午後04:05 東区中央部 中央パトロール東分署庁舎 6階刑事課オフィス
ラジェットたちが待っていた誘拐犯であるボイズレーク・ナットスは無事に連行されてきた
今は刑事課の取調室に入れられて待たされている
「早速取り調べをするか」
ラジェットはそう言うとはやて達が集めた情報がまとめられた報告書を持って取調室に入った
「初めましてと言ったほうが良いか。ボイズレーク・ナットス。お前もバカなことをしたな」
「どういう意味だ?」
「連邦議会議員の子供を誘拐するとは最低でも懲役25年は間違いないんだぞ。そんなリスクを背負ってまでする意味はあったのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
どうやら相手は懲役25年を食らうことを聞いて驚いたのかそれとも初めて知ってショックを受けたのか
黙秘権を行使していた
「黙っていると良いことはないぞ。背後関係まですべて喋れば司法取引に応じても良い」
すべて証言すれば聖王教会過激派の内情をすべて知ることができるかもしれないとラジェットは考えたのだ
だからこそ司法取引を持ち出したのだ。聖王教会過激派の情報については今も不明な点が多い
そのあたりの情報を集めることができれば大きな収穫になる
「・・・・・・・・・・・・どれくらい取引できる?」
「執行猶予付きの判決にしてやる。お前がすべて話してその情報が真実であることが確認できればの話だがな」
懲役25年の刑罰を受けるか執行猶予の刑罰になるかの究極の選択である
聖王教会過激派の情報は本当に喉から手が出るほど欲しいのだ
「・・・・・・・何をしゃべればいい」
「さっきも言っただろ。お前が知っている聖王教会過激派に関するあらゆる情報だ。それだけ喋れば協力的だったと言える」
聖王教会過激派のトップはレンスト・エンビードであるとのことだ
過激派にはこの男がわかっているだけで数千人が存在している
今はベルカ州内でひそかにベルカ州政府や州内の各郡政府や市政府などに攻撃準備をしていると
ラジェットはその情報を確認するとすぐに取調室を出た
そして携帯電話を取り出して港湾パトロール安全保障局の友人に連絡した
「聖王教会過激派に関する情報を持つ人物からの情報を得た。連中はベルカ州内でこれから暴れるつもりらしい」
『間違いないのか?』
港湾パトロール安全保障局でもつかんでいない情報があるようだ
だからこそ興味を持ってきたのかもしれない
「信頼性は極めて高い。大至急警報の発令をしてくれ」
警報とはそれぞれの州内の安全保障に関係するレベルを示すものだ
必要な場合は連邦政府が介入してくることもある
『わかった。他に情報は?』
「聖王教会過激派のトップの人物の名前はレンスト・エンビードとのことだ」
『わかった。そっちにチームを派遣する。どうせ司法取引で情報を得たんだろ』
港湾パトロール安全保障局もかなり興味があるようだ
なら送検するまでの時間稼ぎはしておく必要がある
「そうでもなければ喋るはずがない。保障局も知りたいことがあるのか?」
『当然だ。こちらでも情報収集をしておきたい。人員を派遣する。それまで送検は待ってくれ』
「時間稼ぎはできるくらいするが早くこっちにこいよ」
『わかっている』
そう言うと通話は終了した
ラジェットは本当に疲れる一件になると感じていた
誘拐犯を執行猶予処分にするのだから。検事局にすぐに話をすることが求められる
港湾パトロール安全保障局も聖王教会過激派についての情報はあまり持っていないのだろう
だからこそ取引をしてでも情報が欲しい。
「この誘拐事件は想定外の方向に向かいそうだな」
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西区中央部 ウエストクラナガン廃棄物処理施設
フィリーとなのははゴミ回収トラック内の鑑識作業をしていた
なのははゴミの中の鑑識作業に顔色が悪かったがフィリーは別に慣れたようなものだった
腐乱死体の臭いに比べたらこの程度の悪臭は慣れている
腐乱死体の臭いはもっと強烈なのだから
「フィリーさん、よく気分が悪くなりませんね」
「なのは、こんな臭いはまだまだ良い方よ。腐乱死体に比べたらね」
「そう言うものですか?」
「そうよ。私はいろいろな事件を担当してきたからどんな現場も慣れっこよ」
なのはもゆっくりと慣れてくると良いわとフィリーは言った
ゴミの中に何か証拠がないか探していると銃弾が出てきた
弾の口径は50口径の銃弾である
「殺しで使われた銃弾かもしれないわね。線条痕を照合すれば大きく進展するかも」
過去に使われた銃弾と一致したら、いろいろと犯歴がわかるかもしれない
そうなれば過去の使用履歴から容疑者候補が簡単に出る可能性もある
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中央区南部ノースレパブリック地区 レパブリック小中学校寮
シエナがヘリで戻ってくると家宅捜索はおおむね終わっていた
アイリース・ニケット刑事から報告を受けていた
「家宅捜索の結果はどうだったの?」
「麻薬使用者は全部で25名。すでに全員セントラル分署に移送しました。寮の部屋を家宅捜索すると注射器も多数発見」
「物は出たの?」
もちろんですと回答した。25名は全員、物を持っていたからこそ逮捕することになったのだ
「あとは尿検査をするだけね」
25名以外にも麻薬を使用している者がいるかもしれない
今回偶然にも物を持っていないだけの生徒がいるかもしれないからである
「この学校の生徒全員の尿検査となるとかなり大変ですがやらないわけにはいきません」
麻薬の最後検査方法は尿検査が最も正確に分かるが少し時間がかかるのが難点である
ラボで分析をしなければならないからである。
「とりあえずここの生徒全員の尿検査ね。尿検査を行うため令状を請求するしかないわね」
もちろん生徒が自らの潔白を示すために素直にしてくれたらいいのだが、
拒否されたら令状なしでは強制力がないのでできない
もちろん拒否するということは何かやましいことがあることを示しているが
とにかく判事に令状請求を行うことにした。拒否されてもすぐに尿サンプルを回収できるように
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中央パトロール本部庁舎 8階捜査部レイアウトルーム
エルガとヴィータはそこでバレッツ・ハウンド連邦捜査官と、
ボイーク・ディビス潜入捜査官が殺された事件の今後の捜査方針について協議していた
「問題は潜入捜査をしていたボイーク・ディビスが殺されたことだな。捜査がばれたのかそれとも粛清の嵐に巻き込まれたのか」
バレッツ・ハウンド連邦捜査官は殺された動機について考えていた
HRに潜入捜査をしていたのだからそれなりのリスクはあることは容易に想像できる
殺された理由もいくつかに絞り込むことができる
「そんなに簡単に人を殺すのか?」
ヴィータはそんなに人が簡単に殺しをすることに納得していない感じであったが
エルガはそれをすぐに訂正させるために発言した
「組織の情報を守るためなら組織の構成員は何でもするものだ。誰だって自分の身が可愛いからな」
「あっさりとした人間関係なんだな。犯罪組織の人間関係とは」
ヴィータはどうしても簡単に殺しをするのか納得していない表情だった
「そう言うものだ。組織を守るためには仲間を切り捨てるのは簡単なものだ」
俺達はその組織を白日の下にさらすことが求められているということだとエルガはヴィータに語った
「バレッツ。HRの関連情報をヴィータに明かすことに了承をもらえるか?」
「かまわない。この捜査では特例で認める」
「どういうことだ?」
「時空管理局の暗部組織であるHRは様々な違法物資の密輸に絡んでいたことが疑われている」
「うわさには聞いていたが本当なんだな」
「ヴィータ。その噂について詳細に知りたい」
ヴィータの噂の話にエルガは非常に興味を示した。
ヴィータの話によると時空管理局が押収した物資がひそかに横流しされていたということで、
内部捜査が行われていたということだ。その情報はまだ聞いていない話だ
「具体的にどれくらいの量なのか把握しているのか?」
「そこまではわからないが処分予定だった麻薬が消えていたという例は何度もあったと噂になっていた」
「そうか。それはひどい話だな。押収しておいて裏社会に流すとは」
ヴィータの報告によると内部調査が行われたが真相解明にはつながることはできなかったとのことだ
できるだけ早く調査を行うことが求められる。
『ピーピーピー』
銃器刃物ラボのフィアットから連絡が入ってきた
「フィアット。線条痕の照合はどうだった?」
『照合した結果なんだけど。時空管理局が10年前に押収して処分したはずの銃弾だったわ』
「弾の口径は?」
『9mm口径の銃弾であることは間違いないし、酷い話だけど。この銃弾は過去に3件の殺しに使われているわ』
「それはひどい話だな。あとでできるだけ早く報告書を回してくれ」
『もちろんよ。もうエルガの携帯情報端末に電子版報告書を送ったから』
詳しくはそれを見てというと通話は終了した
「何かいやなニュースが入ってきたようだな」
「バレッツ。今回の殺しで使われた銃弾は過去に3件の殺しに使われている。おまけに銃は10年前に押収されて処分されたぶつだそうだ」
エルガからの情報にバレッツもそれは大問題だなとこぼした
エルガは携帯情報端末に送られてきた報告書を空間モニタに展開した
その報告書には確かに3件の事件捜査資料が添付されていたのでその内容を確認した
どれもHR関係の事件で使われたものであること。誰かが持っていることは間違いない
10年間も処分しないでずっと持っているということは特定の人物が持ち続けているのだろう
今は銃火器の押収量はかなりの量になっている。JS事件前と比較すると10倍以上の押収量だ
銃火器だけでなく麻薬も同じで押収量は極めて増加している。密輸組織も数多くつぶしてきた
それだけに末端価格はかなり高値で取引されている。時空管理局がいかに甘い摘発だったのかがわかる例である
「問題は何を知っていたのかだな」
ボイーク・ディビスがどんな情報をつかんでいたのかを確認しなければならない
潜入捜査中に使っていた自宅を調べるしかない。すでに現場鑑識チームが家宅捜索を行っている
こちらも向かうべきなのかエルガは悩んだが、報告を待つことにした
「今はボイーク・ディビスの自宅の家宅捜索が終わるまでに情報整理をするか」
「そうだな」
バレッツも同意した。ヴィータは何をしたらいいのか確認してきた
「あたしは何をしたらいい」
「ヴィータはお前が把握している情報の報告書を作成してくれ。あとで必要になるかもしれないからな」
わかったというとヴィータはレイアウトルームを出る。
自分のデスクに戻り情報端末を使って報告書を作成し始めた
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北区東部イーストシャーロット地区4番街3丁目と4丁目の間の通り
アルシオーネは今も犯行が行われないか張り込んでいた
いまだに不審な人物は現れない。何か動きがあれば良いのだが
「退屈ね」
アルシオーネはじっくりと張り込みを続けていると1人の男が現れた
リュックサックを持って自転車に乗って道路を走行している
周囲をきょろきょろしている明らかに不審な行動をしている
「ようやく表れたわね」
彼女は車のエンジンを始動させるとすぐにゆっくりと尾行を開始した。
気づかれないように一定の距離をあけながら後をついていった
そして自転車の男はあるマンションの前に自転車を止めた
アルシオーネは気づかれないように1度その場から離れたところに車を止めた。
そして車から降車すると自転車が止められている場所に近くで張り込んだ
セキュリティが厳しいマンションに入っていったのでもしかしたら空き巣をやるつもりなのかもしれない
自転車に戻ってきたらすぐに職質をかけるのだ。
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