CSI:クラナガン   作:アイバユウ

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新暦76年4月1日午後03:35

 

午後03:35 西区中央部ノースミーミル地区ウエストクラナガン宮殿 パーティー会場

 

「一通りのあいさつは終わったから帰ろうかな。ラジェット」

 

いつまでもパーティーに参加しているわけにはいかない。

捜査長官にも仕事があるのだから当然である

 

「わかりました。車を回します」

 

ラジェットはそう答えると査察部の要人警護課の警護官に車を駐車場から正面玄関前に回すように指示した

はやてとリィンにも帰るぞと伝えると4人は正面玄関の方向に向かった

 

「ユウ・ミズノ捜査長官。少しよろしいでしょうか?」

 

その時ある政治家が声をかけてきた。連邦議会下院議員をしている女性連邦議員である

所属政党は共和党のフィリース・バーンズ議員である

 

「ラジェット、先に車を回しておいて。こちらは少し話をするから」

 

「わかりました。ですが警護担当官ですのではやてとリィンと要人警護課の人間に車を取りに行かせます」

 

「君が護衛ということかな」

 

その通りですと回答するとラジェットは議員との話を少し聞いていた

 

「ユウ・ミズノ捜査長官。実はあることを調べていただきたいのですが?」

 

「申し訳ありませんが、公私混同はできません。捜査の要請でしたら届出受付センターを通してお願いします」

 

公正中立の立場を維持するのが私の使命なのでとやんわりと断るが、どうやら相手は状況が違うようだ

 

「これを」

 

フィリース・バーンズ議員は1枚の写真を手渡してきた。写真には幼い男の子が写っていた

 

「誘拐されました。できればマスコミの耳に入る前に捜査をしていただきたいのです」

 

「そういう事情でしたら分かりました。優秀な捜査官を手配します」

 

ラジェットは捜査長官からその写真を受け取ると当時の状況などを確認した

朝になって突然の家宅侵入にあった際に息子を誘拐されたということだ

 

「名前は?」

 

「フライク・バーンズ。5歳です」

 

「わかりました。早速捜査に入ります。マスコミ対応は報道管制を敷いてできるだけマスコミに情報が漏れないようにします」

 

「報道管制は役に立ちますか?」

 

犯人側にこちらの情報が漏れないようにする上では有効であるが

もし何か変な方向に状況が流れた場合は手を変える必要がある

 

「マスコミも自分たちの報道で人が死んだとなれば殺人罪に問われることは理解していますので」

 

クラナガン捜査局とマスコミは良い関係を築いている

誘拐発生時には必要に応じて報道管制を敷くことになっている

犯人の対応によっては即座に誘拐情報を発令して情報収集を行うが今回は相手は連邦下院議員である

簡単に公開捜査をするべきではない。ここは静かに捜査を行うべきである

 

「私が責任を持って捜査を行います。長官。警護は要人警護課に引き継ぎます。自分は捜査を」

 

「うまくことを運んでくれると助かるよ」

 

了解というととりあえず正面玄関まで捜査長官を護衛するとその後は要人警護課に任せた

これからはお仕事の時間である。それも誘拐事件の捜査となると慎重な捜査が求められる

まずは議員の自宅を確認することにした。

犯人が監視している可能性があるので運送会社に偽装して荷物を配達ふりをする予定だ

 

「議員。住所はどこですか?」

 

「中央区西部メイソン地区9番街1丁目1番地803号室です」

 

ラジェットはすぐに向かうことにした。その前に西分署によって偽装用の服を借りることにした

捜査キッドは持ってきているので問題ない

 

「西分署によってヘリで中央区のセントラル分署に向かうぞ」

 

「「了解」」

 

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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部オペレーションルーム

 

『フローレンス州政府は州内にある時空管理局基地について、港湾パトロール本部に警戒態勢を敷いてほしいとの要望を出しました』

 

『この要請について港湾パトロール本部は現在も常時監視を行っているので異常があれば即時報告をすると伝えたとのことです』

 

シエルは報道番組を再びチェックしていた

今のところフローレンス州政府は州内にある時空管理局の基地に対して警戒していた

今も多くの人々がデモ活動をしていた。

時空管理局は犯罪者だという厳しいプラカードを掲げて抗議活動をしていた

 

「フローレンス州政府はかなり苦労しているわね。地元に首都圏最大の時空管理局基地があるだけに」

 

シエルはフローレンス州政府が抱えている安全保障問題に苦労していることを察していた

フローレンス州政府と港湾パトロールはある協定を締結していた

フローレンス州には大規模の時空管理局地上本部のフローレンス基地があったため、牽制のために州政府が締結した

地上本部解散後も時空管理局本部ミッドチルダ方面軍フローレンス基地が以前より拡張され残された

そのため協定も更新され、継続的に駐留することが決まった

フローレンス州東部にあるイーストフローレンス市にあるイーストフローレンス基地には大規模な部隊が配置されている

緊急時には即座に時空管理局基地を制圧できる仕組みになっている

すべては時空管理局の暴走を防ぐためである

 

「のんびりしているような暇はないわね。こちらでも情報収集をすることが求められる」

 

シエルはギブリにフローレンス州中央地方フローレンス市郊外にある時空管理局基地の衛星画像の入手を求めた

まずは衛星画像を使っての解析を行う。部隊が動いていれば協定違反になる

時空管理局が部隊を動くには連邦法では連邦政府や州政府などが要請した時に限定されている

ちなみに市政府や郡政府の要請でも可能である。

とにかく政府機関からの要請がなければ部隊を出すことは容認されていない

 

「もう少しでこちらの衛星がフローレンス市上空を通過する。最新画像をダウンロードする」

 

そしてダウンロードしたところ、あるものが写し出されていた

基地内で大規模訓練と思われる行動をしているようなものがとらえられていた

天候が晴天であったことからはっきりと記録されていた

 

「この情報を港湾パトロール本部とフローレンス州政府に。それと次元世界連合にも提供しておいて」

 

3つの組織に情報を提供することで時空管理局に危険性を避けなければならない

もし時空管理局の地上基地に配置されている部隊が暴走したら大ごとになる

それだけは許されないことである

 

「暴走行為をするかもしれないと思っているのか?」

 

「可能性があるとするなら、今がそのチャンスかもしれない。見逃すことはできないわ」

 

『フローレンス州証券取引所では平均株価が下落基調にあります。ベルカ州証券取引所でも同様の動きがあります』

 

「問題児を抱えている州証券取引所は大きな山場を迎えるわね」

 

ベルカ州は聖王教会の問題を。フローレンス州は先の時空管理局基地の問題を抱えている

州証券取引所の株価が下がるのは当たり前である。リスク管理を考えるなら今は売る方が安全だ

 

「とにかく監視を強化しておいて。何かあったら私を呼び出して」

 

「了解した」

 

ギブリの返答を聞きシエルはオペレーションルームを退室した

 

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西区中央部 中央パトロール西分署庁舎 1階カフェラウンジ

 

フィリーとなのはは休憩をしていた

なのはどこか食欲がなさそうであった。まぁいろいろと見てきたからかもしれないが

 

「あの子は大丈夫でしょうか?」

 

「それを決めるのは本人次第よ。私たちは手助けをするだけ。自分の未来は自ら切り開いてこそ価値がある」

 

「そうですか」

 

「なのは。こんなことで悩んでいると捜査官にはなれないわよ。事件は次々と発生するのだから」

 

食べれる時に食事にしましょうというと、カフェテリアでピザを注文した

 

「よく食べれますね」

 

なのはの言葉にフィリーは慣れているからと回答した

バラバラ死体を見た後でもステーキ肉を食べれるような鉄の胃袋がなければ捜査官は務まらない

ピザはすぐにやってきた。フィリーはそれをおいしそうに食べていた

 

「よく食べれますね」

 

「どうして?私は死体なんて嫌というほど見てきたから慣れているだけよ。あなたもすぐに慣れるわ」

 

1週間もすれば検死解剖の後にステーキ肉を食べることができるようになっているから心配する必要はないわとフィリーは言った

その言葉にできれば慣れたくないですねと答えた

フィリーはピザを次々と食べていった。

なのはは何度か手を出そうとしたがどうも調子が悪いようで食べることはなかった

 

「なのは。そんな弱い胃袋だと家で食事を食べれないし眠れないわよ。この仕事はハードなんだから」

 

そんなことを言いながらフィリーは次々とピザを食べていき、

結局のところほぼすべてを食べたフィリーは食事を終えると腹が膨れて満足そうな表情をしていた

 

「さてとパトロールに入るとしましょうか」

 

すると外は雨が降りそうな天候になっていた

 

「雨が降りそうね。捜査においては嫌な展開になりそう」

 

事件発生時で雨が降る中鑑識作業を行う場合はシールド魔法発生装置を使うことで物証の確保はできる

ただし魔法粒子関係の証拠は汚染されるのでそれらは証拠に採用されない

しかし指紋や血痕といった証拠は裁判で採用される

魔導師相手となるとシールド魔法発生装置はできれば使えたくない

魔法粒子が重要な証拠になるからだ。だが雨が降ればそれらも流れて消えてしまう

なら最低限の物的証拠として血痕や指紋などを確保するべきだ

そうなればシールド魔法発生装置が有効な手になる

 

「パトロールに行くわよ」

 

2人は駐車棟に移動して車に乗り込むとパトロールに入った

 

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西区中央部 中央パトロール西分署庁舎 6階麻薬捜査課オフィス

 

シエナはそこでまだ来ないレバヅリド・サッカードの到着を待っていた。捜査資料の大部分は集まった。

今までに関与した事案をすべて合計すると実質的には終身刑に近い刑期が待っている

 

「それにしても遅いわね」

 

シエナは待つのが苦手なのか、そわそわしていた

 

「もう少しで到着予定ですので、少し我慢してください」

 

「私としてはあの大物をさっさと刑務所に収監させてやりたいのよ。子供に麻薬の密売をさせるくそ野郎は特に」

 

「それは同感ですが取り調べは冷静に行ってくださいね」

 

麻薬捜査課の女性刑事は冷静にしてくださいねと諭すかのように言った

落ち着いて捜査をすることが求められることはシエナもわかっているが焦りは出てしまう

できればマスコミに嗅ぎつかれる前に事件を解決したい。事件後の処理が比較的楽だからだ

だが相手は大物麻薬密売人。マスコミは騒げば大きな影響が出ることは間違いない

 

「この事件は簡単にはけりがつくことはないでしょうね」

 

「どうしてですか?」

 

「麻薬関係で簡単にけりがつくことはまずありえないわ。相手は必ず司法取引を持ち出してくる」

 

どんな大物の名前を出すかによって取引をするかは異なる対応になるけどとシエナは伝えた

これは良くある話だけに面倒なのだ。麻薬の元締めを検挙するために検事が取引を許可することは多い

そうなれば刑期が短縮されるか警備が緩い刑務所になることはよくある

そんなことはできれば避けたい。こいつにはたっぷりと刑務所生活を満喫させてやりたい

二度と出れないくらいの刑務所生活を

 

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南区北部ウエストハーディー地区4番街6丁目と7丁目の間の通り 車両火災現場

 

エルガとヴィータは捜査を行っていた

 

「車両火災は面倒なんだよな。水で証拠は消されてしまう。消防は火を消すのが仕事だから仕方がないが」

 

エルガはそんなことを言いながら車内の状況を写真撮影をしていた

ヴィータは車で待機させていた。顔色が悪そうだったからだ。

 

「同意見です。焼死体は身元を割り出すのも苦労することですし」

 

焼死体の場合は指紋で身元確認をすることができない

犯歴者か法執行機関の人間ならDNAが登録されているが、民間人の場合は照合するのはかなり苦労する

それだけに最善を尽くしても身元不明でコールドケースになることはかなり存在する

 

「とにかく身元を確認するしかないな。焼死体だからDNA鑑定で分析するしかないな」

 

あとは歯形で照合するしかないないという。それをするのは検死官の仕事だ

こちらはまずは車に残っている証拠採取を試みるところから始めなければならない

 

「車内はかなり派手に燃ええている。燃焼促進物が使われた可能性があるな」

 

まぁ、この車はガソリン車だから、引火したら派手に燃えることになるがとエルガは考えていた

問題はどうやって着火したかである。エルガは車内を見ていると酒の瓶を見つけることができた

幸運な事に酒瓶に付着していた商品名が記載された文字が残っていた

 

「これはクラナガンウォッカの瓶か。燃焼促進物としては最悪だな」

 

ウォッカはアルコール度数90%以上であり引火性が高い。

扱いには慎重さが求められてしまう

 

「中央本部に移送して鑑識をするしかないな」

 

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