午後03:45 中央区南部 高度1200m UH‐60
ラジェットたちが乗ったブラックフォークは順調よく犯人がレンタカーしている車に向かっていた
子供が所持していると思われる携帯電話もその車から信号が出ていることが確認された
これで疑いようのない事実だ。できれば早く身柄を拘束して子供に心の傷を背負わせる前に肩を付けたい
「はやて、状況はどんな感じだ?」
「今はハイウェイの4号線(東線)を東に向かって走行している」
「港に向かうつもりかもしれないな。はやて、13号線との分岐までの距離は?」
クラナガンハイウェイ13号線とは東線の途中から分岐している路線。
工業地区であるセントラルクラナガン港付近までつながっている
基本的にはトラックなどがメインに利用する路線である
「あと10Km」
「分岐で13号線に入ったら面倒なことになるな。できることならその前に制圧したいが」
13号線に入るとハイウェイインターチェンジが大幅に減少する
できることなら4号線を走行中のけりをつけてやりたいが状況はかなり不利だ
まだ制圧に可能な台数が集まっていない。下手な数で行動を起こすと人質の子供の命に関わる
それは避けなければならない
「それにしても犯人の目的は何なんだ?議員の子供を誘拐しておいて政治的要求をしていない」
「それのどこが気になるんや?」
「金持ちの子供ならお金目当てであることはすぐに検討がつく。だが政治家の子供なら政治的駆け引きに利用される」
それはそれで非常にまずい状況になってくる。今後のことを考えるとなおさらである
「政治的要求が何もないのはただのやとわれなのかそれとも初めから殺すつもりなのか」
「初めから殺すつもりですか?」
「嫌な言い方だが。政治家はいろいろと恨みを買う仕事だからな。そういうことは珍しいことではない」
よくある話だ。政治家は恨みを買うことは頻繁にある
そのため連邦議会議員の場合はFBIが護衛に入っていることがある
それも珍しいことではない。議員が脅迫されて不当な法案が成立してはならないからだ
「議員は何か知っているかもしれないな。金融情報開示令状を請求するか?」
「議員が何か隠しているということか?」
「可能性はある。議員にだって秘密くらいあるはずだ。人間なんだからな」
『ピーピーピー』
シエル首席捜査官からの緊急連絡だった
「ラジェットだ」
『シエルよ。13号線の分岐進入を封鎖したわ。表向きは緊急工事ということでね』
「ずいぶんと無茶なことをしたな。それもかなり強引なことを」
シエルは緊急事態だから無茶を何とか通すしかなかったわと答えた
確かに今は緊急事態である。連邦議会議員の子供の誘拐は重罪行為だ
救出には全力で当たらなければならない
「パトカーは集めることはできているのか?」
『すでに5台集めているわ。それも覆面をね』
さらにパトカーを10台手配かけているとのことだ。
到着予定は数分以内とのことだ。
あとはタイミングを合わせるだけだ
「了解した。こちらも狙撃準備に入る」
ラジェットはそう言うとヘリに搭載されている[ バレットMRAD ] を手にした
さらにヘリのドアを開けると上空から狙撃する準備に入った
「本気で撃つ気か?」
「これはあくまでも保険だ。人を狙うには風が読みにくいからな」
ヘリの風により弾道が変化する。正確に予測するのは極めて難しい
正確な射撃は難しいが、車のタイヤに当てるぐらいの狙撃は可能である
少し難易度のレベルは高いが
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西区中央部 クラナガンハイウェイ14号線(大外環状線) 反時計回り路線 落下物地点
フィリーたちは雨が降る中、急いで回収作業を行っていた
排気ダクトはすでにパトカーの後部トランクに積載した。あとは現場整理は彼らの仕事だ
フィリーは次の現場に向かうことにした
『西分署から各員へ、ウエストクラナガン廃棄物処理施設で大型犬の死体が発見された』
ウエストクラナガン廃棄物処理施設は西区中央部にあるごみ処理施設でもある
敷地面積南北1.2Km、東西1.2Kmの大規模廃棄物処理施設である
ちなみにボイラーは10基あり、ごみ燃焼で生じる熱の蒸気で発電機20基を運用している
最大発電量は4000万KWにもなる。こういった大規模施設は各区に1つずつ設置されている
運営しているのはクラナガン市政府である。焼却で発生した灰は沖合の埋め立てに使用される
「大型犬の遺体ね。念のために向かうことにしましょう」
「人以外の事件も担当するんですか?」
「なのは。私たちクラナガン捜査局は何でも屋よ。どんな事件事故も扱うのが基本なのだから」
フィリーは無線で急行すると西分署に連絡を入れた
『こちら西分署。協力感謝する』
フィリーは排気ダクトの落下物事案に関係する事柄の引継ぎに関してパトロール捜査官と話をしていた
問題ないとの返答をもらうとウエストクラナガン廃棄物処理施設に向かうことにした
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西区中央部 中央パトロール西分署庁舎 6階麻薬捜査課オフィス
シエナは検事局に身柄を引き渡した後、デスクを借りて報告書の作成に入っていた
できること終身刑に近い形になるまで刑務所に収監させてやりたいが
相手がどんな司法取引材料を持ち出すかは見当もつかない。
もしかしたら検事局が欲しがりそうなネタを提供する代わりに取引に入るかもしれない
できることならそれを阻止したいところだが決めるのは検事局の判断だ
こちらに決定権はない。できることは検事局に苦情を言うくらいだ
もしくはその取引を無効にさせることができるだけの新しい証拠を持ち込むしかない
「一生刑務所にぶち込んでやりたいわね」
「できますかね?」
「私は何とかしてやりたいわ。あとは検事局の対応次第ね」
『ピーピーピー』
「シエナよ」
『クラナガン検事局のデュナ・メイスです。今回は司法取引はしないことが決まりました』
「それは良いニュースね。最高懲役はどれくらいになる見込みかしら?」
『最低でも懲役25年以上は間違いありません。最悪の場合は死刑になることも想定されます』
どうやら状況は相手側にかなり不利な方向に流れているようだ。
それに死刑判決が出るほどの罪となるとかなり危険な犯罪に関与しているのかもしれない
「どんな罪をしていることがわかっているの?」
『殺人です。麻薬の過剰摂取をさせて殺しに関与していることがわかっています。わかっているだけで意図的な過剰摂取殺人を10件以上起こしています』
「ひどいわね。殺人を10件以上となると死刑判決はほぼ間違いないわね。物的証拠はあるの?」
『その点は麻薬取締曲が情報をかなり持っていることが連邦検事局に確認してわかっています。確実に刑務所にぶち込めます』
「わかったわ。期待しているから。何としても終身刑か死刑にして」
私は死刑にしてやりたいからとそう言うと通話を切った
「死刑にできそうですか?」
「何とかなるでしょう。連邦検事局が動くとなると派手な展開になるでしょうね」
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南区北部ウエストハーディー地区4番街6丁目と7丁目の間の通り 車両火災現場
エルガは車両火災した車を鑑識していた。
今のところは身元はまだわかっていない。少し前に検死官補佐であるソリオ・フロンテがきていた
「ソリオ。遺体の身元を大至急調べるように検死で確認してくれ。法執行機関の人間の可能性が高い」
「法執行機関ですか?」
「具体的にはFBI関係の可能性が高い。とにかく連中が乗り出す前に身元を割り出してもらえると助かる」
「わかりました。リエ検死官にはそのように伝えます」
そこに1人の捜査官が現場に到着した。彼はすぐにエルガに挨拶した
「バレッツ・ハウンドだ。エルガ。急に着て悪いな」
バレッツ・ハウンドはFBI連邦捜査官だ。腕利きの連邦捜査官であることは間違いない
機密情報にもアクセスできる人間である
「早速捜査権の横取りか?」
「いや、この件は共同捜査を行いたい。この遺体の身元はボイーク・ディビス。潜入捜査官だ」
「嫌な事案に突っ込んだわけか。潜入先の組織は?」
「HRだ」
「冗談だろ。HRは今は機能していないはずだろ」
HRは時空管理局の暗部の部分の組織だ。時空管理局の汚職関係に深く関与していたことで有名だった
今は組織そのものは機能していない。時空管理局の大規模縮小に伴い組織もつぶれた
だがいまだに一部は機能しているようだ。そんなダークな組織に潜入していたということはかなり危険な情報を持っていたことが疑われる
となると殺しは何かの隠ぺい工作が疑われる
「ソリオ。死因はわかるか?焼死なのか?」
エルガがそれを確認をするとソリオはすぐに否定した
腹部に穴が開いていると。背中に貫通していないから銃弾が摘出される可能性が高いとのことだ
「弾は回収できたら線条痕の照合を最優先で行うようにフィアットに伝えておいてくれ」
「了解です。では遺体を搬送します」
ソリオはそう言うと車から遺体を出すと遺体袋に入れて車に乗せると中央本部ラボ棟に向かった
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