午後03:55 東区中央部 高度1200m UH‐60
『東分署からSA11。これより救出作戦を開始する』
「子供の生命を最優先にして行え。必ず救出しろ」
子供の命が無事なら誘拐犯が多少ケガする程度は問題ない
誘拐したほうが悪いのだから。犯罪を起こしたのだから、それなりのリスクを覚悟している
子供を無事に救出することができるなら犯人が多少ケガをしても自業自得である
『これより制圧に入る』
「うまくいけばいいがな」
ラジェットはヘリからクラナガンハイウェイに設置されている街灯観測システムの監視カメラ映像で状況を見守っていた
ハイウェイでは犯人と思われる車の周囲を覆面パトで取り囲んで一斉にブレーキを踏んだ
そして身柄を無事に押さえることに成功した
『東分署からSA11。子供の無事を確認。犯人は多少負傷したが命に別状はない。これより東分署に移送する』
「了解。子供は大至急病院に搬送して精神鑑定を受けさせてくれ。そのほかにも身体診断も並行に行うように」
『こちら東分署。早急に手配をかける』
「はやて、これからが大変なところだからな」
ラジェットはそう言うがはやて達にはどういう意味なのかよく理解していない様子だった
連邦議会議員の子供を誘拐したのだ。金銭目的とは限らない
何か政治的要求があるのかもしれない。そうなると背後関係を徹底的に調べることが求められる
それは極めて時間と手間がかかることになるのだ
「俺達は犯人の心理を読み解かなければならない。ここからが勝負だ」
ラジェットはそう言うとヘリを東分署に向かわせた
「それにしてもあっさりと捕まったな」
「それがどうかしたんや?」
「お前が犯人なら抵抗するだろ?捕まったら最低でも懲役25年の刑罰は待っている。俺ならどんな手段を使っても逃げるにかける」
なのに奴はすんなりと逮捕された。まるで諦めるかのように
そこにラジェットは違和感を感じていた。それも後々わかってくるだろう
真実を確かめる時間はこれからたっぷりとあるのだから
これから時間をかけて真実を探していくだけである
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西区中央部 ウエストクラナガン廃棄物処理 駐車場
フィリーとなのはは無事に廃棄物処理施設に到着した
すでに多くのマスコミが集まっていた。どこで嗅ぎつけたのかは知らないが
「マスコミの情報収集能力は素早いわね。こっちよりも先に進んでいるかもしれないと考えると面倒ね」
フィリーはそう言うとなのはと一緒に大型犬が発見された施設に向かった
すでに現場はパトロール捜査官が現場確保作業を行っていた
「なのは。死亡したのが飼い犬でも手を抜かないこと。人が殺されたのと同じように捜査をすることを忘れないで」
「はい!」
「フィリー。お久しぶりです」
「マリー!元気そうね。状況はどんな感じ?」
現場を指揮していたのは西分署刑事課のマリー・ベリーアス刑事である
極めて有能な刑事として定評がある
「ごみがしっかり分別されているかチェックするレーンでの発見です」
発見したのはこの廃棄物処理施設の分別ごみ監視チームとのことだ
クラナガン市内では徹底したごみの分別が行われている。
もし分別しないで廃棄した場合は罰金刑が待っている
そのため大量のごみは焼却やリサイクルされる前に分別がしっかりできているか確認するための確認が行われる
機械と人の目で行われている。基本的に市内の廃棄物リサイクル率は9割といわれている
極めて高いリサイクルのおかげで最終的に焼却などで廃棄されるごみの量は大幅に減少することが可能になった
プラスチックもすべてプラスチックごみとして専用に回収されてリサイクル工場に送られることになっている
今や再生リサイクルチップによるリサイクル製品は製品化されるプラスチック製品一定の割合を占めている
おかげで石油消費量を減らすことができている。
それでも完全に循環型社会というわけにはいかないのが実情で、
一部は今も新たに石油から精製されたナフサを使用してプラスチックなどの石油製品を製造している
「それにしてもひどいことをするわね。犬を用済みになったからといってゴミに出すなんて」
「それが事情が異なりまして」
マリーは耳元である情報を話した。その話を聞いてフィリーは驚いた
彼女は冗談でしょと大声を出しそうになったが何とか踏みとどまった
「どういうことなの?」
「わかりません。こちらも先ほど把握したばかりなので。検死官はもう少しできます」
「まずは遺体を見せて。かなりにおいがひどいでしょうけど」
はいと言うとなのはと一緒にゴミ回収トラック駐車場に向かった
フィリーは歩きながらなのはにこの事件は相当覚悟することにするしかないわよと言った
「どういうことですか?」
なのははまるで状況を理解していない様子だった
「退役時空管理局員の死体が出てきたわ。名前はトービー・オリッサス」
「逃げたんじゃ?」
車で連絡を受けたときは確かに逃げたと思われたが実際は違っていたということだ
「そうじゃなくて始末されたようね。だから犬も遺体も出てきた。次に待っているのは裏事情を探らないといけない」
真相をすべて闇に葬るために証人を消すのはいつものことである
ゴミ回収トラック駐車場に到着すると1台のトラックが屋根の下で止められていた
パトロール捜査官が規制テープを張って周囲を警戒していた。
そして現場鑑識チームがトラックの荷台に入り鑑識作業をしていた。
「作業服を借りましょう。あと長靴とね」
フィリーはすぐに近くに止まっているパトカーの車内で服の上から作業着を着用した
なのはも少し戸惑いながらも同じように別のパトカーで作業着を着用した
「どうして作業着を着るんですか?」
「ごみの中を調べるのよ。臭いがついたらいやだし」
そしてゴミ回収トラックの荷台に入り遺体を見ることにした
「みんな!ご苦労様」
「アクシオム捜査官。今回は苦労しますよ」
「そんなのは覚悟はできているわ。臭いにもね」
遺体の状況はと確認すると腹部に銃創があったとのことだ
口径はかなり大きく50口径と思われるとの話だ。弾は貫通してここにはないとのこと
「遺体を見せてもらって本人か確認しましょう」
フィリーは捜査キッドから携帯端末型指紋分析装置を取り出した
それで遺体の指紋をデータベースと照合したところ、間違いなくトービー・オリッサスと一致した
最悪の結末になったようだ。時空管理局犯罪捜査局の捜査官が来ることになっている
どんな暗い闇に関与していたのかぜひ知りたいところである
抹殺されるほど危険なトラブルを抱えていたのかどうかについても
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西区東部 高度1200m UH-60 ブラックフォーク
シエナは学校に向かっていた。
すでにセントラル分署麻薬捜査課が寮生の家宅捜索を行っている
ここまで来たらもう止めることはできない。落ちるところまで落ちてもらうしかない
「学校にとっては最悪の評判になるわね」
『先ほど中央パトロール本部はレパブリック小中学校内で麻薬蔓延があったことが分かったと発表しました』
「本部も容赦がないわね。まとめて叩き潰すつもりかもしれないわね」
このままことが進めばレパブリック小中学校は多くのマスコミから叩かれることになるのは間違いない
マスコミ対策をしておかなければ今後の評判に大きくかかわってくる
ここは徹底した捜査に協力して誠実さをアピールする方が最適な選択である
下手に捜査を妨害したら嫌な方向に話を進むことは間違いない
「本当に苦労しているわね。どこも」
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南区北部ウエストハーディー地区4番街6丁目と7丁目の間の通り 車両火災現場
エルガはまずは車をラボに移動させる手はずを整えた
ここで鑑識をしたら大事な証拠が汚染されるかもしれないからだ
当然の措置である。問題はこれからだHRが絡んでいるとなると組織犯罪課とも連携、
共同捜査をしなければならない。さらにFBIも絡んでくるとなると複雑の捜査態勢を敷くしかない
「利害関係でもめることは間違いないな」
園町っ世をするのがエルガの役割であることを考えると面倒なことこの上ないが仕方がない
これも仕事のうちなのだから当然である。任務遂行に文句を言う暇などない
特に犯罪捜査で手抜きはだめである。しっかりと手を抜かずに捜査をすることが求められる
そうしなければどこかで捜査ミスを起こしてしまう。それだけはあってはならない
そこにナンバープレート探しに行っていたヴィータが戻ってきた
「ヴィータ、車両ナンバープレートは見つかったか?」
「あったぞ。500m先まで吹き飛んでいた」
「すごいな。他に証拠は」
「車の部品はあちこちの壁にめり込んでいる。現場鑑識チームが回収作業をしている」
「ナンバーの番号を言ってくれ」
エルガは携帯情報端末を取り出すと車両ナンバーの問い合わせをすることにした
「車両ナンバーは[ クラナガンサウスNNU-6755 ] 」
ヴィータに言われたナンバーを照合したところ、ある人物の車と一致した
ボイーク・ディビスの車であることが分かった。死んだ潜入FBI捜査官の車が凶器になった
正体がばれて殺された可能性がある
「やばいところまで突っ込んでいたのかもしれないな」
「どういうことだ?」
「ヴィータ。この事案は時空管理局の暗部が絡んでいる。かなり苦労する案件になるからな」
エルガはヴィータにはこれまでの経緯を話した。
できることなら伏せておきたい情報もあったが、今はそんなことを言っているような余裕はない
早急に捜査を進めることが求められる。真実を探求するにはすべて話すしかない
「本当なのか!?」
「声が大きいぞ。現実はいつもつらいものだ。だから俺達みたいな捜査する法執行機関が存在する」
エルガはヴィータには覚悟しておけよと言うと中央本部に戻ることにした
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北区東部イーストシャーロット地区4番街3丁目と4丁目の間の通り
アルシオーネはそこで車を止めて張り込んでいた
狙いは最近このあたりで発生している連続空き巣事件の捜査のために張り込んでいる
「こんな時間から空き巣をするなんて堂々としているよな」
張り込みは退屈なものである。彼女は無線傍受をしながら状況観察に力を注いでいた
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