火災について追加情報。車内に黒焦げになっている遺体を確認』
「嫌な展開だな。火災で面倒なのは消火作業で使われる水で証拠が流されることなんだが」
消防隊は火を消すことが仕事なのだから仕方がない。
延焼にならないようするために最善を尽くすのが彼らの仕事であり事件捜査は担当外である
現場はそれほど離れている場所ではなかったのですぐに到着することができた
車両火災はすでに消火されていた。
「消防隊は火を消すのが仕事だからな。証拠が残っていればいいが」
エルガとヴィータははバッチを見せて規制線エリア内に入ると早速鑑識作業を開始した
「遺体の身元はこれだけ派手に燃えているとなると歯形かDNAで照合するしかないな」
指紋はほぼ無理であることは間違いない。遺体はかなり焼けている様子だった
「酷い燃焼具合だな。車のガソリンに引火でさらに遺体はひどい状況になったようみたいだな」
ガソリンに引火したら遺体はこんがりと焼けてしまう。
これでは身元特定には時間が必要になる。苦労する案件にぶち当たったなとエルガは感じた
「検死官を呼んでもらうしかないな。それと車はそのまま中央本部ラボ棟に移動させる」
ビニールでぐるぐる巻きにしておいて証拠を劣化させないでするためになとエルガは言った
車のナンバーは[ クラナガンサウスER-4552 ]。携帯情報端末で所有者を確認したところ、オライ・ローガンス
住所はクラナガン市南区中央部サウスブレバード地区4番街8丁目15番地2001号室
職業は無職だ。以前の職業は時空管理局員だ。大量リストラされた1人である
「嫌な展開になりそうだな」
時空管理局に在籍していた頃は地上本部の物資調達部門に在籍していた
納入業者から多額の袖の下を受け取っていたことで有名であった
その容疑で現在捜査を受けている。時空管理局犯罪捜査局が
「ややこしい事件になるのは間違いないな」
----------------------------